空き家買取価格は「再販価格 − 工事代 − 諸費用 − 利益 = 買取価格」という逆算で決まります。
この記事では、大阪府阪南市の実物件(推定相場550万円)で試算しました。すると、買取価格は240万〜440万円になることが確認できました。
筆者は実務上、不動産買取に関わってきた経験があり、本試算もその実務感覚に基づいています。つまり、買取価格については以下のように考える必要があるのです。
買取価格についての考え方
- 市場相場の4~8割と幅がある
- 物件の状態によって大幅に変動する
また筆者の体感ですが、買取価格は5割程度を目安にする必要があるでしょう。そうでなければ、不動産買取業者の利益が出ないからです。
この記事では、意外と知られていない不動産買取の裏側を知る筆者が、具体的な計算方法を交えながら「買取の真実」「買取を選ぶべき場面は?」といった問題を解説していきます。
空き家買取とは? 仲介との違い

| 仲介 | 買取 | |
|---|---|---|
| 売却価格 | 市場価格に近い | 市場価格より低い |
| 売却期間 | 数か月〜1年以上 | 数週間〜1か月程度 |
| 確実性 | 買い手次第 | 高い |
| 仲介手数料 | かかる | かからない |
| 内覧対応 | 必要 | ほぼ不要 |
空き家買取とは、不動産業者が自ら買主となって空き家を直接購入する売却方法です。一般的な「仲介」とは、売却の仕組みがまったく異なります。
仲介は、不動産会社が売主と買主の間を取り持つ方法です。市場で買い手を探すため、条件が合えば市場価格に近い金額で売れる可能性があります。ただし、売れるまでの期間は読めません。売主は内覧対応や物件の維持管理を続ける必要があり、成約後は仲介手数料が発生します。
買取は、業者が直接買主になるため、交渉がまとまれば短期間で確実に売却できます。内覧対応も不要で、仲介手数料もかかりません。その代わり、買取価格は市場価格より低くなるのが一般的です。業者が転売コストを逆算して価格を決めるためです(詳しくは次の章で解説します)。
空き家の3つの売却方法を解説

空き家買取で市価の半額になる理由

「空き家の買取価格は市価の7割」とよくいわれますが、筆者はこの数字を信用していません。
実際には物件によってまったく違ってくるからです。
大阪府阪南市のシミュレーション用物件(1977年築・土地約155㎡・建物約89㎡)で試算してみましょう。リフォームずみで1,290万円の売り出し価格、リフォームなしの相場は530〜550万円前後と推定される物件です。実際の物件に極めて近い数字に揃えています。
実際に大阪府阪南市でリフォームずみとして売り出されている築古物件(1290万円)をモデルとして、AIによるダミー物件を制作し、それについて試算しました。なお参考として、阪南市内では1974年築・土地約177㎡・建物約99㎡の中古戸建てが530万円で成約しており、そこから本物件をリフォームしない場合の「相場」は550万円と推定しました。
買取価格は「逆算」で決まる
業者買取の価格は、次の式で考えると見えやすくなります。
再販価格 − 工事代 − 諸費用 − 利益 = 買取価格
業者は購入後、リフォームや権利関係の整理を行って転売します。そのコストとリスクを差し引いた残りが、売主への提示価格になるのです。
同じ「空き家」でも価格は大きく変わる
この物件で逆算してみましょう。リフォーム後の販売価格を1,290万円と仮定。一方でコストは:
- 工事代:500万〜600万円(水回り・内装・サッシ交換など)
- 想定利益:300万〜400万円
- 諸費用:50万円前後
この逆算で出てくる買取価格は、240万〜440万円程度です。
高めに買取った場合:1,290万 − 500万 − 300万 − 50万 = 440万円
安めに買取った場合:1,290万 − 600万 − 400万 − 50万 = 240万円
仮にリフォーム前の市場価格が550万円だとすれば、買取価格の市価比は48〜88%という幅になります。「7割」という固定概念とはずいぶん違ってくるのです。
実務の感覚では「相場の4割〜7割、中心は5割前後」
上記の試算は実務上も「妥当」と思える結果になりました。筆者の経験からは、次のように考えられます。
- 条件がよく競合が多い物件:相場の8割近くになることもある(めったにないです)
- 普通の空き家:相場の5割前後を狙う業者が多い
- 工事負担が重く売れにくい物件:相場の4割台以下も十分あり得る
空き家買取で価格が低くなるのは、業者が買いたたいているからではなく、再販コストから逆算するビジネスだからです。「何割で売れるか」という固定概念より、「この物件にどれだけ工事が必要か」「業者がどこまでリスクを取れるか」を考える方が、現実の価格を読むうえで役に立ちます。
空き家買取で「仲介手数料がかからない」のはお得?
ここで、よくいわれる「買取は仲介手数料がかからないからお得だ」という話も検証しておきましょう。
ここまでの試算で、相場550万円程度の物件が買取だと240~440万円程度になることがわかりました(ただし個別の事例によって大幅に増減あり)。
一方、仲介手数料(上限)は247,500円(税込)~330,000円(税込)です。
表にしておきます。
| 手残り額(単純計算) | |
|---|---|
| 仲介の場合 | 517万円~525万円 |
| 買取の場合 | 240万円~440万円 |
比較すると、仲介手数料がかかったとしても仲介の方が有利です。
古い空き家・ボロ家・訳あり物件でも買取できる理由
では、絶対に業者買取を利用すべきでないのか? 実は、筆者はそこまでは断言しません。ボロ家や手に負えない空き家であれば、業者買取で売却する実益があります。
なぜなら、一般の空き家オーナーが手に負えない物件でも、専門の買取業者はリフォームなどで価値を高め、商品化するノウハウをもっているからです。
たとえば…
- 残置物が多くても独自ルートで産廃業者に持ち込み安価に片付ける
- 小規模な工務店や大工にダイレクトに発注してコストを抑える
- 法令上の制限があっても接道要件などを調査し再建築・活用するノウハウがある
そのような知識や人脈を駆使することで、古い空き家やボロ家でも買取再販することができます。
業者買取にボロ家を売却するということは、いわば「手間とノウハウを買っている」ということになります。
古家売却の完全ガイド

