この記事ではウクレレ各部の名称を解説しています。しかし重要なのは「ざっくり、ウクレレはこんな構造かな」と理解しておくことで、細かい名前を覚えることは、それほど重要ではありません。
各部位の大まかな名称や役割が分かっていれば、十分ウクレレ選びがはかどります。
また、ウクレレを選んだら以下の記事も読んでみてください。
ウクレレ各部位の名称と働き・役割
この章ではウクレレを構成するさまざまなパーツについて解説します。まずは音質を大きく左右するボディーから見ていきましょう。
ボディ
ボディは音を鳴らすために重要なパーツです。よく鳴るウクレレを「箱鳴りがする」ということがあります(箱=ボディ)。つまり、箱鳴りがするということは、よく鳴るボディを備えたウクレレだということです。
この後、ボディを構成する各パーツをさらに細かく見ていき、よい音に必要なものを考えます。
トップ(サウンドボード)
ウクレレの表面の板をトップ、またはサウンドボードと呼びます。サウンドボードがウクレレの鳴りを左右する、もっとも重要なパーツです。
サウンドボードに使う木材による音の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
価格も安く安定したウクレレ用の材といえばマホガニーが代表格。結論として、入門用ウクレレはマホガニーを中心に選ぶことになります。
サイド・バック
トップ(サウンドボード)を支えて、ボディを形作る部分がサイドとバック。ギターではスプルーストップにローズウッドのサイド・バックを合わせるのが定番ですが、ウクレレではより自由に木材を選んでいます。
写真はサイド、バックともにコア材のウクレレ。
サウンドホール
一般的には、サウンドボード(トップ)に直径5~6㎝の穴をあけたものをサウンドホールと呼んでいます。中にはサイドにサウンドホールが設けられているウクレレもあります。
弦を弾くことで生まれた振動によってボディー内に共鳴が発生しますが、サウンドホールはこの共鳴をボディーの外に放出するために開けられています。
音量を上げて、音質を整えることがサウンドホールを設ける理由です。
中にはサウンドホールがないモデルもあります。上の写真はカナダのGodin(ゴダン)製ウクレレですが、トップにサウンドホールが設けられていません。
ブリッジとサドル
弦を支えている部分をサドルと呼びます。樹脂でできている場合が多いですが、本来は牛骨などで作っていました。サドルの高さによって弦高が変わるため、弾きやすさに影響します。
サドルを載せている木製のパーツがブリッジです。弦を固定する役割も持っています。ローズウッドなど硬めの木材で作られることが多く、ウクレレの音質にも影響するといわれています。
ネックと指板とフレット
ネックには指で押さえる部分(指板)が貼り付けられています。指板はフィンガーボードまたはフレットボードとも呼ばれます。
フレットは棒状の金属のパーツで、音を区切る役割をもっています。
ナット
先ほど紹介したサドルと同じく、弦を支えるパーツです。ナットとサドルに挟まれた部分が有効な弦長で、ここが音を発生させています。
ナットも最近は樹脂製が多いですが、昔は牛骨などを使っていました。
ポジションマーク
ウクレレの指板上に打たれたマークです。一般的には5フレット、7フレット、10フレットの位置を示しており、これを目印に演奏します。
3フレットの位置にポジションマークが打たれたウクレレもありますし、フレット数が多いモデルでは12フレットや15フレットに打たれている事もあります。
ヘッド
ヘッドはペグ(糸巻き)を支える重要な役割があります。意外と音質にも影響しているといわれています。
また、目立つ部分なのでデザインも重要です。
最近では写真のようなスロテッドヘッドも多くなりました。スロテッドヘッドにするとナットからペグへの角度が大きくなるため、弦のテンションが若干上がります。それによって音質が改善するという説もあります(注1)。
スロテッドヘッドは通常のヘッドより重いので、ウクレレを抱えた時にヘッドが下がってしまう「ヘッド落ち」の原因になります。購入時は通販でなく、楽器店店頭で試奏するほうが確実です。
注1……ジェイク・シマブクロが「ウクレレ アラモード」(シンコーミュージック/2013年8月)のインタビューでこのように語っていました。実際に体感できるほどの差かどうかは難しいところです。
ペグ
ペグはウクレレの弦を巻き取るためのパーツです。
ペグには大きく分けてギヤペグとストレートペグがあります。ストレートペグはフリクションペグともいわれ、名前の通り摩擦力だけで弦を支えています。
それに対しギヤペグはギア式の機構によって弦の張りを支えているため精度が高く、一般的にはこちらがおすすめです。
実験をしてみるとギアペグでも製品によって性能が大きく違っています。極端に安いギヤペグは遊びが大きく、高級なストレートペグの方が高精度です。
ウクレレを買う時のチェックポイント
このサイトでは「最初の1本はマホガニー製のソプラノサイズがいいですよ。フレット数はそこまで気にしなくてOKです。」と解説しています。ここからは、その点について詳しい背景を説明します。
フレットの数と弾ける音
ウクレレのフレットの数は、少ないモデルで12フレット、多いモデルで18フレット前後です。音程で比べると、音4つ分くらいの差になります。
フレット数は多い方がいいのですが、12フレットのウクレレでも、オクターブ上のラまで弾けるので、たいていの曲はカバーできます。
15フレット以上ほしくなるのは、少し難しいソロを弾く時。なので、とりあえず最初の1本では、フレットの数はそこまで気にしなくても大丈夫です。
ウクレレの木材と音の違い
初心者向けの価格帯(3万円以下くらい)でラインナップされているウクレレの場合、マホガニー、スプルースなどが中心です。
木材による違いを詳しく知りたい方は、以下の記事も参照してみてください。
ウクレレのサイズによる音の違い
ウクレレのサイズによる音質の違いは小さいです。なので「コンサートの方が音がいいよ」といわれても、ぜんぜん気にする必要はありません。
これについては音響測定しているので、わりと自信を持って断言できるのですが、コンサートやテナーサイズだから低音がよく出ているということはありませんでした。
低音部(左側)についてはほとんど差がなく、どのサイズのウクレレも同じ程度に低音の成分が出ています。高音部についてはむしろテナーサイズが一番出ています。
「ソプラノは高音が得意で、テナーは低音が得意」という事はありませんでした。
高音や低音の出方はサイズだけで決まらず、木材や各工場の設計など、さまざまな要因によって変わってくるようです。
ウクレレ選びの参考記事
この記事はウクレレの各部名称をテーマとしているため、ウクレレの選び方についてはそれほど突っ込んだ解説をしていません。
ウクレレ選びについてもう少し考えたい方は、ぜひ以下の記事も読んでみてください。
参考文献
「A Guitar Maker's Manual」(Jim Williams)1986年 Hal Leonard Publishing Corporation