広告 ウクレレ初心者

ギターからウクレレへ。持ち替えるとき思い出してほしい3つの話

ターが弾けるあなたがウクレレに持ち替えると、拍子抜けするほどあっさり弾けてしまうはずです。

その日のうちに、それなりのソロ曲も弾けるかもしれません。

しかし、そこで安心してしまうと、少なくとも3年は損をします

ギターの弾き方でウクレレを弾くのは簡単ですが、やがて壁にぶつかり、そのままでは越えることができません。

なぜなら、ウクレレはギターと違う発想で弾く楽器だからです。

この記事では、ギタリストに知ってもらいたい3つのポイントについて、個人的な意見をまとめました。遙かに遠回りをしてきた元ギタリストからの伝言と思って、ぜひ読んでみてください。

もしあなたがギター未経験者なら「ウクレレを独学する方法と教材の選び方」という記事からスタートすることをおすすめします。

Point1ウクレレに持ち替えて最初につまづくのは右手

たとえば勝誠二さんの「アヴェ・マリア」。後半の高速トレモロをどうやって弾いているか、僕が気づくまでに何年もかかりました。

ギタリストなら全員、右手親指から薬指にかけてp・i・m・aの記号を振り、その指を使って弾きますよね。しかし、それではあの高速トレモロは非常に難しいです。

実は動画(2:56あたりから)をよく見ると勝さんは親指、人さし指、中指の3本だけでピッキングしています。ただ、普通の人は指3本にしてもこのスピードについていくのは困難です。

そこで、指2本(親指と人さし指だけ)でピッキングしてみると、かなり楽に弾けるようになりました。

ギターの固定概念をいったん忘れてしまい、ウクレレらしい自由な発想でピッキングしないと、弾ききれない曲がたくさんあります。

ギターでもスリーフィンガーピッキングは存在しますし、エリザベス・コットンのようにツーフィンガーでピッキングするスタイルも存在しています。

ハワイアンはなぜ右手をパーにして弾くか?

ジェイク・シマブクロはあまりやらないのですが、ウクレレ・アンダーグラウンドのオルドリン・ゲレロやニール・チンなど、ハワイアンのウクレレ奏者は、手を「パー」の形にしてピッキングします。

長年その理由がわからなかったのですが、試しに自分もやってみてようやく理解できました。

肘を支点にストロークするギターと違い、ウクレレは手首の回転でストロークします。そのため、ピッキングが安定せず、音の粒が揃わないという弱点があります。

ところが、手をパーにして親指ピッキングをすると、音の粒が揃うのです!

その理由はおそらく、手をパーにすることで手の振りが重くなり、重くなることによって慣性の法則でストロークが安定するからではないか?

今のところそのように推測しています。

Point2左手も柔軟な思考が必要に…

とある方がアレンジした「12番街のラグ」のソロ譜どうしても弾けずに、長年悩んだことがあります。

ギターの発想で普通に弾くと、絶対について行けないコード進行だったからです。

しかし、発想を変えると、意外と簡単に弾けてしまうことに気付きました(これも1年くらい悩みました)。

ちょっと説明が難しいので、ここは動画で解説します。

左手のこんな運指、ギターではあり得ないじゃないですか。しかし、ウクレレではこういう弾き方は意外とあります。

ギターの発想を捨て、ウクレレの自由な運指に慣れないと、越えられない壁にかならず突き当たります。

ゆるレレ
ゆるレレ
もし「この楽譜難しすぎじゃない?」と思ったら、発想をゆるーく切り替えてください。

そうすれば弾けるケースもたくさんあります。とはいえ、自力だと思いつくまでにずいぶん時間がかかります。

ゆるレレ
ゆるレレ
では、ギタリストがぶつかる壁はピンポイント。そこで、単発のワークショップで疑問を解決するのがおすすめです。

ギタリストに教室レッスンはたぶん不要

ヒューマンアカデミーの今井先生

そこそこギターが弾ける人なら、おそらくウクレレの教室に通うのはムダが多いと思います。そもそも、ウクレレ教室の先生はギターの片手間に教えている人が多く、そういう人に教わるなら、独学でもあんまり変わらない気がします。

それより、ウクレレが専門だったり、ウクレレの奏法をしっかり研究している先生が教えてくれるワークショップがおすすめです。

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今井先生が主宰する「東京ウクレレオーケストラ」に参加してみるのも楽しそうですよ。

Point3ギターブランドのウクレレに飛びつかない

最後に、ギター弾きのあなたにぜひとも伝えておくべきことがあります。

「Ovationは買うべからず」

「Fenderも買うとがっかりするよ(注1)」

ということです。

ギター弾きはどうしてもなじみのあるギターメーカーの楽器が気になります。

僕もご多分に漏れず、最初の1本にはApplause by OvationのUA-20-Hを買いました。

これ、どう見てもアダマスじゃないですか。しかもたったの2万円です。ギター弾きなら買わずにいられないですよね。しかし、いざ弾いてみると、サウンド的にどちらかというとおもちゃです。