空き家買取の諸費用・税金
| 費用項目 | 目安 |
|---|---|
| 印紙税 | 2,000円〜1万円程度 |
| 抵当権抹消費用 | 1〜2万円程度 |
| 相続登記費用 | 3〜10万円程度(相続物件のみ) |
| 譲渡所得税・住民税 | 売却益×約20〜39%(特例適用で軽減の可能性あり) |
「買取は仲介手数料がかからないから費用ゼロ」と思われがちですが、実はそうではありません。売主が負担する費用は残ります。
①印紙税
売買契約書に貼付する収入印紙代です。通常税額では、買取価格が100万円超500万円以下なら2,000円、500万円超1,000万円以下なら1万円です。なお、不動産譲渡契約書には令和9年3月31日まで軽減措置があり、実際の印紙税額はこれより低くなる場合があります。
②抵当権抹消登記費用
住宅ローンが残っている場合、売却前に金融機関の抵当権を抹消する必要があります。登録免許税(不動産1件につき1,000円)と司法書士への報酬を合わせて、1〜2万円程度が目安です。
③相続登記費用(相続物件の場合)
登記名義が被相続人のままの場合、決済前に相続登記を完了させる必要があります。司法書士費用は物件の固定資産税評価額にもよりますが、3〜10万円程度が多いです。
④譲渡所得税・住民税
売却益(譲渡所得)が生じた場合に課税されます。税率は、所有期間5年超の長期譲渡所得で約20.315%、5年以下の短期譲渡所得で約39.63%が目安です。
ただし、相続した空き家には「3,000万円特別控除の特例」(租税特別措置法第35条第3項)が適用できる場合があります。適用条件を満たせば税負担が大幅に軽減されるため、売却前に税理士へ確認することを強くお勧めします。

空き家を買取に出すメリット

買取のメリットは、正直なところ2つに絞られます。
①現金化が早い
業者との合意後、最短で数週間〜1か月程度で決済できます。仲介では買い手探しからローン審査まで半年以上かかることも珍しくありません。相続税の納付期限が迫っている、共有者と早期に精算したい、といった場面では、このスピードが金銭に換えられない価値を持ちます。
②契約不適合責任を免除できるケースも
買取では、売主の契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)が免除になる条件で契約するケースが一般的です。雨漏り・白アリ被害・給排水の不具合など、古い空き家に潜むリスクを引き渡し後に問われにくくなる点は、売主にとって大きな安心材料です。
ただし、この点は契約書への明記が前提です。口頭確認だけでは効力がありませんので、契約書の「特約条項」を確認してください。
空き家を買取に出すデメリット

