イエウールやリビンマッチ、HOME4Uなどの不動産一括査定サイトで価格査定を依頼したものの「やっぱりやめたい!」となった場合、どの段階でもお金を払う必要はありません。
査定依頼をした直後
イエウール、リビンマッチなどの査定サイトに直接キャンセル連絡(あまり現実的ではありません)。
査定依頼当日
連絡してきた不動産会社に断りの連絡(普通にキャンセルできます)。査定サイトにも一報を入れると親切。
査定書が届いた後(2~3日後)
査定書を出してくれた不動産会社に直接「お断り」(査定サイトへの連絡は不要)。
媒介契約(仲介契約)をする前の段階であれば、いつでも査定のキャンセルは可能ですし、査定後に「売り出しはしません」と普通に言っても問題ありません。
リビンマッチでは、キャンセルや個人情報開示請求ができる窓口がわかりやすく標示されるようになりました。
この記事は不動産会社社長として、リビンマッチ、イエイ、イエウール、リガイドなどの一括査定サイトを10年利用した経験をもとに構成しています。
査定依頼直後は査定サイトにキャンセルの連絡を
まずは不動産査定サイトの仕組みを見ておいてください。
ネットで不動産の一括査定を依頼した時の流れは、上の図のようになっています。
ユーザーが入力した査定情報は、いったん査定サイトを運営する会社に送られます。この時点で入力内容がチェックされ、若干のタイムラグをおいてから6社(サイトによっては10社)に転送されます。
そこで、査定情報がどこまで届いたか? によって、キャンセルを申し出る窓口が変わってきます。
価格査定の状態 | キャンセル方法 | |
---|---|---|
査定依頼直後 | まだ不動産会社に送られていない場合 | 査定サイトに直接キャンセル |
査定依頼当日~2日くらい | 各不動産会社が査定情報を受け取った段階 | 各不動産会社にキャンセル(査定サイトに連絡してもいいが、それでも査定が来る可能性あり) |
査定依頼から数日後 | すでに査定書が送られた段階 | 各不動産会社にキャンセル |
査定依頼を送信した直後であれば、査定情報はまだ査定サイトにしか届いていませんから、イエウールなどの各査定サイトに「キャンセルしたいです」と申込みをします。
ただし、あっという間に不動産会社に情報が送られてしまいます。なるべく、少し後で紹介する「不動産会社に上手に断る方法」を参照してください。
査定サイトの連絡先まとめ
サイト名 | 連絡先 |
---|---|
リビンマッチ | キャンセル・個人情報削除 |
イエウール | イエウールお問い合わせ |
すまいValue | 電話:記載なし sumai-value.jp/inquiry/input |
HOME4U | 電話:0120-087-301 home4u.jp/sell/contact/customer/input |
リガイド | 電話:03-5532-2077 reguide.jp/asess/inq/ |
代表的な不動産一括査定サイトの連絡先をまとめましたが、ここにないサイトでも、連絡窓口を探してキャンセルの申込みをすることは可能です。
イエウールなどの査定サイトに直接キャンセルできるのはいつまで?
査定依頼を送信してから、何時間以内なら、査定サイトにキャンセル依頼できるのでしょうか?
