不動産一括査定サイトは、いまや不動産売却の入口として広く使われています。
一方で、宅建業の実務に近い立場から見ると、この市場には以前から違和感を覚える部分もあります。
私は約10年にわたり不動産会社を経営してきました。現在は、あらためて宅建業免許の申請準備も進めています。そうした実務経験から見ると、不動産一括査定サイトの仕組みには以前から違和感がありました。
一括査定サイトは、宅建業者ではないIT企業などが売却査定の集客に深く関わる構造です。この仕組みでは、査定件数を増やしたい一括査定サイト側と、売却意思の低い見込み客への対応コストを負担する宅建業者側とで、利害が一致しない場面があります。実務感覚としては、市場の一部に過度な訴求も見られ、やや荒れた印象を持っていました。
そこで私は、利用者満足度はそれほど高くないのではないかと考え、アンケートを実施しました。しかし結果は予想と異なり、満足度は全体として高めの傾向を示しました。もちろん、これは一般利用者による回答であり、実務のプロの評価そのものではありません。それでも、現場感覚と利用者評価にギャップが見られたことは、今回の調査で特に興味深かった点です。
本稿では、2024年から2025年にかけてアップライト合同会社が実施した2回のアンケート結果をもとに、不動産一括査定サイトの利用実態を整理します。宅建業者にとっては、市場理解や見込み客対応を考える材料として、一般ユーザーにとっては、サイト選びや使い方を考える材料として読んでいただければと思います。
調査概要

調査の目的
今回の調査の目的は、不動産一括査定サイトの利用者が、実際にどのような理由でサイトを選び、どの点に満足し、どの点に不満を持ったのかを把握することにありました。
不動産一括査定市場については、広告面や送客構造について議論されることはあっても、利用者が実際にどう感じているかは見えにくい部分があります。そこで本稿では、利用者の声を整理し、宅建業者・一般ユーザーの双方にとって参考になる実態把握を目指しました。
調査の実施時期と件数

アップライト合同会社では、2024年から2025年にかけて、不動産一括査定サイト利用者へのアンケートを2回実施しました。
本稿で主要集計の対象としたのは、以下の300件です。
- 2024年実施分:200件
- 2025年実施分:100件
- 合計:300件
確認したファイル上では、2024年分のExcel内に別シートで9件の補足記載もありました。ただし、その9件が主集計に含まれるのか、後追い追加なのかはファイル上だけでは断定できません。そのため、本稿の主要な数値整理では、位置づけが明確な200件と100件を基礎データとしています。
調査項目
今回のアンケートで確認できた主な項目は以下の通りです。
- 年齢
- 利用した不動産一括査定サイト
- 売却した不動産の種類
- 利用満足度
- 利用サイトを選んだ理由
- 利用してみた感想
定量項目と自由記述項目の両方があるため、本稿では数値傾向と記述傾向の双方から整理しています。
調査結果の読み方と注意点
本調査は、アップライト合同会社が実施した自社アンケートです。したがって、市場全体を無作為抽出で代表する調査ではありません。
また、2回の調査は設問の骨格は近いものの、完全に同一形式ではありません。特に2025年調査では、利用サイト欄に複数記入が含まれており、サイト別満足度を厳密に横並び比較するには向かない面があります。
したがって、本稿で強く言えるのは、利用者が何を重視し、何に満足し、何に不満を感じたかという傾向です。逆に、サイト別の厳密な優劣順位までは断定できません。この点を前提に読み進めていただければと思います。
アンケート全体から見えた結論
結論1 利用満足度は全体として高めだった
まず最も印象的だったのは、利用満足度が全体として高めだったことです。
2024年調査では、5点満点中4または5を付けた回答が157件ありました。
2025年調査では、同じく4または5を付けた回答が90件ありました。
この結果だけを見ると、不動産一括査定サイトは、少なくとも一般利用者の体感としては、強い不満ばかりを生んでいるサービスではないと考えられます。
結論2 利用者が最も評価していたのは比較のしやすさだった
自由記述を確認すると、利用者が最も価値を感じていたのは、複数社を一度に比較できることでした。
相場感をつかみやすい、各社の違いが見える、1社ずつ問い合わせる手間を省けるといった反応が多く、一括査定の本質的な価値は「比較の入口」であることが改めて見えてきました。
結論3 サイト選びでは安心感や知名度も重視されていた
利用サイトを選んだ理由としては、比較のしやすさだけでなく、知名度、大手運営への安心感、口コミ評価、入力しやすさなども多く見られました。
不動産売却は高額取引です。したがって、利用者は単に便利そうだからという理由だけでなく、「安心して個人情報を入力できるか」「信頼できそうか」という心理面も重視しているとみられます。
結論4 一方で営業連絡の負担は注意点として残った
ポジティブな声が多い一方で、営業電話や連絡の多さに負担を感じたという声も確かにありました。
これは、一括査定の構造上ある程度避けにくい論点です。便利さの裏側として、連絡量の多さや担当者の質のばらつきが、利用者体験を左右していることがうかがえました。
満足度調査からわかったこと
満足度の全体傾向
確認できた数値を整理すると、2024年調査200件の満足度分布は以下の通りでした。

