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市街化調整区域の土地は買わない方がいい? メリットもデメリットもあります

筆者は、市街化調整区域の不動産を得意とする会社を経営していました。その経験から、一部の市街化調整区域の土地は、購入する価値があると考えています。

市街化調整区域にある土地や一戸建ての中には、ごく一部ですが「これはぜひ買いたい」と思えるお宝物件も存在します。

しかし、市街化調整区域にある不動産の多くは、購入を控えた方がいいでしょう。

この記事では、まず市街化調整区域にある不動産を選ぶ際のポイントを解説し、次に市街化調整区域のメリットとデメリットを比較していきます。

市街化調整区域内であっても買うべき物件とは?

市街化調整区域にも、ぜひ購入を検討したい優良な不動産があります。しかし、逆に購入を避けた方が良い物件も少なくありません。

市街化調整区域は広い面積を占めており、地域によって状況が異なるためです。

そこで、まず最初に、市街化調整区域の不動産を購入する際にチェックしておくべきポイントを解説していきます。

市街化調整区域の不動産はお買い得?

市街化調整区域の土地や一戸建ては、一般的にお買い得なのでしょうか? その答えを知るためには、市街化調整区域の土地の価格に関する特徴を押さえることが重要です。

  1. 市街化区域内の土地に比べ、安く購入できる
  2. 将来性が乏しく、値下がりのリスクが大きい

つまり、市場での人気が低く、将来性が期待できないため、安く購入できるという傾向があります。

ただし、エリアによっては将来的に価値が下がりにくいケースもあります。そういった例についても、この記事で詳しく解説していきます。

値段だけで決めるのはNG

不動産のポータルサイトを眺めていて、「これは安い」と思う土地や一戸建てが見つかる場合があります。その物件が市街化調整区域内にある場合、値段だけで決めずにじっくりと検討する必要があります。

まず、将来もインフラが維持されるかどうかが重要な注意点です。

人口が減少していくエリアであれば、バス便が減少したり、スーパーなどの店舗がなくなったり、近くの病院が市街地に移転してしまうかもしれません。

そこで、購入前に人口動態を確認しておいてください。人口動態に関しては、以下の資料を参考にするのがおすすめです。

このレポートによると、多くの地方自治体が2050年までに消滅する可能性があり、危機的な状況にあります。

PDFの13ページ以降には、各自治体の自立可能性や消滅のリスクが記載されています。オレンジ色の自治体は自立して存続する可能性が高く、水色の自治体は消滅のリスクが高いと色分けされています。

例えば、東京都の檜原村や奥多摩町、大阪府の泉南市や富田林市などが人口減少にさらされ、存続の危機に瀕すると予測されています。

一方で、沖縄県の自治体はほとんどが黄色またはオレンジで、消滅のリスクが少ないとされています。

市街化調整区域の不動産を購入する際は、このようなデータを参考にし、慎重に検討することが大切です。

価格を含めて気に入った物件があれば買ってもOK

市街化調整区域内の不動産には、インフラの整備が将来的に行われなくなり、住みづらくなるリスクを考慮した上でも、価格を含めて魅力的な物件が存在します。

運良くそのような物件を見つけた場合、市街化調整区域内の不動産を購入しても、少なくとも金銭的には問題がないと筆者は考えています。

たとえその不動産の価値が半額や4分の1に下がったとしても、資産価値がゼロになるわけではありません。

一方、賃貸で住み続けた場合、資産価値は必ずゼロです。その点を踏まえた上で、購入を検討する価値があると判断できる場合は、市街化調整区域の不動産を積極的に検討しても良いでしょう。

