エレキウクレレをおすすめする理由
- 音が出ない静かなウクレレで練習したい。
- ライブで使いたい。
①の場合は1万円以下でもなんとかなります。
②の場合は一概に言えず「どんな会場で、どんなライブをするのか?」によってさまざまな選択肢が考えられますが、予算は2~4万円くらいでかなりいいものが買えます。
この記事ではエレキウクレレをざっくり2タイプに分け、それぞれの特徴や演奏ジャンル、向いているライブの条件について考えていきます。
特に今狙い目なのは、モデル末期で激安となっているVOX VUP33-Cシリーズ!
ここからは、へたくそながら各種ライブで使用した筆者の経験を踏まえ、エレキウクレレ選びのお手伝いをしていきましょう。
ざっくり2タイプに分けられるエレキウクレレ
エレキウクレレを大きく2つに分けると、上の写真のように、
- 中が空洞(ホロウボディ)のエレアコタイプ
- ボディ内に空洞がないソリッドボディ
に分けることができます。
それぞれの特徴や、向き・不向きを把握すると「エレキウクレレ選びのポイント」が見えてきます。
ホロウボディ(エレアコタイプ)ならしっかり予算を取りたい
ホロウボディのエレアコタイプ・ウクレレは、例外もありますが、ベースは普通のウクレレです。そのため、ピックアップとアンプで音を大きくすることで、ウクレレ本来の性能の良し悪しがはっきりわかってしまいます。
そこでエレアコタイプを選ぶ場合はしっかり予算を取り、アコースティック楽器としてもちゃんとした音が鳴るものを選んでください。
現在コスパ最強のエレアコウクレレ
今のおすすめを1つあげるとしたらVOXのVUP-33-Cです。日本が誇る弦楽器ファクトリー"フジゲン"製といわれており、比較的低価格なのに完成度が高い楽器です。
現在価格が安くなっており(2023年5月7日現在Amazonで32890円)製造中止になる予兆を感じます。必要な場合は早めに押さえておきましょう。VUP-33-Cシリーズについて、詳しくは記事後半で紹介しています。
ソリッドボディの場合は2万円代から
ソリッドボディというのは、エレキギターのようにボディー内が空洞ではなく木材が詰まっているタイプです。
ソリッドボディの場合「値段による音の違いがあまりないな」と感じるので、まずは2~3万円くらいのもので十分でしょう。
もちろんさらにハイレベルな演奏をめざすなら別かもしれません。
でも普通は2万円台でいいんじゃないかな……と思います。PIGNOSE PGU-200MHなら、2万円台前半で手に入ります。
とりあえずこのウクレレで大丈夫です。
どんなライブを予定しているかによって選ぶべき楽器が変わる?
実は、カフェなど小さな会場でのライブなら外付けピックアップやマイクで音を拾えば十分です。大きな会場だったり、ちゃんと音を作り込みたい場合に、初めてエレキウクレレが必要になります。
特に何組も出演するイベントで持ち時間が限られているような場合は、ピックアップを内蔵したエレキウクレレでないと不便です。
カフェなど小さな会場なら外付けピックアップで十分
プロのベーシストでウクレレも弾く知人(注)が小さな会場で演奏するとき、普通のウクレレにピエゾピックアップを貼り付けて使っています。
SUPER BUTTER DOG、サニーデイ・サービス、くるりのようにアコースティックな楽曲を、カフェなど小さな会場で演奏するならエレキウクレレを買う必要はないかもしれません。
まずは1000~2000円くらいの外付けピックアップで演奏してみて、より本格的なライブをめざす時にエレキウクレレを検討してみてはどうでしょう?