- 5点:68件
- 4点:89件
- 3点:33件
- 2点:7件
- 1点:3件
2025年調査100件では、以下の通りでした。

- 5点:14件
- 4点:76件
- 3点:5件
- 2点:4件
- 1点:1件
つまり、いずれの調査でも4点が最も多く、5点を加えると高評価が多数派でした。少なくとも今回確認した範囲では、「使ってみたが全体として不満だった」という回答傾向は優勢ではありませんでした。
高評価が多かった背景として考えられること
自由記述を見る限り、高評価の背景として考えられるのは、主に次の3点です。
第一に、複数社へまとめて査定依頼できることです。
第二に、相場の目安を短時間で把握しやすいことです。
第三に、各社の対応や提案を比較しやすいことです。
つまり、利用者は一括査定サイトを「その場で売却先を決める道具」としてより、「比較材料を集める効率的な入口」として評価している可能性が高いと考えられます。
ここで注意したいのは、これは観測事実そのものではなく、自由記述を踏まえた解釈だという点です。
低評価・中立評価の回答から見えた注意点
一方で、3点以下の回答がゼロではないことも重要です。そこから見えた注意点は、主に次の通りです。
- 営業色が強く、落ち着いて比較しにくい
- 提携会社の対応にばらつきがある
- 高い査定額が必ずしも安心材料にならない
- 期待したほど参考にならなかった
宅建業者側の実務感覚から見ても、これは納得感のある結果です。一括査定サイトの入口設計が良くても、その後に接続される会社や担当者の品質が揃っていなければ、利用者体験は不安定になります。
どのような不動産で利用されていたのか

売却した不動産の種類
2024年調査では、売却した不動産の種類は以下の通りでした。
- 一戸建て:108件
- マンション:65件
- 土地:26件
- その他:1件
2025年調査では、以下の通りでした。
- 一戸建て:48件
- マンション:43件
- 土地:8件
- その他:1件
一戸建て・マンション利用が中心だった
この結果から確認できるのは、今回のアンケート回答者は、一戸建てとマンションの売却経験者が中心だったということです。
したがって、本稿の知見は、主に「一般的な住宅売却の入口として一括査定を使った人」の傾向として読むのが妥当です。空き家や相続不動産、住み替え案件なども含まれてはいますが、特殊性の強い案件だけで構成されているわけではありません。
土地やその他の不動産ではどう読むべきか
土地の回答も一定数ありますが、一戸建て・マンションに比べると少数です。したがって、土地や再建築不可、調整区域、権利関係が複雑な案件などにそのまま一般化するのは慎重であるべきです。
宅建業者向けに言えば、この調査は「住宅系売却ユーザーの感覚」を知る材料として有用であり、特殊案件の受託構造まで直接説明するものではありません。
利用者はなぜそのサイトを選んだのか

最も多かったのは「複数社をまとめて比較できる」こと
自由記述では、「一度に複数の不動産会社へ依頼できる」「比較しやすい」「手間が少ない」という趣旨の記述が繰り返し見られました。
これは一括査定の核心です。宅建業者から見れば、比較の入口をIT事業者に握られているとも言えますが、一般ユーザーから見れば、比較のハードルを下げてくれる機能として明確に評価されています。
「知名度がある」「大手で安心」が選定理由になっていた
理由欄では、知名度、大手運営、聞いたことがあるサービス名、CM、口コミなどへの言及も多く見られました。
この点は軽視できません。不動産一括査定を使う場面では、利用者は自分の住所や物件情報を入力します。そのため、機能面だけでなく「怪しくないか」「ちゃんとしていそうか」という心理的安心感が、申込率を大きく左右しているとみられます。
「使いやすさ」「入力しやすさ」も重要だった
利用理由には、画面が分かりやすい、入力しやすい、手続きの流れが理解しやすいといった内容も含まれていました。
これは一般ユーザー向けには当然の評価軸ですが、宅建業者にとっても示唆があります。つまり、媒介受託前の入口で離脱を防いでいるのは、必ずしも査定ロジックの高度さではなく、UIや説明の分かりやすさである可能性が高いということです。
「口コミ・評判」「提携会社数」を見て選ぶ人もいた
口コミや評判、提携会社数の多さに触れた回答もありました。ただし、ここで注意したいのは、利用者は提携会社数そのものを精査しているというより、「会社数が多ければ比較しやすそう」「選択肢がありそう」という期待を持っているに過ぎない場合も多いということです。
この点は、宅建業者にとっては両義的です。選択肢の多さは利用者にとって魅力ですが、受託側から見れば、比較競争の激化や見込み度の低い査定依頼の増加につながる場合もあります。
実際に使ってよかった点

