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ウクレレの音量はおよそ84dB。マンションやアパートで弾く方法は?

今回ウクレレ7本の音量を測定してみて「ウクレレは意外とうるさい」ということがわかりました

また、ウクレレの音量はジャカソロでも普通のソロでも、ピーク時の大きさはほぼ同じです。複数回演奏して平均をとると、ウクレレのサウンドボードから1.5mの場所で測定して84dBくらいになります。

ピークの音は?

1.5m離れた場所で測定したウクレレの音量
コード弾き(ジャカソロ)約84dB
普通のソロ約84dB
静かなソロ約75db
エレキウクレレのコード弾き約67dB
エレキウクレレの静かなソロ約57db

このデータを元に、マンションやアパートで気兼ねなくウクレレを弾く方法を検討していきます。

ウクレレの重さ、重さと音質の関係については別記事で検証・解説しています。

ウクレレの音量は常に80dB強と考えるべき

ウクレレの音量調査時の機材セッティング
ウクレレから1.5m先に騒音計を設置

今回の実験では、まず最初にジャカソロを弾いた時の音量を測定しました。平均すると83.87dBでした。

ウクレレのサウンドボードから1.5mの距離で測定しています。以下の表には30cmの超至近距離で測定したデータも併記しました。

実際のデータを見ると以下のように、ウクレレのサイズや木材による違いは少ないことがわかります。

メーカーサイズトップの材30cm離れた時1.5m離れた時
Lehoソプラノスプルース単板Martinフロロ86.8dB83.1dB
85.9dB82.4dB
88dB81.7dB
Lehoコンサートスプルース単板Martinフロロ88.5dB84.7dB
88dB83.3dB
86.5dB84.1dB
KALAソプラノマホガニー合板Aquilaナイルガット90.2dB86.6dB
89.6dB85dB
89.9dB84.5dB
KALAソプラノジリコテ合板Aquilaナイルガット88.1dB84.5dB
88dB83.1dB
88.1dB83.5dB
Fujigenコンサートコア単板Martinフロロ88.9dB84.5dB
90.6dB83.1dB
90.2dB83.5dB
MANAソプラノコア単板ナイロン弦90.8dB83.9dB
91.8dB84.4dB
89.9dB83.5dB

問題は、ジャカソロよりも静かめなソロを弾いた場合でも、ピーク時の音量に限れば80dB以上出ていたことです。

フィンガーピッキングスタイルの静かめの曲(オリジナルアレンジの「Spanish Fanadngo」)を弾いた場合でも、ピーク時には平均83.4dBの数値が出てしまいました。

メーカーサイズトップの材楽曲1.5m離れた時
KALAソプラノマホガニーAquilaナイルガットSpanish Fandango81.9dB
85.1dB
83.2dB

ウクレレのソロには、どうしても4弦すべてを同時に鳴らす奏法が必要なので、その時にピークの音量が出てしまうようです。

そこで、同時に4弦を弾くことがない非常に静かな曲(「きよしこの夜」)を弾いてみると、ピークの音量は平均約75dBになりました。

メーカーサイズトップの材楽曲1.5m離れた時
KALAソプラノジリコテAquilaナイルガットきよしこの夜72.8dB
75.5dB
76.9dB

結論として「非常に気をつかうと75dBくらいに押さえられる」とはいえますが、実際には「きよしこの夜」ばかり弾いているわけにもいいません。なんとか対策を考える必要があります。

この実験で弾いてみた楽曲については、記事末尾に楽譜を掲載しています。

ウクレレの最大音量はゲームセンター店内に匹敵

今回の実験では、ウクレレを普通の強さでコード弾きまたはソロ弾きした場合、1.5m離れた場所でピーク時に平均83.87dBの音が出ていることがわかりました。

これは、ゲームセンターの店内に匹敵する音量です。

ピアノと比べてマイナス15dBくらい。ドアを閉め切った隣の部屋でピアノを弾いているのと、同程度の音量といえます。測定してみると、イメージよりも大きな音が鳴っていることに驚かされました。

場合によってはウクレレの練習場所を確保したり、音量を下げる消音装置の検討が必要になりそうです。

マンションやアパートでウクレレを弾く方法は?

