「沖縄移住なんて最悪ですよ!」
沖縄に住み始めて3年が経とうとしていた頃、筆者は道の駅ぎのざで、南国には珍しくジャケットを着た男性から話しかけられました。
その男性は筆者を観光客だと思ったようで、2年ほど前に沖縄に引っ越してからのネガティブな経験をひとしきり語り、どこかへと消えていきました。
筆者は「この人は沖縄に暮らす資格がなかったんだな」と思いながら、その男性を見送りました。
沖縄移住には成功と失敗、2つの道があります。
筆者の体験から言えるのは、残念ながら失敗する人が9割程度で、沖縄での生活が素晴らしいと感じる人は1割程度だということです。
この記事では、沖縄移住の成功と失敗の現実について探ってみましょう。
沖縄移住の失敗要因(こんな点に要注意)
沖縄で失敗する人の特徴を1つに絞るなら、それは「知的好奇心や探究心が乏しいこと」です。
例えば「沖縄そばはまずい」と言う人がいますが、沖縄そばには美味しい店もあれば、まずい店もあります。
探究心を持って調べれば、素晴らしい沖縄そば店を見つけることができるでしょう。
また、沖縄料理店は日本全国で受け入れられており、最近では東京や大阪でも増加傾向にあります。
沖縄に住みながらもおいしい沖縄料理店を見つけられないとしたら、かなり能力に問題がありそうです。
こんな風に、沖縄移住に失敗する人に、どこか探究心が不足しているように感じます。
沖縄での仕事探しは確かに難しいが不可能ではない
沖縄での仕事が不足していると不平を言う人は多いですが、一方で資格を持つ看護師や歯科医師などは、沖縄で充実した生活を送っています。
沖縄での仕事が不足していると嘆くのは、自身のスキル不足をアピールしているだけかもしれません。
資格や特別なスキルがなくても、起業してそれなりの成果を上げている人もいます。そして筆者も、そのひとりです。
沖縄の文化や沖縄の人になじめない
筆者は沖縄の文化を非常に興味深いと感じています。
一方、沖縄の歴史や文化になじめないというのは、そもそも沖縄文化に興味がなかったということではないでしょうか? そういうことであれば、そもそも移住はやめておいたほうがよかったかもしれません。
また、「沖縄の人になじめない」「沖縄の人にはもうかかわりたくない」という人がいます。
でも、Gacktさんや、安室奈美恵さんや、仲間由紀恵さんにもなじめないと感じ、かかわりたくないと思うでしょうか?
おそらく「沖縄の人」という大きな話にしてしまっているだけで、住んだ場所の近隣住民になじめなかったということでしょう。
少なくとも沖縄に13年住んで、筆者は、沖縄の人全体になじめないことはあり得ないと感じます。
湿度100%の日もあります
確かに、沖縄の湿度は非常に高いです。沖縄に持って行った革ジャンは最初の梅雨でカビだらけになり、捨てざるを得ませんでした。
なんとなく、洋服は高い順にカビが生えていくような気がします。
自動車にも、緑色の藻のようなものがはえてきたりします。
でも、だからこそ南の島なわけです。湿度が東京や大阪と同じだったら、移住する意味がありません。
沖縄の夏は確かに蒸し暑いですが、これに耐えられない可能性がある場合は、最初から移住しなければ問題も起きません。
沖縄の高温多湿な環境は、琉球と沖縄の歴史を形成したバックボーンです。
沖縄移住の成功条件は「技術と好奇心」
筆者の友人や知人の中に、沖縄移住に成功した人が何人もいます。彼らには成功したという自覚がないかもしれませんが、おそらく沖縄との相性は良いと感じているでしょう。
そんな沖縄移住成功組の中から、何人かご紹介しましょう。
コミュニティアパートを建て、地元の新聞に連載を持つ人
元々ホテルマンだったMさんは、沖縄に溶け込んだライフスタイルを貫いています。
沖縄の文化を愛し、サバニ(沖縄独特の漁船)や海人文化についての博物館で理事を務め、様々なイベントに参加し、面白いプロジェクトを手伝っています。
最近では沖縄本島南部にエコアパートを建設し、それが新聞に取り上げられ、今では新聞に連載を持っています。
沖縄の文化を楽しむことが、成功のカギだと感じさせてくれる人です。
沖縄の歴史に深く学び、市役所で働く人
東洋史に興味を持っていたその人は、沖縄の歴史に惹かれ、沖縄への移住後、市役所の教育委員会で沖縄の歴史に関わる仕事に就きました。
