ウクレレのチューニング中に「ヘルツって何?」と思った方は、ひとまず「440Hz」に合わせればOKです。
ウクレレだけで演奏するなら、ソロでも合奏でも440Hz一択です。
では、なぜ439Hzや、442Hzなど、この部分の数字を変える場合があるのでしょうか? そしてこのヘルツとは何でしょうか?
この記事では、より自信を持ってウクレレのチューニングができるように、ウクレレの音を合わせるしくみを解説していきます。
また、ウクレレの基本的なチューニングの仕方については、以下の記事をご覧ください。
他の楽器と合わせるための基準ピッチは440Hz
実はこの「440」などの数値を、基準ピッチ(レファレンスピッチ)といいます。
他の楽器と一緒に演奏する場合に必要となる「統一基準」で、「ラの音を440Hzに合わせよう」という取り決めに基づいて、だいたいは440Hzにしています。
つまり……
「みんながラの音を440Hzにしておけば、音が合うよね」
という取り決めです。
昔はかなりバラバラだった基準ピッチですが、1939年に、国際標準化機構(ISO)でも「ラの音は440Hz」と定められました。
そこで、(一応ですが)ラを440Hzに合わせるようにチューニングしておくと、他の楽器と合わせることができます。
もちろん、複数のウクレレで合奏する時も、全員が基準ピッチを440Hzにしておくことで、きちんと音の高さが合った演奏ができます。
例外もあります。記事後半では、少しマニアックな例外も紹介していきます。
チューナーでヘルツ数を設定する方法は?
上の画面は、チューナーアプリ「ClearTune」のオプション設定。「A4の周波数」ということろが基準ピッチです。
ここにデフォルトで「440」が入力されていますが、もし変更したい場合はこの数字を変えればOKです。
上の写真は、BOSSのアナログ式チューニングメーターですが、画面に「PITCH」と書かれており、その右に「440 441 442….」と数字が並んでいます。
この機種の場合は「PITCH」ボタンを押しながら「UP」「DOWN」ボタンを押すと、基準ピッチが切り替わります。
このようにして、基準となるラの音の周波数(ヘルツ)を設定すればOKです。
もし、ピッチの設定ができないチューナーの場合、もともと440Hzに固定されていますので、何も変更しなくても問題ありません。
ところで「周波数」って何?
ヘルツは周波数を表す単位。そして周波数というのは、波動や振動が、一定時間に何回繰り返されるかを表す数字です。
音も同じく波動ですから、周波数によって音の高さを表します。
周波数と音の高さ
数字が大きくなる | 波の数が多くなる | 高い音になる |
数字が小さくなる | 波の数が少なくなる | 低い音になる |
こういった関係にあります。
オーケストラは442Hzを基準にしているって本当?
ウクレレ講座が人気の古川忠義さんが、動画で「オーケストラでは442Hzが主流」と解説してくれています(YouTubeの古川忠義ちゃんねる)。
プロが考えるチューニングの周波数の正解は?|YouTubeへリンク
実は、オーケストラに欠かせないオーボエという楽器は、音の高さを微調整しにくく、このオーボエの442Hzに合わせることが慣例となっているそうです。
オーケストラに他の楽器が加わる場合も同様で、ピアノ協奏曲などの演奏では、ピアノも442Hzに合わせて調律しなおします。
ウクレレもオケと演奏する時は442Hzに合わせることになりそうですね。
ちなみに、古川先生のウクレレ講座については、以下の記事で詳しく説明しています。
時代による変遷
また、基準ピッチは時代により移り変わってきました。
1939年に国際標準が定められるまで、およそ以下のような変遷をたどっています。
15~16世紀 | ルネサンス期 | 466Hz |
---|---|---|
17~18世紀 | バロック期 | 415Hz |
18世紀 | バロック後期 | 392Hz |
18~19世紀 | 古典派時代 | 435Hz |
1939年 | ロンドン国際会議 | 440Hz |
現在でも例外的なピッチに設定する場合があります。
カラヤンチューニングでは446Hz、ウィーン交響楽団などは444~448Hzに合わせているそうです。
ウクレレの各弦の周波数は何ヘルツ?
あまり意識することはありませんが、「ではウクレレの各弦は何ヘルツに合わせるの?」という点も見ておきましょう。
1弦 | 4A | 440Hz |
---|---|---|
2弦 | 4E | 329.6Hz |
3弦 | 4C | 261.6Hz |
4弦 | 4G | 392Hz |
実は、厳密にいうと、ウクレレの各弦はこんな高さに合わせることになります。
しかし、329.6Hzの「.6Hz」などは、ウクレレで合わせられる精度ではありません。そこで、ウクレレのチューナーは少し手加減しており、だいたい合っていれば「合ってます!」と表示してくれます。
そのさじ加減を自分で設定できるチューナーもあります。
おすすめのチューナーアプリについて、ものすごく詳しく調査・取材した記事もおすすめです。ぜひ読んでみてください。
ヘルツと同時に覚えておきたい単位「セント」とは?
1オクターブを1200に分割した単位をセントといいます。これも、チューナーで目にすることがある単位なので、この際覚えてしまいましょう。
もう少しわかりやすく考えると、半音を100に区切った単位がセント(cent)です。
「ドとド#の間に100メモリある感じ」を想像すると、わかりやすいと思います。
よく見かけるのは、チューナーアプリの精度の設定画面。「何セントずれているところまで、音が合っていることにしますか?」という設定ができるはずです。
筆者はストレートペグのウクレレもよく使うので、ここは5セントに設定しています。
まとめ「チューニング時の『ヘルツ』の意味と合わせ方」
ウクレレのチューナーを操作していて「このヘルツって何?」とか、「440や441のような数字は何?」と思った場合は、とりあえず440Hzに合わせておけばOKと解説しました。
この数字は、「ラの音を440Hzにしましょう」という国際的な取り決めです(ISO標準)。
ウクレレでいえば、1弦のラ(A)の音が440Hzになるようにチューニングします。
ただ、オーケストラでは442Hzとすることも多く、中には他の数値を採用するケースもあります。細かいことをいい始めると、いろいろな例外や、特別なルールなどがあります。
そのため、このヘルツ数を変更できるアプリやクリップチューナーも出回っています。
とはいえ、ウクレレでは440Hz以外に設定することはまずない! と考えていいでしょう。迷ったら440HzでOKです。
参考文献
基準ピッチの歴史(影踏丸)
https://note.com/kagefumimaru/n/n22cc9c00a2dd
「チューニングピッチの変遷」野村成人
https://www.coastaltrading.biz/2010/11/post-304.html