本当に火災保険で外壁塗装の費用が出るのでしょうか?
火災保険で外壁塗装の費用が出る事が多いのは事実です。
しかし、
- 全額まかなえるのは少数派
- いかにも0円で施工できそうな事を言う詐欺業者が多い
という点には注意が必要です。
この記事では、火災保険の風水害補償を利用して外壁塗装の費用を捻出する方法と、詐欺業者の避け方を解説していきます。
「外壁塗装をする予算がない」という場合、以下の記事でトータル的にコストを下げ、助成金・給付金を獲得する方法を解説しています。
ぜひ、あわせてお読みください。
参考外壁塗装するお金がない時の4つのノウハウ……助成金も解説しています
今回も、大阪府堺市の優良塗装会社N-TRUSTの中村社長を取材して、さまざまなノウハウを教えてもらいました。
火災保険でリフォーム工事費用が捻出できる仕組み
火災保険の説明書をよく見ると「住まいの保険(東京海上日動)」や「個人用火災総合保険(損保ジャパン)」といった名前がついています。
つまり、火災だけを補償するのではなく自然災害をはじめとした幅広いリスクを補償している保険なのです。
外壁塗装の際によく検討されているのが、上記の風水害補償。台風や強風で屋根や雨どいなどが破損した場合、その破損前の状態に戻すための費用が支払われます。
被害範囲確定費用 | 損害を受けた部分を調査する費用 |
---|---|
仮修理費用 | 屋根にブルーシートを掛けるなど応急処置 |
修理費(本修理) | 実際に修理を実施するための費用 |
残存物片付け費用 | 廃材などの廃棄費用 |
破損以前の状態に戻す費用には、修理費だけでなく、上記のように修理と密接に関わる費用も該当し、支払われます。
ただし、全額が無条件に支払われるわけではありません。
経年劣化では保険金はおりません
不動産会社の実務でもよく経験しますが、損害保険会社はよく「これは経年劣化ですから支払えません」と言ってきます。
保険の約款上、確かに、災害による被害の場合しか保険金は出ず、経年劣化は補償の対象外です。しかし、損保会社は「経年劣化」をタテに保険金支払いを拒否する傾向にある点は注意が必要です。
「経年劣化ではなく被災によるもの」という点をはっきり明示する必要があります。
損害保険会社は正当な保険金も出したがらない
「火災・盗難保険金は出ないのがフツー」(幻冬舎新書/加茂隆康著)に詳しく書かれていますが、損害保険会社は正当な保険金請求であっても、あの手この手で支払いを渋ってきます。
損保は、被災者の泣き寝入りを待っている。
この本の著者である加茂氏は、損害保険会社は「被災者の泣き寝入りを待っている」と断言します。
この本には弁護士としての経験から、損保会社が
- 現地調査で見つかった資料を隠してしまう
- 調査資料の開示請求にも応じない
- 恣意的な再現実験で都合よく結論を出す
- 勝手な名目で費用を差し引く
などなど、あの手この手で「保険金を支払わないようにしよう」とする様子が描かれています。
外壁塗装のプロに聞く火災保険請求ノウハウ
そこで、N-TRUSTの中村社長に、実際に火災保険請求をサポートする中で見えてきた「こうすれば請求が通りやすくなる」というノウハウを教えてもらいました。
火災保険請求のポイントたとえば台風の後であれば、風向き等を考慮して地道に被害か所を探していきます。特に被害が起きやすいのは屋根なので、屋根材がめくれていないか? 飛散物が当たった場所はないかなどを細かく調査していきます。
壁の傷や雨どいなども同じく調査して、被害か所を特定していくのが最初の作業です。
次にそこを修繕(原状復帰)するための見積書を作成します。
見積書作成にもノウハウがあり、なるべく保険金が下りやすいように作成していきます。たとえば、足場は建物をぐるっと囲む4面全部出る事はまれです。その代わり、諸経費の中でも安全にかかわるものは出やすいので、そういった費用は忘れずに見積書に盛り込みます。
一例をあげると、足場に昇降階段を付けて安全性を確保するとか、足場作業に警備員を置くといった費用は通りやすいといわれています。
ヌリカエや外壁塗装パートナーズなどの見積りサイトに依頼をするときに、このような「火災保険申請のノウハウを持つ会社を紹介して欲しい」という注文を付けることができます。
やり過ぎは逆効果。まったく保険金が出ない事も……
このところ、保険金請求は難しくなっているといわれます。
それには詐欺まがいの保険金請求が増えていることが関係しているようです。
たとえば保険会社は「自分で傷が入っているのに気付いて業者を呼びましたか? それとも業者から火災保険申請を提案されましたか?」といった経緯を詳細に聞いてくるようになりました。
