ウクレレ用アンプの予算は1~2万円がボリュームゾーン。この記事では4万円以下のおすすめ機種をリストアップしました。
実は現在、ウクレレ専用でしっかりした製品はVOXのUKULELE 50しか見当たりません。
ウクレレ専用ならコレ
とはいえ出力や機能、デザインは選びたいので、主にギター用のアンプを流用することになります。その際、エレキギター用は避けて、アコースティックギター用アンプを選んでください。
安くて評判もいいアコギアンプとしてはJOYO MA-10Aがあげられます。
値段で選ぶならコレ
ここからは、具体的なウクレレ用アンプの選び方と、おすすめ機種を紹介します。
Flightウクレレなど特殊な機種では、エレキギター用アンプが適している場合もあります。また、エレキウクレレについては別記事で紹介しています。
使い道と出力で選ぶ間違いのないウクレレアンプ
ギター・ウクレレアンプの出力の目安は、観客1人あたり3Wといわれます。観客50人の会場なら150Wのアンプが必要ということですが、実際にはそれより少し小さなアンプでも問題ない場合がほとんどです。
演奏会場と出力の関係を表にすると、おおよそ以下のようになります。
使い道 | 出力 |
---|---|
自宅練習用 | ~15W |
小規模ライブ(カフェなど) | ~30W |
ホール(市民会館小ホールなど) | ~100W |
野外フェス | 500~1000W |
ごくごく普通に考えると、自分で用意するなら最大で30~40Wあれば十分です。それ以上の機材が必要になったら、会場でレンタルするのが確実でしょう。
大規模な演奏会になると、アンプだけでなく、PAのコンソールやマイクなど、さまざまな機材が必要になります。どちらにしてもレンタルを利用することになるので、アンプも借りてしまうのが得策です。
ウクレレ専用か、汎用かでも選び方が変わる
予算が許すなら、一般論としてはウクレレ専用のVOX UKULELE 50がベストチョイス。値段も2万円台と決して高くはありませんし、ボーカルアンプも兼用できてしまいます。
弾き語りならこれ1台で十分こなせる点が、最大の魅力です。
ただ、もっと小さいモデルや、逆に大出力のモデルが必要になる場合、アコースティックギター用のアンプを流用するか、小型PAシステムを選択することになります。
ギターアンプを選ぶ場合は、エレキギター・ベース用アンプを避けて、アコースティックギター用アンプを選んでください。エレキギター用では音に違和感が残ったり、ノイズが乗ったりしてしまいます。
また、PA(パワードアンプなど)を使用する場合は、DI(ダイレクト・インジェクション・ボックス)が必要になる場合があります。
ウクレレ専用アンプとしては、もう1機種、G-boxという製品ががあるようです。しかし、一般的な店舗で販売されておらず、詳細がわからないため掲載していません。
価格で選ぶなら1万円前後~
この記事では、高くても5万円までというコンセプトで機種選定を行っています。2~3万円くらい出せば、音もよく信頼性が高い機材が手に入ります。
安い物で実用に耐えるのは、だいたい1万円くらいから。低価格帯でおすすめなのはJOYO MA-10AとBlackstar FLY3です。いずれも1万円前後かそれ以下で購入でき、性能的にも十分なポテンシャルを備えています。
ウクレレ用アンプのおすすめランキング【BEST12】
ここまでの記事内容を踏まえた上で、
- 製品としておすすめできる
- 普通のウクレレ奏者にとって使い勝手がいい
- できれば1台ですべてまかなえる汎用性がほしい
といった点も考慮して、おすすめランキングを決定しました。
1位:VOX UKULELE 50
今のところウクレレ専用アンプとしては唯一無二の存在。ウクレレの音域にあわせて設計されているため、ウクレレサウンドをウクレレらしく鳴らすことができます。アンプの名門ブランドVOXが投入してきただけあって、使い勝手もよく、これ一台でマイクを使った弾き語りもできます。
不安材料は、VOXの製品サイクルがかなり短いこと。気がついたら製造中止になっていることが多々あるので、その点は要注意です。
出力は余裕があり、小規模なライブなら十分すぎるパワーです。
2位:ROLAND モバイルキューブ
