いま外壁塗装を検討しているとしたら、築10~15年のマイホームをお持ちの方でしょうか。平成中頃のデザインを現代風にアップデートしたい、という要望も多いはずです。
結論からいうと無難におすすめできるのは、茶色×白系などのツートンカラー。もちろん、ポイントを押さえれば他のカラーでも大丈夫です。
記事の解説をしてくれたプロ
今回も、堺市を中心に大阪南部で活躍するN-TRUSTの中村社長に解説をお願いしました。南大阪の人は中村社長に相談すれば安心して施工してもらえると思います。
Tel.072-256-4371(電話はそんなに愛想よくないけど腕はバツグン)
ちらっと結論を書くと、青系も赤系も退色が心配なので、無難な白系をメインにしたツートンカラーがおすすめです。
外壁塗装をするお金がない時は補助金受給など4つのコツを解説した記事をぜひ参照してください。
ブラックやネイビー、ビビッドな色を選ぶ時は慎重に
いま塗装時期を迎えているのは、平成の半ば頃に建てた住宅です。現在の建築デザインと比べると、当時はやや地味な色使いが普通でした。
その時代の建物を塗装するとしたら、今風のビビッドな色や強い色を使いたくなるのは人情です。しかし、それによるデメリットもあるので、ひととおりのメリット・デメリットを押さえてから計画をスタートしましょう。
外壁を黒系や青系(ネイビー)にするメリットはデザイン性!
現在の建築デザインでは、外観にブラック(黒系)の色を採用することも増えています。ネイビーなど濃いめの青もよく見かけます。
外壁塗装の際に、彩度の高い色・濃い色を採用すると高級感が出て重厚な印象になる点も見逃せません。塗装だけで、建物が一気にリフレッシュされるというメリットがあります。
また、濃い色は白系の色と合わせやすく、ツートンカラーにしたときにデザインが決まりやすいというメリットもあります。
彩度が高い色は色落ちしやすいというデメリットも
彩度が高い色(ビビッドな色や鮮やかな色)ほど、色落ちしやすいという傾向があります。ビビッドな色のなかでも、理屈の上では赤や黄色が色落ちしやすい、といわれています。
その理由は顔料に使われている化学物質の種類と、紫外線を吸収しやすいかどうかの違いにあります。
色を決める「顔料」の種類によって耐久性が異なる
塗料は図のように、顔料、樹脂、溶剤、添加剤の4つの材料でできています。この4つの材料のうち、色を決めているのが顔料です。
顔料は色によって耐候性が異なっており、たとえば赤色は「紫外線を吸収しやすいので退色しやすい」といわれています。
上の写真は日当たりのよい部分がはっきりと退色してしまった赤色の塗装です。
それに対して青系の顔料は紫外線を含む青色に近い光線を反射してしまいます。そのため変色しにくいといわれています。
また顔料に注目すると、黒系の塗料でよく使われているカーボンブラック(炭素微粒子)は紫外線で分解されにくいため、黒色の塗料は退色しにくいといわれています。
「青や黒は退色しにくい」といわれるけど…うーん難しい
というわけで……
青や黒は色あせしにくい、と断言している本やウエブサイトがたくさんあります。しかし、それをうのみにすると危険かな…と思います。
このようにネイビーなど青系の塗料は色が抜けてまだら状になっているのをよく見かけます。
黒系も同じです。上の写真は塗装後約10年の黒い壁面ですが、意外とムラが目立ち、退色しているように見えてしまいます(メタル系のサイディングに塗装しています)。
上の写真のように元来茶色だったはずが、赤以外の色が退色したせいで赤っぽくなっている例もよく見かけます(上記はカラーベストが退色している例です)。
そうすると、単純に「赤が弱くて青が強い」と断言するのは危険だとわかります。
ブラック系は室内温度が上がるため遮熱塗装が必須
黒系で塗装すると、夏場にかなり室内温度が上がります。できるだけ遮熱塗装にする必要があるため、トータルでのコスト上昇に注意してください。
おすすめ遮熱塗料は?
N-TRUSTさんがおすすめしているのは、アステックペイントが出しているラジカル制御型の遮熱塗料。意外と格安で、他メーカーの非ラジカル制御タイプの塗料と比べても値段に大差がありません。こういう情報をしっかり伝えてくれる塗装業者さんに頼むなら、ブラックやネイビーの塗装もアリかもしれません。
参考株式会社アステックペイント……N-TRUSTさんおすすめの塗料
強い色は、外構などトータルで見た時に違和感が出るかも?