まず83.87dBあったウクレレの音量を、どこまで下げれば周囲に迷惑にならないのかを確認しておく必要があります。

上の図大阪府が後悔している、騒音レベルのめやす(赤文字はコードを弾いた時の音量)です。

夜間の住宅街で演奏する場合は、外に漏れる音を35~40dBに押さえないと苦情がきそうですが、そのためにはウクレレの最大音量を40dBくらい下げる必要があります。

住宅の造りによって音の伝わり方が違うため、慎重に考えていきましょう。

どこまで音を押さえれば、マンションやアパートで気兼ねせずにウクレレの練習ができるでしょうか?

テレビの音を基準にするとわかりやすい!

アパートなどでウクレレの音漏れを判定するとしたら、テレビの音と比較するのがわかりやすいでしょう。

音響機器メーカーDENONのサイトには次のように書かれています。

通常のテレビ、ラジオの視聴で60デシベル程度、テレビ、ラジオの大音量で70デシベルぐらい。

DENNON公式ブログ

静かめな音で聞いていてもCMでは音圧があがりますし、歌番組などのピーク時にはかなり音量が上がります。およそ+10dBほど出ていると考えると、以下の基準に合わせてウクレレの消音を考えると合理的です。

普段の騒音レベルピーク時の騒音レベル
通常のテレビ視聴60dB70dB

そこで、次のように判断しましょう。

  1. お隣のテレビの音がたまに聞こえてくる程度なら、ウクレレの音(ピーク)を70dB前後に抑える方法を考えればOK
  2. お隣のテレビの音が常に漏れてくるアパートでは、ピーク時の音を60dBに抑えたい

相手のテレビの音がたまにしか聞こえないなら、こちらの音も70dBに抑える作戦で対応できる可能性大。そこで、ウクレレの出音を70dB程度に抑える方法を考えます。

ポイント

平均84dB程度のウクレレの音を70dBに抑えるなら、およそマイナス15dB。60dBに抑えるとしたら、およそマイナス25dBの防音を計画する必要があります。

たった100円で10dBほど防音する方法があるので、まずはそこから試していきましょう。

弱音器は市販品より100均グッズが優秀(市販品不要!)

これは100円ショップで買える髪留め(4個入り)に軍手の指の部分を切ってはめただけの弱音器ですが、実験の結果、ウクレレの出音を平均して11dB落とせることがわかりました。市販品よりもはるかに優秀です。

これをつけておけば84dBくらいのウクレレの音を、およそ73dbに下げることができるので、かなりいい感じになります。

テレビの音が漏れてこない、構造しっかりめのマンション・アパートなら、100均グッズ+やや控えめに演奏する……くらいで大丈夫そうです。

市販品で落とせたのは3dB程度

念のため、市販のウクレレ用消音器もテストしてみました。市販品も100均で自作したものとあまり構造が変わりませんが、弦を抑える部分が樹脂製のチューブになっています。

そのため、平均して3dBほどしか音を小さくできませんでした。

軍手の指に比べて樹脂製チューブの方がウクレレの音がきれいに出ますが、その分性能が犠牲になっており「ちょっと中途半端かな…」と感じます。

市販品でもスポンジで挟むタイプの物はある程度期待できますが、今のところ軍手が最強です。

結論として鉄筋コンクリート造なら100均消音器でOK

最後にまとめ検証として、Famous FS-1を使って各消音器の性能を測ってみました。FS-1はいいウクレレなのですが、音は小さめで77.5dBです。これを、どの程度落とせるか見てみましょう。

何もつけない状態、市販の弱音器、クリップ式の弱音器(100均グッズ)をつけた状態で3回ずつ「クレイジーG」を演奏し、ピークの音量を測りました。その平均を比較すると、上のグラフのようになります。