売却相場の目安をつかみやすかった
利用してよかった点として最も分かりやすかったのは、相場把握です。
「いくらくらいで売れそうかの目安が分かった」という反応は、一括査定サイトの価値を端的に表しています。
実務でも、売主は最初から正確な成約価格を知りたいのではなく、まずはざっくりした相場観を持ちたいことが多いです。この初期ニーズに対して、一括査定は一定の役割を果たしているようです。
不動産会社ごとの差を比較できた
査定額だけでなく、対応の早さ、説明の丁寧さ、提案内容の違いを比較できたという声も目立ちました。
これは一般ユーザーにとって大きな利点です。同時に宅建業者にとっては、初動対応の印象が想像以上に重要であることを示しています。サイトの送客品質だけでなく、受けた側のレスポンス品質が満足度を左右している可能性が高いと言えます。
手間を減らして効率よく情報収集できた
複数社へ個別に連絡する手間を省けることも、高評価の背景にありました。
この点は、忙しい売主や初めて売却を検討する人にとっては大きな利点です。
言い換えれば、一括査定サイトが提供しているのは「査定」そのものより、「比較の着手を簡単にする機能」だと理解したほうが実態に近いと考えられます。
希望に近い条件で売却できたという声もあった
自由記述には、結果的に希望に近い価格で売却できた、良い会社につながれたといった内容も見られました。
ただし、これは今回のアンケートでそうした声があったという事実にとどまります。そこから「一括査定を使えば高く売れる」と一般化することはできません。むしろ、良い結果につながった利用者は、比較の中身をきちんと見ていた可能性が高いと考えるべきでしょう。
実際に使って気になった点・不満だった点

営業電話や連絡が多いと感じるケースがあった
不満点として最も重要だったのは、営業電話や連絡の多さです。
2025年調査の感想欄では、電話や営業電話に触れる記述が比較的多く見られました。
これは宅建業者にとっても重要な論点です。なぜなら、利用者が負担に感じているのは「複数社から連絡が来ること」そのものだけでなく、「比較の準備が整わないうちに営業が始まること」である可能性があるからです。
対応の質に差があると感じた人もいた
提携会社の対応に差がある、営業姿勢にばらつきがあるという内容も見られました。
この点は、不動産一括査定サイトの評価と、接続先の宅建業者の評価が分離しにくいことを意味します。入口のブランドが強くても、実際に接触する担当者の印象が悪ければ、利用者はサービス全体への不満として受け取ります。
査定額だけでは判断しにくいという難しさがあった
記述の中には、高い査定額が出ても安心できない、実際の売却とのズレが気になったと読める内容もありました。
これは宅建業者・一般ユーザーの双方にとって重要です。一括査定の数字は入口としては有用ですが、それだけで意思決定すると危険です。査定額の高さだけでなく、その根拠、販売戦略、対象エリアでの実績まで見なければ、売却の質は上がりません。
便利だが受け身で使うと比較しづらいこともある
今回のアンケートから読み取れる限り、一括査定サイトは「使えば自動的に最適解にたどり着ける」道具ではありません。むしろ、比較の軸を持たずに受け身で使うと、連絡量や営業圧力に流されやすい面があります。
したがって、一般ユーザーには「比較のために使う」という意識が必要ですし、宅建業者には「比較される前提で初動の説明品質を整える」という発想が必要だと考えられます。
利用サイトの回答傾向
回答内で名前が見られた主な一括査定サイト
2024年調査では、回答数が多かったサイトとして、アットホーム、LIFULL HOME'S、イエウール、HOME4U、リビンマッチ、すまいValueなどが確認できました。
2025年調査では、利用サイト欄に複数記入が含まれていましたが、言及数としてはSUUMOが45件、イエウールが29件、LIFULL HOME'Sが15件、アットホームが10件、HOME4Uが9件でした。
サイト別比較を読むときの注意点
ただし、これをそのまま「人気順位」や「優劣順位」として扱うのは適切ではありません。
2025年調査では複数記入が含まれており、厳密な一人一サイト集計ではないからです。また、そもそも今回の調査は市場シェア調査でもありません。
したがって、ここで言えるのは、どのサイト名が利用者の選択肢として実際に挙がっていたかという傾向までです。
本調査から言えるのは「どの軸で選ばれていたか」
そのうえで、宅建業者として興味深いのは、利用者がどの軸で選んでいたかです。今回の調査で目立ったのは、次の4軸でした。
- 比較のしやすさ
- 知名度と安心感
- 使いやすさ
- 提携会社数や選択肢への期待
また、2024年調査の主集計シートに限れば、一定件数以上あるサイトの中ではHOME4Uの満足度平均は比較的高めでした。これは厳密な優劣断定には使えませんが、派手な広告訴求だけではない評価軸が働いている可能性を示す材料にはなります。
同時に、2025年調査ではSUUMOの言及数が最も多く、知名度の高いサービスが実際に利用候補として強いことも確認できました。
このアンケートから見えた、不動産一括査定サイト選びのポイント

