「不動産オウンドメディア」は広告費をおさえながら専門性を伝え、見込み客をじっくり育成できる方法です。
自社のブログ記事を通じて信頼感を醸成し、読者をファン化することで媒介獲得につなげ、なおかつブランドイメージの向上も期待できます。
ただし成果を出すにはウェブマーケティングの知識が必要です。外部制作会社に任せると、サイト立ち上げに数百万円かかる場合もあり、しかも実力が確かな企業はめったにないのが現状です。
そんな状況下で、どうすれば「費用をかけずに効果的なオウンドメディアを運営できるのか」を、この記事で解説しました。
自社の強みを活かした不動産オウンドメディアを運営し、広告費をかけなくても媒介契約を取れる方法はあります。
小さな会社ならではの魅力を発信し「ファンを増やしていく」オウンドメディア運営を検討してみてください。
この記事は「トーマ不動産マガジン」のサイト設計・記事設計から原稿制作までを担当する、アップライト合同会社の立石が制作しました。
不動産オウンドメディアのメリット・デメリット

企業が自ら制作・運営するウェブメディア「オウンドメディア」はSNSの台頭に伴い、2015年ごろから減少傾向にありました。
しかし最近では、SNSマーケティングの限界に気付いた企業が再びオウンドメディアに回帰しており、“第二のブーム”ともいえる状況になっています。
とはいえ、安易に手を出してすぐ成功するものではありません。まずはメリットとデメリットを理解し、「やるべきかどうか」をしっかり見極めることも必要です。
不動産オウンドメディアのメリット
「うまくいけば」という条件は付きますが、不動産オウンドメディアは低コストで優良な顧客を集客する手段になり得ます。
一度軌道に乗れば、しばらく手をかけなくても継続的に集客できるという点も大きなメリットです。
SEOの知識があれば広告より低価格で集客が可能
ホームページを作っただけでは誰にも見てもらえません。
しかし、良質なコンテンツをブログ記事などの形で掲載し、SEO(検索エンジン最適化)に取り組めば、不動産オウンドメディアによる集客は十分に狙えます。
ただし、SEOは検索エンジンで上位表示するための高度なマーケティング手法であり、筆者の体感では「専業で数年取り組まないと理解できないほど奥が深い」と感じます。
確かに費用を抑えられる優秀な手段ではありますが、難易度が高い点は理解しておきましょう。だからこそ「信頼できるパートナーが必要だ」ともいえます。
一度軌道に乗ると長期的な集客が可能になる
オウンドメディアを使った集客は、Google広告などの運用型広告とよく対比されます。
広告は費用を出せばすぐに効果が出る一方、出稿をやめると即座に効果が止まるという特徴があります。
一方、オウンドメディアによるSEO集客は、一度検索順位が安定すると長期間にわたって見込み顧客を集め続けることができます。
よくブログやサイトが「資産になる」と言われるのはそのためです。
また、SNSマーケティングと比べても資産性が高く、一度安定すれば運営を楽に継続できるメリットがあります。
良質な情報を発信することでブランディングにつながる
もう一つの大きなメリットは、差別化によるブランディングが可能になる点です。
宅建業は法律で仲介業務の内容が規定されており、どの会社もほぼ同一の業務を行っています。そのため、差別化が難しい業界といえるでしょう。
その点、オウンドメディアに良質な記事を載せ、読者に役立つ情報を発信し続けることで、会社の信頼度を高めることが可能です。
通常の広告では伝わりにくい「業務の質の高さ」や「専門性」をオウンドメディアで表現できれば、ユーザーは安心して仲介を依頼してくれるようになるでしょう。
つまり、不動産オウンドメディアは企業の信頼性を印象づける手段にもなり得るのです。
不動産オウンドメディアのデメリット
不動産オウンドメディアをうまく運営できれば、広告費を大幅に抑えながら集客を行えます。しかしそこには「簡単ではない」というデメリットもあります。
ここでは、主に運営の難しさに焦点を当てて解説します。
SEOの知識がないとコスパが悪い
メリットの項目でも触れましたが「SEOの知識があるかないか」がオウンドメディアの成果を大きく左右します。
SEOは総合格闘技に例えられるほど幅広いスキルを要し、マーケティング、インターネットやコンピューターの仕組み、統計・分析手法など多方面の知識が必要です。
自社だけで完璧に対応するのは難しく、専門家を雇うにも優秀な人材を見つけるハードルは高いのが実情です。というより優秀な人材は常に不足しており、めったに見つけることができません。
外注しても9割はダメ業者
SEOが難しいからといって外注しても、必ずしも結果を出せるわけではありません。
筆者は大手SEO代行業者の仕事を実際に体験するため、編集者・ライターとして登録してみました。
すると、形だけSEO的な体裁にした記事を量産しているだけで、サイト設計者と編集担当の意思疎通が不十分だったり、執筆者がExcelの指示書に沿って機械的に文章を書くというお粗末な実態が分かりました。
これは業界トップクラスの制作会社の実情です。信頼できるマーケターやパートナーを探すのは至難の業だといわざるを得ません。
俗に「SEOコンサルの95%はダメ」といわれますが、実際その通りだと実感しています。
成果が出るまでに時間がかかる
広告であれば費用を出したその日から反応が得られますが、オウンドメディアの場合は半年から1年ほどの時間をかけて記事の完成度を上げ、2年目以降ようやく成果を刈り取るといった、長期的視野が必要です。
この点、社内の理解が不十分なまま進めると「成果が出ない」と途中で判断され、プロジェクトの中止を言い渡される可能性があります。
実際、上司やトップの判断でメディア運営を放棄してしまうケースが少なくありません。
Googleなど検索エンジンの動向に左右される
長くSEOに携わっている人には、パンダアップデートやペンギンアップデートといったGoogleの大規模アルゴリズム変更は非常に有名です。
こうしたアップデートのたびに、上位表示していたサイトが圏外に飛ばされ、集客できなくなることが起こります。
特に「今すぐ集客できればいい」という短期的な手法で上位表示を狙っている場合、アルゴリズム更新で急に順位が落ちるリスクが高くなります。
SEOに基づくオウンドメディア運営では、長期的な視点で地道に対策を続ける姿勢が不可欠です。
成功事例から学ぶオウンドメディア運営のポイント