もうひとつブラックやネイビーのデメリットは、外構や屋根とあわせてトータルで見た時に、違和感が残る可能性があること。
庭や門扉などの外構は元の家のカラーに合わせて設計されています。それに、周辺の住宅との統一感も、塗装色を選ぶときの重要な要因です。
カラーシミュレーションでは家の写真だけを見ますが、その家を外構や街並みの風景に置いたらどうなるのか、トータルで考えてみてください。
ツートンカラーはデメリットが少なくおすすめ!
ツートンカラーに塗り分けると、それまでと大きく印象が変わります。「せっかく塗り替えるならツートンカラーにしてみよう」というのもおすすめできます。
とくに白系をベースにしたツートンカラーなら安心です。ラジカル制御型の塗料は、白系で最も効果が高いからです(詳しくは以下の記事で解説しています)。
参考【外壁塗装】塗料の種類と選び方。オシャレな色決めができるおすすめアプリも紹介
ツートンカラーのメリット
「ツートンカラーはおすすめですね。デメリットが少ないです!」と中村社長も推してくれました。
ツートンカラーに塗り分けることで今風の見た目にリフレッシュできますし、褪色しにくい色を組み合わせれば、耐久性もしっかり確保できます。
確かに現在、ツートンカラーに塗り替えている住宅をよく見かけます。
ツートンカラーのデメリット(注意点)
ツートンカラーに塗り分ける場合にも、注意しておきたいポイントはあります。気になるのは、もともと単色だった建物を2色にすることで、とってつけたようなデザインになってしまう危険性。
この点は施工会社としっかり打ち合わせをしておきたいところです。
元から2色だった建物は、2色でしっくりくる作りになっています。色の境目に胴差を入れてしっかり切ってあったり、塗り分ける部分のデザインを揃えてあったり……。
もともとは単色だった家の場合、建物の正面からみてツートンに塗り分けできても、裏から見たら塗り分けづらいデザインだったりもします。
シミュレーションが重要
ツートンに塗り分けてもデザイン面で問題がないかどうかは、しっかりとシミュレーションをしてもらえば確認できます。塗装業者のシミュレーションのできばえにも影響される部分です。
元のサイディングにこだわりがあるならクリア塗装
クリア塗装も大きなデメリットがあるわけではなく、問題なくおすすめできます。
価格面では工程が少ない分やや安上がりになることが多いです。一般の塗料であれば3度塗りが標準ですが、クリア塗装は2度塗りなので、少しコストを削減できます。
それに対して、透明な分、少し耐久性が低く、塗り替える時期が比較的早く来てしまいます。
総合的に判断すると、コストパフォーマンスは高いとも安いともいえず、値段についてのメリットやデメリットはとくにありません。
クリア塗装にすると元々の外観を保つことができる
クリア塗装のメリットは、何といっても「建物本来の外観を保つことができる」という点にあります。
たとえばコンクリート打ちっぱなしの建物外壁は、よく見るとクリア塗装してあります。そこで、打ちっぱなしの建物を再塗装するときも、雰囲気を残したいならクリア塗装を選択することになります。
窯業系サイディングも表面にクリアが塗られています。
こういった元々の雰囲気を活かすことができる、というのがクリア塗装のメリットです。
クリア塗装のデメリットと注意点
クリア塗装は透明なので、すでに劣化が進んでいる外壁の、痛んだ部分を隠すことができません。そこで「痛みの激しい外壁には塗れない」という弱点があります。サイディングのヒビや金物の錆びがあれば、それを隠すこともできません。
また、注意したいのはクリア塗装できない外壁がある点。たとえば光触媒タイプなど一部のサイディングには、クリア塗装することができません。
それを知らずに施工して、短期間で剥離するケースもあります。
クリア塗装を検討する場合は、信頼できる塗装業者に相談をするようにしてください。
どんな色がいいか決めるためのカラーシミュレーション
色選びで失敗するケースは意外と多く、ツボを押さえておかないと「イメージと違った」という結果になりがちです。
特にサンプルだけで色を決める時は、必ず屋外にサンプルを持ち出してみてください。実は同じ色でも、光源(太陽光か蛍光灯やLEDか)によって見え方が違ってきます。
光源によって色温度(いろおんど)が違っているのですが、太陽光を基準にすると、蛍光灯などは色温度が高く青色寄りの光源です。一方、同じく室内の光源である白熱灯は色温度が低く赤色寄りの光源です。
そのため、カラーサンプルの本来の色は、晴天時に屋外で見ないとわかりません。
ほかにも「面積効果」に注意して色を選ぶ必要があります。
面積効果を考慮してイメージよりも鮮度や明度が低いカラーを選ぶ
「面積効果」とは、同じ色でも面積の大きさによって印象が変わってしまう現象のことです。
