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ヤマハのグループレッスンは無駄? 実はものすごく大切なことを教わっています

ヤマハ幼児科のグループレッスンでは、一見無駄に見えて実はとても重要なことを学びます。

無駄と思えるカリキュラムにどんな意味があるのか? この記事では元ヤマハ音楽教室システム講師が解説していきます。

おそらくこの記事を読むと「あのとき先生が言っていたのは、こういう意味か!」と判断できるはず。ほとんどすべてのレッスン内容に大切な意味がありますよ。

ちなみに、うちの子もヤマハの幼児科に通っていました。

確かにピアノを弾かない時間が多い幼児科のレッスン

ヤマハの幼児科について、ネットのクチコミサイトで様々な悩みや愚痴が書き込まれています。

確かにヤマハ幼児科のグループレッスンでは、あまり長い時間ピアノを弾くわけではありません。一見すると無駄のように思えるのですが、実はその時、将来必要になる大切な能力を育てています。

  1. 音楽を聴き、楽曲分析の基礎を身につける
  2. 楽曲の形式に加えて歌詞の意味も理解する
  3. 他の子の音を聴き、アンサンブルに必要な力をつける

ただ弾いて演奏技術を伸ばすだけでは、音楽に必要な幅広い力を身につけることができません。

では、どうすれば幼児期に、その後の伸びしろを支える音楽の基本を身につけられるのでしょうか?

ヤマハが長年培ってきたカリキュラムが、今の幼児科のレッスンになっています。

補足すると、そもそもグループレッスンではピアノではなく主にエレクトーンを弾きます。それにも実は理由があります(それだけで1記事になるほど奥が深いので、ここでは書ききれませんが…)。

弾く時間が短いのはもっと大切なことがあるから

ヤマハの幼児科では、

  1. 聴く
  2. 歌う
  3. 弾く

を繰り返してレッスンを進めていきます。

なぜ「弾く」が最初にきて、レッスンの中心になっていないのでしょうか? 実は弾くためには、その前提として、もっと大切な能力を伸ばす必要があるからです。

弾くより「聴く」が先にくる理由

ヤマハの幼児科では、レッスン中に先生の演奏やCDの音源を聴くことからスタートします。家庭でもDVDやCDで課題曲を聴きます。

演奏するためには、楽曲を聴く力が必要だからです。

レッスンではただ漫然と聴くだけではなく、先生が「この曲はどんな風にできているのかな?」というポイントを伝えています。

たとえば8小節(2段)の課題曲であれば、「1段目の最後は『続く感じ』だね。2段目の最後は『終わる感じ』だね」と、楽曲の構成に気づけるようにヒントを出していきます。

このように楽曲の聴き方を教わると、子どもたちは自分ひとりでも、そういった観点で曲を聴けるようになります。

弾くより「歌う」が先にくる理由

ヤマハの幼児科に子どもを通わせているお母さんの疑問として、「歌ってばかりいる」「歌う時間が無駄」というパターンをよく見かけます。

しかし、レッスン中は漫然と歌っているわけではありません。

  1. 歌詞の意味を理解して歌う
  2. 楽曲の形式を理解して歌う

こういった点を学びながら歌っているのですが、これは「歌いながら楽曲分析もしている」ということです。

ただ楽譜を読んで弾くだけではなく、楽譜を見たらその背景を考えられる能力を身につける。講師はそういった目的でレッスンをしています。

グループでしか伸ばせない能力がある

個人の教室でたくさん鍵盤をさわらせてもらうと、確かによく練習している感じはしますし、それはそれで演奏技術を伸ばす意味があるはずです。

しかし、一般的なピアノの個人レッスンではあまり学べないポイントがあります。なかでも大切なのは、次の2点でしょう。

  1. 他の子の音を聴くこと
  2. アンサンブルの能力を高めること

ピアノ演奏はソロだけではありません。

たとえばソロアレンジの楽譜を弾いていても、本来その曲には主旋律以外の音(他の楽器の音)が鳴っているはずです。

弾かない音もグルーブとして、演奏者の頭の中では鳴っていてほしいわけです。

ソロで弾く時に、他の楽器の音を感じて弾けるか?

そこが将来、表現力を分けることになります。

どうしてもグループに向いていない子は個人レッスンで

ただし、子どもの性格によっては「どうしてもグループレッスンに向いていない」という事もあります。

一度ヤマハの幼児科に通ってみて、「どうしても無理そうだな」と感じたら、個人のピアノ教室やエレクトーン教室に通ってみる……という手順でいいと思います。

当教室(なみのおと音楽教室)でも、ご相談に応じることができます。ただ、現在ほぼ満枠に近く、信頼できる個人の先生をご紹介する形になるかもしれません。

ヤマハ音楽教室のデメリットとは?

いいことづくめのように思えるヤマハの幼児科にも、デメリットはあります。

なかでも一番大きな問題は「講師の当たり外れ」。人間が教える以上、どうしても能力に差がありますし、その差は決して小さなものではありません。

いい先生を確実に見つけるコツといったものはないのですが、ひとつ試してみるなら、体験レッスンをハシゴするという方法があります。同じ楽器店で複数回の体験レッスンが認められることもありますので、その場合は講師の実力を比べてみることができます。

他には、すでにヤマハに通っている先輩がいれば、保護者の方に様子を聞いてみるのも役に立ちます。

できる範囲で情報を収集し、その中でなるべくいい先生を見つけてください。

エリアによっては体験レッスンを担当する講師と、実際にレッスンを担当する講師が違う場合があります。その点はぜひ確認してから入会してください。

結論。迷っているなら幼児科に通ってみる

結論として、「ヤマハの幼児科に通わせるべきか」と迷っているなら、まずは行ってみることをおすすめします。

合わなければ個人の先生を探してもいいですが、まずは幼児科に入会してみてください。なんとなく無駄が多いように感じるレッスンも、実はよく考えられたカリキュラムに基づいていることがわかります。

その結果、ただ鍵盤を弾くよりも、将来本当に必要となる楽曲の分析能力や表現力が身についていきます。そして、ただ弾くだけの練習をしてきた子たちを、やがて追い抜いていくということもよく目にします。

3歳、4歳の子であれば、迷わずヤマハの幼児科でいいと思います。

カワイなど他の大手音楽教室でも、同じようなレッスンが行われていると思います。ただ、他の教室については直接見聞したことがないため、この記事では触れていません。

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