リフォームはどこまでやるべき?

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中古住宅のリフォームはどこまですべき?予算600万円を推奨する根拠とおすすめ予算配分

中古住宅のリフォーム予算を近畿レインズの全データから逆算すると600万円が妥当。その価格でフルリフォームするのが理想です。

この記事では新築住宅にコスパで負けない考え方と、予算を抑えて納得のリフォームを施工する方法を追求しています。

フドマガ
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業務で中古住宅をリフォームしてきた経験から、ベストな予算目安を探ります。

ちなみにレインズというのは不動産業者だけが見られる巨大データベース。正式名称は不動産流通標準情報システムです。

リフォーム価格は600万円が妥当。データから計算!

新築ではなく中古住宅を選んだ理由は人それぞれだと思います。しかし、もしコストを理由に中古住宅を選んだ場合は、リフォームに関してもトータルコストを意識する必要があります。

つまり、物件価格とリフォーム代金を合わせても新築住宅よりもコストパフォーマンスが高くなれば、中古住宅を選択するメリットがあるわけです。

この記事では近畿レインズに登録された膨大なデータをもとに、新築一戸建て住宅をコスパで上回る、中古一戸建て住宅のリフォーム価格を推計しました。

結論からいえば、リフォーム価格を600万円までにおさえるとコスパ的には問題ないといえます。

フドマガ
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2019年度に近畿レインズに登録された全データを使って推計していきます。

まず比較のために、新築住宅のコストを計算しておきましょう。

新築なら1年あたり約20万円で住める

新築住宅に60年住めるとして、1年あたりの価格は以下の計算から22万円(約20万円)になります。指標として、かなり単純化して計算していきます。

一戸建て平均価格 2850万円 近畿レインズ2019年度データ
土地価格 1527万円 国土交通省2019年データ
建物価格 1323万円 上記から推定
残存余命 60年  
1年あたりの価格 22万円  

データ出典と計算の根拠は記事末尾にまとめておきますので、興味のある方は読んでみてください。

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新築住宅に60年住めるとしたら、建物価格は1年あたり22万円。ざっくり20万円として計算を進めます。

とにかくポイントは、中古住宅をリフォームした価格を、残った寿命で割った1年あたりの建物代金がおおよそ20万円を下回ることです。

{ 中古住宅の建物価格(リフォーム込み) ÷ 残り寿命 } が 20万円以下

ということで、中古住宅の上物価格とリフォーム代金を足して、1年あたり20万円を超えない予算設定にしておけば、コスパで新築住宅を上回ることができます。

30年住めるとしたらリフォーム代は600万円前後が正解

そこで、近畿レインズに登録されている、平均的な木造中古住宅のリフォームコストはいくらが妥当か考えてみました。前提条件をまとめると以下の通りです。

築年数 約30年
残存余命 約30年(新築の半分)
現在の建物価値 0円
使える予算 約20万円×30年=600万円

近畿レインズに登録されている一戸建て住宅の築年数は平均で約27年でした(2019年度登録)。

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ここではざっくり30年として計算していきます。

この築年数だと、価格査定でも上物の価値はほぼ「ゼロ」と計算します。つまり土地値になっているはずです。

「土地値の建物を600万円でどこまで快適にリフォームできるか」というのが、コストから中古住宅のリフォームを考えるポイントです。ここをあまり考えずにリフォームしてしまうと、実は新築のコストパフォーマンスに負けている、ということになります。

1981年以前の中古一戸建ては耐震リフォーム必須!

1981年以前の中古一戸建てでは、次のような予算建てを想定しています。

耐震補強 150万円
外壁塗装 150万円
内部工事 300万円
合計 600万円

各項目について、詳細を検討していきましょう。

それなりに努力が必要です

なお、この記事の計算は、大手リフォーム会社に丸投げなどしない前提です。外壁塗装は塗装屋さん、内部は内部工事の専門店に発注しないと、こういう予算に収まらないかもしれません。

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「旧耐震基準で耐震改修が必須」という条件で計算していきます。1981年以降の建物の場合は、耐震改修費用を他のリフォームにあててください。

耐震改修は必須。価格は年々下がってきています

1981年6月以前に建築確認申請がおりた建物は、旧耐震基準で建てられています。この中でも木造住宅について「耐震改修が必要だ」というのは専門家の一致した意見。そこで、「旧耐震基準の木造住宅は必ず耐震改修が必要」を前提にリフォーム予算を組みます。