不動産オウンドメディアが成功する方法は、1つだけではありません。検索トラフィックを集める方法は様々で、SEO戦略も1つだけではないからです。
そこでこの章では、タイプの異なる不動産オウンドメディアの成功事例をひもとき、小さな会社であっても大手と戦える戦略を分析します。
まずはコストをかけず、1年前後の時間をかけて「オウンドメディアを資産化する」戦略からご紹介しましょう。
各サイトの「参考初期コスト」は、弊社でお受けしたらいくらで制作できるかという概算の数字であり、実数ではありません。また、推定オーガニックビジター数はSemrushによる推定です。
広告ハイブリッド型で圧倒的に予算を削減した「トーマ不動産マガジン」

オーガニックビジター | 14,771/月 |
参考初期コスト | 0円 |
ほぼコストをかけず、運営開始後半年くらいから媒介契約が取れはじめた「広告ハイブリッド型オウンドメディア」の事例です。
沖縄の宅建業者トーマ不動産のサブディレクトリで運営しているメディアで、当社(アップライト)がサイト設計から記事作成までを行っています。
トーマ不動産様はいっさい手出しなしで、初期費用0円、運営費0円でスタート。成功報酬で「トーマ不動産マガジン」から集客・成約した場合に、仲介手数料から一定割合をお支払いいただいています。
この仕組みを可能としたのは、一部の記事に広告を掲載するという方法。アップライト(当社)はサイト立ち上げ時期の収入を広告から得ることができ、無理なく運営できる点がミソです。

2024年6月のサイト立ち上げ後、約1か月で最初の問い合わせがありました(土地売却相談)。当初は県外物件や取り扱い不可物件が多かったのですが、記事やサイト構成のブラッシュアップを経て、2025年2月にはマンションの査定依頼が2件(約1億と約4000万円)という状況です。
サイト完成まであと半年かかりますが、その後は安定して査定依頼が来ることを目標としています。
現在、トーマ不動産マガジンのような宅建業オウンドメディアを制作できるのは当社だけです。ご質問があれば、お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ|アップライト合同会社
地域密着型オウンドメディア「文京くらしナビ」

オーガニックビジター | 30,449/月 |
参考初期コスト | 200万~400万 |
文京区に本社および2店舗をかまえるベステックス株式会社のオウンドメディア。賃貸メインの会社なので地域系の検索キーワードを狙い「営業圏内のトラフィックを獲得している」という点が優秀です。
具体的には「茗荷谷」「文京区湯島」「文京区 小学校」などの検索キーワードで上位を獲得しており、そこから読者を獲得しています。

毎月コンスタントに3万人前後の読者を獲得しているので、そこからの問い合わせも取れる優秀なサイトといえるでしょう。
サイト設計・キーワード設計もしっかりしており、その戦略を記事に落とし込むライターの質も高いメディアです。
強力なSEO施策で大規模に展開する「アエラス」