最近は、N-TRUSTのお客さんでも「保険会社からけっこう細かいことを聞かれた」というケースが増えているようです。
そういった状況下で、多くの保険金をもらいたいばかりに「あれもこれも請求する」というのは逆効果になりがちです。経年劣化や古い損害か所も含めて、欲張った請求をしてしまったばかりに、結局は1円も下りなかったというケースもよくあります。
損害鑑定人が現地に来る場合と来ない場合
N-TRUSTの中村社長に、ひとつの目安として、実務をやっている中で感じる「この金額を超えると損害鑑定人が来る」という感触を教えてもらいました。
2018年の台風21号(平成30年台風)は近畿地方に多大な被害をもたらしました。この台風の前まで、塗装業者の間では「70~80万円くらいまでの請求なら、損害鑑定人はあまり現地を視察に来ない」といわれていました。
平成30年台風直後は100万円を超える請求であっても、損害鑑定人が現場を調査しない例もあったようです。損保会社も忙しく、より巨額の請求で手一杯だったのかもしれません。
それが一段落して、現在はむしろ厳しくなっています。請求額が50~60万円くらいであれば、損害鑑定人が来ない可能性は高くなりますが、絶対ではありません。また、本当に風水害の被害にあっているのに、保険金が下りないというケースも増えているようです。
現在、中村社長は、
「申請額の8割くらい下りれば、よしとするべきかな」
と考えているそうです。
実際に申請する時の流れと注意点
- 信頼できる塗装業者に依頼
- 専門の申請サポート業者に依頼
- すべて自分で申請
確実性とコスパを考えると①の「信頼できる塗装業者に依頼」する方法がベスト。サポートは無料ですし、ノウハウを持っている会社であれば、正当な範囲できちんと請求金額を特定してくれます。
信頼できる塗装業者に相談して火災保険申請
コスト面と、確実に保険金を受け取るという2点を考慮すると、信頼できる塗装業者に相談するという方法がベストです。
一般に、塗装業者は「うちで塗装してくれるなら無料で協力しますよ」という形でお手伝いをしてくれます。また、普段から保険請求に接しているので、ノウハウも豊富です(注1)。
こういった業者がやってくれるのは、
- 事故(被害か所)の写真撮影
- 事故の場所を明記した図面作成
- 修復・修繕工事の見積書の作成
といった部分です。あとは自分で損害保険会社に必要な書類を請求し、記入した上で、資料とあわせて提出することになります。
注1……ただし外壁塗装業界は意識の低い業者もけっこう多いので注意が必要です。知識が乏しい業者の場合は、相談する意味がない事もあります。しっかりした業者を選ぶことが前提です。
火災保険申請に強い塗装業者の探し方は?
昔と違って現在は、インターネットの一括見積もりサイトを利用するのが一般的です。しかしこの見積もりサイトは玉石混交なので、しっかりした塗装会社を紹介してくれる所を選んでください。
ポイントは2つあります。
- 自社施工している「塗装店」を紹介してくれるか?
- 火災保険申請に強い会社を紹介してくれるか?
という観点で、一括見積もりサイトを選びましょう。
おすすめは、スタート当初から「自社施工する塗装会社を紹介する」と明記して運営している「ヌリカエ」というサイト。ここは登録している塗装会社数も日本トップレベルなので、複数社の見積もりをもらいながら「ここに任せたい」という会社を絞り込むことができます。
また、外壁塗装の見積もりを依頼する時に「火災保険申請に強い会社を紹介して欲しい」とコメントを付けておくこともできます。
参考ヌリカエ……優良塗装店を見つけやすい
一括見積もりサイトの詳しい利用方法については以下の記事で解説しています。
しかし、優良塗装会社が見つからない場合もあります。その時は、火災保険申請を専門に行うサポート会社を利用することになります。
火災保険申請の専門業者に依頼して書類作成
火災保険申請を専門とするサポート会社は多く、ユーザーとしてはその中から優良なサービスを選んで利用する必要があります。
一般的には火災保険申請会社を利用すると、平均90~120万円程度の保険金がおりているようです(金額は各社発表。また会社により異なります)。
気になるのは手数料で、現地調査や申請書作成などの費用として、受給した保険金額の25~50%くらいを請求される点。手数料率に大幅な差があるので、ここを真っ先にチェックしておいてください。
「業界最安値」と書きながら実際の手数料率を明記していない会社を調査してみたら、料率が税別40%だったこともあります。
現在、手数料率があまり高くなくて、さらに実績が豊富な「お家の保険相談センター」がおすすめできると考えています。
参考お家の保険相談センター……外壁塗装の相談もできます
