弾き語りをしようとしたら、原曲のキーが低くて歌いにくい。あるいは、コード譜を開いたら押さえにくいコードばかりで弾けない……。
ウクレレを弾いていると、こんな場面にぶつかります。
こうしたときに役立つのが、カポ(カポタスト)です。ネックに取りつけるだけで、曲のキーを上げることも、弾くコードを押さえやすい形に置き換えることもできます。
弦が4本しかないウクレレは、ギターに比べて苦手なコード進行が多いので、カポの効果は大きいと私は考えています。
この記事では、カポの仕組みと2つの役割から、自分の声に合うカポ位置の決め方、ウクレレ用カポの選び方、邪魔に感じたときの対処法、カポに頼らない練習法までを順に解説します。弾きたい曲のコード進行を入れるだけで、カポ位置ごとの押さえ方がわかる「カポタスト&コード換算ナビ」の使い方も紹介します。
カポの仕組みと2つの役割

カポ(カポタスト)は、ギターやウクレレのネックに取りつけて使う小さな道具です。
役割は、ネックの上で4本の弦を同じフレットでまとめて押さえることです。ウクレレ用はクリップのように挟むタイプが一般的です。

フレット(指板に打たれた金属の仕切り)にカポをつけると、その位置が新しい「ナット」の役目をします。ナットはネック先端で弦を支えている部品で、何も押さえずに弾いたときの音の高さを決めています。

ナットの位置が先に進むぶん、弦の振動する部分が短くなり、鳴る音はすべて高くなります。上がり幅は1フレットにつき半音(ピアノの隣り合う鍵盤ひとつ分)です。
たとえばウクレレの開放弦(何も押さえない弦)はG・C・E・Aですが、2フレットにカポをつけるとA・D・F♯・Bに変わります。つける位置はフレットのすぐ手前(ヘッド側)が目安です。フレットから離れるほど、音がビビりやすくなります。

コード譜に「Capo 2」や「2カポ」と書かれていれば、2フレットにカポをつけるという意味です。つけたあとは、カポの位置を0フレットだと考えて、いつもどおりにコードを押さえます。

カポの役割は2種類
カポの役割は、大きく分けて次の2つです。
- 歌う音域に合わせる:原曲のキーが低くて歌いにくいときに、曲全体の高さを上げます。2フレットにカポをつければ、Cの押さえ方でD、Gの押さえ方でAの音が鳴ります。
- 弾きやすいコードに変える:曲の高さは変えず、指で押さえる形だけを変えます。B・E・F♯7で進む曲でも、2フレットにカポをつければA・D・E7の押さえ方で同じ音が出せます。
どちらも仕組みは同じで、鳴るコードは「押さえている形のコードから、カポのフレット数ぶん×半音上がったもの」になります。ただし、カポで音を下げることはできません。キーを下げたいときは、別の方法を使います(後の章で紹介します)。
私は、ウクレレでは2つ目の役割が大きいと考えています。理由は次の章でお話しします。
ウクレレの弱点とカポ活用のコツ
ウクレレの弦は4本だけです。手軽に弾ける反面、コードを弾く場面では弱点にもなります。私は、ギターに比べてウクレレは弾きにくいコード進行が多い楽器だと考えています。
ギターは弦が6本あるので、同じコードでも押さえ方の選択肢が豊富です。弦を何本か省いたり、開放弦(何も押さえない弦)を使った簡単な形に置き換えたりできます。ウクレレは4本すべてを使って鳴らすのが基本で、こうした逃げ道が少なくなります。♭や♯のついたコードが続く曲では、バレーコード(人差し指で複数の弦をまとめて押さえる形)や指を大きく広げるフォームになりやすく、初心者がつまずく原因になります。
調を変えずに弾くコードだけを変える
そこでカポが役立ちます。カポを使うと、曲の調(キー)はそのままで、実際に指で押さえるコードフォームだけを変えられます。
たとえば、原曲がEb - Bb - Cm - Bb - Abと進む曲があるとします。カポなしで弾くと、バレーコードや指の広がりが必要で、慣れないうちは難しい進行です。ここで3フレットにカポをつけると、C - G - Am - G - Fという初心者向けのフォームで、同じコードが鳴ります。

一方、曲全体を移調(キーを変えること)して弾きやすくする方法もあります。ただ、移調すると曲のキーが変わるので、歌う人の声や原曲の音源、ほかの楽器とキーが合わなくなる場合があります。
カポを使いこなすコツ
カポは高いフレットにつけるほど、使えるフレットが減って音域が狭くなります。一般的には、5フレットくらいまでを目安にするとよいでしょう。
もうひとつのコツは、カポ位置をひとつに決めつけないことです。同じ曲でも、2カポ、3カポ、4カポと変えれば、押さえるコードの形が変わります。いくつか比べて、自分がいちばん弾きやすい位置を選ぶのが近道です。
カポタスト&コード換算ナビの使い方
カポの位置ごとのコード進行比較を手計算でやるのは手間がかかります。そこでゆるレレでは、「カポタスト&コード換算ナビ」をつくりました。
使い方の3つの手順
まず、弾きたい曲のコード進行を入力します。すると、カポ位置ごとに「実際に押さえるコード」が一覧で表示されます。最後に、その中から自分が弾きやすい押さえ方になる位置を選べば完了です。

