https://upright-gk.co.jp/realestate

広告 不動産を売る

自分でできる不動産査定。自宅や土地の大まかな値段を出す方法

2021年6月1日追記。自分で不動産価格(特に土地価格に強いです)を出せる無料のソフトウエアを公開しました。どなたでもダウンロードして利用していただけます。

不動産の簡易査定ができるフリーソフトを公開!土地査定がメインですが住宅の相場も出せます

更新情報 筆者が寄稿している「トーマ不動産マガジン」では、自分で土地価格を査定できるEXCELのワークシートを配布してい ...

続きを見る

上記ソフトはWindows用なので、Windowsを使っていない方のために、この記事も残しています。


不動産は業者とユーザーの情報非対称性が大きいジャンルといわれます。つまり情報を不動産業者が独占し、一般ユーザーはなかなか太刀打ちできない……。というわけでした。

「でした」と過去形にしているのには理由があります。堀江貴文さんも「情報が民主化された時代」とよく言っていますが、まさにその通りです。現代社会においてたいていの情報は手に入ります。ちょっとがんばれば、不動産屋に対抗できる情報を入手することもできます。コツさえつかめばスマホやパソコンで、ある程度正確な不動産の評価を行うことができるでしょう。

この記事で解説しているのは、不動産屋に依頼することなく自分でできる概算価格査定。多少の誤差があったとしても、自分で自分の不動産価格を把握しておくことは大切です。「どの不動産屋が正直に査定しているか?」がわかるからです。

とはいえ、プロでもひとつの指標に頼ることなく、いくつかの指標を参照しています。そこで、アマチュアであっても簡単に手に入る複数の情報を活用して、自己査定する方法をご紹介しましょう。不動産売却を考える場合、価格査定をゼロから不動産屋に任せるのではなく、まず自分でざっくりと下調べをしておき、その数字をベースとして話をしてみましょう。そうすることで、不動産屋のいうことを鵜呑みにするのではなく、主体的に資産活用を考えることができます。これはとっても大事なポイントです。

相続税路線価を活用する

昔は分厚い路線価図の本を開いて、探している土地の前面道路の路線価を探したものですが、現在はネットで見ることができます。

国税庁が公開するサイト「財産評価基準書 路線数・評価倍率表」は、けっこう使いやすいので利用してみてください。まずはこのサイトで、ご自分の不動産(土地)の価格をざっくり把握するとよいでしょう。誤差はありますが、目安としては簡単に調べられて役に立ちます。

路線価図・評価倍率表

では、僕の実家のある大阪府堺市某所の土地を評価してみましょう。

図の「73D」とか「76D」と書いてある数字をチェックします。自宅前(ご自分の土地の前)の道路の数字を読んでみてください。この数字は千円単位なので、たとえば「76D」であれば、平米単価76,000円ということになります。後ろに付いているDとかCとかのアルファベットは借地権割合を表すので、とりあえず気にしないでOKです。

一般に相続税路線価は実勢価格の8割くらいといわれていますので、76,000円を0.8で割り戻します。

76,000円 ÷ 0.8 = 95,000円

上記から、95,000円が実勢価格に近い数字と考えられます(エリアによって当たってたり、オオハズレだったりしますが)。さてこの平米単価95,000円を坪単価にするには、3.30578を掛ければOKです。

95,000円 × 3.30578 = 314,049.1円

というわけで、この図の中の「76D」と書いてある道路沿いの土地は、だいたい坪単価314,000円くらいということになります。

答え合わせをしてみましょう

今回の答え合わせには、不動産情報サイトのアットホーム(athome)を利用しました。大阪府堺市南区城山台の土地は5件売り出されています(2019年12月12日現在)。坪単価を見ていくと、約28万円から約39万円の間で並んでいます。

どうやらビンゴと考えてよさそうです。ここでは路線価図の評価を信じて、ウチの実家の土地は坪単価314,000円くらいと判断しておきます。面積はたしか70坪くらいだったので、評価額としては2,200万円くらいかなーということがわかります。

建物がある場合は、これに上物の評価を乗せればよいわけですね。この件については後述します。

土地総合情報システム

オフィシャルサイトの中に、もうひとつ使えるデータベースがあります。それは国土交通省の土地総合情報システム。このサイトはバラツキがあるので、これだけを参照するのではなく、路線価で確認したご自分の土地評価を補強する意味で使ってみてください。

土地総合情報システム

さっそくアクセスして、大阪府堺市南区のデータを一覧表示します。操作方法は簡単です。トップページから「不動産取引価格情報検索」をクリックし、出てきた画面の左サイドメニューを利用して、①の「時期を選ぶ」は最新の四半期から過去2年分を含むデータを選択、②の種類は必要に応じてでかまいませんが、とりあえず「土地」で。「宅地」をチェックすると「土地+建物」まで検索されてしまうので注意してください。③の地域を選ぶについて、ここでは「大阪府」の「堺市南区」を指定しました。

65件ヒットしましたが、駅名(ここでは「光明池」)をクリックすると、さらにその駅周辺に絞ることができます。ここまでで29件に絞り込めましたので、細かく見ていきましょう。

データを坪単価でソートし、「前面道路無」とか「市街化調整区域」などを除外して見ていくと、ちゃんとした宅地の坪単価は最低でも20万円~のようです。坪単価51万円という妙に高い物件もありますが、そこは除外してしまいましょう。ボリュームゾーンは坪単価30万円台です。「堺市南区赤坂台」に多く集中しています。これは実家のすぐ近くのエリアなので、実家のまわりもこれに準ずると考えてよさそうです。