実際に届いた不動産一括査定の案件通知
上記は、とある一括査定サイトから私が実際に受け取った案件通知(査定依頼の情報)メールです。深夜0時すぎにユーザーが入力した情報が、ほぼリアルタイムで送信されていることがわかります。
情報を転送するタイミングはサイトによってまちまちですし、査定依頼の内容によっても異なります。各サイトの内部処理は公開されていませんので、ここからは不動産屋として一括査定サイトを利用した経験からの推測になります。
一括査定サイトでは、すべての査定依頼情報を人間がチェックしているわけではありません。AIなどが「問題ない」と判断した情報は、ほぼリアルタイムで不動産屋に送信されています。
「本当の所有者か怪しい」「まったく売る気がなさそうだ」など、入力に問題や不備がある場合のみ、人間がチェックしているようです。怪しい情報の場合、チェックには数日かかることもあります(数日遅れで不動産屋に情報が送られます)。
結論として直接キャンセルは難しい
結論として、もし入力に不備がない査定依頼を送信していたら、情報はかなり短時間で不動産業者に転送されてしまいます。そこから、イエウール、イエイ、リビンマッチなどの査定サイトに直接キャンセル連絡をするのは難しいと考えています。
不動産屋に断りを入れるのが効率的
私は不動産会社の立場で10年くらい一括査定サイト(イエイ、イエウール、リビンマッチ、リガイドほか)を利用してきました。でも一度も査定サイトから「お客様がキャンセルされました」という連絡をもらったことがありません。そこで、一括査定サイトにキャンセルを入れても、ムダになる可能性は高いと思います。
でも大丈夫! 不動産屋もキャンセルは想定内で営業していますから、普通にお断りできます。
査定した当日~翌日くらいなら不動産会社にキャンセルを告げる
情報は比較的短時間で不動産業者に送られてしまいますが、査定書は1日から数日かけて作成します。そこで、査定書ができる前であれば、不動産業者に「すみません。事情があってキャンセルします」と伝えればOKです。
とはいえ、不動産一括査定サイトが無料で運営されている仕組みには、上の図のように不動産会社がお金を払っているという背景があります。
そこで、不動産会社の立場も理解してあげて、納得しやすい断り方をしてあげましょう。
不動産屋にキャンセルを告げるタイミング
通常、不動産屋は査定書の作成に取りかかる前に、まず電話をしてきます。理由は2つあります。
- 本当に売る気があるか、どんな査定依頼かを確認する
- あわよくば会いに行って営業をかけ、早めに仲介依頼を勝ち取る
当社で実際にマンションを1戸売却する実験をした時にも、すべての不動産会社から電話がかかってきました。
この事前電話の段階で「いやぁ、実は……」とキャンセルを切り出しましょう。
たまに、査定依頼当日(それも1時間くらいに)やっつけで作った査定書を送ってくる業者もいます。しかし、それで済むなら人間が査定する意味がなく、AI査定で十分です。そのように適当な仕事をしている業者は、勢いよくお断りしてください。
「査定サイトにも断りをいれますよ」と伝えるのがベスト
少し上の図にあるように、不動産会社は各一括査定サイトに、1情報あたり15,000円くらい(注1)のお金を支払います。この費用を取り返す必要がある場合は、しつこく営業してくるかもしれません。
そこで、「査定サイトには、私の方からも断りを入れておきますね。」と伝えてあげてください。ユーザーからのキャンセルであれば、不動産会社はこの15,000円を支払わなくてよくなるからです。
査定サイトへは事後でもいいので査定のキャンセル連絡をしてあげてください。これで誰も損をしなくなるので、非常に断りやすくなります。
注1……査定サイトが登場しはじめた15年くらい前は、だいたい1案件7500円くらいでした。現在は安いところで7500円、高いところで2万円くらいです。
査定をキャンセルする理由を聞かれても答える必要なし!
査定をキャンセルするときに、けっこう理由を聞かれますが、返答する必要はありません。何か聞かれても「売るのをやめました」くらいの返答でOKです。
もししつこく聞いてくる業者がいたら、査定サイトに苦情を入れておけばいいでしょう。
査定書が届いた後は「ていねいにお断り」すればOK!
査定依頼から数日たつと、各不動産屋から査定書が届きます。その段階で「やっぱり売りたくないなぁ」と思ったときは、どうすればいいのでしょうか?
現在の価格査定サイトでは、最大6社(サイトによっては10社)に査定情報が送信されます。ということは、どのみち5社(または9社)は「お断り」されてしまうわけです。
ポイント
どの不動産屋も、仲介を断られるのは前提で仕事をしています!