この実験にはFamous FS-1を使いました。コード演奏時、サウンドボードから1.5mの場所で音量を測っています。

ある程度しっかりした分譲マンションであれば、このあたりの消音器をテストしつつ、お隣の方に「音は聞こえませんか?」と尋ねてみれば大丈夫でしょう。

テレビの音が漏れるアパートの場合は要注意

隣のテレビの音が漏れてくる部屋の場合、こちらのウクレレの演奏は、テレビの音より14dB程度大きな音量で向こうに漏れているはずです。

常識的なテレビの最大音量70dB
ウクレレの最大音量84dB

目標としては、テレビとウクレレの差である14dBと、今漏れてきているテレビの音を足した数値をクリアすればなんとかなりそうです。

隣から漏れてくるテレビの音がどれくらいかはケースバイケースですが、ざっくり10dBとしておけば対策できるでしょう。

つまり、24dB(キリがいいところで25dB)の騒音対策を考えます。

しかし、クリップタイプの弱音器では10dB強しか下げられないため、どうしても完全に防音することはできません。この場合は、以下の2つの対策が有効です。

  1. エレキウクレレを利用(予算2万円~)
  2. 組み立て式防音ルーム(予算20万円くらい)

いずれの方法でも25dB以上落とすことができます。

予算2万円。エレキウクレレを実測!

今回の実験では、同条件でエレキウクレレの音量も測定してみました(アンプにつながない生音)。いずれもVOXのエレキウクレレでジャカソロを弾いた時の音量を、1.5m離れた場所で測定しています(2機種測定)。

メーカー機種名トップの材1.5m離れた時
VOXVEU-3CマホガニーGHSナイロン68dB
68.9dB
67.7dB
VOXVEU-55CマホガニーGHSナイロン66.1dB
67.6dB
67.1dB

この表のように、平均測定値は67.6dBとなり、かなり音量を抑えることができました(データの上で、普通のウクレレに対してマイナス16.27dB)。

これなら音漏れが気になるアパートでも昼間の練習は何とかなりそうですし、夜間はクリップタイプの弱音器をつければ理論上26dBダウンが可能です。

エレキウクレレにクリップタイプの弱音器をつけると、周囲の雑音に紛れて計測不能レベルまで音を落とすことができます。

ゆるレレ
ゆるレレ
エレキウクレレは安くてもいいモデルが存在します。

エレキウクレレでちゃんと弾けるモデルは、だいたい2万円くらいから入手可能です。アパートで弾くなら、エレキウクレレが最も安価な騒音対策になるでしょう。

また、エレキウクレレは高ければいいわけではない、という点を検証した記事もおすすめです。以下の記事では「2万円くらいのエレキウクレレでも、通常は十分ではないか?」という点を検証しました。

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とはいえ、できれば違和感のないウクレレの音で練習したい場合もあります。

簡易防音ルームは予算20万円くらい~

上記のような防音ルームを室内に設置することで、ウクレレの音を25dB低減することが可能です。普段のウクレレで、いつも通り練習したい場合、これが解決策になるでしょう。

テレビが音漏れするアパートでもウクレレを弾けますね。

ただ、簡易防音ルームは数万円から数百万円と、かなり値段に幅があり、前提知識がないと選べません。

そこで実物を確認して検証したところでは、だいたい20万円くらいの製品から、20dB以上低減する性能があるようです。

価格帯製品例取扱防音効果
約8万円~だんぼっち神田産業非公表
約10万円~Light Room石橋楽器Dr-15
約14万円~OTODASU島村楽器Dr-15
約20万円~おてがるーむぴあリビングDr-20
20万円台後半VERY-Q宮地楽器非公開

Drというのは500MHzの音をどれくらい低減できるかという数値です。

この表を見ると、実売価格10万円台のOTODASUやLight Roomでは、Dr-15と少し心配な数値です。

実際にOTODASUなどの内部に入って遮音効果を確認してみても「あまり音が小さくなっていないな」と感じました。

期待通りの効果を発揮してくれるとしたら、20万円台のおてがるーむやVERY-Q(ベリーク)以上になるでしょう。いずれもDr-20程度の性能を備えています(VERY-Qは非公式なデータ)。

