広告 インタビュー 特集

家が建てられない土地や再建築不可物件。専門会社にノウハウを聞きました

やっかいな空き家や、再建築不可物件、事故物件などを買い取っている「訳あり物件買取プロ」というサイトがあります。

どうやって訳ありの不動産を買い取って再生しているのか? 興味があったので取材を申し込んだところ、すぐに「いいですよ」と返信をいただきました。

そこで今回、再建築不可・建築不可に限ってお話しをうかがってみました。

フドマガ
フドマガ
訳あり不動産の売却は、自分で粘り強く調査するか、信頼できる専門業者に任せるかのどちらかになります。

目に付いた近くの不動産業者に再建築不可物件を任せる……というのが、一番危険です。

今回の取材先

株式会社AlbaLink、ウエブ担当の鈴木さんに聞きました。

ざっくりおさらい「なぜ家が建てられない」「建て替えできない?」

建築・再建築ができない理由のツートップは、「接道していない」と「市街化調整区域」の2つです。

内容出現頻度難易度
建築基準法の道路に接しない★★★★★
市街化調整区域 ★★★★★
市街化調整区域内の農振農用地 ★★★
擁壁や崖に接する土地
その他

実務上も、ほとんどの場合「接道(道路)」と「市街化調整区域」であることが問題になり、その解決方法を考えることになります。

ただ、2つとも非常によくある問題だけに、それなりに救済措置が用意されています。農振農用地に指定されている場合に比べると、まだ「何とかなる可能性はあるかな」と期待が持てるケースが多いといえます。

接道(道路)の問題で再建築できないケースの救済措置

土地が道路に2メートル以上接していないと建築できません

土地が道路(しかも建築基準法上の道路)に間口2m以上接していないと建築が認められません。

建築基準法上の道路かどうかは、市町村役場または都道府県で確認します。

フドマガ
フドマガ
建築主事がいる役所であれば明快な答えをもらえます。

まずは市町村の都市計画課などに行ってみて「この道路は建築基準法の道路ですか?」「この道路に接している土地に建築できますか?」と尋ねてみてください。

道路の種類については、以下の記事が参考になります。

建築基準法は第42条で「こういう道路が法律上の道路だと決めます」と規定しています。

建築基準法の道路に接していなかった場合の救済措置

非道路の道の例
このような自転車道などは非道路という扱いに

接道に関しては、建築基準法第43条第2項に救済措置が定められています。

たとえば道路に直接接していなくても、公園などを挟んでいる場合に建築が認められる可能性があります。また、河川の管理用道路(建築基準法の道路ではありません)に接していても、建築が認められる場合もあります。

ただ、都道府県によって基準が異なる場合があります。そのため、違う都道府県の不動産業者と話をしていると、噛み合わないこともあります。

詳しくは、不動産が所在する都道府県のホームページなどで調べてみてください。

上記リンクは大阪府の例ですが、各都道府県でこういったページを読んでおくとよいでしょう。

市街化調整区域内にあるケースの救済措置

市街化調整区域

市街化調整区域というのは、都市計画法上「市街化を抑制する地域」つまり、家を建てないエリアと決められています。

とはいえ一律に「建ててはダメです」と言えない事情もあり、大きく2つの救済措置が設けられています。

  1. 緩和区域
  2. 既存宅地

ざっくりと解説していきましょう。

緩和区域にあれば建築が認められる場合も!

市街化調整区域内の緩和区域
既存宅地であれば条例により建築が許可される場合も

緩和区域というのは、大規模既存宅地ともいわれます。「昔から集落があったから建築を認めてもよさそう」というエリアのことをさします。

緩和区域内で、

  1. 家を持っていない人が自分の住宅を建てる
  2. 土地の面積が150㎡以上である

という要件を満たせば、建築が許可される可能性が出てきます。

既存宅地で建築が認められる場合も!

 線引き前に住宅があった既存宅地
都市計画法施行以前から宅地だった場合は可能性あり

都市計画法施行以前から宅地だった土地については、市街化調整区域内であっても建築が認められることがあります。

国の既存宅地制度は平成12年に廃止されましたが、現在は都道府県や市町村の条例で、開発許可や建築許可ができるようになっています。

既存宅地かどうかは、市町村役場の税務課などで調べます。

フドマガ
フドマガ
線引き以前に宅地課税されていましたか?

と尋ねると教えてもらえます。

市街化調整区域内で建築するための細かいノウハウについては、以下の記事で解説しています。

農振農用地のケース

農振農用地とは、「農業振興地域の整備に関する法律」にもとづいて優良な農地を守るために指定されています(ということになっています)。

実態として耕作放棄地や荒地であっても、実は農振指定を外すことはものすごく難しく、実務では農振指定を確認した瞬間にあきらめムードになるほどです。

農振除外も不可能ではありませんが、ハードルの高さは市町村のサイトを見るとわかります。

上のリンクは滋賀県高島市のサイト内の解説ですが、見るからにムリそうな感じが伝わってきます。

フドマガ
フドマガ
農振農用地の場合は専門家に任せるのがベストです。

まず不動産業者に相談してみて、手に負えない場合は行政書士を探します。近隣の行政書士事務所で、農地に強そうな所を検索し、そこに相談するのが確実です。

実務で農地を取り扱っている行政書士さんであれば「ここはムリです」「可能性があります」という判断もすぐできると思います。

自分で農地転用に挑戦するのはハードルが高いですが、やってみようという方は以下の記事を参照してはどうでしょう?