面積大 | 彩度と明度が高く見える |
---|---|
面積小 | 彩度と明度が低く見える |
一般にカラーサンプル(色見本)は面積が小さいものです。そのため明度や彩度が低く見えてしまいます。カラーサンプルではちょうどいいと思ったカラーで実際に塗装してみると、明度や彩度が高くなり「思ったよりも薄い色だった!」という印象になります。
優良塗装店では色決めの際に、A4サイズやそれ以上の大きさのサンプルを作ってくれます。当社でいつも取材させてもらっているN-TRUSTさんでは、実際の壁面に塗装してみて、仕上がりイメージを確認させてくれます。
塗装会社がこういう対応をしてくれない場合は、カラーサンプルを見る時に「面積効果は?」と注意するようにしてください。
自分でできるカラーシミュレーション
塗装会社はプロですから、どんな色を選ぶと、どんなメリット・デメリットがあるかをよく知っています。しかし、お客さんの趣味や好みまではわかりません。
そこで、まずは自分でできるシミュレーションを試してみて、それを見せながら塗装会社と打ち合わせをすることをおすすめします。
エスケー化研のオンラインシミュレーションはお手軽
おそらく一番簡単で、その割に実用性が高いのが、塗料・資材メーカー「エスケー化研」の塗り替えシミュレーション。
自分の家と似た感じのサンプル(一戸建ては全6種類)を選び、外壁、外壁のポイントカラー、屋根、玄関の色を選ぶだけです。
あっという間にシミュレーションできてしまうのですが、塗装会社との打ち合わせに十分使えるレベルです。
小林塗装のカラーシミュレーション
名古屋市にある外壁塗装会社「小林塗装」のシミュレーションページもおすすめです。上記で紹介したエスケー化研で物足りない時に利用してみてください。
一戸建てのサンプル数は、エスケー化研の2倍に相当する12パターン。1階と2階を塗り分けるツートンカラーも試せます。
スズカファインのiPadアプリはおすすめ
より具体的なシミュレーションをしておきたい場合は、スズカファインという塗料メーカーが作っているiPadアプリ「i Color Paint」がおすすめです。
これはiPadで自宅の写真を撮り、スズカファインの塗料で塗装した場合のシミュレーションができるアプリです。
自分で作ったシミュレーションを元にプロに依頼する
家族会議で「こんな色がいいかな」と決まったら、塗装会社にシミュレーションをお願いしてみてください。
ほとんどの塗装会社では、サービスとして無料でシミュレーションを出してくれます。最低限このカラーシミュレーションをもとに、最終的な色決めを行ってください。
いつも取材させてもらっているN-TRUSTさんでは、カラーシミュレーションを塗料メーカーに外注しているそうです。1度目のシミュレーションは塗装会社負担で無料ですが、2度目からは有料になります。このパターンは結構多いようです。
色決めなら塗装会社が相談に乗ってくれるはず!
最後に塗装会社(塗装店)を選ぶ時のポイントです。N-TRUSTの中村社長も、色決めにはじっくり付き合ってくれます。
色決めにていねいに付き合ってくれる業者を選んだ方が、その後の施工もしっかりしていると思います。
塗装店の実力を見る意味でも、カラーシミュレーションはぜひ頼んでみてください。そんな時「おすすめ塗料はこれだから」「おすすめカラーはこれだから」と、選択肢を提示してくれない業者は避けた方が無難です。
知識がない業者は知っている塗料だけを勧めてくる傾向がありますし、お客さんの都合を軽視する業者は、そもそもあまり相談に乗りません。
大阪南部なら中村社長に電話してみよう
大阪南部の塗装なら、直接N-TRUSTの中村社長に相談してみてください。当サイトでよく取材させてもらう、信頼のおける業者さんです。
また、この記事で紹介した色決めの提案は、N-TRUSTさんならすべて引き受けてくれます。まず間違いなく、納得の施工ができるはずです。
南大阪以外のエリアなら中村社長も加盟している「外壁塗装パートナーズ」をおすすめします。
参考 株式会社 N-TRUST…南大阪ならここがおすすめ
参考外壁塗装パートナーズ…南大阪以外ならここで相見積もり
おすすめ見積りサイトについては別記事で!
外壁塗装パートナーズは日本で唯一の「建築士が運営する見積りサイト」です。この記事では書けなかった外壁塗装一括見積もりのウラ事情を含めて、以下の記事で解説しています。
参考【外壁塗装】一括見積もりサイトのウラ側。2021年のベストチョイスは外壁塗装パートナーズ
参考文献
青山豊『講座塗料入門(3)だれにもわかる塗料の話』実務表面技術72-11
『外壁塗装リフォームの教科書2020』株式会社ザメディアジョン
池田聡『外壁塗装で失敗しない方法』クロスメディア・パブリッシング