ネットにない非公開物件は確かに存在しますし、筆者は不動産業者として何度も非公開物件を買い付けました。
しかし、一般の人が非公開物件を見つけるには高いハードルがあります。
非公開物件を紹介してもらえない理由
- 不動産屋は仲のいい同業者にまず紹介するから
- 仲がよくなくても同業者なら支払いも取引の流れも確実だから
- 同業者なら重要事項説明を省略できるなど都合もいいから
つまり、不動産屋はネットに載せない非公開物件が出た場合、まず最初に同業者(不動産屋)に紹介したいわけです。
この記事では、不動産屋と戦って非公開物件情報を入手し、確実に購入するノウハウを解説していきます。
賃貸の非公開物件もあります
賃貸の非公開物件もありますが、事情が違っているので、記事後半で詳しく解説しています。
記事内でジャンプ:賃貸の非公開物件を探している人はこちら
ネットにない売買物件=非公開物件は本当に存在する!?
非公開物件は存在しますし、筆者は何度も購入しています。しかし、数が少なく、簡単に探すことはできません。
また、ネットにない非公開物件だからといって、すべていい物件とは限りません。
この記事の内容
- 非公開物件が出る仕組みと探し方
- 非公開物件の中で買うべき物件を判断するポイント
上記の2点を押さえておくことが、お買い得な非公開物件を購入するコツです。
ネットに載らない物件が存在するしくみ・非公開物件の種類
まず、ネットにない非公開物件が発生する理由・非公開物件の種類から押さえておきましょう。ここを理解すると、買うべき物件の傾向がわかります。
一般に不動産売却の仲介依頼を受けると、不動産業者はレインズ(REINS)に登録するなど、積極的に営業活動を行う義務を負います。
それなのに「非公開」とするには、次のような理由があります。
非公開になる2つの理由
- 売主都合
- 不動産屋都合
売主の事情の場合、ややこしいケースが多く、あっさりと購入できないかもしれません。筆者が経験したケースでは「相続人の一部が行方不明で所有権移転登記に時間がかかる」「離婚調停中で先行き不透明」といったケースがありました。
もちろん、不動産屋であればそれでも「安い」と判断できれば買い付けます。
一般の人がマイホームを買う場合でも、不動産屋なみの判断力が求められるでしょう。
不動産屋都合の場合は、問題なく購入できるケースが多い傾向があります。不動産の囲い込みを行っている事が多く、物件には問題がないからです。
ただし、価格がお得かどうかはケースバイケースです。
不動産の囲い込み行為とは? 対策方法を含めて徹底解説しています|関連記事
非公開物件の種類によってお買い得度が変わってくる?
非公開物件には以下のような種類があり、それぞれお買い得度が違っています。
非公開物件の種類
おすすめ度 | |
限定公開 | ★★ |
非公開 | ★★★ |
未公開 | ★ |
その他の理由による | ★★★ |
厳密な用語ではありませんが「限定公開」物件は、レインズ(REINS)にだけ掲載して、suumoやLIFULL HOME'Sのような不動産ポータルサイトには載せない物件です。
不動産屋が販売を独占したいというケースが多く、すぐに売れる「売れ筋」の物件が多い傾向があります。ここは押さえておいてもソンはありません。
「非公開物件」は、様々な手法でレインズにさえ載せない物件です。少し上で紹介した売主都合の物件などが含まれ、ラッキーなら激安物件が見つかる可能性があります。ただし、見つけるのには相当なノウハウがいります。
「未公開物件」は、単に「いま公開作業をしている」という物件で、近々ネット上に公開されます。
「その他の理由による非公開物件」には、難易度が高いがラッキーなら激安という物件が含まれます。たとえば任意売却物件の一部は非公開で流通します。これについては、記事後半で解説しています。
ポイント
未公開状態で「これから公開される」という物件には、特にお買い得なものが多い訳ではありません。狙うなら、限定公開、非公開のどちらかの物件がおすすめです。
レインズ(REINS)なしで非公開物件を見つける5つのコツ
全国の不動産業者が加盟する巨大データベースレインズ(REINS)には、すべての専任・専属専任媒介物件と多数の一般媒介物件が掲載されています。
不動産のプロはこのレインズを見て物件を探していますが、一般の人は閲覧できません。この時点ですでにハンディがあるのですが、レインズなしでプロと戦うノウハウもあります。
不動産屋の「自社サイト」を丹念に見ていく(事例付き)