耐震改修に必要な価格は、ざっくり100~150万円程度。自治体の補助を受けるのが前提で、4月に年度が替わったらすぐ補助の申請をする必要があります。

参考耐震補強を安くする工法が充実。0円で施工できる可能性も

詳しくは上の記事で解説していますが、耐震工法は次々に考案されており、価格も安くなっています。自治体の補助ももらえれば150万円以内におさまると想定しておいてもよいと思います。

フドマガ
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もっと安くおさまることもあります。

外壁塗装は15年ごとに必要。屋根含めて150万円くらい

外壁塗装に関してはイメージよりもマメなリフォームが必要で、現在主流のラジカル制御型シリコン塗料や高耐候性シリコン塗装でも15年経ったら塗り替える必要があります。

予算としては80~120万円くらいで、屋根の補修や再塗装を含めて150万円くらいはみておけばOKです。

詳しい予算は以下の記事で読んでみてください。

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上の記事では火災保険申請でリフォームコストの一部を捻出する方法にも触れています。記事中で紹介した「お家の保険相談センター」では、ごく普通の一戸建ての場合、平均100万円の保険金が給付されているそうです。

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このあたりを考慮すると、さらに予算に余裕が出る可能性が出てきます。

内部工事で300万円使えれば、かなりの部分を直せます

ここまでですでに「めんどうだ」と感じた場合は、残された内部工事を300万円でやってくれるリフォーム会社に発注しましょう。

ネットのリフォーム見積りサイトが便利ですが、選ぶにはちょっとしたコツがあります。ほとんども見積りサイトでは「激安!」「格安!」などを売りにしているのですが、そこは避けましょう。

ひとつあげるとすれば、リクルートが全額出資している「ホームプロ」が安心です。

参考ホームプロ……無料で9社に見積り発注できる

ホームプロを利用する時は「リフォーム費用と相場」というメニューを開いて、ちらっとのぞいておいてください。

フドマガ
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大手企業(リクルート)が出資しているので、ここにはやや高めの数字が書かれています。実際にはもう少し絞れると思います。

ここに書かれている「相場」より安くまとめるつもりで、リフォームの相見積もりを発注してください。

リフォームの価格はどこまで手を入れるかによって、大きくかわります。この予算で「理想のリノベーションを実現」とまではいかないと思うので、取捨選択も必要になります。

予算が合わなければ内部も2つに分離発注する

もし予算が合わないようであれば、内部工事を①水回りと②それ以外に分けてみるのも手です。さらに手間は増えますが、ホームセンターなどで企画している格安の水回り3点セット・4点セットを利用してコストダウンできます。

水回り3(4)点セット120万円
それ以外の改修工事180万円

このプランのキモは水回りを4点セット(または3点セット)で100万円台前半におさえてしまうことです。

3点セット・4点セットの内容は各社バラバラですが、できるだけ、システムキッチンとシステムバスとトイレと洗面化粧台の組合せを狙ってください。

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私は業務で一戸建てをまるごとリフォームする時も、水回りだけ4点セットを利用して、あとは大工さんに発注し、コストダウンすることもありました。

3点セット・4点セットはネットでも注文でき、以下のような例があります。

参考キッチンナビ楽天市場店(3点セット+工事)……全国対応でかなり安い

参考REREPA楽天市場店(リフォーム4点パック)……全国対応。キッチンナビのほうが安い

参考ハウジング重兵衛(4点パック)……千葉県、茨城県など

参考オネストライン(4点パック)……東京、神奈川、埼玉、千葉など対応

参考SHOEI(4点セット)……富山県

これら水回り3点セット、4点セットは以下のような理由で価格をおさえています。

  1. 商品を決めてしまうことで大量発注できる
  2. 商品を決めてしまうことで打ち合わせ時間を短縮
  3. 3点または4点をセットにすることで工期をコントロール

その反面、次のようなデメリットがあります。

  1. 当然ながら商品を選べない(カラーは選べる場合も)
  2. オプションが付けられない場合がある(業者によります)
  3. サイズなども選べない場合がある

また、注意しておきたいのは以下のポイントです。

  1. 金額に増減がある可能性あり。必ず詳細の問い合わせを
  2. 残材処分などが別途請求になっていないか確認
  3. 色やサイズが選べるか、選べないか? 要事前確認
  4. 4点といいながら実は3点(内装工事を1点と数えている)の場合があるので注意
  5. 給湯器の交換が必要な場合は、同時に給湯器取り替えをお願いできるか(別料金)