手数料率は39.8%ですが、
- 運営歴が長い
- 実際の工事も依頼でき、現場の理解度が高い
といった点で、確実に保険金を請求できる点がポイントです。
塗装会社と本当に修繕したいか所を相談しながら、ムリのない火災保険請求をするのがベスト。テクニックやノウハウに頼った保険金請求は、一歩間違えれば詐欺的な行為に手を染めてしまう危険もありますので、良識の範囲内で請求するようにしましょう。
すべてを自分でやる場合はそれなりに大変
請求方法自体は損害保険会社に電話をすれば教えてもらえます。
ただし、難しいのは被害か所の特定です。
風水害の被害か所は屋根や高所に多く、どうしてもはしごをかけて登る必要があります。慣れない高所作業は危険ですし、道具の精度も違います。
同じはしごでも、ホームセンターで買ったものとプロが使うものは安定度が違うので、かなり慎重な作業が必要になってきます。
この点はくれぐれも注意して対応してください。
保険申請の流れをおさらい。自分で申請する流れ
事前準備・保険会社連絡
保険証を用意し、事故の発生場所や日時の特定。写真撮影。修理先業者の特定などを行い保険会社に連絡します。
保険会社との打合わせ
規模によってはこの時点で保険会社からのヒアリングがあり、現場を確認しにくる可能性があります。
保険金請求資料の作成・提出
以下の必要書類を用意して、保険会社に提出します。
- 保険金請求書
- 修理見積書
- 罹災物件写真
- 住民票
- 印鑑証明書
- 建物登記簿謄本
- 支払先確認書
- 事故届書
状況によっては他の書類が必要になる場合もあります。また詳しくは各保険会社に連絡をして確認し、書類一式を用意する必要があります。
一番注意したいのは「詐欺業者」
今、関係者が神経をとがらせているのが「火災保険請求詐欺」。独立行政法人国民生活センターも、一般社団法人日本損害保険協会も、それぞれ注意喚起を行っています。
これは日本損害保険協会が作成した動画ですが、よくある詐欺の手口は、訪問販売で突然訪れて「火災保険でリフォーム費用が全額出る」と、工事を勧誘するといった内容。動画では一応ピカピカに直っていますが、実際には手抜き工事を前提としているケースも多いといわれます。
また、以下は国民生活センターの注意喚起ページですが、現在はトップページからリンクされています。国民生活センターでも、かなり重要視していることがうかがえます。
国民生活センターによると、「『保険金が使える』と勧誘する住宅修理サービスに関する相談が急増」しているそうです。
ただし国民生活センターが絶対正しいわけでもない
国民生活センターの記事には「申請サポート会社に頼らずとも、保険金の請求は加入者自身で行えます」と書かれていますが、そうでもないのが悩ましいところです。
冒頭で紹介した「火災・盗難保険金は出ないのがフツー」という本にも描かれているとおり、損保会社は基本的にお金を出したがりません。
このように気の弱い相手であれば支払いを拒否してきますし、高額になればなるほどその傾向が強まります。
特に知識がないお客さんには、情報を隠したり、出るものも出ないといいくるめたり……といったことは十分考えられるでしょう。
また、だからこそ申請サポートという業種が生まれてきたのだといえます。
ベストな対応は知識ある塗装業者と相談すること
今回取材したN-TRUSTさんのような優良塗装会社は「塗装工事を発注してもらうなら、お礼にボランティアで協力しますよ」というスタンスです。
なので、詐欺的な請求の片棒を担いだりはしませんし、むちゃな保険金請求は勧めてきません。むしろ正当な保険金請求をサポートしてくれて、お客さんの知識を補ってくれるという役割を担います。
これなら、国民生活センターがいう詐欺的な手口とはまったく違う、正当な顧客サポートといえるでしょう。
やはり……
- 正当な保険金請求を心がける
- 経験豊富な優良塗装会社とタッグを組む
という方法が最善ではないかと思います。
優良塗装店を探すには、N-TRUSTさんも登録している外壁塗装パートナーズを利用してみてください。
外壁塗装パートナーズ|公式サイト
日本で唯一、建築士が運営する外壁塗装査定サイトなので、火災保険対応に関する相談なども可能です。
今回の取材協力会社
今回も、私たちが信頼を寄せる塗装会社のN-TRUSTさんに取材をお願いし、記事を構成しました。大阪南部で外壁塗装を考えている方には、自信を持っておすすめします。当社事務所や、個人の自宅もお願いし、納得のいく施工・アフターサービスを評価しています。
株式会社N-TRUST
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