提携会社数だけでなく対応エリアを見る
一般ユーザーにとっては、提携会社数が多いことは魅力に見えます。しかし、実際に重要なのは、自分の物件があるエリアに強い会社が含まれているかです。
宅建業者側から見ても、全国対応の看板だけでは差別化になりません。利用者に選ばれるのは、最終的にはそのエリアでの説明力と受託後の提案力です。
査定額だけで決めない
これは宅建業者にも一般ユーザーにも共通して重要です。
一括査定で出てくる数字は比較材料にはなりますが、最終判断材料ではありません。
査定額の高さだけでなく、その根拠、販売戦略、媒介取得後の進め方、連絡の丁寧さまで見て判断すべきです。
連絡負担が気になる人は使い方を工夫する
一般ユーザーには、最初から「何社くらい比較するか」「何を比較軸にするか」を決めてから使うことを勧めたいと思います。
宅建業者にとっても、見込み客の温度感が分かれやすい入口である以上、受託前から押しすぎない説明設計が重要です。連絡速度だけでなく、連絡の質が問われています。
大手の安心感と地域密着会社の強みを分けて考える
今回のアンケートでは、大手サービスへの安心感が確かに見られました。一方で、実際の売却局面では地域密着型の会社が強みを発揮する場面もあります。
つまり、入口としてのサイトブランドと、受託後の実務力は分けて考えるべきです。ここを混同すると、ユーザーも業者も不幸になりやすいと感じます。
一括査定は「比較の入口」として使うと失敗しにくい
今回の調査から最も素直に言えるのは、一括査定サイトは「最終的な答え」ではなく「比較の入口」として使うと機能しやすいということです。
この理解は、一般ユーザーにとっては失敗防止につながりますし、宅建業者にとっては、入口市場とどう向き合うかを考える前提になります。
まとめ

今回、アップライト合同会社が2024年から2025年にかけて実施した2回のアンケートを確認したところ、不動産一括査定サイトの利用満足度は、少なくとも一般利用者の回答ベースでは全体として高めでした。
利用者が評価していたのは、主に次の点です。
- 複数社を一度に比較できること
- 相場感をつかみやすいこと
- 知名度や安心感があること
- 操作しやすく、入口として使いやすいこと
一方で、注意点としては以下が見えてきました。
- 営業電話や連絡の多さ
- 提携会社や担当者の質のばらつき
- 査定額だけでは判断しにくいこと
私自身は、不動産一括査定市場には以前からいびつさを感じていましたし、その感覚自体は今も変わっていません。ただ、その問題意識とは別に、一般利用者が「比較の入口」としては一定の価値を感じていることも、今回の調査では確認できました。
宅建業者にとって重要なのは、この入口市場を単に批判することではなく、その中で利用者が何を求めているのかを理解することだと思います。
また一般ユーザーにとって重要なのは、一括査定を万能の答えだと考えず、比較のための手段として使うことです。
その両方を意識したとき、不動産一括査定サイトは、過大評価も過小評価もせず、ちょうどよい距離感で使うべきサービスだと言えるのではないでしょうか。
付録|調査資料編(引用・参照用)