さてこの国土交通省土地総合情報システムは、何を元にしたデータベースでしょうか? 実は土地建物を売買したら「いくらで取引しましたか?」的なアンケートが届きますが、あれを集計しているようです。なので、自己申告ではありますが、実勢価格を集積したデータベース。実勢価格だけに、特殊な取引があればそれに引っ張られた数字になるわけですが(たとえば裁判所の競売物件なども含まれています)、正常な取引だけをピックアップして見ていくようにすれば、十分に参考になるデータベースです。

建物も評価してみよう

さて、ここまでで土地価格が(ざっくりですが)計算できました。もし一戸建て住宅なら、あとはこの上に立っている建物の価格をプラスするだけです。ただし建物の査定はけっこう複雑なので、ここでは超簡単な方法を採用します。国税庁さんのいうとおりで、やってみましょう。

この後詳しい算定方法を解説しますが、取り急ぎ「超概算でいくらくらいか知りたい」という場合は以下のフォームを試してみてください。

木造建物超概算価格計算

床面積:(数字のみ入力可能)

再調達価格: 万円

建築年月:

建物価格: 万円(概算)

耐用年数を22年としており全体に価格が低めに出ます。再調達原価の計算も簡略化しているので、築浅物件で誤差が大きくなり、本来より低価格に出がちです。

この後、より詳細な査定額の出し方を解説します。

建物の標準的な建築価額表

まず最初に1㎡あたりの工事費を調べます。下の表(単位は1000円)でその建物が建築された年の単価を探します。

建築年木 造 RC鉄骨
昭和46年31.247.230.3
47年34.250.232.4
48年45.364.342.2
49年61.890.155.7
50年67.797.460.5
51年70.398.262.1
52年74.110265.3
53年77.9105.970.1
54年82.5114.375.4
55年92.5129.784.1
56年98.3138.791.7
57年101.314393.9
58年102.2143.894.3
59年102.8141.795.3
60年104.2144.596.9
61年106.2149.5102.6
62年110156.6108.4
63年116.5175117.3
平成元年123.1193.3128.4
2年131.7222.9147.4
3年137.6246.8158.7
4年143.5245.6162.4
5年150.9227.5159.2
 6年156.6212.8148.4
7年158.3199143.2
8年161198143.6
 9年160.5201141
10年158.6203.8138.7
11年159.3197.9139.4
12年159182.6132.3
13年157.2177.8136.4
14年153.6180.5135
15年152.7179.5131.4
16年152.1176.1130.6
17年151.9171.5132.8
18年152.9178.6133.7
19年153.6185.8135.6
20年156206.1158.3
21年156.6219169.5
22年156.5205.9163
23年156.8197158.9
24年157.6193.9155.6
25年159.9203.8164.3
26年163228176.4
27年165.4240.2197.3
上記は国交省の資料をもとに国税庁が発表している標準的な工事費です。

次に、下の表に当てはめて取得価額を算出します。

上の表で求めた㎡単価
その建物の床面積
その建物の取得価額(②×③)=

たとえば平成元年に建てられた、床面積90㎡の木造住宅であれば、次の式のようになります。

123100円 × 90㎡ = 11,079,000円

国税庁の「減価償却費の計算について」というページを参考にして、再調達価格から減価償却費を差し引くことで、今残っている価値=残価を推定します。

減価償却費 = 11,079,000(円) × 0.9 × 0.031 × 31(年)

というわけで、減価償却費は9,582,227円。残っている建物の価値は、1,107,900円から9,582,227円を差し引いた、1,496,773円です。

本来税金の計算のための建物価格の出し方なので、通常は相場の低めの価格(もしくは相場より若干低い価格)になります。人気のあるエリアでは、これより高い価格をつける例が多い点はご注意ください。

建物の構造耐用年数償却率
鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造70年0.015
軽量鉄骨造28年0.036
木造又は合成樹脂造33年0.031
建物の減価償却率

土地建物を合計すると?

ここまでで、土地が約2,200万円、建物が約150万円と推定できました。ということは、合計で2,350万円くらいかな? と考えておけばOKです。

ここまでの過程で注意したい点を挙げるとしたら、複数の情報源にあたること。路線価+不動産情報サイト(今回はathome)+土地総合データベースを参照し、どの情報源で見ても大幅には値段が違わないことがわかりましたので、今回はけっこう手堅い数字になっていると思います。

上記の各サイトで数字が一致しない場合は、自己判断が難しい可能性大。そんなときは信頼できる不動産屋に声をかけてみましょう。

地方の土地を査定するならリビンマッチがおすすめ

その土地の近くに信頼できる不動産業者がある場合は別ですが、そういった情報がない場合、ネットの不動産一括査定を利用することになります。

地方圏で、なおかつ農地や林地に対応していて、何でも査定依頼できるのはリビンマッチ。このサイトであれば、無道路地など条件が悪い土地でも査定依頼できます(注1)。

参考イエイ……10年以上の運営歴があり地方にも強い

ただし、どんな一括査定サイトであっても同じですが、地方圏では対応できる不動産業者が非常に少ないか、もしくは存在しないこともあります。

また、不動産一括査定サイトは便利な反面注意点もあります。以下の記事もあわせて読んでみてください。

不動産の査定方法。「もっと高い査定額が欲しい」人がハマるワナってなに?

そう思う人ほどダマされています。 ウソ査定書がまん延していますが、なぜでしょうか? 最近はネットの不動産一括査定が増えす ...

続きを見る

注1……そのエリア(市町村)に農地や林地を査定できる業者が登録している場合に限ります。全国的に見ると対応業者が存在しない場所も多い点は注意してください。

人気の記事

-不動産を売る
-