実際に査定依頼をした事例から考える「断り方」
当社では、不動産一括査定サイトの実情を調査する目的で、自社保有のマンションを売却してみました(実際に販売しました)。
その結果査定書を複数受け取りましたが、非常によくできた査定書から、A4用紙1枚に適当に価格だけ書いたものまで、査定書のレベルがバラバラだとわかりました。
詳しくは以下の記事で解説しているので、気になる方はぜひご覧ください。実際に試したところ4社から査定書を受け取り、そのほとんどは内容がダメだったのでお断りしています。
つまり、たいていの不動産屋は断られる事が前提のシステムなのです。
実際に「不動産一括査定」でマンションを売却したレビュー|関連記事
ということで、査定書を受け取ってしまった後の断り方は「他社さんに専任媒介で任せます」でOKです。
査定後にキャンセルしてもお金を払う必要なし!
査定書をもらった後でキャンセルしてもお金はかかりません。そもそも不動産の鑑定評価でお金をもらえるのは、不動産鑑定士だけです(「不動産の鑑定評価に関する法律」)。そこで、「断るなら査定料を払え」という業者がいたら、違法行為の疑いがあります。
安心して、普通に断って大丈夫です!
不動産価格査定サイトを攻略する3つのポイント
「キャンセルの仕方もわかった。これから実際に査定依頼をしてみよう」という方には、もう少し踏み込んだ情報をお伝えしておきます。
不動産一括査定サイトも、そこに登録している不動産業者もビジネスですから、お金を稼ぐ仕組みやそれが原因で起きる問題点もあります。
- お金は不動産業者が払っているから「無料」で使える
- 不動産業者のレベルはものすごくバラバラ!力量を見る
- 高すぎるウソ査定書に注意して、理屈が通った査定内容かを見る
とくに注目したいのは「ユーザーが無料で利用できるのは、不動産屋がお金を払っているからなんだ」というポイント。
お金を払っている不動産業者にはそれなりの配慮をしてあげると、断り方もスムーズになります。また、不動産屋はなぜお金を払ってまでイエウール、リビンマッチ、イエイなどの一括査定サイトを利用するのかな? と考えてみるのも役立ちます。
登録している不動産業者のレベルはバラバラ
これは実際に当社で保有している2つの物件(マンションと一戸建て)を売却してみて感じたのですが、ダメな不動産屋と優良業者のレベル差が大きく、能力にばらつきがみられました。
ダメな業者は、売り物件が集められず、苦し紛れに不動産一括査定サイトを利用しているようです。
一方、優良業者は「今よりさらに上を目指す」という感じで利用していると感じました。
高すぎるウソ査定書に注意しよう!
ダメ業者が手っ取り早く仲介契約(媒介契約)をもらうテクニックといえば、
と、とりあえずハッタリをかますことです。仲介契約は「もらってしまえばこっちのもの」で、専任媒介契約であれば3か月間は仲介を独占できます。その間に、いろんな理屈を付けて値下げしてしまえば、売却がカンタンになります。
「うちなら相場より高く売れる」といわれると、魅力を感じてしまうのが人情です。
しかし、相場より高いウソ査定書には何の意味もありません。その点に注意して、しっかりとした根拠のある価格査定書を選んでください。
コツは、マンションであればマンション専用の査定サイトを利用することです。専門サイトならマンションが得意な業者が多く、かなり現実的な査定書をもらえました。
マンションナビ|公式サイト
事務所使用のマンションを売却するときにマンションナビを利用しましたが、査定の納得度が高くおすすめできると感じました。
正確な査定額を打ち出している三井のリハウス
不動産業者としてはめずらしく「正確な査定額」を前面に打ち出しているのが三井不動産リアルティ(三井のリハウス)です。
三井のリハウスといえば宮沢りえを起用したCI戦略で有名ですが、その当時(1987年)から不動産業界の正常化を推進しようという背景がありました。
一般的には査定額と成約額の違い(価格乖離率)は6%程度といわれていますが、三井のリハウスではエリアによって2%を切っています(マンションの場合)。
下記の公式サイトでも「正確な査定」を前面に打ち出し、詳しく解説していますので、参照してみてください。
三井のリハウス|公式サイト
正確な査定は、正しい売却戦略に欠かせないため、非常に大切です。
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実際には細かいコツもあるので、以下の記事をぜひ参照してみてください。
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