付録1 本調査の位置づけ
本調査は、アップライト合同会社が2024年から2025年にかけて実施した、不動産一括査定サイト利用者アンケートを整理したものです。主な目的は、不動産一括査定サイトの利用者が、どのような理由でサービスを選び、どのような点に満足し、どのような点に不満を感じたのかを把握することにありました。
本稿は、SEO集客用の記事というより、アップライト合同会社が今後制作・監修する不動産一括査定関連コンテンツのための基礎資料・参照元として位置づけています。そのため、本文で述べた結論だけでなく、集計条件や基礎数値も確認できるよう、付録として整理しています。
付録2 調査概要
調査実施主体
アップライト合同会社
調査時期
2024年および2025年の2回
調査対象
不動産一括査定サイトを実際に利用したことがある回答者
主な調査項目
- 年齢
- 利用した不動産一括査定サイト
- 売却した不動産の種類
- 利用満足度
- 利用したサイトを選んだ理由
- 利用後の感想
本稿の主要集計対象
- 2024年調査:200件
- 2025年調査:100件
- 合計:300件
集計上の補足
2024年調査のファイルには、主集計とは別シートに9件の補足記載が確認できました。ただし、当該9件が主集計に含まれる追記なのか、別管理の補足回答なのかは、ファイル上の情報だけでは断定できません。そのため、本稿の主要集計では、位置づけが明確な200件と100件を基礎データとしています。
付録3 本調査を読む際の注意点
1. 市場全体を代表する無作為抽出調査ではない
本調査は自社実施アンケートであり、日本全国の不動産一括査定利用者全体を統計的に代表するものではありません。したがって、市場全体の厳密なシェアや満足度順位を断定する目的には向きません。
2. 2回の調査で設問形式が完全一致ではない
2024年調査と2025年調査では、設問の骨格は近いものの、完全に同一形式ではありません。特に2025年調査では、利用サイト欄に複数記入が含まれているため、サイト別比較の厳密な横並び評価には注意が必要です。
3. 本調査で強く言えるのは「利用者傾向」
本調査から比較的安定して読み取れるのは、次のような内容です。
- 利用者がどのような理由でサイトを選んでいたか
- 何に満足しやすかったか
- 何に不満や負担を感じやすかったか
- どのような不動産種別で利用されていたか
逆に、サイト別の優劣順位や市場シェアの断定には慎重であるべきです。
付録4 主要集計表
4-1 満足度分布(2024年調査)
| 満足度 | 回答数 |
|---|---|
| 5点 | 68 |
| 4点 | 89 |
| 3点 | 33 |
| 2点 | 7 |
| 1点 | 3 |
| 合計 | 200 |
4-2 満足度分布(2025年調査)
| 満足度 | 回答数 |
|---|---|
| 5点 | 14 |
| 4点 | 76 |
| 3点 | 5 |
| 2点 | 4 |
| 1点 | 1 |
| 合計 | 100 |
4-3 高評価比率の概況
本稿では便宜上、満足度4点・5点を「高評価」として整理しています。
| 調査 | 4点・5点合計 | 回答数 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 2024年調査 | 157 | 200 | 78.5% |
| 2025年調査 | 90 | 100 | 90.0% |
※上表は本稿独自の再整理です。
※5段階評価のうち4点・5点を合算した参考値であり、外部比較指標ではありません。
付録5 売却した不動産の種類
5-1 不動産種別(2024年調査)
| 不動産の種類 | 回答数 |
|---|---|
| 一戸建て | 108 |
| マンション | 65 |
| 土地 | 26 |
| その他 | 1 |
| 合計 | 200 |
5-2 不動産種別(2025年調査)
| 不動産の種類 | 回答数 |
|---|---|
| 一戸建て | 48 |
| マンション | 43 |
| 土地 | 8 |
| その他 | 1 |
| 合計 | 100 |
5-3 読み取りのポイント
今回の主要集計では、一戸建てとマンションの売却経験者が中心でした。そのため、本調査は主として、一般的な住宅売却における不動産一括査定利用者の傾向を把握する資料として使うのが適切です。
土地やその他の特殊性が高い案件については、回答数が相対的に少ないため、本調査結果をそのまま一般化することは避けるべきです。
付録6 利用サイト回答の取り扱い
6-1 2024年調査で確認できた主なサイト名
2024年調査の主集計シートでは、以下のようなサイト名が確認できました。