こういったセットに組まれている設備はベーシックグレードのものですが、新築建売住宅などでも普通に使われているので、品質に不安はありません。

LIXIL公式サイトより「シエラ施工事例」画像

よくあるのは、キッチンならクリナップのラクエラやLIXILのシエラなど。システムバスならLIXILのアライズやTOTOのサザナなど。いずれもショールームで見学できます(全商品揃っているとは限りません)。

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我が家もLIXILのシエラとアライズを使っていますが、けっこういいです。

3点セット、4点セットを利用して、残りの内部工事を大工さんか工務店に依頼すると、全体に安上がりになります。

ただ、この方法では工程の管理が難しくなるので、ある程度リフォームが分かっている人向けかもしれません。

住宅ローンにリフォーム代を組み込んでおく

下記はイオン銀行の利率です(2021年5月現在)。

リフォームローン2.50%
住宅ローン0.52%(変動金利)

このように利率では圧倒的に住宅ローンが有利なので、中古住宅の購入+リフォームを予定している場合は、可能な限り住宅ローンにリフォーム代を組み込んでください。別々に借りるとかなり不利です。

ローンの予算を考える時は、モゲチェックというサービスが役に立ちます。モゲレコで、自分が借りられる住宅ローンの額がわかりますし、多くの手続きを無料で代行してもらえます。

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なぜリフォーム予算は600万円か?データ出典をくわしく解説

この記事のデータ出典は以下の2件です。

参考2019年度年刊市況レポート(近畿レインズ)

参考土地総合情報システム(国土交通省)

近畿圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県)に登録された新築一戸建てと中古一戸建ての全データの平均を取っています。戸建てについては2019年度、土地については2019年間のデータなので、若干のズレがありますが、ここでは無視して計算しています。

まず木造住宅の本当の寿命を推定

木造住宅の耐用年数は22年といわれることがあります。しかし、それは税務上の耐用年数で、実際の寿命とは違います。

ここではコストをはじくために、まず「本当の寿命は何年か?」を推定しておきます。

2004年に書かれた「1980年以降における木造専用住宅の寿命の推移」という論文には、次のように書かれています。

平均寿命の推移を見ると、1980年には32.4年であるが、1985年には36.7年、1990年には38.2年、1995年には43.6年、1999年には48.9年と20年間で17年程度延びている。この延命の割合についても年数経過とほぼ比例関係にある。以上の結果から.2003年現在の平均寿命は52年程度になると推測される。(図8)

「1980年以降における木造専用住宅の寿命の推移」

それ以降も木造住宅の寿命は延びていることから、少なくとも60年程度は住めると考えられます。そこで、この記事では「木造住宅の寿命=60年」として計算しています。

近畿圏の平均土地価格を推定すると平米あたり119,680円

この記事では、近畿地方の土地の価格を119,680円と推定しています。

近畿レインズで2019年の土地価格の平均値が見つからなかったので、国土交通省土地総合システムから、2019年の取引データ(全9338件)の平均をとりました。

2019年間の大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県の取引データのうち、宅地(更地のもの)のみ9338件を抽出しました。

近畿レインズで2019年度に販売された中古一戸建て(12,935戸)の土地面積は141.62㎡とわかっています。ここまでで判明したことを表にすると、以下のようになります。

 平均価格土地面積土地価格上物価格(上物価格まるめ)
新築一戸建て2850万円127.62㎡15,273,944円13,226,056円約1320万円
中古一戸建て1894万円141.62㎡16,949,081円1,990,919円約200万円

近畿圏の中一戸建て、平均築年数は27.23年

近畿レインズに2019年度に登録された中古一戸建て住宅の平均築年数は27.23年でした。また内訳を見ると、次のグラフのように築36年以上が31.7%と飛び抜けて多く、経済耐用年数がほぼ残っていない物件が中心です。

この記事ではそういう住宅に焦点を当てています。つまり、レインズに登録された中古一戸建てとしてよくある物件について検討してきました。そういう住宅では、耐震改修費用を含めて600万円でリフォームを計画するのがよいといえます。

そこから大きくずれる物件、たとえば築2~3年で売り出された物件や、築100年の古民家では、計算が変わってくるかもしれません。

また、新耐震基準を満たしている住宅(全体のおよそ7割)では、予算を下げて500万円くらいに設定してもよいかもしれません。耐震改修費用が必要ないからです。

あるいは、余った予算でより豪華なリフォームを施工することもできます。


参考文献

堤洋樹、小松幸夫(2004)『1980年以降における木造専用住宅の寿命の推移』(日本建築学会計画系論文集 第580号)

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