不動産一括査定は「無料」です。でもその裏であなたの個人情報がざっくり10万円くらいで売られています。そのことを考えて真剣に利用しないと、ちゃんとモトを取ることができません。
背景=個人情報が商品になっている
不動産一括査定も同じです。不動産一括査定サイトはあなたが入力した個人情報を、ざっくり合計10万円くらいで不動産会社に売却しています。
だからこそ、便利なサービスを無料で利用することができるともいえます。
この記事では、不動産一括査定サイトのデメリットを知った上で、メリットを最大限に活かす方法を考えていきます。
消去法で残る一括査定サイトは?
私が不動産屋の立場で10年近く一括査定サイトを利用した経験から判断すると、リガイドという一見地味なサイトが最も優秀かなと思います。不動産屋に対して格安で優良なサービスを提供してくれているので、不動産屋がガツガツしなくてすむ点は評価できます。
あなたの個人情報の価格は10万円。それを踏まえた活用
このサイトの他の記事でも解説していますが、インターネットの不動産一括査定サイトが無料で運営できる背景には、あなたが入力した個人情報を不動産業者がお金を出して購入しているという事情があります。
あなたの査定依頼情報を受け取った不動産業者は、情報1件あたり7,500円~2万円の料金を支払います。
現在新規契約の不動産業者に対する条件としては、情報1件あたり18,000円という提示が多いようです。
そこで6つの不動産会社に18,000円の情報を送ったとすると、一括査定サイトの利益は108,000円になります
注……査定サイトやエリアによって異なります。
個人情報は大丈夫なの?
ネット上の口コミの中で、イエウールやイエイ、リビンマッチなどに対して否定的なものとしては「個人情報を複数の不動産会社に売り渡している」という内容が多数です。
ただ情報を受け取った不動産会社には、宅地建物取引業法という法律によって守秘義務が課されています。
代表的なのは第45条の規定です。
メモ
第45条 宅地建物取引業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。宅地建物取引業を営まなくなった後であっても、また同様とする。
そこで宅地建物取引業者(不動産業者)が個人情報を不適切に流用することは、あまり考えられません。
不動産の一括査定サイトと提携をしようという不動産業者は、どちらかと言うとIT化に対して積極的な不動産業者ですし、個人情報の保護に関してもそれなりに考えている場合が多いといえます。
違反している不動産業者を通報する窓口も押さえておく
「法令に反している不動産業者を通報するとしたら?」という問題で、よく名前があがるのが国民生活センター(消費者ホットライン)です。
しかし実際には不動産業者を規制する法律は主として宅地建物取引業法なので、宅地建物取引業法を管轄する行政機関でなければ、実効性のある指導はできません。
宅建業者に何らかの不利益を受けた場合は次の窓口に通報することをお勧めします。
- 都道府県の建築指導課など宅建業者の免許権者
- 国土交通大臣免許の場合は国土交通省の窓口
これらは不動産業者の免許を取り消したり停止する権限を持つ行政機関なので、ある程度実効性のある指導が期待できます。
不動産業(国土交通省)|公式
悪徳不動産業者とその対策方法については以下の記事で解説しています。
-
国土交通省が作った「危ない悪徳不動産業社を検索」するブラックリストとは?
不動産業界は大きなお金が動く世界。どうしても一定数は「儲かれば何でもいい」という悪質な業者が存在します。そこで、取引の前 ...