デメリットは1つ、ただしそれが決定的です。
売却価格が相当程度低くなる
前述の通り、買取価格は業者が転売コストから逆算して決めるため、仲介での市場価格より大幅に低くなります。
普通の空き家で相場の5割前後、条件が悪ければ4割台になることもあります。「仲介手数料がかからない分だけ得」という話ではなく、手残り額で比べれば仲介のほうが有利なケースがほとんどです。
この価格差を受け入れてなお買取を選ぶ理由があるか……それが判断の軸となります。
「どうしても判断が難しい」という場合は、弊社および提携各社が無料のセカンドオピニオンを提供します。
お問い合わせ(セカンドオピニオン対応)|いえとちラボ
空き家買取が向いているケース

空き家の売却を考えるとき、「仲介と買取のどちらが自分に向いているか」は、状況によって大きく異なります。以下のケースに当てはまる数が多いほど、買取が現実的な選択肢といえます。自分の状況と照らし合わせながら確認してください。
遠方に住んでいて空き家を管理できない場合
→ 買取が向いています。
空き家の放置は、固定資産税の負担、防犯・防火上のリスク、近隣からの苦情といった問題を引き起こします。特定空き家に認定されると、固定資産税の住宅用地特例(最大6分の1に軽減)が外れ、税負担が一気に増える可能性があります(空き家等対策の推進に関する特別措置法)。
遠方に住んでいて定期的に管理できない場合、仲介での売却は内覧対応や物件の維持管理が必要になるため、現実的な負担が大きくなります。買取であれば、基本的に買取業者が内覧・調査をまとめて行い、売主の立ち会い回数を最小限に抑えられるケースが多いです。
建物が古く、仲介では売れにくい場合
→ 買取が向いています。
築年数が古い建物(木造で概ね築30年超など)は、仲介市場では買い手がつきにくい傾向があります。住宅ローンの担保評価が低くなるためです。買取業者は自己資金で現金購入するため、担保評価に縛られず、古い建物でも買取対象になるケースが多くあります。
ただし、古い建物の買取価格は、解体・リフォームコストを差し引いた形で算出されることが多く、市場価格より低くなるのが一般的です。「早く・確実に処分する」ことを優先する場合は、合理的な選択肢といえます。
残置物が多く、片付けが難しい場合
→ 買取が向いています(業者による)。
相続した実家には、家財道具や衣類、仏壇、車など、多くの残置物が残されているケースがあります。残置物の処理は遺族にとって精神的・体力的な負担が大きく、費用も数十万円に上ることがあります。
仲介での売却では、原則として売主が残置物を撤去してから引き渡す必要があります。一方、残置物ごと買取を行う業者も存在します。ただし、対応できる業者とできない業者があるため、査定依頼の際に明確に確認することが必要です。「残置物の撤去費用」が買取価格から差し引かれる形になるのが一般的です。
相続した実家を早く現金化したい場合
→ 買取が向いています。
仲介での売却は、買い手が見つかるまでの期間(平均3〜6か月程度)と、買い手が住宅ローンの審査を経る期間が加わるため、現金化まで半年以上かかるケースも珍しくありません。
買取であれば、業者との合意後、最短で数週間から1〜2か月程度で決済・現金化が可能なケースが多いです。相続税の納付期限(相続開始から10か月以内)に間に合わせたい場合や、他の相続人と早期に精算したい場合には、スピードの面で買取が有利です。
なお、相続税の申告納付に間に合わせるためにやむを得ず低額で売却した場合でも、取得費加算の特例(租税特別措置法第39条)が適用できる場合があります。税理士への相談を検討してください。
近隣トラブルや管理負担を早く止めたい場合
→ 買取が向いています。
空き家の雑草繁茂、害虫・害獣の発生、外壁の崩落リスクなどは、近隣への迷惑につながるだけでなく、行政指導の対象になる場合もあります(空き家特別措置法第22条以降)。こうした問題を早期に解消するには、確実かつ迅速に所有権を手放せる買取が適しています。
仲介の場合、売却まで長引くほど問題が深刻化するリスクがあります。
再建築不可・狭小地・変形地など条件が悪い場合
→ 買取が向いています。
再建築不可物件とは、現在の建築基準法の接道義務(原則として幅員4m以上の道路に2m以上接すること)を満たしていないために、建物を建て替えできない土地のことです(建築基準法第43条)。
このような物件は、住宅ローンの担保に設定できないケースがほとんどで、仲介では一般の買い手がほぼつきません。一方、買取業者は現金購入であるため、再建築不可物件でも買取対象となるケースがあります。ただし、活用方法が限られるため、買取価格はさらに低くなる傾向があります。
狭小地(概ね20坪未満)や変形地も同様で、仲介市場での流通性が低い分、買取を選択する合理性は高くなります。

