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不動産屋に家を売る「買取」のメリット・デメリットを全解説

この記事では、不動産屋に直接家を売る「買取」について説明します。しかしソンをしないためには、一般的な不動産流通形態である「仲介」との比較が必要です。

ざっくりいうと、「仲介」のほうが高く売れるが時間がかかり、「買取」のほうがはやく売れるが値段が安くなります。

それを押さえた上で、不動産買取のメリットとデメリットをしっかりと説明し、どのような場合に買取が向いているのかを考えます。

筆者は「原則として不動産買取はおすすめしない」と考えています。それでも限定的なケースでは、不動産買取が有利な場合もあります。

安易に買取をお願いするのではなく、デメリットを上回るメリットがある場合に限り、不動産買取を利用するようにしてください。

不動産屋に家を売る「不動産買取」と「仲介」の違い

不動産の売却方法には「買取」と「仲介」の2種類があります。

「買取」は不動産会社が直接物件を買い取る方法で、迅速な売却が可能ですが、売却価格は市場価格の5~7割程度になることが一般的です。

一方、「仲介」は不動産会社が買主を探して売買を仲介する方法で、売却価格が市場価格に近づく可能性がありますが、売却完了までに時間がかかることがあります。

不動産に家を売る「買取」とは?

不動産の買取は、上の図のようにユーザーから不動産を買い受け、付加価値を付けて再度市場に流すという形態です。

後で詳しく解説しますが、付加価値だけでなく、不動産会社の経費と利益が乗せられることになりますから「安く買わないと事業として成り立たない」という背景があります。

そこで「高価買い取りします」とうたっている業者であっても、それは単に「買取の割に高価」というにすぎず、市場価格から見たら「よくて7掛けか8掛け」レベルです。

買取と仲介の主な違い

買取と仲介の違いで最も大きいポイントは「買取ならプロが購入してくれる」という点です。

一般ユーザーであれば契約後にクレームがくるかもしれません。しかし、不動産会社(とくに大手)が買い取った場合、後々の心配はほぼ必要ありません。

小規模な不動産会社の中には、買取をした後にクレームを入れてくる事も考えられます。そこで、買取をお願いするなら大手不動産会社や地元で評判のいい不動産会社を選んでください。

不動産屋に家を売る「不動産買取」のメリット

筆者は、ぶっちゃけてしまうと「買取のメリットは1つしかない」と考えています。それは、すぐ現金化できるということです。

極論すれば、すぐ現金化したい場合は買取。それ以外は、買取でなく仲介で売却すべきだということです。

もう少し具体的に見ていきましょう。

短期間で現金化が可能

流動性が低い不動産を、はやければ2~3日でキャッシュにできる唯一の方法が、不動産屋に家などを売る「不動産買取」です。

事業を行っていたら、どうしてもすぐに資金が必要な場面はあります。そうでなくても、支払期限が迫っており「今すぐ資金が必要」というケースもあります。

そんな時の最終手段が、不動産の買取です。

後々クレームにつながる心配が少ない

すでに述べた通り、プロによる買取であれば、後から「思ってたのと違う」というクレームは来ません。

その点は、一般の人に売却する仲介よりも安心できるでしょう。

ただし、前提として信頼できる不動産会社を選ぶ必要があります。地元で安心して相談できる不動産会社の探し方は、以下の記事で解説しています。

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内覧対応などの手間が少ない

副産物に過ぎませんが、不動産屋に直接家を売るメリットとして「内覧対応が不要で、手間なく手放せる」という点もよくメリットとしてあげられます。

ただしこれは小さな問題で、本質とはいえないでしょう。

周囲に知られることなく売却可能

「買取なら不動産屋が即決してくれるので、周囲にばれることなく売却できる」というのも、買取のメリットとしてよくいわれるポイントです。

これも本質とは違う、ささいな問題でしょう。

どうせ売却が完了したら持ち主が変わり、周囲にバレるなら、最初から情報をオープンにして高く売る方が有利です。

不動産屋に家を売る「不動産買取」のデメリット

不動産買取のデメリットも、極論すると1つしかありません。「安くしか売れない」というのが最大のデメリットであり、究極のデメリットです。

逆にいえば、それ以外の論点はささいな問題です。

売却価格が市場価格より安くなる(最大のデメリット)