次の章では、歌うキーに合わせたカポ位置の決め方を解説します。
自分の音域に合うカポ位置の決め方
まず一曲を通して弾いてみて、メロディの最高音と最低音を、自分の声で出せるかを試すところから始めます。
無理があればカポでキーを上げるか、移調する事でキーを下げる必要があります(これは後述します)。
特に重視したいポイント
確認したいポイントはサビの最高音。サビの最高音が無理なく出るかどうかは、最初のチェックポイントです。
次に、Aメロ、Bメロの低音が低すぎないかをチェックします。
基本的には実際に歌いながら確認し、低音部分が低すぎて歌いにくい場合は、カポで少しずつキーを上げていきます。
とはいえ、迷う場合もあります。高音の歌いやすさをとると低音が歌いにくかったり、低音の歌いやすさをとると高音がうまくでなかったり……。そういう場合は、たとえばサビの盛り上がる部分など「聞かせたいところ」を重視してください。
カポは上げる道具で下げるなら別の方法が必要
カポでできるのはキーを上げることだけです。声に合わない理由別に、対処の考え方をまとめます。
| 声に合わない理由 | 対処の考え方 |
| 原曲が低くて歌いにくい | カポで上げる |
| 原曲が高すぎて出ない | カポでの対処は難しい。キーを下げ、すべてのコードを書き換えて、弾きやすい押さえ方を決める(後述) |
| 異性の曲を歌いたい | オクターブ下か上(同じ音名で1オクターブ低い・高い声)で歌う方法もあり |
異性の曲をカポで歌う場合、ギターに比べてウクレレはやや不利です。一般に、オクターブ上げて(または下げて)、そこから4カポないし5カポで歌う事が多いのですが、ウクレレの5カポはけっこうきついかもしれません。なので、ここは参考程度にとらえてください。
コードが押さえやすいカポの位置は?
歌うキーが決まったら、同じ音は複数のカポ位置とコードの形の組み合わせで作れます。たとえば、歌うキーがE♭の曲の場合は次の通りです。
| カポ位置 | 押さえる形(フォーム) |
| 1カポ | Dキーの形 |
| 3カポ | Cキーの形 |
| 5カポ | B♭キーの形 |
この中からどのフレットにカポをとりつけるか決める場合は、よく出てくるコードが押さえやすい(オープンコードで簡単に押さえられる)ポジションを探すのがセオリーです。
ただ、ギターと違ってウクレレの場合は、カポを付ける位置はできるだけ低い(1フレット寄りの)位置にしたいという制約もあります。
組み合わせを手作業で書き出すのは手間がかかるため、キー別の早見表を使う人も多いようです。
そこで、ゆるレレでは、どんなコード進行も一発で早見表にできる無料ツールを作りました。
ゆるレレの無料ツールがおすすめ
カポ位置とコードの換算は、ゆるレレの「カポタスト&コード換算ナビ」で一度に確認できます。 コード進行を入力すると、カポ位置ごとの押さえ方が並ぶので、いちばん弾きやすい組み合わせを見つけられます。
(ボタン:カポタスト&コード換算ナビを使ってみる)
このツールを使うと、たとえば「さよならエレジー」の原曲キーを一発変換できます。
原曲キー
Bbm - Ab Db - Gb - Gb
これはかなり弾きにくいので、1カポにスライダーを合わせて変換してみます。
1カポ
Am - G C - F - F
これなら、かなり弾きやすくなったはずです。カポを使うなら、ぜひこのツールを使いこなし、弾きやすいコードフォームで押さえられるカポ位置を探してください。
カポが要る人・要らない人
結論から書くと、ウクレレを長く楽しむつもりなら、カポはひとつ持っておいたほうがよいと私は考えています。ただし、弾き方によっては出番がほとんどない人もいます。ここでは、要る場面と要らない場面を分けて整理します。
カポがあると助かる場面
いちばん多いのは、弾き語り。自分の声に合うキーに上げたいときや、前の章で触れたように、弾きにくいコード進行を押さえやすい形に置き換えたいときに役立ちます。
次に、原曲の音源に合わせて弾きたいときです。バンドの曲などは、ウクレレでの伴奏を想定せずに、ボーカルの声域に合わせてキーが決まっています。そのため原曲のキーで弾こうとすると、押さえにくいコードが出てきやすくなります。耳コピ(音源を聴いてコードを探すこと)をするときも、馴染みのあるキーの形で探せるので、カポが役立つこともあります。ほかの人と合奏する場面も同様です。相手の楽器やボーカルのキーに合わせて、カポで調整する事もできます。
なくても困らない場面
ウクレレをソロで弾くだけなら、カポは不要かもしれません。ひとりで弾き語りをする場合も、押さえやすいキーで弾き、歌のほうを合わせれば、カポなしで成り立つという考え方もあります。
また、上達するにつれて、カポに頼らなくなる人もいます。難しいコードを押さえられるようになれば、カポで置き換える必要が減るからです。
迷ったら安いものをひとつ持っておく
それでも私がカポを勧めるのは、持っていて困ることがほとんどないからです。ウクレレ用なら、1,000円くらいから買えます(種類によって4,000〜5,000円くらいまで幅があります)。使わなければ、ケースに入れておくだけですみます。反対に、必要になったときに手元にないと、その曲は弾けないか、別のキーで弾くことになります。
そう考えると、安いものをひとつ持っておくといいと思っています。
ウクレレ用カポの選び方
カポ選びで、まず押さえておきたいのは「ウクレレ用を選ぶ」ことです。ギター用のカポは、弦の本数が多くネックも太いギターに合わせて作られているため、ウクレレにつけると締めつけが強すぎて、チューニングが狂いやすくなる場合があります。通販サイトで「ギター・ウクレレ兼用」と書かれていても、実際にはギター用の場合があるため、専用品を選ぶようにしてください。
また、カポには種類がいくつかありますが、ウクレレでよく目にするのは、大きく次の2つです。
- ゴム製:ゴムのバンドでネックに巻きつけるタイプ
- クリップ式:ネックを挟むタイプ(洗濯ばさみのような形)
私はゴム製が使いやすいと考えています
私は、旧来のゴム製のカポがよいと考えています。小さくて軽く、左手のじゃまになりにくいからです。ウクレレは指板が狭く、ネックも細いので、カポがじゃまになって弾きにくい事があります。その点、ゴム製のカポは小さくてじゃまになりにくい傾向があります。