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自然が豊かな環境を重視する人には魅力

市街化調整区域は、元々、農地や自然を残すために設定されたエリアであるため、自然環境を重視し、緑豊かな場所で暮らしたいと考える方には適した選択肢です。

例えば、東京23区内には市街化調整区域はほとんどありません。自然が少ない23区内を離れたい場合、周辺自治体の市街化調整区域を狙ってみるのもいいでしょう。

あきる野市や埼玉県富士見市、三芳町、新座市、越谷市、千葉県八千代市などには市街化調整区域が多く、23区内とは異なる環境での生活が可能です。

大阪の場合、隣接する奈良県には市街化調整区域が多く、和泉市や貝塚市の一部、泉南市などにも市街化調整区域に指定されたエリアが多くあります。

市街化調整区域の物件は将来性について心配

市街化調整区域の不動産を購入する際の問題点として、将来性の低さが挙げられます。

特に、やがて介護やケアが必要になる高齢層に対して、市街化調整区域の物件はおすすめできません。将来利便性が上がるとは考えにくいからです。

一方、若い世代であれば、格安の市街化調整区域の不動産に住みつつ、資産運用や貯蓄を通じて将来の備えを行うことができます。そうした蓄えを利用して、老後は駅近マンションなどへの引っ越しも検討できるでしょう。

そのため、筆者としては、自然の中で子育てをしたり、自分の時間を大切に暮らしたいと考える若い世代には、市街化調整区域も選択肢になり得ると考えます。

そもそも市街化調整区域とは?調査方法は?

市街化調整区域は、都市計画法の第7条3項に定められています。

法律では、「市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする」と規定されています。

つまり、市街化調整区域とは、無秩序な市街化を防ぎ、計画的な市街化を進めるために定められた区域のことなのです。農地や自然を守るという目的の他に、道路や水道などのインフラ整備にかかる予算を、市街化区域に集中させる狙いもあります。

そのため、市街化調整区域では、原則として住宅を建てることはできません。しかし、法律は、例外的に一部の開発行為が認めています。つまり、市街化調整区域であっても、一定の条件を満たせば住宅の建築が可能となる場合もあるわけです。

市街化区域と市街化調整区域の他に、どちらにも入っていない「非線引き区域」という区域もあります。

市街化調整区域にも家を建てられる制度とは?

市街化調整区域内で住宅を建築できる条件として、多くの人が関心を持つのはマイホームを建てられるケースでしょう。マイホーム建築が可能になる主な条件としては、以下の2つが挙げられます。

  • 既存宅地
  • 線引き前宅地
  • 自己用住宅の立地緩和区域(大規模既存宅地など)

既存宅地制度とは、旧都市計画法43条1項6号に定められていた制度で、都市計画法施行時点で宅地だった土地であって、市街化区域に隣接する地域内にあり、おおむね50戸以上の建物が連担していることなどを条件に、自己用住宅の建築を認めるものでした。

この制度は平成13年に廃止されていますが、都道府県によっては独自の条例で既存宅地制度に類似した制度を維持している場合もあります。

また、平成13年の廃止前に既存宅地の確認がなされている土地については、現在も建築が可能です。この点については、市町村役場で確認できます。

一方、線引き前宅地とは、都市計画法が施行され、都市計画区域に編入された際に、地目が宅地だった土地を指します。線引き前宅地も、一定の条件を満たせば建築が認められる制度です。

最後に、自己用住宅の立地緩和区域ですが、これは主に沖縄県で見られる制度です。市街化調整区域内にある大規模な集落(概ね住宅が50戸以上連なっている規模)について、そのエリアでのマイホーム建築を認めるものです。

沖縄県の土地事情については、弊社がサイト設計から記事作成まで担当しているトーマ不動産様のオウンドメディアをご参照ください。

しかしながら、ここで紹介した特例措置は、自治体(特に都道府県)によって解釈や運用が異なります。市街化調整区域の物件購入や売却を検討する際は、そのエリアに詳しい不動産会社に相談することをおすすめします。

市街化調整区域の判定なら全国都市計画GISビューア

その土地が存在する場所が市街化区域なのか、市街化調整区域なのかを調べる時、今のところ最もおすすめなのが「全国都市計画GISビューア」です

上のリンクから全国都市計画GSFビューアを開いたら左サイドメニューの区域区分をチェックしてください。後は地図上で調べたい場所を拡大表示するだけです。

黄色に色分けされていたら市街化区域、灰色に色分けされていたら市街化調整区域です。

ログインしなくても使えるので、ログインボタンは気にしなくても大丈夫です

市街化調整区域に不動産を買うメリット

市街化調整区域内の不動産の購入を検討している方は、これから紹介するメリットとデメリットを理解した上で、本当に購入すべきかどうかを判断してください。

市街化調整区域内の物件には確かにメリットがありますが、デメリットも大きいため、それらを許容できるかどうかが重要なポイントになります。

まずはメリットから考えていきましょう。

周辺の都市計画区域より安く買える

市街化調整区域の土地は、周辺の都市計画区域内の物件に比べて価格が安いことが大半です。しかし、どれくらい安くなるかには幅があり、全ての物件が価格的にお得であるとは限りません。