写真は筆者が60万円で購入した事務所物件(外見は古民家風の一戸建て)です。suumo、HOME'S、ヤフー不動産などのポータルサイトには掲載されておらず、レインズにだけ掲載されていた物件です。
一応レインズも見ましたが、レインズなしでも発見できる方法があります。
それは、狙っているエリアを商圏としている不動産業者のホームページをかたっぱしから見ていく、という方法です。
限定公開でひっそりと販売活動をしている物件でも、多くの不動産業者は自社のサイトにだけ掲載する傾向があります。
実際、筆者の事務所物件も、業者のサイトにだけはひっそりと掲載されていました。
この「自社サイトにしか載せない物件」をていねいに拾っていくと、その中にお買い得な限定公開物件が見つかる可能性があります。
対象エリアを歩き「現地看板」を探してみる
数は少ないですが、ネットに不慣れなおじいちゃん不動産業者が、現地看板だけで商売しているケースも(一応)あります。
通常、そういうおじいちゃん業者は、知り合いの若い業者に「ネットに載せてよ」と依頼して掲載してもらいます。しかし、なかにはそれすらしていない物件もあります。
そこで、物件を買いたいエリアをくまなく歩いてみて、現地看板を探すという方法も有効です。
現地看板を見つけたらネット検索してみて、掲載されていなかったら電話で問い合わせる……という地道な作業を繰り返します。
無駄足になる可能性も高いですが、ラッキーなら激安物件を引き寄せられるかもしれません。
少なくとも、これくらいはやっておかないとプロの不動産屋に競り勝って、非公開の良物件を手に入れることはできません。
競売や任意売却のサポートができる不動産屋を探す
筆者は任意売却物件を50万円で購入し、約500万円で転売したことがあります。このようなイレギュラーな非公開物件こそがおいしい物件だといえます。
ところで……任意売却とはなんでしょうか?
競売という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。ざっくりいうと任意売却(任売)物件は、競売になる少し前の段階にある不動産をさします。
こういった物件を購入するには、それなりの準備が必要です。
イレギュラー物件入手のコツ
- 競売サポートができる不動産屋を味方につける
- もしくは任意売却に関する知識をしっかりと身につける
知識やツテがないと任意売却物件を見つけるのは難しいですが、その分お買い得な物件が見つかる可能性もあります。
公開される任意売却物件と非公開の任意売却物件
任意売却物件でも不動産屋がからむとネットに広告を掲載します(広告しない場合でもレインズには載せます)。
しかし、ときどき破産管財人の弁護士さんが自ら仕切っているケースがあり、その場合はネットに掲載されません。
任意売却について、詳しくは以下の記事を参照してください。
仲介を依頼する不動産業者については、競売物件の経験が豊富なところを選んでください。
不動産サイトを串刺し検索する「ニフティ不動産」を試してみる
suumo、HOME'S、ヤフー不動産などをすべて見ていくのは大変ですし、見落としが発生しがちです。
そこで、筆者は大手不動産ポータルサイトを串刺し検索できるニフティ不動産をよく利用します。
ここで見つかるのは非公開物件ではありませんが「一般物件の抜け漏れをなくす」という意味で、ダメ押しの検索をしておくことをおすすめします。
ニフティ不動産|公式サイト
個人売買サイトを利用してみる
さらにダメ押しのダメ押しで、家いちばなどの個人売買サイトを見ておくという手もあります。
筆者は、売主の立場で不動産の個人売買サイトを4つ試してみたことがあります。結論としては「家いちば以外、まったく役に立たない」でした。
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関連記事不動産の個人売買サイト4つを実際に使ってレビュー!使えるのは「家いちば」のみ
不動産の個人売買サイトはおもに4つ。実際に当社所有物件を売り出してみて、反響を集計しました。結論からいえば『家いちば』以 ...
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また、家いちばを買主の立場で利用する場合、500万円以上の「普通に居住用」という物件はおすすめしません。
片っ端から査定してみたのですが、むしろ割高な物件も多く、特に見るべきものはないという結果になりました。
もし家いちばを使うなら、100万円台以下の激安物件を狙ってください。
その中にもし「これなら買ってもいい」という物件があればラッキーくらいのスタンスがよいと思います。
ネットにない物件の「NGな探し方」をしていませんか?
