「外壁塗装から営業トークにはいる業者には、詐欺まがいの会社が多いですね。」 外壁塗装業者のN-TRUSTさんを取材中、中村社長はそう断言しました。
富田林市の注意喚起
現在、あたかも市町村から外壁塗装の助成金が出るかのような広告が横行しており、対応に手を焼く多くの市町村が同様の注意書きを掲載しています。「助成金が出る」というウソ広告の目的は、もちろん高額な契約を取ることですから、絶対にダマされないでください。
この記事ではそれ以外にも、
といった外壁塗装詐欺のパターンを解説しています。
市町村によっては2~10万円程度の少額の助成金が出る場合があります。その点については、以下の記事で解説しています。
実は条件が厳しい補助金・助成金の正体とは?
2023年4月現在、国が定めた外壁塗装向けの助成金や補助金制度はありません。外壁塗装で助成金や補助金を狙うとすると、市町村の制度を利用することになります。
ところが、これがかなり使いにくい制度となっているのです。
なぜこれらの制度が使いにくいのかというと、そもそも補助される金額が上限でも10万円程度と非常に少ないこと(注)。さらに市町村の予算が限られているケースが多く、申し込める時期が限られることも理由のひとつ。その年度の初月にはもう定員に達していた、ということも珍しくありません。
このように使えない助成金・補助金を、いかにも簡単に使えるように語る営業トークは悪徳業者が好んで使います。
「助成金で安くなりますよ」
というトークで入ってきたら、その業者には警戒しましょう。助成金をメインに打ち出しているチラシやホームページも、疑ってかかるべきだといえます。
上限額を20万円に設定している市町村も存在しますが、かなり少数派です。
助成金は「ついでに狙う」のが正解!
ここまでで「助成金の正体」がわかりました。
外壁塗装の助成金とは、「省エネ改修などをする場合に、市町村によって最大で10万円程度の補助が出るが、出ない自治体のほうが多い」という制度です。
わざわざ助成金をメインに狙いに行くと時間がもったいないので「ついでに狙う!」というのがおすすめです。その場合、中抜きしているリフォーム会社ではなく、自社施工している「塗装店」に相談するのがおすすめです。
この記事作成のために取材したN-TRUSTさんも、地元の「塗装店」です。その市町村の助成金事情に詳しく、申請できるなら「ついでに出しておきましょう」という感じで協力してくれます。その際、中村社長も登録している「ヌリカエ」というサービスを利用するのがいいでしょう。
ヌリカエ|公式サイト
「ヌリカエ」に登録しているのは、すべて自社施工する塗装店なので、相見積もりをとりながら「助成金や火災保険対応はできますか?」と尋ねるのがいいでしょう。
助成金だけではなく、火災保険適用など外壁塗装を安くする、さまざまなノウハウも教えてもらえるはずです。
反響課金と成約課金の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
外壁塗装の詐欺業者が好むその他の手口は?
