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音大出てないピアノ講師はだめ? いいえ、すごい先生もいますよ!

音大を出ていないと、ピアノ講師にはなれないのでしょうか?

そんなことはありません。

「どんなピアノの先生になりたいか」にもよりますが、音大を出ていなくても、ピアノ講師になることはできます

どんなピアノの先生になれる?

クラシックをしっかり教わりたい生徒さんは、やはり音大を出た先生を希望されるでしょう。しかし、子どもたちのための身近な教室や、ポピュラー音楽系の教室であれば話は別です。

この記事では、音大を出ていなくてもすごいピアノの先生を紹介し、音大を出なくてもピアノ講師になる3つの方法を解説します。

「うちの子の先生は音大を出てないけど大丈夫?」と悩める保護者の方向けの解説は、記事の後半に掲載しました。

「音大を出たらピアノ講師になれる」とは限らない

音大に通うと、必要なことを教われますし、音楽的な環境にどっぷりとつかって練習することもできます。その分、講師になるには有利な環境かもしれません。

しかし、音大で教わることがすべてではなく、音大を出たから「すぐにピアノ講師として通用する」というわけでもありません。私のクラスは約30人でしたが、卒業後、約半数が音楽と関係ない仕事に就きました。

逆に、後で紹介するように、音大を出ていないけれどすごい先生もいます。

いいピアノ講師になるためのすべてを、音大で学べるわけではないからです。

音大を出てないけどすごいピアノ講師

音大を出ていても、出ていなくても、すごい先生はやっぱりすごい。そこに共通するのは「人間性」ではないかと思います。

たとえば私が会った、音大を出ていないけどすごい先生は、こんな方々でした。

すごい!と思ったヤマハの先生

ヤマハのシステム講師時代「すごいなぁ」と思う先生がいました。仮にA先生としておきます。

A先生は生徒や保護者の方からも慕われ「私も音大に行って、先生のようになりたい」といわれる存在でした。でも、A先生に聞くと、

「私? 音大出てないよ」

との返答が! A先生は東京で普通の大学を出て、その後故郷に戻ってヤマハのシステム講師になられたそうです。

尊敬できる先生であっても、音大を出ていないことは普通にあります。

個人でいきなり教室を開いた、行動力がすごい先生

B先生は、普通の大学を出てOLをされていましたが、いきなり音楽教室を開業した行動力の持ち主です。

ポピュラー音楽系の音楽教室を運営されていますが、ピアノをメインに作曲を教えるなど、音楽の楽しさを伝えられる先生です。

そして、多少変わった生徒がきてもしっかり受け止め、指導できる能力も兼ね備えています。

B先生を見ていると、行動力や人間性も大切な要素だと感じさせられます。

音大を出ていなくてもピアノ講師になる3つの方法

極端な話、「○○ピアノ教室」の看板を上げてしまえば、誰でもその日からピアノ講師になれます。

しかし、最低限の演奏技術や知識がないと、壁にぶつかる可能性大。

その知識や技術をどこで学ぶか? と考えると、以下の方法が考えられます。

ヤマハの指導グレードを取得する

ヤマハのシステム講師には指導グレードの取得が求められます。この「グレード」、正しくはヤマハ音楽振興会が実施する「音楽能力検定制度」といい、ヤマハに通っている子どもたちも13級からスタートする演奏グレードを受験できます。

指導者のためのグレードは5級以上で、通常は5~3級を受験します。

2級以上はかなり特殊で、現在1級は試験が実施されていません(ヤマハ音楽振興会のHPによる)。

ヤマハだけでなく、カワイ楽器なども同様の検定試験を実施しています。

ヤマハのグレードを取得するには、ヤマハ系の楽器店(が運営する音楽教室)に所属し、その後検定合格を目指します。

演奏グレードは演奏技術だけですが、指導グレードは筆記試験も出題されます。ピアノ講師、エレクトーン講師として必要な知識を問われるので、実践的な勉強になります

そのため、グレードの勉強をすると、指導に必要となる力がある程度身につきます。

専門学校に通って勉強する

私は作陽短期大学の電子音楽科を卒業後、ヤマハ音楽院大阪のエレクトーン科に通いました。このような専門学校に通うことも、講師として必要な知識を身につけるひとつの方法だと思います。

現在の音楽専門学校では、プロを目指すミュージシャンコース、PAや音響コース、芸能スタッフコースなどが多いのですが、よく探すと音楽教育科を設置する学校も見つかります。

自分で勉強しようにも「どうしたらいいかわからない」という人は、こういった専門学校を探してみるのもよいでしょう。

専門学校卒業後に、ヤマハ系の楽器店に所属して、グレードを取得する方法も考えられます。

気になる方は、スタディサプリなどで音楽の専門学校を検索してみてください。

個人経営のピアノ教室に所属して勉強する

個人のピアノ教室や音楽教室で、経験を問わずにスタッフを募集していることがあります。

こういう募集に応募してみて、そこで指導法を学ぶという道もあります。

タイミングよく求人募集に出会えるかどうかは運も影響しますが、チャンスがあればトライしてみてはどうでしょう。

指導法に悩む先生におすすめを2つ

写真は、なみのおと音楽教室も制作に加わった『せかいいっしゅうおんがくえほん』です。音楽で世界一周しながら、さまざまなスケールで即興演奏をしてみる……という内容ですが、いろんな使い方ができます。