不動産屋として何度も感じた「この人はいい物件を買えないな」というポイントがあります。これらに当てはまると、非公開物件の購入も成功しにくい可能性があります。
もし当てはまる場合は、ぜひ注意してください。
不動産屋に「探して」と丸投げするのはNG
これは非常によくあるケースですが、不動産屋に「ネットにない物件を紹介して」と頼む人がいます。
こういう人にお得な物件を紹介する業者はまずいません。なぜなら、記事冒頭で解説したように、不動産屋はすぐ売れるお得な物件は同業者に売りたいと考えているからです。
お金の支払いに問題がなく、プロ同士で売買契約をスムーズに完了できるのがその理由です。
見ず知らずの人に「ネットにない物件を紹介して」といわれて、お買い得な物件を紹介する理由はないですよね。
そこで、非公開物件を探す場合も、不動産屋に丸投げするのはNGです。とにかく、自分で主体的に探す必要があります。
なんとなくよさそうな空き家を見つけて買おうとするのはNG
これもよくあるケースです。不動産屋をしていると、お客さんから「ここにある空き家を買いたいんだけど、当たってもらえない?」と聞かれることがあります。
結論からいうと、実際に買える可能性はほぼゼロです。
なので、空き家の持ち主を調べて買い取り交渉をしてほしい、という依頼はすべて断ります。業務としての効率が悪すぎるからです。
もし自分で当たるとしたら、近所での聞き込みをおすすめします。
無料でできますし、近所のおばさんやおじさんの情報から、別の物件に行き着く可能性があるからです。
足を使わずラクに探そうとするのはNG
ここまでの話と重複しますが、ネットにない非公開物件を探す場合、自宅にいて電話だけで問い合わせても情報は入ってきません。
むしろ現地をくまなく歩き、多くの不動産屋にアポなしで訪問しまくるくらいでないと、本当にいい非公開物件を見つけることはできません。
何度も言うように、ライバルは不動産業者です。
プロに負けない、業務なみの努力をしないと絶対に勝てません。
非公開物件に過度な期待はNG
非公開物件といえば何でもバラ色の良物件ばかり!
と思っていると失敗します。非公開物件の中にも「買わない方がいい」という物件がたくさんあります。
「非公開物件」にこだわるよりも、公開・非公開の中から、しっかりと良物件を見極めるようにすることが大切です。
筆者は不動産屋として何度も物件の買い取りを行いましたが、ほとんどの場合公開物件を買い付けてきました。
あらゆる情報の中から、買うべき物件を見つけるようにしてください。
ライバルに勝って「いい非公開物件」を手に入れるコツ
非公開物件を買う場合のライバルは不動産業者であると述べました。不動産業者の強みは、以下の2点です。
あなたのライバルの強み
- 資金があり支払いが確実
- 不動産の知識があり契約がスムーズ
不動産業者の立場で考えると、同業者に売却すれば「確実で、ラクに取引できる」ということになります。
そこで、ライバルに勝つためには、自分自身も支払いが確実で契約の流れを知っている必要があります。
まずは住宅ローンを「いくら借りられるのか」知ることは絶対条件
早い者勝ちの非公開物件購入では、ローンが組めるかどうかわからない人はスタートラインにさえ立てません。
筆者であれば、少なくとも住宅ローンツールを利用して「自分に借り入れできる枠」を確認しておきます。
すべてのメガバンクやネット銀行と提携するモゲチェックというサービスを利用すれば、無料で「いくら借りられるか」「自分にとって最も有利な銀行・金利は?」といった点を確認できます。
モゲチェック |公式サイト
モゲチェックは不動産業者が顧客に勧めているケースも多く、比較的確実に「いくら借りられるか」を確認する手段として活用できます。
また、銀行が拠出する広告費で運営されているため、ユーザーは無料で利用できます。
物件が出たら、その日のうちに見に行く
ライバルは業務で不動産を買い付けています。当然、いい物件が出たらその日のうちに見に行きますし、買う・買わないの判断も素早く行います。
そのスピード感について行くために、とにかくフットワークを軽くし、物件が出たらその日のうちに見に行くようにしてください。
会社帰りでもいいですし、外からチェックするだけでも見ないよりずっと有利です。
相場を把握し、物件の価値をすぐに把握できるようにする
不動産屋は、はやければその日のうちに「この物件を買います」という返答をし、契約にもっていきます。
この点、アマチュアであっても早めの回答ができるように用意しておく必要があります。あらかじめ土地の相場を把握するなどの対策は必須になるでしょう。
買いたいエリアについて、少なくとも路線価などを見てざっくりと価格をつかんでおいてください。詳しくは以下の記事が参考になります。
自分でできる不動産査定。自宅や土地の大まかな値段を出す方法|関連記事
不動産売買の仕組みを知り、自信を持って判断する
不動産購入の申し込みは、一定の期間、一定の条件下で撤回が可能です。
そういった仕組みをしっかりと押さえておき、スピーディーに判断しながらも最悪のリスクを避ける必要があります。