この章では、助成金詐欺だけではなく、悪徳詐欺業者が好むその他の手口を紹介しておきます。もし塗装業者から「助成金が使えるからウチで工事をさせてください」と言われている場合は、その他の詐欺業者シグナルにも注目してください。
「モニター」「キャンペーン」という用語は要注意
以下の記事でも解説をしていますが、外壁塗装工事は原価率が高く値引きできる範囲はかなり限られています。
そのため、マジメに営業している外壁塗装業者が大幅な値引きやキャンペーン価格を適用する余地はありません。
「モニター価格で施工できます」とか「キャンペーンで激安価格になっています」といった営業トークは非常に怪しいので注意してください。
向こうから「格安にします」と言ってきたら手抜きサイン
相見積りを取ったときに、最初から激安価格を提示してくる業者も疑ってください。これも同じ理由ですが、本来は塗装工事で大幅値引きをする事は不可能なはずです。
それなのに大幅値引きするという事は、どこかでコストダウンをしようという魂胆だといえます。例えば価格が安いウレタン系塗料やアクリル系の塗料を使って手抜き工事をしてくる可能性もありますし、3度塗りを2度塗りで済まそうとしているのかもしれません。
やたらと人を疑うのはよくないとは思いますが、しかし理屈の上で激安にする理由がない以上、激安で押してくる業者はどこかおかしいといえます。
訪問販売はそもそも施工内容としゃべっていることが違う
上記のような詐欺業者の特徴は、訪問販売の塗装業者の多くに当てはまります。訪問販売の業者は、そもそもトークの入り口が「この地域の施工実績を増やしたいので、モニター価格で激安で施工します。当社で行政の助成金も取りますよ」というもの。
予備知識なしにこういったセリフを聞かされたら「お得なんじゃないかな?」と思ってしまいますよね。
でもそれは全てウソです。まず行政の助成金を取れる時期は非常に限られています。例えば夏や秋頃にやって来て「行政の助成金が出る」と言っているようであれば、その時点で既に大ウソ確定です。
また「施工実績を増やしたいからモニター価格で工事を受ける」というのも、理屈で考えればありえない状況です。現在、塗装業者が工事を受注するルートは2つ。元請けから受注する(いわゆる下請け仕事)もしくはインターネットの見積りサイトを経由した工事の受注。それ以外に効率のよい受注ルートはありません。
インターネット全盛の時代に「エリアの施工実績を増やしたい」というのは理屈として成り立たないのです。
妙に安い価格が書かれたチラシも信用しない
インターネットでの情報普及とともにすたれてきましたが、激安のチラシで集客し、実際にはかなり高い価格で受注するというパターンもいまだに存在します。
新聞に折り込まれているチラシも信用できないことが多いですが、一番気をつけたいのはポストに直接投函されているチラシ。
余談になりますが、下水管の洗浄工事なども詐欺まがいのものが多いですから、絶対にポストに直接投函されたチラシを見て業者に電話する事は避けましょう。もしポスト投函されたチラシを見て「そういえば最近下水の高圧洗浄をしていないな」と思ったら、きちんとした業者に相談をするようにしてください。
外壁塗装にしても、下水管の洗浄にしても、悪徳業者は高齢世帯が多い、古い住宅地などを狙ってきます。昭和50年代ごろに開発された古い住宅地などを選んで重点的に詐欺チラシを配布していますから、該当する地域に住んでいる方は特に注意をしてください。
外壁塗装詐欺を防止するための「塗装業者選び」
この章ではN-TRUSTさんに取材をして教えてもらったポイントを中心に、詐欺業者を防止するための知識をリストアップしました。
結論を先取りすると、
- 見積りサイトなどをかしこく利用(ぼったくり防止)
- 自社施工している業者に発注する(手抜き工事防止)
といったポイントが最重要です。
インターネットの見積りサイトでぼったくり被害防止
中村社長も「訪問販売は確実にアウトですね」といい切ります。また、なんとなく近所の塗装店に連絡をしてみるというのもギャンブル的な行為です。その業者が良心的だったとしても、仕入れがヘタで塗料代が高いかもしれませんし、腕に問題があるかもしれません。