取得時の価格・諸費用¥10,796,000
リフォーム代¥3,000,000
合計(小計)¥13,796,000
販売価格¥16,000,000
概算利益¥2,204,000
利回り15.98%

上の表は、不動産屋が家を買取、再販するときのざっくりしたモデル収支です。

査定額1500万円の物件を買い取ってリフォームし、1600万円で販売した場合にいくら儲かるかを考えると、利回りはおよそ16%くらい。

実際には「床を剥がしたら根太が腐っていた」など、さまざまなリスク要因があるため収支は変動します。

また買い取る時に所有権移転費用や不動産取得税がかかりますし、他社紹介であれば仲介手数料もかかるため、経費部分が多い点に注意が必要です。

買取再販の場合は「通常の不動産流通に比べて諸費用が多くかかるため、あまり高く買い取ることはできない」ということなのです。

しかも、最低でも1~2割程度の利益をのせる必要があります。

そう考えると、不動産買取は絶対に安くなるということは間違いありません。

一般的な査定額の5掛けから7掛け程度と考えておいてください。

ちなみに査定額の7掛けだと不動産屋の収支はかなりキツいです。逆に5掛けを提示してくる業者は足元を見すぎだと思います。

所有権移転費用や不動産取得税については、物件によっては中間省略登記によって圧縮することができます。

一部悪徳業者には注意が必要

不動産買取において、よくある悪徳業者のパターンは2つです。

  1. 無知につけ込んで不当に安く買い叩く
  2. 主に老人を狙い訪問買取で激安に買い叩く

①のパターンは、金融くずれの不動産会社にありがちです。関連会社の街金から客を回してもらい、ものすごく安い価格で買い取るのが特徴です。

②のパターンは国民生活センターでも警告しています。独居老人の家などを訪問し「自宅を買い取らせてほしい」と言葉巧みにもちかけ、激安で買い取るという手口です。

この場合、クーリングオフできない点にも注意が必要です。詳しくは以下のページを参照してみてください。

いずれにせよ、こういった手口に対抗するには「まともな不動産会社に相談する」「ちゃんとした査定書を出してもらう」というのが一番です。

今はAIを利用して「その場で概算査定を出してくれる」サービスもあります。「今すぐ相場をつかんでおきたい」という場合は以下の記事を参照してみてください。

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不動産買取でデメリットを避けるノウハウ

不動産買取では、ある程度価格が安くなるのは仕方がありません。避けたいのは「不当に安く買い取られる」という事態です。

上の章で紹介したように、悪徳な買取業者は無知につけ込んで買い叩きます。

そこで、まずはちゃんとした価格査定書を取っておくことをおすすめします。査定額について最も信頼がおけるのは三井不動産リアルティ(三井のリハウス)なので、大都市圏ではリハウスを利用してください。

詳しくは以下の記事で解説しています。

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もう1社、筆者が注目しているのは住友不動産販売です。

住友不動産販売は「ステップオークション」という仕組みを用意しており、速く現金化したい場合に、1万社を超える買取業者から入札方式で価格を提示してもらうことができます。

これにより「足元を見られる」「買い叩かれる」といった心配をしなくてよくなるのは大きいメリットでしょう。

上記から、まずは価格査定を依頼してみて、仲介かステップオークションのどちらを選ぶか相談してください。

地方都市の場合は一括査定を上手に利用

地方都市等の場合、大手不動産会社は対応していません。そこで、地方の場合は不動産一括査定サイトを利用して、信頼性の高い地元不動産屋を探すことになります。

多くの不動産仲介業者は買取も行っていますし、自社で買取をしていない場合でも、信用のおける買取業者を紹介してもらえます。

なお、地元不動産屋の善し悪しを見分ける知識は以下の記事を参照してください。

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幅広く不動産会社を探すには、以下の記事を参照してみてください。

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買取と仲介どちらが向いているかの判断基準

買取と仲介の選び方は、極論すると一行で説明できます。

即現金化する必要があるなら買取で、3か月待てるなら仲介にしてください。

ここではその背景を含めて、わかりやすく解説していきます。

買取が向いているケース

買取が向いているのは「短期間で現金化したい」ケース一択です。

仲介の場合は買手を見つけた後の過程にも、1か月程度はかかります。買主が銀行との金銭消費貸借契約をまとめ、司法書士などの手配を付けていると、それくらいの時間はかかってしまうのです。