ただし、こういったタイプのピエゾピックアップはプリアンプを内蔵していないので、別途用意する必要があります。
注……九州在住のベーシストつとむくん。キリンジなどアコースティックなサウンドを好み、スムースな演奏が持ち味です。
ちょっとしたホールでのライブ
筆者はなみのおと音楽教室の発表会でバッキングを依頼されたとき、2万円くらいのVOX ELEUKU(ソリッドボディ)を持っていきました。
その時の会場は100名くらいの小ホール。編成はボーカリスト(プロ)、エレクトーン(プロ)、ドラム(セミプロ)、ピアノ(生徒)、そして筆者(素人)でしたが、とりあえず大丈夫でした。
ドラムやベースが入ったロック系の楽曲を演奏する場合は、ソリッドボディの安いウクレレでいけます。
比較的大編成のアコースティックライブ
少し大きな会場で演奏する場合は、音づくり面でもセッティングのラクさでも、ソリッドボディのエレキウクレレまたは、ピックアップ内蔵のエレアコモデル(ホロウボディ)を選ぶのがおすすめです。
セッティングでバタバタしてしまうので、外付けピックアップを取り付けてプリアンプに通して……という手間が間違いの元になったりするからです。
最安はFenderのグレース・ヴァンダーウォールモデル(2万円台後半)で、歌の伴奏なら十分いけると思います。それ以上の楽器なら、なお心強いでしょう。
しっかり音を録って動画などを作る場合
筆者のようなゆるレレなら、どんなウクレレでも大丈夫です。しかし、YouTubeなどにしっかり演奏したソロ動画を上げるような場合は、エレアコタイプのちょっといいウクレレを選んだ方がいいでしょう。
もしくは、手持ちのウクレレを生かして、良質なコンデンサマイクを買うという手もあります。
どちらにしても
- 生音がちゃんとしたウクレレを選び
- そのウクレレの音を内蔵ピックアップまたはコンデンサマイクで拾う
……という手順になります。
おすすめマイクを1本だけあげるとしたら、名門AKG(アーカーゲー)の低価格モデルP120でしょう。ヘッドホンとマイクを中心とする音響機器メーカーAKG製で、「AKGがこの値段で買えるのは驚異的」といわれた製品です。
また、ホロウボディのエレアコモデルを選ぶなら少し下に掲載しているおすすめモデルをチェックしてみてください。
おすすめエレキウクレレ「ソリッドボディ編」
上の動画は、価格が約2万円のエレキウクレレと、4万円のエレキウクレレを比較したもの。ウクレレボディ以外は同じ条件です2万円のウクレレの方が音の大きさも音質もいいと感じられます。
今回比較した機種
VOX VEU-55C | 約4万円 | Made in Japan |
VOX VEU-33C | 約2万円 | Made in China |
このように、ソリッドボディのエレキウクレレの場合、価格が2倍になっても音の差につながらないことがわかります。
筆者は2万円の方ばっかり使っています。
そこで、最初から高いのを狙うのではなく「とりあえず買うなら2万円台のやつで!」という買い方をおすすめします。
サイレントウクレレとして使うだけならPLAYTECH PUK502
一人暮らしのアパートで音を出しづらいから、サイレントウクレレが欲しい! という場合は、1万円でおつりがくるPLATECHにしておきましょう。練習には十分です。
ただ、アンプにつないで弾くとしたら若干不安な面も。あくまでも練習用で、ライブ向きではないと考えておいた方がいいでしょう。
PLAYTECHはサウンドハウス以外で買うと妙に高かったりするので、注意してください。
ちょっとしたライブでバッキングするならPIGNOSE PGU-200MH
価格は2万円台前半。通常はこれで十分です。
普通にソリッドボディのエレキウクレレを探している人は、もうこれでいきましょう。アンプを通して音を出すなら、音の違いはエフェクターでなんともなりますし、そもそもこのウクレレで十分レベルの音が出ます。
また、アンプにつながなくても内蔵のスピーカーで音が出せるのも便利です。
よく口コミで「思ったより重かった」と書かれていますが、むしろその重さがいい点です。重い分安定しており、コードチェンジを多用するコンピングでの安定性が爆上がりします。
ギターよりぜんぜん軽いので、慣れればまったく問題なしです。
「近所のカフェでライブに挑戦したい」「友達にバッキングを頼まれた」という場合、これで本当に十分です。ただし、このクラスだと個体差が心配なので、できれば楽天に出品する大手楽器店で購入してください。
本格的にロックをやるならFlightウクレレRock Series
Flightは、2014年にスロベニアで設立されたウクレレブランド。自社企画かつ中国生産なので比較的低価格で個性的な製品をリリースしています。
Rock Seriesはテナーサイズの本格的なエレキウクレレ。ウクレレの演奏方法そのままでロックギターのサウンドが出せるという製品です。弦はエレキギターと同じニッケル弦で、ギターと同じチューニングにすると4弦ギターとして、ウクレレのチューニングにするとLow-Gのエレキウクレレとして使用可能。
