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買主が決まっている不動産の仲介手数料は通常の「半額」をめやすに

買主が決まっている不動産売却の仲介手数料は、いくらが妥当でしょうか? 決まった相場はありませんが、約10年間不動産会社を経営した感覚でいえば「通常の半額くらい」がめやすになるでしょう。

ここでは売買が決まった後で仲介に入ってもらうケースについて解説しています。

しかし、以下のような注意点があります。

  1. 大手仲介業者では手数料値引きに応じてもらえないかも
  2. 中小業者の中でしっかりと書類を作れる会社を探すことがキモ
  3. 仲介業者は買主からも手数料を受領できる点に注意

この記事で詳しく解説しますが、大手仲介業者は格安での仲介業務を引き受けてくれないので、中小業者に依頼することになるでしょう。

目標は「格安で、しっかりと物件調査を行い、間違いのない書類を作成する業者」を探すこと。そこさえ解決できれば、無駄な手数料を払わずに、安心して売買契約を完了できます。

この記事では不動産仲介手数料の仕組みから、押さえておきたい基礎知識を解説していきます。

ポイント

「いっそ仲介業者抜きで契約しよう」ということもできますが、その場合、住宅ローンを組めません。融資に際して銀行は「宅建業者(不動産業者)が作成した重要事項説明書と契約書を提出してください」と要求する場合が多いからです。

仲介手数料を「半額」にする2つの方法

冒頭で「買主が決まっている不動産の仲介手数料を見積るとしたら通常の半額程度が妥当」という相場観をお伝えしました。

物件価格通常の手数料半額の場合
1000万円税込396,000円198,000円
2000万円税込726,000円363,000円
3000万円税込1,056,000円528,000円

決して安い金額ではないので、できれば仲介手数料を値引きしてほしいと考えるのは当然です。

しかし、大手仲介業者はめったに仲介手数料を割引きしてくれません。立派な事務所ビルを維持することを考えたら、それもしかたがないことでしょう。

一方で「手数料を値引きしてくれればどんな業者でもいい」というわけではありません。

後で解説しますが、不動産仲介業者の仕事はかなり重大な内容を含んでおり、物件調査や契約書類作成には知識や経験が求められます。

そこで、業者探しには以下の2つの方法を試してみてください。とにかく、手数料の値引きに応じてくれて仕事もきっちりこなす業者を探すことがキモになります。

司法書士に不動産業者を紹介してもらう

司法書士の仕事
司法書士の仕事

不動産の売買では、登記申請を担当する司法書士は欠かせない存在です。

信頼できる司法書士がいる場合は、その司法書士さんに「安心して依頼できて、仲介手数料も融通がきく宅建業者さんはいませんか?」と尋ねてみてください。

一般に司法書士は不動産業者から仕事を回してもらうことが多く、複数の不動産業者と付き合いがあります。

その中から「ここならお勧めできる」という業者をあげてもらえれば、かなり安心できるでしょう。

もし信頼できる司法書士がいない場合は、不動産一括査定を利用して、複数の不動産業者を比較するのがおすすめです。

不動産一括査定サイトを利用するコツ

不動産業者を探すとき、駅前の不動産業者に飛び込みで相談に行ってみる手もあります。しかし、さすがに効率が悪いので、イエウールやリガイドといった不動産一括査定サイトの利用が定着しつつあります。

以下は、私が不動産業者の立場で実際に利用した経験がある一括査定サイトです。

都市部であれば不動産一括査定サイトをひとつ利用するだけで、複数の仲介業者から連絡をもらえることがほとんどです。しかし地方部では、対応業者数が1件だったり0件だったりすることがあります。

南大阪でもほとんどの一括査定サイトで「登録業者が1~2件」という状況です。栃木県宇都宮市でも同様でした。

不動産一括査定を利用してみて「対応業者数が少なすぎる」と感じた場合は、面倒でも複数のサイトを利用してみてください。最低でも3社程度の仲介業者とコンタクトを取りたいからです。

その上で、最もしっかりした仲介業者を選び「買主は決まっているので契約書等の作成以降お願いしたい。ついては仲介手数料半額程度でお願いできないか」と聞いてみてください。

おそらく2~3社に1社くらいは仲介手数料の減額に応じてくれるはずです。

実際に南大阪エリアで不動産一括査定サイトを利用して自社マンションを売却した時のレビュー記事もあります。

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仲介業者を入れない取引にひそむ危険

不動産仲介業者を入れずに不動産売買契約を締結すれば、仲介手数料はゼロ円です。金銭的にはそれがもっとも有利な契約の進め方といえるでしょう。

また、そういった取引も可能です。しかし、以下のような危険がひそんでいる点は注意が必要です。

自分で物件調査や契約書類の作成をする必要がある

仲介業者が入らなければ、重要事項説明書の作成は不要です。しかし、実際には重要事項説明書が作成できるレベルの物件調査を行わなければ、紛争に発展する危険があります。

特に注意したいのは、

  • 建築基準法や都市計画法の制限を調査して建築可否を確認
  • 土地境界を確認し、越境等がないか見ておく
  • ある程度適正価格で売買しないと贈与税が課税される可能性も