オーガニックビジター | 212,647/月 |
参考初期コスト | 500万円 |
首都圏に67店舗を構えるアエラスのウェブサイト。「賃貸不動産情報コラム」というカテゴリーがオウンドメディア化されています。
すぐ上で紹介した「文京ナビ」との違いは、地域に限定しない検索キーワードを狙っていること。「6畳の広さ」「世帯主 一人暮らし」「あずまやとは」「平均 通勤時間」などの一般的な検索キーワードで上位を獲得しています。
なぜ「文京ナビ」とまったく違ったSEO戦略をとるのかというと、答えは「会社規模」にあるといえるでしょう。

首都圏のウェブトラフィックは日本全体の3分の1以上を占めるといわれます。そこから、首都圏全域に店舗ネットワークを持つアエラスは「地域限定キーワードを狙わなくともよい」と判断したのでしょう。
結果、毎月21万人に閲覧されており、そのうちの7万人程度は潜在顧客ということになります。
「文京ナビ」はランチェスター戦略、「アエラス」は支配的戦略で成功している事例といえるでしょう。
シェアハウスに特化する「ひつじ不動産」

オーガニックビジター | 70,874/月 |
参考初期コスト | 100~300万円 |
「シェアハウス」を切り口に事業を展開するひつじ不動産のウェブサイト。コンテンツSEOではなく、以下のような戦略で読者を獲得しています。
・ブログ記事ではなく物件情報を記事的に制作
・サイト設計上「シェアハウス」に絞ることでGoogleに専門性を認識させる
結果「東京 女性シェアハウス」「横浜 シェアハウス」「シェアハウス おしゃれ」などの検索キーワードで上位を獲得しており、そこから安定した検索流入が取れています。
コラムなども掲載していますが、コラムでは検索上位を取れておらず、コンテンツ関連のSEOには力を入れていないようです。
サイト設計を「シェアハウス」に全振りすることで検索エンジン対策に成功している事例といえるでしょう。

また、自社名やサービス名で検索されることを「指名検索」といいますが、その指名検索が多いのも特徴です。ウェブでのブランディングに成功している事例のひとつです。
個性とセンスで勝負する「渋井不動産」

オーガニックビジター | 16,444/月 |
参考初期コスト | 150万円 |
おそらくSEOは考えておらず、センスと勢いで制作しているウェブサイトです。しかし、月間のオーガニックビジターは16,000人を超えています。
このサイトの特徴は「読んでいておもしろい」こと。物件自体もおもしろく、会社のノリもおもしろく、東京R不動産を関西風にパワーアップしたような印象です。

検索流入の傾向は「渋井不動産」で指名検索するユーザーが多いこと。平均すると月間8100回検索され、そのうち半数のユーザーがサイトを閲覧しています。すなわち、ブランディングに成功していると捉えることができるでしょう。
SEOを考えなくても「センスがあればここまでいける」という好例です。
仙台の地方企業が存在感を発揮「ホームセレクト」

オーガニックビジター | 15,413/月 |
参考初期コスト | 300万円 |
2020年頃からオウンドメディア運営を開始し、急激にトラフィックを伸ばしたサイト。記事のつくりを見ても「プロが絡んでいるな」とわかる、ザ・不動産オウンドメディア的な好事例です。
運営元の株式会社ホームセレクトは、仙台市内に3店舗を構える宅建業者です。
規模的には「ふつうの宅建業者さん」という感じですが、狙っている検索キーワードは「公示価格 実勢価格」「媒介契約とは」「家 売る タイミング」「土地売却 流れ」など全国規模の難関ワード。

難関キーワードで勝ち抜き、上位表示されている点は賞賛に値します。ただ、宮城県内の検索トラフィックが日本全体の検索トラフィックに占める割合は、およそ6%と推測されるため、94%のトラフィックを捨てている点が気になります。
そのせいか、ホームセレクトは2022~2023年頃に広告出稿を試しており、オウンドメディア以外のマーケティング戦略も視野に入れている可能性があります。ローカル局でのテレビCMも打っています。
なぜ無料のオウンドメディアで儲かるのか?