相続した空き家・ボロ家を買取で売るときの注意点

相続物件の買取には、通常の売却にはない手続きと確認事項が重なります。後になって慌てないよう、事前に整理しておいてください。
①相続登記をすませておく
登記名義が被相続人のままでは、買取業者との売買契約を進めることができません。2024年4月から相続登記が義務化されており(不動産登記法第76条の2)、相続を知った日から3年以内に登記しなければ10万円以下の過料の対象になります。売却を考えているなら、できるだけ早く司法書士に依頼してください。費用は固定資産税評価額によりますが、3〜10万円程度が目安です。
②共有名義の場合は全員の同意が必要
複数の相続人で共有名義になっている場合、全員が売却に同意しなければ契約できません(民法第251条)。1人でも反対すれば売却は止まります。相続人の間で意向を確認し、合意形成を先に済ませておくことが、取引をスムーズに進める前提です。
③3,000万円特別控除の特例に注意する
相続した空き家を売却した場合、一定の条件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります(租税特別措置法第35条第3項)。ただし、建物の耐震基準への適合または解体して更地で売ること、売却期限などの条件が細かく定められており、適用を受けるには事前の準備が必要です。買取業者に売却する場合でも適用できるケースがあるため、売却前に必ず税理士か税務署に確認してください。
④取得費の資料をできる限り集める
譲渡所得の計算には取得費が必要ですが、相続物件では購入時の契約書や領収書が残っていないことが多くあります。資料がない場合は売却価格の5%を取得費とみなす「概算取得費」を使うことになり、税負担が増える可能性があります。古い書類でも、見つかるものはできる限り手元に集めておいてください。
⑤残置物の扱いを業者と書面で確認する
相続した実家には家財・仏壇・衣類など多くの残置物が残るケースがあります。残置物ごと買い取ってくれる業者もいますが、処理費用は買取価格から差し引かれます。「何を撤去し、何を残すか」「費用はいくらか」を口頭ではなく書面で確認することが、後のトラブル防止につながります。
空き家買取業者の選び方