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不動産一括査定を利用する上でのその他の注意点
不動産一括査定を利用するに当たって、考えられるデメリットはすべて把握してから使う方が有利です。
欠点を補う利用法を考えられるからです。
そこで、多少細かいデメリットも以下に列挙しておきます。
すべての不動産業者にコンタクトできるわけではない
どの不動産一括査定サイトも提携不動産業者の数をアピールするために、「2000社が加盟しています」「1500社が加盟しています」といったキャッチコピーを掲げています。
しかし全国に不動産業者は13万件もありますから、仮に4000社の不動産会社が一括査定サイトを利用しているとして、その割合は3%です。
そこで「一括査定サイトさえ利用していれば安心だ」という風に考えると少し間違っています。
現在、超大手といわれる不動産仲介トップ6社は一般の不動産一括査定を利用していません(独自サイト利用)。そこで、イエウールなどを利用して、それプラス三井不動産リアルティや住友不動産販売にも査定依頼をかける……といった使い方はかなり有効ではないかと思います。
大手仲介業者と地場業者では見えている客層が大分違うので、それらの強みをミックスすることで売却効率が上がります。
また、この場合の契約方法は以下の記事を参照して一般媒介にしておいてください。
不動産売却の基礎知識|関連記事
提携不動産業者は常に入れ替わっており、どこに査定依頼できるかは運次第
定期的に同じエリアで査定サイトに登録している不動産業者を見ていると、意外と入れ替わっていることがわかります。
不動産業者は決して安くはない料金を支払う仕組みになっていますから、かけたお金を取り返せない場合はすぐに脱落してしまいます。結果としてある程度営業力のある不動産業者が残っていく仕組みにはなっています。
実際にはかなりのスピードで入れ替わっており、どんな不動産業者に査定を出してもらえるかはその時々で違います。不動産業者の当たり外れは運にもよるので、その点には注意をして下さい。
それでも利用すべき理由と不動産一括査定サイトのメリット
ここまでは、どちらかというとネガティブな情報を並べてきましたが、それでも不動産一括査定サイトを使うほうが有利です。
特にユーザーは無料で利用できるので、金銭的なリスクは存在しません。
効率よく「やる気のある業者」にアプローチできるのが最大のメリット
私が実際に見てきた「不動産屋の犠牲になったかわいそうなお客さん」で最悪なのが、おじいちゃん社長で一切IT化していない不動産屋にカタにはめられたパターン。
こういう業者は知り合いだとか紹介でも関係なく、がっちりカタにはめてきます。
売主に情報を渡さず低価格で強引に買い取ったり、値段を下げてでも強引に成約させるので、こういう業者のお客さんにはかなり気の毒な人が目立ちます。
不動産一括査定サイトには、さすがにこういうタイプの業者は登録していません。
「不動産一括査定で相場を知る」のはNG!正しい利用の流れは?
他の記事で何度も書いていますが、絶対に「査定書で相場を知ろう」としないでください。それは最高に危険です。
裏事情を話してしまうと、元々私はイエウール、イエイ、リビンマッチ、リガイドを利用していたのですが、競争の激しい一括査定サイトでは、他社がバカ高いウソ査定書を出す傾向があります。
しかし、以下の点に注意してもう一度上の図を見てみてください。
- 実際より高いウソ査定書は簡単に作れます
- 高すぎて売れなくても不動産屋は困りません
時期がよくなかったですねー。値下げしましょう
そんな提案を受けて、結局は値下げして売ることになるので、ユーザーにとって高すぎる査定書のメリットはゼロです。
そこで、不動産一括査定で相場を知ろうと考えず、ある程度相場を把握してから「届いた査定書を吟味する」という姿勢で臨んでください。
相場の情報を収集する
マンションならマンションナビの相場情報がかなり正確でわかりやすいです。土地なら当サイトで無料配布している査定ソフトを利用してください。
相場を理解した上で一括査定を利用
どの不動産業者がちゃんとしているか? 営業力があるか? を見るようにしてください。
届いた査定書で実力を判断
たいていの業者は査定書を出すより面談することにこだわりますが、いきなりの面談は断り、最初は査定書で実力を見てください鉄則
この流れであれば簡単にウソ査定書にダマされることはなくなります。
不動産の売却理由ごとに考える最適な不動産一括査定サイトは?