- アットホーム
- LIFULL HOME'S
- イエウール
- HOME4U
- リビンマッチ
- すまいValue
- その他
6-2 2025年調査で確認できた主なサイト名
2025年調査では、利用サイト欄に複数記入が含まれていました。確認できた主な言及数は以下の通りです。
| サイト名 | 言及数 |
|---|---|
| SUUMO | 45 |
| イエウール | 29 |
| LIFULL HOME'S | 15 |
| アットホーム | 10 |
| HOME4U | 9 |
6-3 サイト別データ利用時の注意
これらの数値は、回答内で確認できた利用サイトの言及傾向を示すものです。2025年調査には複数記入が含まれているため、これをそのまま利用者数順位や市場シェアとして扱うことはできません。
また、本調査はそもそも市場シェア調査ではありません。そのため、引用時は「本調査回答内で言及が見られた主なサイト」として扱うのが適切です。
付録7 自由記述から抽出した主要テーマ
自由記述は、表現にばらつきがあるため、本稿では内容の近いものをまとめてテーマ化しています。これは厳密な自然言語処理による分類ではなく、編集上の整理です。
7-1 利用サイトを選んだ理由として多く見られたテーマ
- 複数社をまとめて比較できる
- 知名度が高く安心感がある
- 使いやすい、入力しやすい
- 口コミや評判を見て選んだ
- 提携会社数が多そうだった
7-2 利用してよかった点として多く見られたテーマ
- 売却相場の目安をつかみやすかった
- 不動産会社ごとの差を比較できた
- 手間を減らして効率よく情報収集できた
- 良い会社につながった、希望に近い売却につながったという声もあった
7-3 不満・注意点として見られたテーマ
- 営業電話や連絡が多い
- 担当者や会社によって対応の質に差がある
- 査定額だけでは判断しづらい
- 受け身で使うと比較しにくい
付録8 本調査から引用しやすい要点整理
引用しやすい事実
- アップライト合同会社は2024年と2025年に不動産一括査定サイト利用者調査を実施した
- 主要集計対象は合計300件である
- 2024年調査では満足度4点・5点が157件だった
- 2025年調査では満足度4点・5点が90件だった
- 回答者の不動産種別は一戸建て・マンションが中心だった
- 自由記述では「比較のしやすさ」「安心感」「使いやすさ」「営業電話への負担」などが確認できた
表現に注意が必要な内容
- 「最も人気のサイトは○○」
- 「○○が業界No.1」
- 「利用者の満足度が最も高いのは○○」
- 「日本の不動産一括査定利用者全体の傾向である」
これらは、本調査の設計上、断定に適しません。
付録9 引用時の推奨表記
短い表記例
出典:アップライト合同会社「不動産一括査定サイト利用者300人アンケート調査(2024〜2025年実施)」
本文中の記載例
アップライト合同会社が2024〜2025年に実施した不動産一括査定サイト利用者アンケート調査(主要集計300件)では、利用満足度は全体として高めの傾向が見られた。
注記付き表記例
出典:アップライト合同会社「不動産一括査定サイト利用者300人アンケート調査(2024〜2025年実施)」
※自社実施アンケート。市場全体を代表する無作為抽出調査ではない。
付録10 二次利用のための編集メモ
トーマ不動産マガジン向け
- 一括査定サイト比較記事の根拠資料
- 利用者が重視している比較軸の裏付け
- 営業電話や担当者差に関する注意喚起の根拠
ウルズンMAGAZINE向け
- 「不動産一括査定 やってみた」「おすすめ」「デメリット」系記事の背景資料
- 一般ユーザー向けに、相場把握・比較の入口としての価値を説明する材料
- 一方で、査定額だけで決めないという警告の裏付け
いえとちラボ向け
- 空き家・難あり不動産文脈では、本調査をそのまま一般化しない
- あくまで一般住宅売却ユーザーの傾向として参照する
- 特殊案件では別の実務論点が必要であることを明示する
付録11 本調査のまとめ
本調査は、不動産一括査定サイト市場の全体像を統計的に確定するものではありません。しかし、利用者がどのような価値を感じ、どのような点に負担を感じたかを把握するうえでは、有用な一次資料です。
とくに確認しやすかったのは、次の点です。
- 一般利用者の満足度は、想定より高めだった
- 価値の中心は、比較のしやすさと相場把握にあった
- 安心感や使いやすさも選定理由として重要だった
- 営業電話や担当者差は、引き続き注意点だった
今後、本調査は、不動産一括査定関連コンテンツを制作する際の背景資料として活用しつつ、必要に応じて追加調査や再集計を行う余地もあると考えています。