また、メーカーが公表する調査結果では-25dB前後の効果があるとされています。

そこで、防音ブースを購入する場合は、予算20万円以上を確保する必要があります。

必要な性能を備えた商品としては最安クラス

Dr値は公称されていないが性能は高め

隣のテレビの音が漏れてくる賃貸アパートの場合、こういった防音ブースで対策することが可能です。

でもちょっと高いなぁ。

と思ってメルカリをチェックすると、VERY-Qの中古は時々出ているようです。半額以下で買えるかもしれません。

送料や引き取りの手間を考えても、価格的にはおトクになりそうです。

期待できる防音効果

おてがるーむ単体-20dB
おてがるーむ+100均消音器-30dB

日中はおてがるーむ単体で、夜間音漏れが気になる場合は消音器を付けて……という対応であれば、よほどのことがない限り大丈夫でしょう。

一般に低音域の防音は難しいとされていますが、ウクレレには低音域がありません。そこで、メーカー公称値を信用しても問題はないでしょう。

音楽教室のレンタルブースという手もあり

20万円を超えるお金を出すのは難しい……という場合は、音楽教室のレンタルスペース・レンタルブースを借りるという手があります。曜日や時間帯にもよりますが、30分あたり数百円程度出せば、音を気にせず弾ける環境で練習することができます。

例えば山野楽器の料金は次の通りです(30分あたりの価格)。

利用人数一般料金会員料金
個人利用1名のみ550円(税込)330円(税込)
グループ利用2名以上5名まで1,100円(税込)660円(税込)

「集中して練習したい」「うまくなりたい」という場合には、こういったレンタルスペースを借りてみるのも手です。

音楽教室の中には、生徒以外にブース・スタジオを貸し出さないところも多いようです。

参考までに、全国展開している音楽教室(ウクレレのクラスもあるもの)をあげておきます。

ちなみに「防音カーテンで音を小さくできないかな?」という点は、なみのおと音楽教室で実験済みです。防音カーテンでは楽器の音をほとんど防音することができず、意味がないという結論に達しています。

学術論文でも、防音カーテンの効果は1~5dB程度とされています。そう考えると、防音カーテンは生活音をちょっと低減して環境を改善するアイテムだといえるでしょう。楽器の防音は無理です。

まとめと使用楽曲の楽譜(PDF)ダウンロード

ウクレレは音量が控えめな楽器ですが、それでも平均84dBとゲームセンター店内並の音量が出てしまいます。

この記事では、テレビの音を基準に「ウクレレの音がお隣にどれくらい漏れるの?」という判断をする方法と、100円ショップの材料でできる消音器を紹介しました。

ただし、音は高さによって防音のしやすさが異なります。一般に高音は対策しやすく、低音は難しいため、日本建築学会の目安であるDr値(500MHzでの防音性能)を利用します。

もしこの記事で紹介した内容よりも確実な防音対策を考える場合、以下の組み立て式防音ブースを試してみてください。

コスパでおすすめできる防音ブース

防音専門店のピアリビングが製造・販売しているので、同種商品の中では安定した防音性能を発揮します。ウクレレの音をおよそ25dBほど低減してくれます。

ここからはテストで使った楽曲の楽譜を紹介します!

ジャカソロでは、オリジナルアレンジの「クレイジーG」の前半を演奏しました。全力で弾いたわけではなく、普段弾くくらいのボリュームで演奏しています。

「クレイジーG」楽譜ダウンロード(PDF)

ソロ弾きのテストでは、オリジナルアレンジの「Spanish Fandango」を演奏しました。ところどころコードを弾くため、ピーク時の音量は「クレイジーG」とあまり変わりませんでした。

「Spanish Fandango」楽譜ダウンロード(PDF)

静かなソロ弾きのテストでは、「きよしこの夜」を演奏しました。

「きよしこの夜」楽譜ダウンロード(PDF)

「クレイジーG」は今回のテスト用の省略バージョン、「Spanish Fandango」は以前「初心者が半年で弾ける曲」というテーマでアレンジした物です。「きよしこの夜」は、なみのおと音楽教室アレンジです。

「クレイジーG」の別バージョンの楽譜は、以下の記事でダウンロードできます。

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