当社(アップライト)では、不動産 オウンドメディアの制作を、初期費用も運営コストも無料でお受けしています。
当社メディア運営の特徴
- 成功報酬制です
- 一部記事にアフィリエイト広告を掲載します
この手法によって、宅建業者様の投資コストをほぼゼロに抑えつつ、高品質で「売却依頼が取れる」オウンドメディアを構築可能としています。
実は90%以上のアクセスは無駄に捨てていた
宅地建物取引業者のオウンドメディアを見ると、多くの場合コストを回収できていません。
ほとんどの宅建業者は都道府県知事免許で単一の都道府県を営業エリアとしています。
しかし、オウンドメディアで十分なトラフィックを得るには全国を対象に情報発信し、全国的な検索で上位を狙う必要があります。
しかし、そのために数百万円規模(例:300万円~500万円)を投じてメディアを立ち上げたとしても、実際に集まるアクセスの9割以上は自社の営業圏外からのものです。
トラフィックの大半が無駄になっており、多額の資金を投じているのに十分なリターンが得られていない状況なのです。
営業圏外からの「捨てていた」アクセスを広告収入に変える
そこでアップライトでは「捨てていた9割のトラフィックを広告収入に変える」という仕組みを構築し、宅建業者様のオウンドメディア運営コストをほぼ0円まで圧縮するスキームを考案しました。
0円で質の高いオウンドメディアを制作し、代わりに成功報酬としてオウンドメディア経由の仲介手数料のうち15%を頂戴します。これだけでは制作費のすべてをカバーしきれませんが、従来捨てていた9割のアクセスを広告収入と結びつけることで、宅建業者と制作会社がwin-winの関係で利益を得られるしくみにしています。
お問い合わせ|アップライト合同会社
当社のオウンドメディア運営では、宅建業者様を“お客様”ではなく“ビジネスパートナー”と捉え、ともにメディアを運営し仲介を獲得しながら利益を上げていくスタンスです。
そのため、御社の仲介手数料から当社が成功報酬をいただくだけでなく、当社の広告収入から御社にキックバックを行うという双方向の資金の流れを作っています。
どちらの会社も同じ方向を目指し、オウンドメディアを盛り上げ、より大きな成果を得られるように仕組み化しているのです。
オウンドメディアを成功させるためのステップ

もちろん、まずは自社内でオウンドメディアを立ち上げ、上手くいかなければ外部の協力会社に相談するのもおすすめです。
実はSEOでは「スモールサイトで一度失敗してみることが必要だ」といわれています。失敗することで、本当に必要な要素が見えてくるからです。
そこで、ここからは自社だけで小さなオウンドメディア運営をスタートさせる際の、基本ステップを紹介します。
集客すべきターゲットの明確化
後ほどいくつかの成功事例を紹介しますが、不動産オウンドメディアの成功パターンは一つではありません。
顧客層や自社の強みによって戦略が変わるため、まずは「どのような顧客にアプローチし、どんなリードを獲得したいか」を明確にする必要があります。
これは自社の強みとも密接に関係しますので、まず自社の得意領域で集客できるユーザー層を明確化しましょう。
サイト設計と導線設計
ターゲットが定まったら、そのユーザー層に向けて「主としてどの検索キーワードを狙うか」を決定していきます。
同時に、読者をどのように顧客化するかという導線設計も考えましょう。これらを踏まえたうえでサイト全体の構成を組み立てていきます。
キーワード選定とトピッククラスター設計
どんなメディアを作りたいかという「方向性」が定まったら、記事で狙う検索キーワードを洗い出していきます。ユーザーがどんなキーワードでGoogle検索しているかを、さまざまなツールを活用して数千~1万件程度リストアップしていきます。
その中から実際にサイトに落とし込むキーワードを100~200件程度選定します(サイト規模によりもっと多い場合もあります)。
さらに、中心となる重要キーワード(いわゆる“ピラー”)と、それを補足するクラスター記事を配置する「トピッククラスター構造」を構築することで、検索エンジンでの上位表示を狙いやすくします。
なお、トピッククラスターは一つのサイトに複数設定するイメージです。
筆者の肌感覚では、トピッククラスター構造は最近効果が薄くなっていると感じています。しかし、そうではあってもこの構造を採用したほうがサイト全体の価値が上がりやすいといえます。
記事作成とサイト運用
サイト構成が決まったらいよいよ記事作成に入ります。
記事を作るときは「どのキーワードで上位表示を狙うのか」を常に意識し、競合や検索意図をリサーチしながら執筆しましょう。
その際、感覚に頼らずツールを使って目標や成果をデータ化・数値化します。
無料ツールとしては以下のようなものがありますので、ぜひ活用してみてください。
- GA4(Google Analytics 4)
- Googleキーワードプランナー
- Googleサーチコンソール
- Ubersuggest
- ドメパ
- SEOチェキ
記事公開後は検索順位を測定し、順位が低い場合はリライトを繰り返し、あくまでも上位表示を目指します。順位測定にはGRCやGMO順位チェッカーなどの有料ツールを使用します。宅建業者が利用すべき順位測定ツールも別途解説する予定です。
当社の経験上、Googleでは検索結果の3位以内に入らないと大きな成果を実感できません。理想としては、1位を目指して取り組んでいきましょう。
不動産オウンドメディアは格差が大きい世界だった