擁壁や崖に接する土地

2mを超える段差は擁壁が必要

2mを超える崖があり、建築基準法上有効な(構造計算された)擁壁を設けていない場合は建築が認められないことがあります。

この場合は構造計算された擁壁を設置したり、深基礎工法とすることで建築が認められます。

相談先は建築会社(建築士)です。

都市計画区域外では規制されない

都会の不動産屋さんは知らないことが多いのですが、都市計画区域外では崖条例の制限を受けないことがあります(市町村の条例に注意)。たとえば千葉県鋸南町や大多喜町は全域が都市計画区域外です。

訳あり不動産のプロ、AlbaLinkさんに聞きました

ここからは訳あり物件買取プロを運営する、株式会社AlbaLinkの鈴木さんにうかがっていきます。

フドマガ
フドマガ
鈴木さんはウエブ担当なのに、不動産に相当詳しい方でした。

フドマガ まず最初に、どうして訳あり不動産の買取を始められたのでしょう?

鈴木 実は、もともとは普通の不動産買取をやってたんです。すると「他社で断られた」という人がたくさんいて、それを買い取っているうちに訳あり物件専門に……。

フドマガ 最初から訳あり物件でビジネスが成り立ったんですか?

鈴木 最初からではないですが、試行錯誤しているうちにノウハウがたまってきて、なんとかなっています。

フドマガ ちょっとそのノウハウを聞いていっていいですか!?

鈴木 はい、いいですよ。

家が建てられない土地の売却で注意すること

フドマガ 建築できない土地や再建築不可物件、どこに注意すればいいでしょう?

鈴木 そうですね、再建築不可物件の場合だと、うちでは現金化するノウハウを持っています。その方法は、リフォームをして価値をあげるということが多いです。再建築不可でも、賃貸経営をする投資家さんから見たら魅力があれば買ってもらえるので。

フドマガ リフォームについてはかなり研究されたんですか。

鈴木 実はリフォーム事業部を立ち上げて、自社で施工していたこともあります。今はほぼ外注していますが、投資家さんにリフォーム内容を説明できたり、リフォームの相談に乗ったりできるので、その点で信頼してもらっていますね。

フドマガ リフォームなどは、一般の人がやると利益を出すのは難しいかもしれないですね。

鈴木 そうですね。残置物の撤去とかも注意した方がいいかもしれません。お客さんの話だと、他社の買取では残置物の処理にざっくり「じゃぁ100万円引かせてもらいます」といった対応になることもあるそうです。

普通そんなに費用がかかるとは思えないので、査定依頼時にはそういった点を注意するといいのかなと思います。

フドマガ 訳あり物件買取プロさんでは?

鈴木 実費です。あと、リフォーム代も同じで、適正価格が難しいですね。

注1……残置物というのは、不動産内部に残された不要品のことをさします。一部の物件ではゴミ屋敷状態のこともありますが、普通の不動産業者では嫌がられがちです。

とりあえず相談だけするのはあり? なし?

フドマガ これをズバリ聞いていいのかわかりませんが、再建築不可物件などの処分に困っている時、とりあえず御社に相談だけするのはありですか?

鈴木 実は、うちに連絡をくださるお客さんはそもそも「どうしよう」と困っているので、最初は相談から入ります。

そのなかで、「いやうちに売らなくてもいいんじゃないか」となったら、たとえば「こういう風にしたほうが高く売れますよ」と、アドバイスだけしてお話を終わらせることもあるんです。

ただ、訳あり物件の売却はそれなりに面倒ではあるので「めんどくさいからやっぱり買い取って欲しい」となったら、もちろん買取を実施します。

フドマガ 意外と相談するだけ、という事でもいいんですね。

鈴木 そうですね。査定依頼を出したから売らないといけない、じゃなくて、相談をするつもりで話を聞くのもありです。

その上で、速く現金化したいから買い取って欲しいとか、なんとか自分で対応してみるかなとか、判断してもらえれば。

フドマガ なるほど、けっこうフレンドリーですね。

鈴木 あとは「数次相続が発生して、ほかの共有者と連絡が取れない」といったケースでも、当社で買取できますよ。

フドマガ それはプロに任せた方がはやそうです。ところで鈴木さんはウエブ担当なのに、どうして不動産に詳しいんですか?

鈴木 社内で研修があるんです。営業の担当者はもっと詳しいので、ぜひご連絡ください。

フドマガ なるほど! ありがとうございました。

というわけで、AlbaLinkさんは取材依頼にも気軽に応じてくれて、話しやすい雰囲気でした。不動産の処分について相談しても、しつこく営業される感じではありません。

人気の記事

1

外壁塗装で「助成金が出る」というのは悪徳業者が好きなセリフ 「外壁塗装から営業トークにはいる業者には、詐欺まがいの会社が多いですね」 外壁塗装業者のN-TRUSTさんを取材中、中村社長からそんな言葉が ...

2

シロアリ駆除が必要ない家も、もちろんあります。新築であれば薬剤が効いているので5年は大丈夫。また、防蟻工事をしてから5年ほどの間は、ある程度安心できます。 その期間を過ぎてもシロアリが発生しない場合も ...

3

イエイが無料で利用できる背景には、不動産屋が高いお金を払っているという事情があります。そのことが分かると、いろいろな注意点が見えてきます。 まず最初にイエイを選んだのは、10年以上の運用歴があり、登録 ...

-インタビュー, 特集
-