次に僕が買ったのはFenderのテナーウクレレでした。買ってしばらくして、見事にブリッジが剥離しました(注1)。

最近でこそよくなってきましたが、ギターメーカーがこぞってウクレレを作り始めた頃、かなり残念な楽器がたくさん生み出されました。

とはいえFujigenやAsturiasはすごいクオリティーなので、ギターメーカーが全部だめというわけではありません。また、Fenderはここ最近でクオリティーを大きく上げています。

印象的なのはヤイリギターで、K.Yairi初のウクレレは全然鳴らない残念な楽器でした(つくりはしっかりしていました)。それから約10年を経て、非常にバランスのいい、すぐれた楽器をラインナップするようになっています。その点は、以下の記事で紹介しています。

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ギターメーカーの場合、技術力はあるので、本気を出せばいい物を作れるはず。いつ本気を出すかの問題かもしれません。

試奏の結果、法則を発見

けっこうたくさんのウクレレを弾いてみて気づいたことがあります(気になるウクレレを片っ端から試奏しました)。

ギターメーカーのウクレレで「いい」と思える楽器は、ギターと同じくらいの価格帯のヤツ。

……という法則です。

すなわち、3万円以下で狙うなら、ウクレレ専業メーカー(もしくはウクレレ発祥のメーカー)が狙い目と考えると、わりと無難にウクレレを選べます。

今だったら、KALA、Leho、aNuenue、enyaなどがコスパにすぐれており、国産であればFamousの一部が3万円以下で狙えます。

逆にどうしてもギターメーカーがいい場合は、最低5万円、できれば10万円前後は出したいです。

僕が実際に持っているウクレレで、テッパンおすすめをあげると次の通り。

KALA KA-ZCT

見た目はさえない黒いウクレレですが、店頭で何気なく試奏してやられました。

ジリコテという変わった材を使っていますが、音はソリッドな感じで謎の圧力があります。ただし1弦の鳴りがよくないため、ソロよりコードを弾くのに向いています。

たぶんオール合板だと思いますし安いウクレレなのですが、かなりおすすめです。

↑ソプラノはそろそろディスコンのようなので、上記リンクでコンサートサイズ以上がヒットしてしまうかもしれません。しかし僕のおすすめはソプラノです。この値段であれば買ってよかったと感じました。

FUJIGEN FUS-TC

ギターブランドであればフジゲンかAsturiasがおすすめです(注2)。僕が持っているFUJIGEN FUS-TCはオールハワイアンコア単板で、そのわりにお手ごろ価格です。

よくコアのウクレレはからっとした明るい音といわれますが、FUS-TCはそんな感じでもありません。スプルースに似た、シャープなサウンドが印象に残ります。

よーく聴くとスプルースより明るい感じがしますが、ハワイの風は……感じません。

ネックが少し太めで握りやすく、とくにギターと頻繁に持ち替える人におすすめします。1弦がよく鳴ってくれるので、ジャカソロが弾きやすい点も気に入っています。

注2……他にもいいメーカーはあると思うのですが、弾いたことがないので評価できず……。

VOX ELEUKU

5~10年くらい前に登場し、一瞬で消えていったモデルです。メイド・イン・ジャパンの高いヤツと、中国製造の安いヤツがあるのですが、おすすめは安い方です。うちには2本ともあるのですが、なぜかチャイナの方が弾きやすく、そっちばかり使います。

ハイコードでのカッティングを含めた、ギターっぽいコンピングがしたいとき抜群に弾きやすく「小さいギター」的なニュアンスで使えます。

弊社のなみのおと音楽教室では、生徒さんの発表会にプロのシンガーをお招きしたりしているのですが、上の写真はその時バッキングでVOX ELEUKUを弾いているところ。

ナイロン弦との相性がいいので、運良く中古で見つけた人は、ぜひGHSの黒いヤツとかを張ってあげてください。

VOXは安いけどいいですよ

Pignoseも似たような感じ

↑参考までに今も販売されているPignoseのエレキウクレレ。こちらは保証の限りではないので、店頭で弾いてみてください。どちらかというとELEUKUの中古をメルカリで買う方が安心かもしれません(たまに出品されています)。

ゆるレレ
ゆるレレ
ここまで読んだあなたは「オマエは結局ギターメーカーのウクレレ好きなんじゃねーか!」と思ったかもしれません。すみません。率直にいってその通りです。

最後に「ギタリストにウクレレをおすすめする理由」

ウクレレの魅力を伝える時、いつも聴いてもらっているのがグレース・ヴァンダーウォールの「Moonlight」です。

イントロからアウトロまで、ウクレレがずーっと曲の高音部を担当し、この楽曲のニュアンスを作り出しています。シリアスな歌詞が続く中、ずっと、どこか高いところからかすかな光が見えている感じですね。

実はこの曲をギターでカバーしている人はたくさんいますが、ギターだともっとずっと深いところへ落とされるような雰囲気になります。

やっぱりウクレレでは弾けないサウンドがありますし、その逆にウクレレでしか出せないニュアンスがあります。

よかったらギターの横に1本ウクレレを常備して、曲にあわせて使い分けてあげてください。ちょっとリハモする時なども、めちゃめちゃ便利です。

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↑ウクレレを買ったらこの記事で楽譜を探すと、1日中弾いていられます。

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