筆者はランダムに選定した3大都市圏の宅建業者ウェブサイト100件をAIで分析してみたのですが、その結果「圧倒的な格差がある」という現状が見えてきました。
月間トラフィックがゼロや1桁という宅建業者が大半であるという厳しい状況が浮き彫りになり、一方で月間10万単位の読者を獲得するメディアも存在します。勝ち組と負け組の格差が大きいという現実があるのです。
では「なぜ不動産オウンドメディアでは格差が大きいのか」を検証してみましょう。
不動産業者のホームページは驚くほどピンキリ

このグラフは、横軸が獲得トラフィック(月間どれくらい読まれているか)で、縦軸が会社数です。
左側の「ゼロ付近」に分布している会社(サイト)が非常に多いことがわかります。つまり、ほとんどの不動産会社のメディア(ウェブサイト)は「誰にも読まれていない」わけです。
一方で、月間10万以上のユーザーを獲得しているウェブメディアがわずかに存在しています。
この業界では標準偏差 (std)が「21,185.97」と非常に大きく、データがばらついていると判断できます。つまり、特定のサイトが圧倒的なトラフィックを持っているということです。
ひとついえるのは「不動産会社のウェブは、作っただけではお金の無駄」ということです。マーケティングなしにサイトを作っても、誰にも見てもらえないからです。
筆者が分析に利用したデータは、以下からダウンロードできます(EXCEL)。
3大都市圏地場業者のトラフィック(ダウンロード)
もし今「オウンドメディアを作ろうか」とお考えであれば、ぜひ上記ファイルをダウンロードして、具体的に「どのサイトがどれくらいのトラフィックを確保しているのか」をつぶさに確認してみてください。
予想外に厳しい現実が見えてくるはずです。
優秀なメディアが首都圏に多い理由と対策
順位 | 都道府県 | 月間オーガニックビジター |
1 | 東京 | 246,481 |
2 | 埼玉 | 125,147 |
3 | 愛知 | 30,292 |
4 | 千葉県 | 16,601 |
5 | 大阪 | 6,691 |
6 | 奈良 | 6,502 |
7 | 兵庫 | 5,468 |
8 | 神奈川 | 5,116 |
9 | 和歌山 | 2,310 |
10 | 京都 | 130 |
都道府県別にオーガニックビジターを集計すると、上記の数字になりました(今回分析した100件のデータ)。成功事例は、圧倒的に東京を中心とした首都圏に集中しています。
3大都市圏で比較しても、質・量ともに東京(首都圏)が圧倒しています。
日本のSEOコンサルやSEO会社は首都圏に集中していますし、検索トラフィックそのものも首都圏に集中しているからでしょう。
「地方ではウェブメディアをつくっても、アクセスの大半が県外であり、集客効率が悪い」という問題が、地方の不動産オウンドメディアを伸ばせない要因となっています。
そこで、地方の宅建業者こそ広告を絡めたハイブリッド型メディア戦略をとるべきだといえます。
今回はランダムに業者を選定し、なおかつn数が100と小さいことから、誤差は出ると思われます。ざっくりした傾向ととらえてください。
まとめ「ハイブリッド型メディアで低コストなメディア運営」

不動産オウンドメディアは、うまく軌道に乗れば広告費を抑えて優良顧客を集客できる一方、思うように成果を出せずコストを回収できないケースが目立ちます。
そこで鍵となるのが、明確なターゲット設定やSEOの知識、長期的な運営視点です。
特に地方の不動産会社は、全国規模で発生するアクセスの大半を「無駄」に捨ててしまいがちですが、広告を掲載する「ハイブリッド型」なら捨てていたアクセスをサイト運営費用に変え、実質的なコストをほぼゼロにできます。
これにより、地元に特化しつつも大きなトラフィックを獲得するしくみが築けます。
オウンドメディアは成功すれば査定や成約の獲得に加え、自社ブランドの確立につながるのもメリットです。「獲得顧客の質が上がる」と考えるといいでしょう。
お問い合わせ|アップライト合同会社
費用をかけなくても、首都圏の大手と戦う方法はあります。ぜひお問い合わせください。