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不動産一括査定の注意点は「査定が不正確」なこと。その理由とおすすめ対処法を解説

初めての不動産売却で、不動産一括査定サイトを使いこなすのは非常に難しく「簡単におすすめしていいものではないな」と感じます。

筆者は、あえて一括査定サイトを利用して自社マンションを売却してみて「査定書に誤差が多くて信頼できないな」と感じたからです。

その上で、不動産一括査定の注意点をあげると、以下の3つが最も重要だといえるでしょう。

不動産一括査定の注意点

  1. 中小零細業者中心である(超大手業者は査定してくれない)
  2. 査定額は間違っている前提(実態より高い査定が多い)
  3. うたい文句に比べて対応業者が少なすぎる

こういった点に注意して、不動産一括査定をかしこく利用してください。

不動産一括査定の注意点(実際に使ってみてレビュー)

筆者が実際に査定依頼して確認したエリア

筆者は不動産業者として、長年不動産屋の立場で一括査定サイトを利用しました。それに加えて、実際に大阪府と栃木県で一括査定を利用してみた知見をフィードバックし、その実態と対処法をお伝えします。

一括査定のポイントは?

  1. 査定の信頼性は低い
  2. どちらかというと実態より高すぎる査定書が多い
  3. 大手業者に査定依頼できないのが残念

実際に一括査定サイトを利用し、査定依頼をしてどうなったか? その点は、以下の記事に詳しくまとめています。

ここから先は、重要なポイントに絞ってレポートします。

21世紀と思えない「手計算」の査定書が大半でがっかり

かなり雑な査定書も届きました

実際に一括査定依頼をかけてみて、最初にがっかりしたのは「手で計算してワードに打ち込んだ査定書」でした。

大手仲介業者であれば、信頼性の高い不動産価格査定システムを使用し、データに基づいた査定額を出してくれます。

筆者も、中小零細不動産会社を経営していましたが、それでも価格査定システムにはちゃんとお金を使い、それなりのものを使っていました。

それだけに、査定書が手計算というのは本気でがっかりしたポイントです。

フドマガ
フドマガ
そもそも計算さえしていない可能性も……。

査定額は全体に「実際より高め」で信用度は低い

相場から外れた高すぎる査定
明らかに、高すぎる査定書が多い

ちゃんとした不動産査定システムを使わず、手計算なので、査定額は大幅にぶれていました。

なおかつ「高ければユーザーが喜んで仲介を任せてくれるだろう」的な、根拠の薄い高額査定が多い点が気になりました。

もはやこうなると情弱ビジネスですが、筆者の査定額と大幅にずれているし、最近の売却事例ともずれている事例が大半です。

最低限「高い査定額にぬか喜びしない」という基礎知識は押さえておく必要があります。

売却力に疑問が残る中小零細企業が多かった

大阪府阪南市で実際にマンションを売り出した事例でも、栃木県宇都宮市で一戸建てを査定依頼した事例でも、対応してくれたのはすべて地場の中小業者でした。

中小業者の場合、実力に大きなバラつきがあります。

実際に会って話してみたのですが「ここは写真の撮り方もよく、期待できる」という会社と、「やる気がなく知識もないな」と感じる業者が混在しています。

業者の善し悪しを判断する知識が必要だ、と感じました。

実際査定依頼をしてみると、対応業者が少なく看板に偽りありと感じる

不動産一括査定サイトでは、だいたい「6社に査定依頼できるから高く売れる」など、多数の不動産業者に査定を依頼できる点をうたっています。

しかし、現実に対応していたのは以下の通りです。

大阪府阪南市で査定対応できた会社数

リガイド 3社
リビンマッチ 2社
マンションナビ 1社
イエイ 1社
イエウール 1社

田舎とはいえ、一応大阪府下です。対応業者が1社しかないマンションナビ、イエイ、イエウールは一括査定の意味がないと感じました。

その後の全国調査でも、あまり宣伝しておらず地味なリガイドの成績がよかったので、地方部で一括査定を利用するならまずリガイドがいいでしょう。

また、査定サイト1つでは足りない可能性があることを前提に、リビンマッチなどと併用するのがいいかもしれません。

「しつこい営業電話」がそれほど多くない点はよかった

一方、大阪でも栃木でも、心配したような営業電話はありませんでした。どの業者も必ず一度は電話をしてきましたが、それだけです(注1)。

中にはしつこい営業電話をかけてくる業者があるかもしれませんが、少なくとも大阪と栃木のケースでは1社もありませんでした。

今回の実験結果から、筆者は「しつこい営業電話」についてはそれほど心配はいらないと考えています。

注1……一度も電話してこない業者がいたら、それはそれで問題です。本当に所有者本人からの査定依頼なのかなど、一度電話をしておかないとわからないことがあるからです。

よくいわれるその他の注意点と対処方法

補足として、筆者が実際に査定依頼をしたときには問題なかったものの、一般的にいわれる「不動産一括査定の注意点」をまとめておきます。

不動産一括査定は不動産業者の集客のためにあるもので、私たちユーザーのためのものではありません。

そのためいくつかの問題点があります。

その点を押さえておき、上手に利用してください。

仲介を取りたい一心で実際より高い査定額を出す理屈

不動産一括査定サイトが儲かるのは、査定依頼情報を複数の不動産業者に「販売」
しているからです。

筆者の経験上、その額は1件あたり7500円から2万円ほど。1万5000円くらいがボリュームゾーンです。

不動産屋はそのお金を取り戻す必要があります。

不動産一括査定ウソ広告サンプル
よくあるウソ広告のパターン

そこで、手っ取り早く仲介を取るために「ユーザーの気を引く高い金額の査定書」を出すことが多くなってしまいました。

実態より高い査定額は、不動産屋がお金を取り戻すための手段のひとつです。