中村社長は「今は見積りサイトを利用する方が安全です」と説明してくれました。
記事冒頭でも紹介しましたが、N-TRUSTさんが参加している2つの見積りサイト「ヌリカエ」と「外壁パートナーズ」を推奨します。
ヌリカエは、2015年12月にリリースされた、優良リフォーム会社のみを無料で紹介してくれるサービスです。ポイントは、自社施工する塗装店のみを登録し、中抜きをしている集客会社を一切登録していない点です。
ヌリカエ|公式サイト
もうひとつおすすめなのは、外壁塗装パートナーズという見積サイト。昔から「自社施工する塗装店だけを紹介する」と明記しているのに加え、塗装会社がソンをしない「成約課金」という方法で運営しているからです。
外壁塗装パートナーズ|公式サイト
上記の見積りサイトを利用して相見積りを取ると、工事内容と金額が理解できます。その中に高額なぼったくり業者が紛れていたとしても、見分けることが可能です。
少なくともぼったくり被害は防げますし、助成金や保険適用についても、見積に来てくれた塗装業者に相談することができます。
塗装の資格を持っているか確認する
塗装の資格があるかないか、というのも確認をしておきたいポイントです。外壁塗装の見積りは必ず現場を確認してから作成します。現場に来てくれた塗装会社の担当さんに、どんな資格を持っているのか聞いてみてください。
一級塗装技能士などの資格を持っているようであれば、一定程度の能力とやる気があることが証明されます。本人がもっていなくても、会社に資格保持者がいるほうが信頼性が上がります。
中村社長も「資格そのものが重要というよりも、資格を取ろうという気持ちがあることが大切」と言います。塗装工事は資格がなくても、誰でもできるといえばできる工事です。それでも国家資格である塗装技能士を取ろうという前向きな気持ちは、仕事のスキルアップを目指している証拠になります。
「この塗料がいい」と1種類だけ推してくる業者は怪しい
「この塗料がいいからこれで塗りましょう」と1種類の塗料を推してくる業者は要注意です。
実際には現場の状況によってもベストな塗料は変わってきますし、本来はお客さんの予算と希望によって様々な塗料を使い分けることができる塗装業者が、腕のいい業者だといえます。
それなのに1種類の塗料を推してくるという事は、知識がないか、ダマそうとしているかのどちらかです。
塗装に対する熱意がなく、勉強していない業者は、メーカーから「これがいいよ」と言われた塗料だけを使っていることがあります。それとは別に、手抜き工事で余るなどして、大量在庫のある塗料を使いたいばかりに、それを推してくる業者もいます。
いずれにしても1種類の塗料を勧めてくる場合は注意してください。適材適所の塗料を使うという、塗装工事の原則から外れているからです。
自社施工していない業者は避けた方がよい
業界の仕組みが知られるにつれて、いわゆる営業会社が中抜きをして儲けているということが常識になってきました。
営業会社 | 顧客獲得・契約獲得に力を入れ、施工は下請けに丸投げ |
---|---|
施工店 | 自社で職人を育て、自社で施工している |
新聞にチラシを折り込んだり、チラシをポスティングしたり、広告をガンガン出しているような営業会社は、塗装工事を下請けや孫請けに外注しています。
そういった営業会社ではなく、自社できっちりと塗装工事を行う施工店に発注した方が、低価格で品質のよい工事をしてもらうことができます。
当サイトの他の記事でも、自社施工をしている塗装業者を選ぶことをおすすめしています。中村社長も「いいですよ」と評価している見積りサイトのヌリカエと外壁塗装パートナーズは、自社施工をする業者を中心に塗装業者を紹介してくれています。
ヌリカエ|公式サイト
こういったサイトを利用して、営業会社ではなく自社施工をしている施工店に発注するようにしてください。見積りを依頼するときも、自社でどこまで施工するか確認しておきましょう。
シール工事を外注するくらいならOKですが、下地調整や施工自体を外注している業者は避けた方が無難です。
なぜその下地をチョイスしたか答えられるか?