買取業者の良し悪しは、査定額の高低だけでは判断できません。空き家・訳あり物件の買取は、通常の不動産売買より専門性が問われる取引です。以下の6つの判断軸で業者を評価してください。
①空き家や訳あり物件の買取実績があるか
確認すること: 「空き家の買取実績件数」「再建築不可・相続物件の取扱経験」をウェブサイトや担当者に直接確認する。
一般的な不動産業者でも買取は行いますが、空き家・訳あり物件は権利関係や建物状態が複雑なケースが多く、経験の浅い業者では対応できないことがあります。「空き家専門」を掲げる業者や、訳あり物件の買取実績を具体的に示している業者のほうが、こうした物件の対応に慣れているといえます。
実績の開示が極端に少ない業者は、慎重に判断してください。
②査定価格の根拠を具体的に説明してくれるか
確認すること: 「なぜこの価格なのか」を担当者が論理的に説明できるかどうか。
買取価格は業者によって大きく異なります。高い価格を提示された場合も、「なぜその価格が出るのか」の根拠を聞いてください。根拠なく相場より高い価格を提示し、後から値下げ交渉を行う業者(いわゆる「高値つり上げ」)のケースは消費者庁も注意を呼びかけています。
査定の根拠は、周辺の取引事例、リフォーム・解体費用の見積もり、再販時の想定価格などをもとに説明されるのが標準的です。「この価格の理由がわからない」と感じたら、遠慮なく説明を求めてください。
③契約条件や引渡し条件が明確か
確認すること: 買取価格・引渡し時期・残置物の扱い・契約不適合責任の有無について、書面で明示されているか。
買取の場合、売主の契約不適合責任(旧称:瑕疵担保責任)が免除になるケースが一般的です。ただし、これは契約書に明記されている必要があります。口頭での確認だけでは不十分です。
また、引渡し日・残置物の扱い・登記費用の負担者なども、必ず書面で確認してください。明確に示さない業者は避けるべきです。
④残置物・遺品整理・解体相談まで対応できるか
確認すること: 残置物ごとの買取対応ができるか、または遺品整理業者の紹介・手配ができるか。
空き家の売却では、残置物の処分が大きな障害になるケースが多くあります。残置物ごと買い取ってくれる業者もありますが、その場合は処理費用が買取価格から差し引かれます。業者が提携する遺品整理業者の費用相場も確認しておくと判断しやすいです。
解体して更地で売りたい場合の費用見積もり対応なども、業者によって差があります。
⑤相続や権利関係に関する相談体制があるか
確認すること: 相続登記の未了・共有名義・根抵当権の残存など、権利関係が複雑な場合の対応実績や提携専門家(司法書士・税理士)の有無。
相続した空き家の場合、登記名義が被相続人のままになっているケースが多くあります。2024年4月1日から相続登記が義務化されており(法務省・不動産登記法改正)、登記未了のまま売却するには一定の手続きが必要です。こうした手続きに対応できる司法書士と連携している業者のほうが、スムーズに取引を進められます。
共有名義の場合は、共有者全員の同意が売却の前提となります(民法第251条)。こうした権利関係の整理を含めて相談に乗れる業者かどうかも、選定の基準にしてください。
⑥口コミ・評判だけでなく対応の誠実さを確認する
確認すること: 初回の問い合わせ・査定時の対応が誠実か。急かし・脅し・過度なおとし目はないか。
Googleマップのレビューや不動産会社の口コミサイトは参考になりますが、投稿が少ない場合は参考にならないこともあります。より重要なのは、実際に接触したときの担当者の対応です。
「早く決めないと」「この価格は今日限り」などの過度な急かしがある業者は注意が必要です。また、初回の連絡から査定提示までのレスポンスの速さ・丁寧さも、誠実さの一つの指標になります。
空き家買取の流れ

大まかな流れは次の通りです。
査定依頼 → 現地調査・価格提示 → 売買契約 → 書類準備 → 決済・引渡し → 税務確認
仲介と比べると手続きはシンプルで、業者との合意後は最短で数週間〜1か月程度で決済まで進みます。
注意点を3つだけ挙げておきます。
①複数社に査定を依頼する 買取価格は業者によって大きく異なります。1社だけで決めるのは避けてください。
②口頭合意を書面に落とす 残置物の扱い・契約不適合責任の免除条件など、話し合いで決めた内容は必ず契約書に明記してもらってください。
③相続物件は登記を先に済ませる 登記名義が被相続人のままでは契約が進みません。戸籍謄本の収集も含め、時間がかかるため早めに着手してください。
売却の流れをステップごとに詳しく知りたい方は、こちらの解説記事もあわせてご覧ください。