ローランドが10年以上販売を続けているロングセラーで、コンパクトなボディーから想像できないパワフルな音を出してくれます。楽器+マイク2系統の入力を備え、1人のライブならこれで十分。また、単3電池で最大15時間の連続駆動が可能です。
弱点は、さすがに設計が古くなってきていること。スマホとBluetooth接続する機能などはなく(AUXからは入力可)、2.5W+2.5Wという出力の低さも弱点です。
3位:JOYO MA-10A
安いです。しかも見た目がかわいく、ギター用のストラップで肩にかけることができるアイデアにも感心しました。JOYOはチープなアンプを安く販売しているブランドで、あまりいい印象がありませんでしたが、このMA-10シリーズは優秀。すっかり見る目が変わりました。
ちなみにMA-10シリーズはギターアンプ、ベースアンプ、そしてこのアコギ用アンプ(MA-10A)の3種類あり、どれもおすすめ。海外での評価も高い製品です。
4位:YAMAHA THR5 A
ヤマハの超定番アコギアンプ。名前がよく似たTHR5というモデルもありますが、末尾にAとついている方を選んでください。サウンドのよさやエフェクトの豊富さは評判通りの高水準です。 USBインターフェイス機能、バッテリー駆動など、今欲しい機能をしっかり盛り込んでいるのも特徴。チューナーも内蔵しています。
ウクレレだけでなくギターも弾く人は、この製品がベストチョイスでしょう。
5位:Flight TINY6
独創的なウクレレを作るスロベニアのメーカーFlight ukuleleが販売する、ミニウクレレアンプ。筆箱より一回り大きい程度のボディに、Bluetooth接続機能を内蔵。スマホを接続してBGMを流しながら演奏することができます。カラーはメイプルとウォルナットの2種類あります。
出力は3W+3Wとそこそこのスペックですが、実際に聴くとちょっと頼りない感じなのが難点です。パッシブタイプのピックアップを使う場合は、プリアンプを用意した方がいいかもしれません。
6位:Blackstar FLY3
安くて小さくてコンパクトで、アコースティックサウンドをしっかり表現してくれるおすすめのアンプ。アコギ用ですが、ウクレレでも違和感なく使えます。また、出力は3Wしかありませんが、実際に聴くと意外にパワフル。もし音量が不足している時は、FLY103(別売)を接続するとステレオ6Wにパワーアップします。
大きな会場はムリですが、こぢんまりした会場でのライブなら十分対応可能です。ただし、弾き語りの場合は別途マイク用のアンプが必要になります。
Blackstar FLY 3専用拡張スピーカー FLY 103|販売サイトへ
7位:Roland Cube Monitor CM-30
ローランド定番のモニタースピーカーで、ウクレレのみならず、幅広い楽器に使えます。なみのおと音楽教室では、ウクレレ、エレクトーン(D-Deck)、ウクレレベース、キーボードなど、さまざまな楽器の出力に使用。島村楽器では電子ドラムとセット販売しているので、打楽器系もいけます。入力は3チャンネル+AUXと豊富で、小編成のバンドならこれ1台で対応できます。
非常に息の長いロングセラーモデルですが機能的にはやや古く、Bluetooth接続などには対応していません。
しかし、個人的にはそれでも絶対手放せないアンプのひとつです。ウクレレを直刺ししても大丈夫です。
8位:SAMSON EXPEDITION ESCAPE PLUS
SAMSONは、1980年代にワイヤレスマイクシステムを開発し、現在ではプロオーディオ製品で世界をリードするメーカー。マイクのほかPAやキャビネット、ヘッドホンなどを販売しています。スマホなどで知られるサムスンとはまったく別の会社です。
本機は充電式の小型PAで、片手で軽々持てるのに75Wの大出力。XLR/フォン・コンボ×1、フォン×1、ステレオミニ×1と多彩な入力端子を備え、Bluetooth接続も可能です。アンプというよりPAシステムですが、多機能で値段もお手頃な点がメリットです。
9位:FENDER ACOUSTASONIC 40
Fenderのアコースティックギター用アンプシリーズの40Wモデル。アコギ(ウクレレ)用の端子に加えて、マイク用のXLR端子を備えており、これ一台で弾き語りできます。いかにもFenderらしい伝統のルックスに加え、ビルトインコーラスエフェクトやイコライザーも備えており、ワンマンであればこれだけでライブが完結します。