LIFULL HOME'S PRESSが実施したアンケート調査では、不動産を売却する理由として「より良い住まいに住み替えるため」が約42%ともっとも多く、次いで「資金が必要となったため」「今が売り時だと考えたため(税制改正などから)」「勤め先の転勤のため」「住まいを相続した/することになったため」と続きます。
調査期間は2015年1月23日~2015年1月24日。
この記事では主要な売却理由ごとに、使うべき一括査定サイトを考えていきます。
住み替えは売却タイミングがシビアなので気をつけよう
住み替えは簡単そうに思えて、実は非常に難しい不動産取引です。
- 自宅を売る
- 住み替え先を買う
という2つの不動産取引を、ほぼ同時並行で進める必要があるからです。誰もが「慣れない」「初めて」という不動産取引を2つ進めて、両方とも成功させるというのは、たくさんの不動産売買を経験した私でも「難しい」と感じました。
不動産屋はお客さんが慎重になると仕事にならず、深く考えずに売買してくれたほうが仕事がラクに進みます。だから、めったに良心的なアドバイスはしてくれません。
なので、自分自身で気を引き締めて取引に臨む必要があります。
買い替えに関しては以下の記事も参考になるので、時間があればぜひ見てみてください。
参考初めての不動産売却で心配な「流れ」を図解。必要書類や不動産屋の選び方も解説しました
上記記事の「もくじ」から「CASE6:住み替えの場合は『売り先行』を基本とする」という項目を見てみてください。
買い換えの場合は「想定した期間内に本当に売却できるのか」という問題が常につきまといます。
- 正確な価格査定を行い、期間内に売却できる価格を提案できる
- 告宣伝が得意で売却力がある
といった不動産業者に巡り会う必要があります。①の条件は地域密着型で地元の価格相場に精通した営業マンがいる地場業者が有利ですし、②の条件は資金力がある大手仲介業者が有利です。
そこで大手系も提携しているイエイやリビンマッチなどをいくつかリストアップし、最低3~6社にコンタクトを取る体勢でスタートします。
不動産一括査定リビンマッチ|公式サイト
不動産一括査定イエイ|公式サイト
不動産一括査定イエウール|公式サイト
全部の査定サイトを利用する必要はまったくないのですが、エリアによって対応できる業者が限られる事があります。上から順番に試してみて、必要な数だけ査定依頼ができたら、そこで終了とするのがベストな対応だと思います。
たとえばイエイだけで十分な反響があれば、そこでストップしましょう。コンタクトする不動産業者数があまり多すぎると、今度は収拾がつかなくなります。
詳しくは以下の記事で比較、解説しています。
イエイとイエウールで自社保有マンションを実際に売却して比較|関連記事
急な資金調達なら、不動産担保ローンをうまく使うのもひとつの手
このパートは、不動産買い取りを検討している人だけ読んでください。
これは「必ずおすすめ」ということではありませんし、「絶対おすすめ」というわけでもありません。
ただし、条件に当てはまると思ったらトライしてみる価値はあります。
一般に、不動産買い取りでは「市価の半額~7掛け」でしか買い取ってもらうことができません。急ぎの資金調達で「不動産買い取りで」ということにしてしまうと、大幅に損をしながら売却することになります。
そこで、
- とりあえず不動産担保ローン(高利です)で一時的に資金調達
- 半年か1年の時間的余裕を作り、手持ち不動産を高く売却
この2ステップがおすすめです。実務でも「この人はお金を使い込んだりせず、しっかりしているな」と判断したときのみ、この方法をおすすめしていました。
一例として、以下のような不動産担保融資サービスがあります。
ジェイ・エフ・シー|公式サイト
銀行と比べて融資スピードがはやく、3日から1週間を目安に対応してもらえます。また、沖縄を除く日本全国の不動産に対応しています。
相続した親の家を売るときは2段階で考えておくのが正解
相続した実家を売る場合、立地条件によりかなり難易度が変わってきます。都市部にある実家を売る場合は、一般の不動産売却とあまり変わりません。
一方、地方部で不動産が動かないエリアの場合は、長期化を前提で考えてください。その上で、万が一売れない場合には「無償譲渡先を探す」という最悪の場面も考慮しましょう。
できれば可能な限り高い値段で売却
一般の一括査定サイトを利用する。
場合によっては個人売買サイトを利用する。どうしても売れない場合は無償譲渡サイトを利用
いらない不動産を自治体などに譲渡する仕組みは今のところ存在せず、民間で譲渡先を探す。
以下の記事やサイトも参照してみてください。
参考不動産の個人売買サイト4つを実際に使ってレビュー!使えるのは「家いちば」のみ
参考みんなの0円物件……不動産無償譲渡のマッチングサイト
その他処分が難しい不動産について、以下の記事で解説しています。
参考山林や農地を相続したがいらない!その時どうすれば捨てられる?売れるの?
マンション売却なら専門サイトのマンションナビがやはりおすすめ
最後に、売却物件がマンションだった場合ですが、マンションナビという専門の一括査定サイトがおすすめです。
おすすめの理由を簡単にまとめると、
- マンション専門なのでマンション売却に強い業者が登録している
- サイトに相場情報などが豊富に掲載されており、非常に参考になる
- マンション名を入れると自動的に情報が入力されるなど、便利にできている
といった点があげられます。
マンションを査定するときは、以下のリンクから公式サイトに飛べます。
不動産一括査定マンションナビ|公式サイト
査定書を見るときは、以下のページから売却マンション名で情報検索し、相場や最近の売却動向をチェックしておいてください。これは絶対見ておいた方がいいです。
マンション.navi|公式サイト内記事
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