ピアノの前に座っていられない子、お家で練習してこない子、「今日はやる気が出ない」という子の指導に迷った時は、ぜひ活用してみてください。

ピアノの先生向け講座も用意しています

ピアノの先生の参考になる講座を、主にオンラインで開催しています。

『せかいいっしゅうおんがくえほん』の使い方シェア会や、アレンジやコード理論のワンポイント講座(いずれも90分くらい)は、3000円程度から受講できます。

4か月、または半年間、体系的にアレンジと指導法を学ぶ講座も用意しています。

興味がある方はぜひお問い合わせください。

悩めるお母さんへのアドバイス

「うちの子の先生は音大を出ていないけど大丈夫でしょうか?」

こんな悩みを、よくネットの相談サイトで見かけます。

結論からいうと、音大を出ていないピアノの先生がダメというわけではありません

ピアノ講師を選ぶ時のポイントは「子どもとの相性」。音大を出ているかどうかより、そこが大切な見所です。

ピアノの先生の選び方まとめ
音大を目指す音大を出ている先生が安心
クラシックをしっかり学ぶ音大を出ている先生が安心かも?
それ以外子どもとの相性を第一に考える

記事では具体的に、ピアノの先生を選ぶポイントを解説していきます。

音大を出たピアノの先生を選ぶ理由は?

音大卒の先生を選ぶべき理由として、次の2つが考えられます。

  1. クラシックをしっかりと学びたい。
  2. 音大に進学したい。

この2つのケースであれば、音大卒の先生を選んだ方がよい場合が多いと思います。

特に音大受験については、受験の過程を知っている音大卒の先生が有利です。

その他全般的な「音大卒の先生のメリット」

その他に、一般的にいえる音大卒の先生のメリットは……

  1. 知識と演奏技術がある程度担保される。
  2. 音大ならではの経験をしている。
  3. 他の先生とのつながりがある。

といった点です。

音大ならではの経験というと、たとえば管楽器や弦楽器の伴奏など。ピアノだけやっていては、そういう経験は積めません。他にも、一般大学では経験できないことがあります。

また、音大で学んだ同窓生や恩師とのつながりがあるケースが多く「私には教えきれないな」と感じたら、より技術力や指導力のある先生につなぐことができます。

絶対ではありませんが、こういった点が音大卒の先生を選ぶメリットです。

音大を出ていないピアノの先生のメリット

社会経験がある先生ならではの強みも

音大ではなく一般の大学を出た先生には、そういう経験をした人にしかない強みがあります。

  1. 社会的な常識がある先生が多い。
  2. 勉強とピアノを両立してきた実績がある。

こういった先生は人間的に評価できる場合も多く、指導力という点で期待できるケースがあります。

私が見た「技術と指導力は別物」の実例

ヤマハのシステム講師時代、私が「技術と指導力は別物だ」と感じた事例があります。

あまり高い指導グレードをもっていなかったC先生は、教え子の多くをコンクール上位に育てあげていました。ピアノの生徒もエレクトーンの生徒も、しっかりと成績を残していたことに感心しました。

まさに「演奏力と指導力は別物」の事例です。

また、一般大学の家政科を卒業したD先生は、引っ込み思案の生徒の才能を見抜き、人前で演奏できるように指導し、その才能を開花させました。

社会人としての経験や懐の広さは、音大という狭い世界しか知らない先生より、もしかしたらすぐれている場合もあるでしょう。

何か常識に欠ける先生は避けた方が無難かも?

今、ネットで検索すると、「生徒が毎回トイレを借りる」ということに不満をぶちまけるピアノ講師が複数見つかります。

いつもトイレを借りる生徒が疑問です

ネットの書き込み

レッスンに来たらまず一番に、トイレ、という小4の子がいます。しかもハンカチも持ってきていません。人の家にきてまず一番にトイレをかりる、ハンカチも持ってこない、どう指導したらよいでしょうか。

先生の自宅でトイレをすればいいやという感覚を持っていたとしたら、やはりそれはマナーに欠けるかなと思います。

ピアノ教室も事業として行っている以上、生徒にトイレを貸すくらいは当然ではないでしょうか?

音大を出ている、出ていないに限らず、こういう点も注意して観察したほうがいいと思います。

トイレくらいで小言を言われるようであれば、もっと本質的な指導をしてくれる先生を見つけた方がよいでしょう。

結論!やはり「子どもとの相性」が大切

子どもを中心に考えましょう

生徒の希望が「音大進学」であれば、音大卒の先生が安心です。

そうではなく、「音楽を楽しみたい」「ポピュラー音楽も学びたい」ということであれば、音大卒か一般の学校を出ているかは最重要課題ではありません。

ぜひ、子どもが学びたいことを学べる環境があり、先生の人間性も評価ができる教室を選んでください。

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