結論からいうと今回の樹脂レレ対決は、Lava Uのほうが見た目はいいですが、弾きやすさではNova Uがおすすめです。音はどちらがいいとも言いきれないレベルでした。
安いし弾きやすい
また、現在の樹脂ウクレレのサウンドは十分合格レベル。木製ウクレレとは確かに違いますが、美しく聴きやすい音です。
というわけで、樹脂レレの頂点を決めるべくテストしてみた、Lava UとNova Uの弾き比べレビュー。まず普通の木のクレレと樹脂レレの違いを調べるところからスタートしました。
サウンドチェック/樹脂ウクレレの音色は木製とどう違う?
まず最初に、木製のウクレレと樹脂製のウクレレ、その音色の違いを探りました。耳で聴いた印象では、樹脂製のLava Uはすっきりと美しいサウンドですが、木製ウクレレの暖かみは表現できていないと感じます。
そこで、データを測定し、比較してみることにしました。
まず、Spectroidというアプリで、LehoのFish(木製ウクレレ)とLava Uのサスティーンの長さを見ていきます。
サスティーンの長さは木製も樹脂製もほぼ互角
ちょっと聴いただけだと「サスティーン長いかも」と思えてしまうLava Uの音色。木製ウクレレのLeho Fishとデータで比較してみました。
ところが、FishとLava Uをデータで比べると、サスティーンの長さはほぼ互角でした。上の図の一番長い2本の線が、FishとLava Uのド(C)の音です。
耳で聴いた印象だけだとLava Uはサスティーンが長めに思えてしまうのですが、おそらくそれは音質によるものです。実際には、とくに残響が長いわけではありませんでした。
今回比較したLeho Fishは、ピンカドという少し変わった木材をトップに使っています(単板)。スプルースに比べるとややサスティーン(残響)は短めです。
Lava Uは音量がやや小さい
1回目 | 78.7dB |
2回目 | 78.8dB |
3回目 | 80.0dB |
平均 | 79.2dB |
Lava Uの音量を3回測定し、平均すると約80dB弱でした。なみのおと音楽教室にあるウクレレの平均は84dBなので、音はやや小さめです。ただし、5dBの差は、耳でハッキリわかるほど大きなものではありません。
また、かなり性能のいいピックアップを内蔵しているので、アンプに通せばまったく問題はありません。
そのほかのウクレレの実験結果は以下の記事で公表しています。
音量の測定は、騒音計から1.5m離れた場所でジェイク・シマブクロ風のGrazy Gを弾き、ピークの音量をとっています。
倍音の出方の比較(木レレvs樹脂レレ)
木製のFishは倍音の出方が複雑で、倍音以外の雑音も混じっていました。これはほかの木製ウクレレでも同じです。
一方、Lava Uは雑音がやや少なく、倍音のみがすっきりと出ているのが特徴です。また、木製のレホはいびつな形で高音部にかけて音量が低下していきますが、Lava Uはきれいに落ちています。
そこから、Lava Uは透明感のある音が出る反面木製ウクレレのような暖かみには欠ける、という結果につながっているようです。
ただし、Lava Uの音が悪い音というわけではなく、聴き比べた場合の傾向にすぎません。「このすっきり感がいい」という人もいるはずです。
樹脂ウクレレ同士!Lava UとNova Uのサウンドは似ている
Lava UとNova Uという樹脂ウクレレ同士を比較すると、音の傾向は似ています。
耳で聴いても、同じようにすっきりした雑音のないサウンドですし、音声スペクトラムを比較しても、やはり雑音が少なく倍音のみが出ているという傾向があります。
またNova UもLava U同様に音が小さめのウクレレなので、サウンド的には、ほとんどいい勝負だと考えてよさそうです。
見た目と演奏性の比較/Lava U vs Nova U
演奏性の面においては、Lava UとNova Uを比較してみると、かなり違っています。サウンド面では互角でも、ここで差がついてくるでしょう。
Lava Uのディテールをチェック!美しい造形ですが…
Lava Uは工業デザイン的によくできており、全体に丸いシェイプで一体感があります。また、ロゴやボタンのデザインもかわいく、デザイン的な配慮はバッチリだと感じます。
チューニングペグのできもよく、また、見た目もオリジナリティのあるデザインです。
全体的に「持つ喜び」が感じられる製品です。ただし、後で述べるように抱えにくく弾きにくいです。
Nova Uのディテールをチェック!少し雑です
Nova Uも特別悪いデザインではありませんが、Lava Uと比べてしまうと野暮ったい感じです。
チューニングペグにも高級感はなく、どちらかというとややチープな見た目。全体的に、見た目よりも実用性を重視している感じがします。
しかし実際に演奏するとNova Uが弾きやすい
両方を自腹で購入してみて、ある程度弾きこんだ結論ですが、弾きやすさはEnya Nova Uが上です。
Lava Uの演奏性
ころっと丸く美しいデザインが逆に足を引っ張り、ホールドしにくいという大きな問題があります。
がんばってホールドしていると、力が入りすぎて肩が凝ってしまいます。
また、ストラップがないと弾きにくく、しかも専用ストラップしか使えないのもマイナスポイントです。
Nova Uの演奏性
見た目は野暮ったいものの、実用性の高い楽器で、ホールドがしやすく、弾きやすいのがNova Uのメリットです。
普通のストラップが使えますし、そもそもNova Uを買うとストラップも付属しています。また、ストラップなしでも、かなり弾きやすいウクレレです。
毎日練習することを考えると、Nova Uの方が良い選択肢かもしれません。また、価格的にもLava Uの方が高いので、Nova Uはコストパフォーマンスの面でも魅力的な選択肢になるでしょう。
Nova Uについて、詳しくは以下の記事を参照してください。
まとめ「Lava UとNova Uの実力は互角」ですが…
この記事ではLava UとNova Uを比較しました。結論としてはNova Uのほうがおすすめですが、それとは別にもうひとつ感じたことがあります。
ウクレレは木製じゃなくてもアリ!
もちろん木製にしか出せない音がありますが、気軽に外に持ち出したり、毎日の練習に使うなら樹脂レレも十分ありです。
とくにNova Uは筆者のお気に入りです。半年くらい弦を張りっぱなしにしてゆるめていませんが、ネックが曲がってくる気配もありません。
タフで、そこそこの音がして、音程が正確というのが樹脂レレの強みです。
こんな人におすすめ
- 外でも気軽に弾けるタフなウクレレがほしい
- いつも手元に置いておいてすぐ弾けるウクレレがほしい
そういった場合は、ぜひ樹脂レレを検討してください。