以下の記事では、初めての不動産売買でも不安なく契約を進められる知識を解説しています。少なくともこういった点は押さえておくほうが有利です。
初めての不動産売却で心配な「流れ」を図解|関連記事
ネットにない賃貸物件を探す3つのコツと注意点
ここからは賃貸物件の「非公開物件」について解説していきます。
賃貸の場合、売買に比べて難易度は高くないかわりに、激安物件は少ない傾向があります。
また、売買では競売物件や任意売却物件などのいわくつき物件がありましたが、賃貸の場合はそういった込み入った事情がある物件はありません。
どちらかというと早めの動き出しで未公開物件を教えてもらい、格安の人気物件を探すことが中心になるでしょう。
賃貸でネットにない物件が存在する理由
ネットにない賃貸物件は、だいたい以下の2パターンに分類できます。
ネットにない賃貸物件の種類
まだ掲載していない物件 | 未公開物件 |
何らかの理由で公開しない | 非公開物件 |
「未公開物件」とは、これから公開する予定だがまだ公開していない状態の物件です。
売買物件の場合、まだ掲載していない「未公開物件」は比較的すぐにネット掲載されてしまいます。しかし、賃貸物件の場合は長時間「未公開」となる可能性があります。
たとえば、「入居者の退去が決まっているがしばらく先」「退去後の原状回復に時間がかかりそう」という理由でしばらく未公開状態となっているケースがあります。
「非公開物件」は、主に大家の都合でネットに載せたくない物件です。
たとえば大家さんが1階に住んでいて2階以上を貸している場合「確実な人だけ入居させたいから、ネットに載せずに紹介で決めてよ」といわれることもあります。
賃貸物件の場合、不動産屋の都合で非公開物件にすることはあまりありません。ただし、繁忙期などに、不動産屋が忙しすぎて「ネットに載せたいけどまだ載せられない」という事は時々あります。
マメに不動産屋の窓口に顔を出しておくと、そういった物件をいち早く紹介してもらえる可能性があります。
ネットにない非公開物件を探す方法
at home、CHINTAI、アパマンショップなどである程度感触をつかんだら、現地の不動産屋を回ってみるのが鉄則です。
いろいろな理由で非公開となっている物件でも、窓口では紹介してもらえる可能性があるからです。
またその際、以下のような点にも注意してください。
余裕をもって部屋探しをするのがベスト
賃貸物件を探すときは、ある程度早めのスタートが理想的です。
「このお部屋は3か月後に退去予定なので、その時期のお引っ越しでよければ案内できますよ」といったケースもあるからです。
ただし、居住中の物件は内覧できないので「退去したらすぐに確認して契約する」といった条件で押さえておくのが理想です。
また、動き出しがは早すぎると「すぐに契約してくれないなら、他の人に貸す」という話にもなりがちで、そのあたりのバランスも考えておく必要があります。
住みたいエリアを歩いて現地看板を探す
住みたいエリアが決まったら、不動産屋をまわるだけでなく、現地を歩いてみることもおすすめです。
アパートの空き室にかけられた「募集中」の看板を見て回り、よさそうならネットで確認し、場合によっては問い合わせをすると、意外に見落としていた物件に気づくことができます。
また、空きが多い物件であれば「思い切って価格交渉をしてみる」というのもいい方法です。
「イエプラ」などオンライン不動産サービスを使ってみる
賃貸不動産では、レインズ(REINS)の他に、ATBB(アットビービー)という不動産業者向けデータベースも利用されています。
一般の人は閲覧できませんが、オンライン不動産サービスの「イエプラ」などを利用することで、ATBBやレインズの物件を効率的に紹介してもらうことも可能です。
イエプラ|公式サイト
自分の足で現地を回ることに加えて、こういったオンラインサービスを押さえとして使うことで、抜け漏れのない物件探しができます。
まとめ:ネットにない非公開物件の探し方と注意点
ここまでの内容を、売買と賃貸に分けてまとめておきましょう。
売買の場合は、プロの不動産業者も非公開の格安物件を狙っています。プロがライバルとなるため、
- ローンが組めることを確実にしておき、資金面の不安をなくす
- プロと戦える知識を身につけて即決即断できるようにする
という2点に対策をしておく必要があります。
資金面ではすべてのメガバンクが加盟するモゲチェックを利用し「自分ならこれだけ借り入れができる」という借入枠を確定しておいてください。
モゲチェック |公式サイト
また、一例として、以下のようなセミナーを利用した知識のブラッシュアップも重要となります。
任売物件取得セミナー|公式サイト
賃貸の場合は、プロと競争する必要はないので、そこまでシビアではありません。ただ、ネットにない物件は足で探す必要があります。
なるべく早めに動き出し、できるだけ多くの不動産屋の店頭で「未公開のおすすめ物件はありますか?」と尋ねてみてください。
それに加えて、オンラインサービスの「イエプラ」などを使い、プロが使うATBBやレインズにしか載っていない物件を紹介してもらうようにします。
イエプラ|公式サイト
その両面で未公開物件を探すことで、抜け漏れのない物件探しが可能になります。