空き家買取でよくある質問

空き家買取に関して、筆者のもとに寄せられることの多い質問をまとめました。結論を先にお伝えし、その後に補足します。
空き家買取の価格はなぜ安くなりやすいのですか?
結論:買取業者が転売・活用を前提としているため、その分のコストが差し引かれます。
買取業者は購入後、リフォーム・解体・権利関係の整理などを行ったうえで転売・活用します。その際のコストとリスク(売れ残りリスク・修繕費の超過など)を見込んで買取価格を設定するため、仲介で売る場合の市場価格より低くなります。
価格が低い理由は業者の「買いたたき」ではなく、転売コストと利益を含んだ事業採算の問題である場合がほとんどです。
ボロ家でもそのまま買い取ってもらえますか?
結論:原則として可能です。ただし、物件の状態によっては価格に大きく影響します。
買取業者は「解体して更地にする」「リノベーションして再販する」「賃貸用に整備する」といった複数の出口を持つため、建物が古くても買取対応できるケースが多くあります。ただし、雨漏りや傾き、白アリ被害など修繕費が大きくかかる場合は、その費用が買取価格からそのまま差し引かれます。
「ボロ家だから売れない」と諦める前に、まず査定を依頼してみることをお勧めします。
家財道具が残ったままでも売れますか?
結論:対応している業者であれば可能です。ただし、処理費用は買取価格に影響します。
残置物ごとの買取に対応している業者は存在しますが、すべての業者が対応しているわけではありません。残置物の量・内容(家電・仏壇・車など)によっては、処理費用が数十万円規模になることもあり、その費用は買取価格から差し引かれます。
査定依頼の際に「残置物がある」ことを明示し、その扱いについて書面で確認しておくことが重要です。
相続登記が終わっていなくても売却できますか?
結論:売買契約の締結は可能な場合がありますが、決済(所有権移転)の前には相続登記の完了が必要です。
所有権の移転登記を行うためには、まず相続登記(相続を原因とする所有権移転登記)が完了している必要があります。そのため、実務的には相続登記を完了させてから、または決済と同日に相続登記を行う形で進めます。
なお、2024年4月1日から相続登記が義務化されており、相続を知った日から3年以内に登記しなければ10万円以下の過料の対象になります(法務省・不動産登記法第76条の2)。放置リスクの観点からも、早期の対応が望まれます。
共有名義の場合は、共有者全員の売却への同意が必要です(民法第251条)。
買取と仲介ではどちらが自分に向いていますか?
結論:「速さ・確実さ・手間の少なさ」を重視するなら買取、「価格の最大化」を重視するなら仲介が向いています。
仲介は買い手を市場で探すため、価格が高くなる可能性がある一方、売れるまでの期間が読めず、内覧対応や物件管理の負担が続きます。買取は価格が低くなりやすい反面、売却の確実性が高く、スピードも早い傾向があります。
「管理が難しい」「早く現金化したい」「建物が古く仲介では難しそう」といった条件が重なる場合は、買取のほうが現実的な選択肢になるケースが多いです。迷う場合は、仲介と買取の両方で査定を取り、価格差と期間を比較したうえで判断してください。
査定だけ依頼して断っても問題ありませんか?
結論:問題ありません。査定は見積もりの依頼であり、法的な拘束力はありません。
査定はあくまで「このくらいの価格で買います」という業者の意思表示です。売主がその価格を承諾して売買契約書に署名するまでは、いかなる義務も発生しません。査定後に「やはり売らないことにした」「他の業者に決めた」と伝えても、問題はありません。
ただし、査定の際に物件の詳細情報(住所・登記内容・権利関係など)を業者に提供する点は留意してください。情報の取り扱いについて不安がある場合は、業者のプライバシーポリシーを事前に確認する習慣をつけてください。

まとめ「空き家買取を選ぶ前に確認したい3つのポイント」

空き家買取は、「早く・確実に手放したい」人にとって魅力的な選択肢です。
ただし、買取価格は市場価格の5割前後が中心で、仲介手数料の節約分を差し引いても、価格の面では仲介が有利となるケースがほとんどです。
この記事でお伝えしてきたことを整理すると、次の3点になります。
- 買取価格は業者の転売コストからの逆算であり、「買いたたき」ではなくビジネス構造の問題です。
- 契約不適合責任の免除、残置物ごとの売却、相続物件への対応など、仲介では難しい条件で取引できる点にはメリットがあります。
- 業者の選定では、査定価格の根拠を口頭で説明してもらえるか、契約条件が書面で明示されるか、この2点が最低限の判断軸になります。
「価格が低くても早く処分したい」「管理を続けるのが限界」「建物が古くて仲介では売れない」
そのいずれかに当てはまるなら、買取専門業者に査定を依頼するところから始めてください。
訳あり物件買取PRO|公式サイト
一方、「できれば相場の価格で売却したい」という場合は、私たちにご相談ください。当社および提携各社が、空き家売却のご相談に対応します。
いきなりの相談は重い、という場合は上記ボタンのリンク先でLINE登録できます。LINEなら匿名で「ざっくり相談」という対応も可能です。お気軽にどうぞ。


コメント