しっかりした仲介業者に依頼すれば、こういった危険は避けられます。

では、仲介手数料に含まれている業務の範囲を具体的に見てみましょう。

仲介手数料に含まれるものと取引のしくみ

ざっくり言うと不動産仲介業者の仕事すべてが仲介手数料の範囲内で行われています。

具体的に見ていくと、仲介業者は以下のように幅広い業務を行っています。

  • 不動産の調査(物件調査)
  • 広告と買主の募集
  • 重要事項説明書や契約書の作成
  • 司法書士等の手配を含む売買契約の段取り
  • 銀行とのやり取りや書類提出
  • それらの仕事に法的責任を負う

中でも危険性が高く経験が必要なのが不動産の物件調査です。再建築が可能かどうかといった重大な問題も含まれるため、一般の人が自信を持って物件調査を完了することは簡単ではありません。

不動産仲介手数料早見表と速算法

不動産業者は業務を行うことで、以下の金額を上限とした仲介手数料を受領できます。

国道交通省が定める限度額
売買価格 仲介手数料
200万円以下の部分につき 売買価格の5%+消費税
200万円超400万円以下の部分につき 売買価格の4%+消費税
400万円超の部分につき 売買価格の3%+消費税

この表を簡単に計算できるようにした計算式を「速算法」と呼びます。

速算法

物件の価格×3%+6万円+税

よく「不動産の仲介手数料は物件価格の3%」といわれますが、それはこの速算法をさらにざっくりと丸めたものです。

不動産の物件価格が400万円を下回る場合はこの速算法で計算することはできません。

ここで仲介手数料のイメージをつかむために、もう一度冒頭の表を見てみましょう。

仲介手数料の額
物件価格通常の手数料半額の場合
1000万円税込396,000円198,000円
2000万円税込726,000円363,000円
3000万円税込1,056,000円528,000円

つまり3000万円の取引を行うと考えた場合、仲介手数料を半額にすることで約50万円の節約になります。

不動産仲介手数料の「上限」とは?

仲介手数料をどうして半額にできるのか、というと法律で定められた仲介手数料の金額は「上限」だからです。

一般的に不動産仲介会社は法律の上限額の仲介手数料を、自社の規定の金額としています。

仲介手数料は不動産業者のほとんど唯一の収入ですから、簡単に値引きする判断はできません。しかし、理由があれば半額にすることも可能です。

仲介手数料「半額程度」が妥当と考える理由

広告費や人件費が不要=半額にできる

ここまで、不動産仲介手数料の仕組みや、仲介手数料に含まれるものを見てきました。

不動産業者は幅広い業務を担当し、それらすべてが仲介手数料でまかなわれていることがわかります。では、買主が決まっている不動産の売買仲介であれば、何が必要で何が省けるかを整理してみましょう。

省略できる業務・できない業務
不動産の調査(物件調査)省けない
広告と買主の募集省ける
重要事項説明書や契約書の作成省けない
司法書士等の手配を含む売買契約の段取り省けない
銀行とのやり取りや書類提出省けない

こうしてみると責任が重大な(万が一ミスがあれば損害賠償にもつながりかねない)調査業務や契約の段取りは省略できないことがわかります。

一方で、費用と人件費がかかる広告募集や販売の営業については省略できます。また、本来成功報酬である不動産の仲介手数料が確実に手に入ることも勘案するべきでしょう。

そこから、仲介手数料半額程度であれば引き受けてもよい、と考える仲介業者は見つかるはずです。

ただし仲介手数料の金額は各不動産会社の経営判断になります。ケースバイケースで交渉していく必要があります。

不動産業者は買主からも仲介手数料を受領できる

不動産の仲介業者は、法律上、売り主と買い主の双方から仲介手数料を受領することができます。

この点に注意して、あらかじめ「買主からの手数料をどうするか?」を決めておく必要があります。

「買主は仲介手数料をいっさい払わない」ということであれば、仲介業者の立場でも業務を引き受けにくい可能性があるため、いくら支払うのかを事前に打ち合わせしておきましょう。

フドマガ
フドマガ
「売主買主ともに仲介手数料半額を支払うから、契約締結業務以降をお願いしたい」と言われれば、引き受けてもいいかなと感じます。

まとめ:安全かつ格安に不動産の個人売買を行うコツ

ここまで見てきたように不動産の仲介手数料は取引価格の3%+6万円+税という計算式で算出できます。

しかしこれは法律が定める上限の金額です。

そこで、買主が決まっている不動産の売却にかかる仲介業務であれば手数料の値引き交渉をしてみてもいいでしょう。

その際に決まった金額や相場といったものはありませんが、約10年間不動産業者を経営してきた肌感覚では「半額程度であれば許容範囲」だと感じます。

しかし誰もが名前を知っているような大手不動産仲介業者は、なかなか値引きに応じてくれません。

そこで、まずは次のような方法を試してみてください。

  1. 司法書士に不動産業者を紹介してもらう
  2. 不動産一括査定サイトで複数業者を比較する

司法書士の知り合いがいれば、一番安心できます。そういうつてがない場合は、不動産一括査定サイトが便利です。

以下は、筆者が不動産業者として実際に利用してきた不動産一括査サイトです。地域密着型の業者を見つけるのに適しています。

不動産一括査定サイトを利用すると、プロの価格査定書を送ってもらうことができます。これは参考になるので、一読しておいて損はないでしょう。

市場の相場とかけ離れた価格で不動産を取引した場合、贈与税が課税されるなど、思わぬ不利益を被る心配もあります。

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