市街化区域のすぐそばで利便性が高い土地の場合、市街化調整区域であっても劇的に安くなるわけではありません。一方、交通が不便で、マイカーがなければ暮らせないエリアなど、人気が低い立地の場合は、かなりお得な価格になることがあります。

市街化調整区域の不動産も需要と供給のバランスによって価格が決まるため、自分が許容できる不便さと価格のバランスを慎重に考える必要があります。

環境がよく自然に囲まれて暮らせる

自然環境に恵まれていることは、市街化調整区域の大きな魅力です。

筆者も市街化調整区域の土地や一戸建てを販売した経験がありますが、ゆったりした敷地や景観のよさを好むお客さんに買ってもらえました。

また、筆者の現在の自宅も市街化調整区域に隣接する市街化調整区域内にあり、周囲には自然が広がっています。

近くには「猪注意」の看板があり、季節によっては美しい花が咲き乱れます。散歩コースからは海が見え、遠くに淡路島が輝いて見えることもあります。大阪府内の自宅には、時折カブトムシが飛んでくることもあります。

こうした自然環境は、市街化調整区域ならではの魅力です。筆者の物件は市街化調整区域に囲まれた小さな市街化区域にありますが、逆に市街化区域に隣接した市街化調整区域も狙い目です。

固定資産税が安い

市街化調整区域内の土地は、固定資産税の評価額が低い傾向にあります。そのため、固定資産税が安いというメリットがあります。都市計画税に関してはそもそも非課税です。

建物については市町村の評価に基づくため、市街化区域でも市街化調整区域でも同じですが、土地の税金が安いことは、長期間住む上で大きな差になることがあります。

市街化調整区域に不動産を買うデメリット

市街化調整区域のメリットとして、不動産の価格が安いことや固定資産税が低いことがその理由のひとつでした。

しかし、安いのには理由があります。

そして、その理由こそが、市街化調整区域に不動産を買うデメリットといえるでしょう。ここでは、そのデメリットを具体的に見ていきます。

将来性があまりない(人口減少時代にまず人口が減少する)

市街化調整区域内の不動産でまず挙げられるデメリットは、将来性があまりなく、価格が下落しやすいという点です。

今後、日本の不動産市場では、3大都市圏や沖縄県など一部のエリアを除いて、全体的に価格が下落していくと予測されています。特に市街化調整区域内の土地は、その下落スピードが速い可能性があります。

購入を検討する際には、その点を考慮し、安易に「いつか売却しよう」という計画を立てるのは避けた方がいいでしょう。

いずれ売却するにしても、相当安く売却しても困らないようなプランを考えておく必要があります。

公共交通機関などの利便性は低い場合が多い

電車の駅前などは都市としてのインフラを整備するために都市計画区域に組み込まれます。逆に言えば、市街化調整区域内に電車の駅があることはほとんどありません。

また、人口が少ないため、バスの便も少なく、全体的に交通が不便なエリアが多いといえます。

ただし、市街化区域に隣接する市街化調整区域の場合、近くにバス停があったり、歩いて電車の駅にアクセスできることもあるかもしれません。

そのような土地は、市街化調整区域であっても劇的に安くはなりませんが、利便性を重視する場合には、こういった土地を狙ってみるのも一つの手です。

新築・建て替えに何らかの制限が付くことがある

市街化調整区域内でも自己用の住宅が建築できる制度がありますが、市街化区域に比べると制限が多く、希望通りの建物が建てられない可能性もあります。

例えば、アパート兼住宅や事務所兼住宅を建てたい場合は難しく、特にそのエリアに詳しい建築事務所や不動産会社に調査を依頼する必要があります。

また、市町村によって制度の運用が異なる点も注意が必要です。

例えば、既存宅地や線引き前宅地については、現在更地であっても建物の建築が可能な自治体もあれば、古い建物が残っている場合のみ建て替えが可能な自治体もあります。

市街化調整区域内での建築許可は、全国一律ではなく、事前に綿密な調査が必要となる点にも注意が必要です。

インフラはあまり整備されていない

筆者の経験上、市街化調整区域内には下水が整備されていないケースがよくあります。その場合、独自に浄化槽を設置し、浄化槽を通した排水を指定された側溝などに放出する必要があります。