机上査定でも十分正確なので「訪問査定は原則不要」

訪問査定は原則不要

よく、机上査定は不正確で、正確な金額を知りたい場合は訪問査定にする必要がある……といわれます。

しかし、それは半分くらいウソです。

しっかりしたデータを集めれば、机上査定でもかなり正確な金額を出すことができます。特に、マンションや土地については十分正確な査定額が出せます。

一戸建ての場合は少し複雑ですが、それでも1割くらいの誤差で査定額を出せることが大半でしょう。

それなのに、「訪問査定がいい」と主張してくる理由は「対面で営業をかけたい」という下心のみです。

なので、原則として机上査定で問題ありません。マンションや土地なら、ひとまず机上査定一択です。

一戸建てでも、誤差があれば売出し時に調整すればいいだけです。

「その仲介業者に個人情報を提供していいの?」と考えると結構こわい

不動産一括査定サイトの運営元企業には上場企業が多く、コンプライアンス体制はしっかりしています。

しかし、入力した個人情報は、聞いたこともない中小零細の不動産屋に送られていきます

もちろん、大半の不動産業者は個人情報を適切に管理しているはずです。

しかし、安心していいのか? と考えると、100%安心とはいえないのが現状です。

物件の特性にあった強みを持つ業者を「選べない」

不動産一括査定は、そのエリアの登録業者を紹介してくれるサービス。「マンションが得意だからこの業者を紹介します」「市街化調整区域が得意だからこの業者を紹介します」という感じで、最適な業者を紹介してくれるわけではありません

自分の物件にふさわしい業者を見つけるのは、結局自分の役割です。

ただ、不動産一括査定サイトごとに得意ジャンルがあります。そこを押さえておくと、ある程度効率的な業者選びができます。

フドマガ
フドマガ
ただ近くの業者を紹介してくれるだけです。

自分の物件にふさわしい業者を見つけるのは、結局自分の役割です。

ただ、不動産一括査定サイトごとに得意ジャンルがあります。そこを押さえておくと、ある程度効率的な業者選びができます。

上記は筆者の経験に基づく個人の意見ではありますが、一定の参考になると思います。

注意点を踏まえて、失敗せず確実に不動産を売却するシンプルな知識

ここからは、不動産一括査定などを利用して、不動産業者に査定依頼をするときのノウハウをまとめます。

最低限ここだけは押さえたい! という、最重要ポイントです。

査定額は買い取り価格とは違う「単なる見込み額」

今話題のビッグモーターでも、査定額を出したら必ずその値段で買ってくれます。自動車の査定は「買取査定」だからです。

しかし、不動産の価格査定は「これくらいで売れそうです」という推定額に過ぎません。ほとんどの場合、実際に売れた価格と差が出ます。

これを混同している人がたまにいるのですが、絶対にダメです。しっかりと区別しておいてください。

都市部なら大手仲介業者のしっかりした査定書をとっておく

三井のリハウス店頭
三井のリハウス店頭

査定の精度は、使っている査定システムによって差が出ます。一般に大手仲介業者の方がしっかりした査定システム(査定ソフト)を使っており、データ的にも信頼できるケースが多いといえるでしょう。

特に、正確な価格査定を大きく打ち出している三井のリハウスは、査定の精度が高いことで知られています。

上記の公式サイトでも「査定の正確さ」をはっきりと打ち出しています

筆者の知る限り、特に儲かるわけでもない「査定の正確さ」を打ち出しているのは、三井不動産リアルティ(三井のリハウス)のみです。

地方なら「買取査定額」を出させて本音を引き出す裏ワザ

残念ながら大手仲介業者は都市部にしか対応していません。筆者の調査では、栃木県宇都宮市でさえ、対応可能な大手仲介業者がゼロでした。

そこで、地方の場合はどうしても不動産一括査定サイトを利用して査定依頼をすることになります。

その場合、売却査定と同時に「買取査定」も出してもらってください。

買取査定とは、自動車買取と同じく「当社で買い取るならこの価格です」という金額を出してもらうこと。一般に市価の0.7掛程度といわれています。安い場合は0.5掛けくらいの場合もあります。

買取査定を同時に出してもらうことで、仲介業者としては本音を伝えざるを得なくなります。

これはけっこうおすすめの裏ワザです。

不動産一括査定サイトの中では、リビンマッチが不動産買取に対応しています。

その他の査定サイトの場合は、備考欄などに「買取の場合の価格も出してほしい」というコメントをつけておいてください。

まとめと不動産売却を成功させるためのコツ

ここまでの話をまとめると、不動産一括査定はデータを入れたらポンと正しい答えが出る魔法のサービスではありません。

もちろん便利な面もありますが、基本的には中小零細の不動産業者が対応してくれるので、それを叩き台として、査定額などのデータを精査する必要があります。

また、実際に一括査定を利用してみると「査定額は不正確だ」ということがわかりました

この点に対処するために、信頼性の高い大手仲介業者の査定を取っておくことが役立ちます。とくに、正確な価格査定を打ち出している三井のリハウスの査定は信頼性が高く、おすすめできます。

ただし、大手仲介業者は都市部にしか対応していません。

もしご自分の不動産があるエリアが地方圏の場合、買取査定を出してもらうという裏ワザも使えます。

買取査定とは「もし御社で買い取るとしたら?」という金額を出してもらうこと。

これなら自動車の買取査定と同じく、「絶対その額で売れる」という価格がわかります。買取査定額は、大体市価の0.5掛け~0.7掛けくらいなので、そこから本来の相場価格を逆算することができます。

この場合、買取に正式対応しているリビンマッチや、地方圏に強いリガイドがおすすめです。

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