10位:YAMAHA MS101-4
ヤマハのポータブルモニタースピーカー。本来はレコーディングや制作の現場で使われる製品ですが、30Wのアンプを内蔵しており、楽器をつないで出力することも可能です。フラットな音響性能なので、ウクレレで違和感なく使えるのもメリットです。
場合によっては楽器の音にノイズが乗るので、別途インターフェイスが必要になるかもしれません。しかし、そこを踏まえてもお買い得感があり、悪くないアンプだと思います。
11位:LANEY LA10
1960年代に真空管アンプで世界的に名を馳せた、イギリスのブランドLANEY。10Wと小出力・小型のアンプで、エフェクトなどは搭載せず、ごくごくシンプルな機能に絞っています。
自宅で練習メインに使用し、たまに持ち出してバンド演奏するといった場合は、このモデルでも対応できそうです。ライバルは、ランキング3位のJOYO MA-10Aです。
12位:BEHRINGER B205D EUROLIVE
安さが魅力のBEHRINGER製品ですが、使ってみるとしっかりしています。150W・3チャンネルのポータブルPA(パワードスピーカー)で、かなり大きな会場でもOK。筆者は糸満ウクレレ部時代に別のコンソールを経由して接続することが多かったのですが、ウクレレ直刺しでも使用できました。
ただし、直刺しだと無音時に若干のノイズが乗るため、できればDI(ダイレクト・インジェクション・ボックス)などを経由して接続したほうがいいでしょう。
まとめとアンプ以外に揃えたいもの
ここまで見てきたように、ウクレレアンプは主に出力と会場の広さの兼ね合いで選びます。普通の人が必要になるとしたら、小さな会場で使える50Wくらいまでのモデル。自宅練習専用であれば、5~15Wで十分です。
今のところベストといえるのは、唯一のウクレレ専用アンプVOX UKULELE 50。ウクレレ専用に設計されており、出力も50Wとほどよい大きさです。
迷ったらコレ
それ以外のアンプを探すとしたら、アコースティックギター用のアンプから、希望する出力のモデルを選ぶのが一般的です。
自宅練習で使える、安くてかわいいモデルなら、JOYO MA-10Aがおすすめでしょう。
予算で選ぶならコレ
また、アンプだけでは音を鳴らすことができないので、同時に買っておくべきアイテムもあります。
- シールドケーブル
- プリアンプ
- エフェクター
このあたりは、どうしても必要になってくるアイテム。とくに、楽器とアンプをつなぐケーブル(シールドケーブル)がないと、音を出すことができません。
シールドケーブルのおすすめブランド・モデル
筆者はギター用のシールドを使っており、なみのおと音楽教室ののりこ先生はヤマハのスピーカーケーブルを使っていますが、いずれも問題なく使えています。
安くておすすめのブランドは、CANARE、Ibanez、Fenderなど。ブランドイメージを考えるとFenderがお買い得でしょう。
パッシブタイプのピックアップならプリアンプも必要
最初からピックアップ(マイク)を内蔵しているウクレレの場合、プリアンプという装置が内蔵されており、少し音を増幅してから出力してくれることが一般的。しかし、後付けの場合は「パッシブタイプ」といって、音を増幅しないことが大半です。
このように、音を拾うだけで増幅しないウクレレの場合、楽器とアンプの間にプリアンプという装置をセットします。
実はプリアンプがなくてもアンプの音は鳴るので、アンプの出力に余裕があれば問題ないかもしれません。ただ、他の楽器に比べて音が出ない場合はプリアンプを用意してください。選ぶとすればウクレレ専用か、アコギ用になります。
ウクレレ専用のプリアンプは数が少なく、ちょっと高いです。
アコギ用であればBOSS製であっても上記モデルより安く、BEHRINGER(ベリンガー)なら半額以下で買えます。
エフェクターは必要に迫られた時に揃えればOK
ライブ時によく使われるのは、コンプレッサーやリバーブ。コンプレッサーで音の粒を揃えつつ軽くリバーブをかけると、がらりと音が変わります。
しかし、リバーブを内蔵したアンプもありますし、コンプレッサーが必要かどうかはケースバイケース。そこで、この記事ではおすすめをあげていません。
また、エフェクターについてはかなり奥が深いので、別記事でまとめる予定です。