特に不便な場所では、水道本管まで何百メートルも離れていたり、近くに電柱がなく電気の引き込みが難しいこともあります。

また、今後、日本のインフラは徐々にメンテナンスが厳しくなると予測されています。予算や人員の制約から、まずメンテナンスが行われなくなるのは、市街化調整区域内のインフラである可能性が高いでしょう。

その点も考慮し、それでも価格が魅力的だと判断できるかを慎重に検討する必要があります。

銀行によっては住宅ローンが通らない事もある

市街化調整区域内の不動産は、評価が低いことが特徴です。税金面では評価が低いことにメリットがありますが、住宅ローンを組む際には評価が低いため融資が通りにくいというデメリットがあります。

金融機関によっては、市街化調整区域内の不動産に対するローン付けに消極的なケースもあります。

そこで市街化調整区域の不動産を検討する際、事前に以下のツールを使って融資が可能かどうかをチェックしておいてください。

「モゲチェック」は、ほとんどのメガバンクやネットバンクと提携し、融資の可能性を正確に判断してくれます。銀行の広告費で運営されているため、ユーザーは無料で利用することができます。

また自分に借り入れ可能な金額(借入枠)や、どの銀行が有利なのかもAIが正確に分析してくれます。AIで解決できない場合には、金融に詳しい担当者がチャットで相談に応じてくれる点も安心です。

市街化調整区域の土地・建物を実際に買ってみたら

筆者は、不動産会社を経営する中で、市街化調整区域の土地や建物を何度か買取再販した経験があります。写真は、知り合いの土木工事業者から「資金が必要なので買い取ってほしい」と依頼され、購入した物件からの眺めです。

この土地は沖縄県糸満市真栄里にあり、周囲には豊かな緑が広がり、写真のように美しいオーシャンビューも楽しめる場所でした。結果的に、この土地は人気が高く、すぐに売却することができました。

このように、市街化調整区域であっても、魅力のある人気の高い土地であれば、短期間かつ高価格で売却することが可能です。

しかし、日本国内には市街化調整区域が約373万ヘクタールもあります。これは市街化区域の約2.6倍に相当し、非常に広いエリアで市街化が抑制されていることがわかります。

そのため、市街化調整区域にもさまざまな土地が存在し、一概に「市街化調整区域だから買ってはいけない」や「市街化調整区域でも買って構わない」と断言することはできません。最終的には、そのエリアの状況をしっかりと調査しないと、適切な判断は下せないのです。

市街化区域と市街化調整区域の面積などのデータは、以下のリンク先で確認できます。

まとめ「市街化調整区域の不動産はしっかり調査して買う」

市街化調整区域の不動産を買うべきか? 買わない方がいいのか?

その答えを出すためには、物件をしっかりと調査し、次のような項目を確認する必要があります。

  • その土地には家を建てられるか(再建築できるか)
  • 建てられるとしたら、何を建築できるのか

また、その場所の人口が将来どれくらい減少するのかも調べておき、市町村が消滅したりしないエリアを選ぶことが必要です。

そう考えると、不動産会社選びがカギを握るということがわかります。実は、市街化調整区

域に強い不動産会社はあまり多くないのです。

同時に、市街化調整区域の不動産はローン付けが難しいという特徴もあります。

そこで、ほとんど全てのメガバンクやネット銀行と提携する「モゲチェック」というサービスを利用して、融資が受けられるかどうかを確認しておくといいでしょう。

モゲチェックなら借入の可否をかなり正確に判定できます。また、予算は銀行の広告費から出ているため、ユーザーは無料で利用できます。

沖縄県内の市街化調整区域はトーマ不動産へ

沖縄県内の市街化調整区域であれば、弊社がサイト設計をお手伝いしているトーマ不動産に相談してください。

沖縄の市街化調整区域は、他の都道府県と異なる特徴が多く、地元で信頼性が高い不動産会社に相談する必要があります。その点、トーマ不動産なら県内の事情に詳しく、頼りになるはずです。

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