もう1つ、見積りのために現場を調査しに来た人に、絶対に尋ねたほうがいい質問は「なぜその下地をチョイスしたのか」です。
実は、外壁塗装のペンキ塗り自体はそこまで難しい技術を要するわけではありません。2~3年修業すれば、たいていは一人前に塗れるといわれています。
それに対して、下地を選ぶ目をもつことは難しく、人によっては何年修業しても一人前になれないそうです。千差万別でコンディションの違う現場の壁に、どのような下地工事をすべきなのか? その判断ができるまでには、相当な年月と経験が必要です。
それに加えて、どのような塗料をどれくらいの粘度で塗るべきなのかといった判断も、何年も修業してやっと理解できる奥が深いものです。
どんなに高価な塗料を塗ったとしても、下地や塗料の扱いが悪ければ、数年で剥離することもあり得ます。
そこで「なぜこの下地をチョイスするのですか?」という点は、ぜひ聞いておいてください。これに明確に返答できる業者なら、ある程度信頼してよいといえるでしょう。
本当に外壁塗装を安くお得にするには
ここまでに、以下の各項目を利用して外壁塗装を安くすることはおすすめできないと解説しました。
- 助成金・補助金
- モニター価格やキャンペーン価格
- 激安オファー
では、どうすれば本当に外壁塗装を安くできるのか? その点は以下の記事で解説しています。
ざっくりまとめると、史上最低金利が続く現在であれば、第一に住宅ローン借り換えによる金利圧縮を利用すべきです。
モゲチェック |公式サイト
もうひとつは、火災保険申請。ウソや詐欺はダメですが、外壁塗装をする時に高確率で火災保険が下りています。新築や前回塗装してから10~15年経過した住宅であれば、風水害に起因する外壁のダメージがあるケースが多く、平均で100万円ほど受給できているというデータもあります。
外壁塗装そのものは適正価格で発注し、コスト圧縮には住宅ローンの借り換えや受け取れる保険金をしっかり受け取る、といった方法で対処するのがおすすめです。
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ただし「火災保険で外壁リフォームができる」という営業トークで入ってくる詐欺業者も存在します。この点については、以下の記事で解説しています。
悪徳業者に注意しつつ、適法な申請を心がけてください。
外壁塗装で「手抜きされたらプロでもわからない!」
今回N-TRUSTさんを取材させてもらいましたが、インタビューでは以前から気になっていた事にも答えてもらえました。
「外壁塗装の手抜き工事、塗装のプロなら見破ることができるのか?」
その答えは「わかりません!」でした。
中村社長に聞いた「詐欺を防止する方法」とは
フドマガ 今回ぜひ聞きたかったのが、手抜き工事が完成してしまった場合、プロなら見抜けるのかどうかです。
N-TRUST わからないです! 例えばフッ素系塗料といいながら、安い塗料を塗られてもわからないです。
フドマガ ええっ! 何かわかる方法はないですか!?
N-TRUST それをわかってもらう方法として、うちがお客さんに出しているのは出荷証明ですね。ちゃんとこの塗料をこの缶数で出していますよ、というメーカーの証明書を取ることができます。平米数に対して必要な缶数は決まっていますから、ちゃんと3度塗りしているなということを証明できます。
フドマガ 出荷したぶんを全部塗らない悪徳業者は?
N-TRUST それをされたら厳しいですが、もうひとつ方法がありますね。中塗りと上塗りの色を変えてもらうという方法です。下塗りはもともと色が違うからわかりやすいのですが、通常は中塗りと上塗りの塗料は同じ色です。
そこをちょっと色分けしてもらうことで、確実に3度塗りしたなということを目で見て確認できます。これなら塗装が初めての人でも見分けることができますね。
フドマガ サラリーマンの方で日中作業を見られない場合は?
N-TRUST その場合は施工の写真を撮っておいてもらい、それを見せてもらうようにしましょう。それと、本当に3度塗りしていたとしても、乾燥時間がとれていないと施工としてはよくないです。その点も注意してください。
塗料によってインターバル時間というのが決まっているので、ちゃんとインターバルが取れているかも聞いておくべきでしょう。
ここまでしたら塗装業者も「この人は気をつけよう」と思うはずです。施工する職人も「この人はうるさいから手を抜いたらダメだな」と気をつけると思います。
中村社長おすすめの不正防止ポイント
- 出荷証明を出してもらおう
- 中塗りと上塗りの色を変えてもらおう
- 写真管理をしてもらいインターバルに気をつけよう
これくらいやっておけば、手抜き作業にあう確率をグンと減らすことができます。
取材協力
今回取材に応じてもらったN-TRUSTさんは、私が実際に何度か工事を発注して、信頼を寄せている会社です。大阪府堺市に事務所を構えており、大阪南部から、時には奈良方面まで対応可能です。関西方面で外壁塗装をお考えの方におすすめします。
株式会社N-TRUST
所在地: 〒592-8335 大阪府堺市西区西区浜寺石津町東2丁11-3
電話: 072-256-4371
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