ギターのプレイヤーにもウクレレのプレイヤーにも使えるという、かなりおいしいポジションの楽器です。そこそこ本気でロックをやりたいなら、これになるでしょう。
ただし、本当に本当のマジなロックを演奏するなら、ギターに持ち替えるべきでしょう。
普段はふつうにウクレレを弾きながら、たまにロックもやりたい人に最適な楽器です。
メイドイン北海道のクワイアンElevocco
クワイアン(Quiam)のウクレレは北海道産のエゾマツにこだわり、スルーネック構造とするなど独特な楽器です。
筆者としては独特すぎてクワイアンをおすすめできないのですが、エレキウクレレのElevoccoについては別。北海道産エゾマツ単板を削り出したワンピース構造という豪快なウクレレですが、歪みが少なく技術力の高さを感じます。
とくにギターから持ち替える人には、ネックの感触を含めて違和感なく弾けます。
ただしピックアップがパッシブタイプなので、ライブで使う場合は別途プリアンプを用意してください。
クワイアンElevoccoのソプラノが超かわいいですが、個性強すぎなのでコンサートサイズが無難です。
でも、かなり気になるウクレレなので一応ご紹介しておきます。なんと5フレットしかないローポジション専用機です。
3万円以下で厳選!おすすめのウクレレ用アンプ
エレキウクレレを買ったら揃えておきたいのが、アンプとシールド(ケーブル)。ここでは3万円以下でおすすめのアンプをピックアップしています。
筆者が使ったことがあるアンプのなかから、個性が違うベスト3モデルを選びました。
Roland MOBILE AC Acoustic Guitar Amplifier ローランド アコギアンプ
(写真用意する
糸満ウクレレ部のバンドマスター"C"さんが使用している、小型で持ち運びできるアンプです。電池駆動も可能で、ウクレレ、マイク、AUXをミックスして出力可能。すごく小さいのに、ミニ路上ライブなどはこれ一台でこなします。
かなり長い間販売され続けている定番モデルなので信頼性も高く、出力5Wと思えないパワフルなサウンドに定評があります。
とりあえずアンプを! という場合もおすすめです。
場所を取らないコンパクトサイズなのに、予想外にいい音が出て驚きます。
Roland Cube Monitor 30W CM-30
筆者が使用しているアンプで、アコギ用ではなくモニターアンプですが、問題なく使用できます。キーボードなど、他の楽器を出力する可能性がある人におすすめです。
入力は3チャンネルあり、小編成のバンドならこれだけで対応できる可能性も。また、2台のCM-30をつないでステレオ出力する機能もあります。
このアンプも、長く販売され続けている定番モデルです。なみのおと音楽教室のキーボードやエレクトーン(D-DECK)につなぐこともあります。
ヤマハ THR5A
10年以上前から販売され続けているヤマハの定番アコギ用アンプ。出力は10Wですが、コンプレッサー、コーラス、ディレイなどのエフェクトも搭載し、これ1台で小さな会場のライブもこなせてしまいます。
搭載エフェクト重視なら、ここで紹介したアンプの中でベストチョイスでしょう。
シールドケーブルも1本用意しておきましょう
アンプとウクレレをつなぐシールドケーブルも必要です。お手頃価格でそこそこちゃんとしているシールドを探しているなら、VOXがお手頃。
筆者も長年使用しているのですが、やや細めで、くるっと丸めるとウクレレケースのポケットなどに収納しやすく、持ち出しやすい点もおすすめです。
シールドは用途によって長さなども違ってくるので、とりあえず練習用にこの商品を用意しておき、必要になったら長いものを探すのがいいと思います。
おすすめエレキウクレレ「ホロウボディ編」
ホロウボディのセミアコタイプは、ウクレレ本来の性能がそもそものベースとなります。ウクレレが出す音をピックアップで拾い、アンプで増幅するため、そのウクレレの生音がよくないとどうにもならないからです。
そこで、ソリッドボディのエレキウクレレに比べて、ホロウボディのエレアコタイプは予算を多めに確保する必要があります。
アンプに通せば必ずいい音で鳴るFUS-TC改
日本が誇る弦楽器ファクトリー「フジゲン」のスタンダードシリーズFUS-TC(コンサートサイズ)はピックアップを内蔵していません。しかし、実は工場でFIVE-O(ファイブオー)のアンダーサドル・ピックアップを取り付けてもらえます。
フジゲンの音に突き抜けた個性はないのですが、「失敗がない」という抜群の安心感があります。
工場で取り付けてもらったピックアップも「アンプに通せば何もしなくてもいい音がしている」という安心感が最大の特徴。めんどくさいことを考えず、フジゲンお任せにしておけば失敗することはありません。
筆者はFUS-TC購入後にフジゲンにメールで相談し、工場でピックアップを取り付けてもらいました。念のため、購入前にフジゲンに問合せをしておけばさらに安心です。
急げばまだ3万円台で手に入る! VOX VUP-33-C
英国の老舗ブランドVOXが時々メイド・イン・ジャパンのウクレレを販売しますが、VUP-33もそのひとつ。販売周期的にはそろそろ終了モデルとなりそうで、価格も安くなっています。