彼女は地元のおじい、おばあから昔の風俗について聞き取り調査を行い、教育委員会の資料を編纂しました。
なぜかうちなーぐち(沖縄方言)も聞き取れます。
彼女もまた、沖縄の文化に深く興味を持ち、日々を楽しんでいます。沖縄への移住が成功だったか否かという感覚は、彼女には存在しないでしょう。むしろ、毎日を楽しんで過ごしているはずです。
各地を転々とし、沖縄で成功したカメラマン
沖縄の文化や歴史に特別な興味を持たない人でも、好奇心があれば沖縄への移住は成功することがあります。
ある撮影機材会社の社長は、各地を転々とし、沖縄に定着。たまたま中国製の撮影機材を輸入販売する仕事で成功を収めました。
彼は地元の人々との交流は少ないようですが、沖縄の広告代理店や芸能プロダクションなど、沖縄の業界関係者との交流は深く、地元社会に溶け込んでいます。
彼も内地に帰る気配はありません。
沖縄移住が最悪だという人はそもそも来るべきでなかっただけ
年々、多くの人が沖縄へ移住していますが、内地に帰る人も多いのが現状です。
長期間沖縄で暮らし、地元の人々と共に過ごすのはほんの一握りです。
沖縄への移住が最悪だと感じて内地に帰る人もたくさんいますが、そういう人たちは、実際には沖縄に暮らす資格がなかったのかも知れません。
あなたが沖縄を選ぶ前に、沖縄があなたを選ぶかどうかを考えてから行動するべきでしょう。
例えばファイナンシャルフィールドの記事によると、2019年に沖縄県に転入した人口は2万8917人で、転出した人口は2万8222人でした。転入超過数はわずか695人で、ここからも沖縄移住後に定着する人が少ないことがわかります。
13年の経験から沖縄移住をガイドした記事もあります
13年間の沖縄暮らしを元に、沖縄移住が成功するコツを幅広くまとめた記事もおすすめです。
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それでも確かにある沖縄移住のデメリット
筆者は沖縄に13年以上住んで一時地元に戻り、将来的に必ず沖縄に戻るつもりです。しかしそれでも、沖縄移住には確かにいくつかのデメリットがあると感じます。以下は筆者が個人的に経験した沖縄移住のデメリットです。
お金に対するルーズさ。筆者も回収できないお金が数十万円ある
筆者は沖縄で会社を経営していましたが、お金にルーズな人が多く、頻繁に請負代金を前借りする人もいました。前借りしたお金を持ってどこかへ消えてしまい、二度と筆者の前に現れない人もいます。いまだに回収できていないお金が数十万円あるものの、それで沖縄移住が失敗だったとか、嫌だったとかは一切感じません。
内地とは違う独特の文化
沖縄移住2~3年目の頃、地元の人たちと糸満市の公設市場で酒を飲んでいると、某与党の国会議員が現れました。
議員さんは「沖縄はどうですか、暮らしやすいですか?」と聞いてきました。
筆者は「沖縄は暮らしやすい」と答えましたが、続けて「ただ思うのは、ここは日本か琉球か……今も、そんな気がします」という思いでした。
議員さんは苦笑いして「そうですね。そういわれれば」と答えました。
沖縄移住を検討している方に伝えたいことは、沖縄は日本でありながら、かつては日本ではなく独立国の琉球王国であったこと、そしてその独自の文化を受け継いでいることです。
沖縄移住が最悪だと感じて内地に帰ってしまう人たちは、日本と沖縄の歴史を軽視していた可能性が高いでしょう。
沖縄方言は紀元7世紀頃に、日本語の本流から枝分かれした言語とされており、長い間独自の進化を遂げてきました。
日本と沖縄は互いに関係しながらも独立した歴史があるため、その歴史に敬意を払い、興味を持つことが必要です。
その敬意や興味がなければ、せっかくの文化を理解できないままに終わってしまうでしょう。
もちろん沖縄の人は「ここは日本」と思っています。
まとめ「観光気分で移住するならやめとこう」
最後にまとめると、沖縄移住においては、沖縄の歴史や文化に対する好奇心、またはどこでも食べていける仕事のスキル、そのいずれかがあることが重要です。
これらの要素が欠けている場合や、観光気分での移住は避けた方が良いでしょう。
ただ、筆者の個人的な感想としては「沖縄移住はすばらしい」と考えています。
別に沖縄の人は閉鎖的じゃないですし、ていねいに接してくれますよ。