一方、買取であれば数日で現金化できます。

しかし、あまりに規模が小さい不動産会社の場合、不動産屋自身が銀行融資を利用する可能性があるので時間がかかります。

そこで、買取の時は大手不動産会社を選んでください。

大手・準大手不動産会社を探す場合は、以下の記事を参照してください。

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査定を依頼するときに、備考欄などに「買取の価格も同時に出してください」と記入してください。

一戸建てやマンションなら、どの不動産会社も買取価格を提示してくれるはずです。

仲介が向いているケース

現金化するまで一定期間待てる人が向いています。

一般に不動産の価格査定では「その物件が3か月程度で成約する相場の価格」を出します。そこで、3か月待てるなら仲介がいいといえます。

業界でもとくに短期で売却する傾向があるのが、三井不動産リアルティ(三井のリハウス)です。そこで「待てても3か月がギリギリだ」という場合は、リハウスに相談してください。

上記の公式サイトにもあるとおり、リハウスでは39%が1か月以内に成約、半数以上のケースで2か月以内に成約しています。

ただし、地方都市の場合、三井不動産リアルティのような超大手は対応していません。その場合は、NTTデータグループが運営するHOME4Uをおすすめします。

みずほ不動産販売、住友林業ホームサービス、三井住友トラスト不動産、三菱UFJ不動産販売などの大手・準大手が登録しているので、なるべくそういった会社に査定を依頼してください。

買取をオプションとして活用し「いいとこ取り」

「現金化を急ぐが多少待てる」という場合は、まず仲介で売出しながら、買取オプションの準備もしておいてください。

それを制度化しているのが、住友不動産販売の「ステップオークション」。仲介の以来と同時にオークション形式での買取も相談できます。

そこで、大都市圏ではまず住友不動産販売の価格査定をとっておき、仲介+ステップオークションで準備しておくのが正解です。

地方都市では準大手不動産会社もしくは地元不動産会社を利用することになりますが、その場合でも仲介+買取オプションで相談しておくのがおすすめです。

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高値買取を実現するための具体的な方法

実は「買取再販事業でいくら利益をのせるか」「いくら儲けたいのか」は、不動産会社によって大幅に違っています。そこで、まずは「複数の業者に査定(買取見積)を依頼する」というのが鉄則になります。

そのためには、やはり不動産一括査定サービスを活用するのがいいでしょう。

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その際、仲介の場合の査定額と、買取の場合の査定額がどれくらい違っているかも見ておいてください。その差が3~4割くらいが妥当で、2割だと良心的です。

信頼できる不動産会社を選ぶポイント

ここからは、誰もが知りたい「信頼できる不動産会社の探し方」を解説します。とくに「不動産買取」に絞るなら、ポイントは2つです。

「本当にその会社が買い取るのか」を確認

筆者が実際に見てきた不動産業者の中にも「買い取ります」と言いながら、実は自社で買い取るのではなく、知り合いの買取業者に仲介で流すところがありました。

  • 買い取る予算がない
  • 買い取って商品化するノウハウがない

そんな会社に売ってはいけません。

結局は「買取に見せかけた仲介」ですから、売却に時間がかかってしまい、なおかつ価格決定の理由も不透明になります。

時間をかけて格安で売るとすると、まったくいいところがないため、こういった業者には任せないようにしてください。

買取時には必ず「御社で買い取ってもらえるんですよね」と念を押しましょう。

「そのエリアのその物件種別が得意か」を確認

どの不動産会社も同じ物件が得意なわけではありません。また、エリアによる得手不得手もあります。

苦手な物件の買取だと、どうしても値段を下げざるを得ません。逆に、得意な物件であれば、少々高く買い取っても収支を合わせることができます。

そこで、過去の販売実績などを見て「そのエリアのその物件種別が得意か」は確認しておいてください。

最低でも、SUUMOやLIFULL HOME’Sなどのポータルサイトに「どんな物件の広告を出しているか」はチェックしてください。

「このエリアの同種の物件を上手に販売しているな」と確認できる会社に、買取を依頼すべきでしょう

訳ありの家を不動産屋に売るなら?