ちなみにヘッドストックやボディの形から「フジゲンで作ってるでしょ!」と噂されているモデルで、うちのFUS-TCと同じ形のヘッドストック。どう見てもフジゲンです。
本来アンプ屋さんであるVOXが作っているので内蔵プリアンプも信頼性が高く、これが4万円以下で買えるなら即買いでしょ! というレベルです。
VUP-33にはソプラノとコンサートサイズがありますが、断然コンサートサイズを推します。型番にVUP-33-C??と、「C」が付くモデルがコンサートサイズで、??の部分は木材を表します。
材はブラックリンバ、オリーブウォルナット、スプルースで、メーカーサイトに明記されていませんが大手楽器店では「単板」と記載。音はかなりいいです。
モデル末期にありがちですが、7万円台(本来の価格)で販売している楽器店と、3万円台で販売している楽器店があります。絶対3万円台で買ってください。筆者の予想では近々ソールドアウトしてしまい、ソプラノサイズのハローキティーモデルのみが在庫する事態になるはずです。狙っている人は急ぎましょう。
Fenderのグレース・ヴァンダーウォールモデル
Fender Grace Vanderwaal Signature Ukeは、14歳で衝撃のデビューを果たしたグレース・ヴァンダーウォールのシグネチャーモデル。弾き語りの伴奏におすすめです。
グレース自身、シンガーソングライターとしてウクレレで伴奏しながら歌うスタイルで、彼女に近いスタイルの演奏にハマる楽器です。ソロ弾きに適した音ではなく、ヴォーカルを引き立てる優しいサウンドが特徴。音は明るいだけでなく、やや重めのトーンを含んでいます。
Fenderのシグネチャーモデルなのに3万円以下という安さもポイントです。
ただし、Fenderの安いラインは個体差が大きいので、できるだけ楽天に出店している大手楽器店で購入してください。何かあったとき、Amazonだとめんどくさいことになりがちです。
1台あってもじゃまにならないEnya Nova U Acoustic Plus
筆者もEnya Nova Uをやたらと弾いていますが、タフでどこにでも持って行けて、思いのほか弾きやすいウクレレです。
薄いボディーなので、最初はどうかな? と心配でしたが、なぜかしっかりホールドできてしまいます。
カーボンファイバーなどの樹脂でできているので「音は大丈夫かな?」とも思っていましたが、弾いてみたら「確かに木の音ではないが、違和感もない」という感じでした。
強いていえば、ソリッドボディとホロウボディーの中間的な音がします。ある意味、オールマイティーな感じかもしれません。
ピックアップ搭載モデルのAcoustic Plusならアンプにも通せますし、普段使いに弾き倒すのにもぴったり。「念のため、エレキウクレレを1本持っておきたい」という場合に重宝するウクレレです。
Amazonまたは楽天のEnya公式ストアがおすすめです。他のショップだと、定価より高く売られている場合があるので注意してください。
歌ってソロも弾きたい人はFenderのダーニ・ハリスンモデル
ダーニ・ハリスンは、あのジョージ・ハリスン(The Beatles)の長男。ロックミュージシャンでもありプロデューサーとしても活躍しています。
そんなダーニは幼少期をハワイで過ごしており、ウクレレに触れる機会も多かったようです(ちなみにジョージもウクレレ好きで知られていました)。
ダーニのシグネチャーモデルはFenderのラインナップの中では非常にきれいに作られた楽器で、トップにはオバンコールの単板を使用しています。
オバンコールはローズウッドに似た木目が美しい木材で、おそらくその木目を生かすためにトランス系のブルーに塗装されています。
やや太めのネックでソロも弾きやすいですが、音はそれほどシャープではありません。やさしく丸みのある音で、バッキングもソロもいけるという絶妙なライン。さまざまなジャンルやスタイルで弾きたい場合に向いている楽器です。
デザインがOKなら買いのEnya EUT Feather Acoustic Plus
Enya EUT Featherはコスパ抜群なのですが、正直デザインが微妙なのです。音はいいですし弾きやすいのですが、アジア的な個性が強すぎるデザインに「これはウクレレにあうのか?」と思ってしまい、筆者は買えません。
でもいい楽器です。
「和」を含めたアジアンな音楽を演奏する場合などは、かなりいいと思います。
まとめとイチオシモデル2機種
ここまでの話をざっくりまとめると、
- 静かに弾きたいだけなら1万円以下のPLAYTECH
- ちょっとエレキウクレレが欲しい人はPIGNOSE PGU-200MH
- 楽器としての完成度を求めるならVOX VUP-33-Cシリーズ
このあたりがベストチョイス。特にVOX VUP-33はソプラノもコンサートサイズも、おそらくはウワサ通りフジゲン製で、2023年現在モデル末期となっており激安価格で放出されがちです。
今買わずしていつ買う!?
というくらい、現在買いの気配が高まっています。「昔買った初心者モデルをまだ使っている」という人は、何をさておいても、これを買っておきましょう。