一般の不動産会社では、孤独死物件や再建築不可物件を高く買い取ることはできません。特殊清掃が入った孤独死物件などは、とくに「避けたい」と思う会社が大半でしょう。

こういったケースでは、訳あり物件専門の買取業者を利用するのがいいでしょう。

訳あり物件買取PROを運営するAlbalinkさんとは時々やりとりがありますが、相談ベースでの問い合わせも歓迎だそうです。

また、特殊清掃案件については「ぜひ紹介してください!!」と前のめりだったので、相談してみる価値は高いでしょう。

契約内容や条件の透明性をチェック

不動産買取において「業者買取だから、後々の紛争を心配せずに手放せますよ」といいながら、契約書で契約不適合責任を負わせる事例もあります。

そこで、不動産の買取の時は、契約書をよくよくチェックしてください。

  • 契約不適合責任は重すぎないか?
  • 「特約条項」に不利な項目はないか?

上記2点に気をつけながら、契約書に不利な点はないか確認してください。

ちなみに、不動産屋が家を買い取る場合には、重要事項説明書は作成しません。

【Q&A】不動産屋に家を売る時のFAQ

この章では、ここまで記事中で触れなかったが、知っておかないと危険なポイントを紹介していきます。

不動産の買取を実施する際、もし以下の質問に当てはまる場合は注意が必要です。

ローン中の家を不動産屋に売ることはできる?

ローン中の家でも買取は可能です。

ただし「買取金額でローンを全額返済できる」というのが条件になるでしょう。手持ち資金を加えてもかまいませんが、とにかくローンを全部返せることが前提です。

なぜかというと、銀行の抵当権が設定されたままでは、不動産屋も買うに買えないからです。

そして、抵当権を抹消するためには、ローンの全額を返済することが前提なのです。

古い家を不動産屋に売ることはできる?

古い家でも不動産会社に買ってもらうことは可能です。

ただし、不動産会社が買い取る場合は大規模なリフォームをして再販することになる点に注意が必要です。

不動産屋の目線で見ると「リフォームにいくらかかるか読めない」ということになるため、どうしても「安全を見て安い値段で買い取りたい」ということになります。

古い家の場合は、仲介での売却をメインに考え、どうしても急ぐ場合は買取にシフトするようにしてください。

悪質な不動産会社のリストはある?

一般人が名指しで「悪質不動産業者リスト」を作成すると、名誉毀損にあたる可能性があり、通常は見つけることができないでしょう。

しかし、国土交通省が処分を受けた不動産会社(宅建業者)のリストを公表しています。これは宅地建物取引業法にのっとって作成されたリストで、まずはこれを参照してみるのがいいでしょう。

詳しくは以下の記事で解説しています。

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まとめ「安心して不動産屋に家を売るコツ」

不動産屋に家を売る「買取」には、「迅速な現金化」や「トラブルが少ない」といったメリットがある一方、売却価格が「市場価格より大幅に低くなる」というデメリットも存在します。

そこで、以下のポイントを押さえておいてください。

買取と仲介の特徴を理解する

「買取」は短期間で現金化したい場合に向いていますが、売却価格は市場価格の5~7割程度が一般的です。一方「仲介」は時間がかかるものの、市場価格の範囲内での売却が可能です。

悪徳業者に注意する

無知につけ込み安く買い叩く業者や、訪問買取で高齢者を狙うケースも報告されています。信頼できる大手や評判のいい地元業者を選び、契約書の内容をよく確認することが必要です。

信頼できる業者を見極める

「自社での買取が可能か」「そのエリアや物件種別が得意か」を事前に確認しましょう。一括査定サービスを活用して、複数の業者から見積もりを取るのも有効です。

状況に応じた売却方法を選ぶ

「すぐに現金化が必要なら買取」「3か月待てるなら仲介」が基本的な選択肢です。

また、住友不動産販売の「ステップオークション」など、仲介と買取を組み合わせた方法も検討してください。

この記事の内容を理解すれば、安心して家を売るための適切な判断ができるようになります。信頼できる業者を選び、デメリットを回避しつつ最適な方法で売却を進めましょう。

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