ただし、安価なものは品質の差が大きく、弦を強く引っ張ってチューニングを狂わせたり、すぐ壊れたりするものもあります。1,000円以上をひとつの目安とするといいでしょう。
クリップ式は、取っ手が上に来るようにつける
クリップ式は、ワンタッチで着脱できるのが利点です。一方で、取っ手が飛び出した形になるため、つける向きによっては左手に当たって邪魔になります。
使うなら、取っ手が上(ヘッド側)に来るように装着するのがおすすめです。取っ手が下(ボディ側)に来ると、人差し指の付け根が当たってコードが押さえにくくなります。


使い勝手は好みによっても変わるので、最初の一本は安価なものから試して、物足りなければ買い替えるのでも十分です。
カポが邪魔なときの対処法
カポをつけると、左手の人差し指が当たって押さえにくい、と感じる人は少なくありません。ウクレレは指板が短く、人差し指の付け根がカポの近くまで来やすいので、ギターよりも邪魔に感じやすい楽器です。対処法は、大きく2種類あります。
方法① 旧来のゴム製のカポに変える
先ほど選び方の章でもお話ししたとおり、ゴム製のカポは小さくて軽く、左手の邪魔になりにくいのが特徴です。クリップ式で困っている場合は、取っ手が上に来る向きに付け直すだけでも改善することがありますが、それでも当たるなら、ゴム製への買い替えがいちばん手っ取り早い解決策です。
方法② カポを使わず移調する(無料ツールあり)
もうひとつは、カポ自体をやめて、曲のキーを自分で変えてしまう方法です。キーを変えることを移調といい、曲に出てくるコードを、そのキーに合わせてすべて置き換えます。
たとえば、Cのキーの曲をFのキーに上げる場合は、CをFに、GをCに、FをB♭に、というように、ルールに沿って一つずつ書き換えていきます。キーを下げたい場合も、同じ手順で書き換えられます。カポでは音を下げられないので、前の章で触れたとおり、キーを下げたいときは移調する必要があります。
とはいえ、コードを一つずつ手作業で書き換えるのは面倒です。そこでゆるレレでは、書き換えを簡単にする「移調円盤(キーチェンジャー)」を無料で配布しています。印刷して切り抜き、割りピンでとめるだけで作れます。使うときは、外側の円を元のキー、内側の円を移調したいキーに合わせます。あとは、外側のコードの下に書かれた内側のコードを読むだけです。

作り方と、ダウンロードはこちらの記事で紹介しています。
→ ウクレレでコードを簡単に移調する無料ツール(コード変換表)
移調で気をつけたいこと
移調には、カポと違う点が1つあります。曲の高さそのものが変わることです。自分の声に合わせたい場合は、これで問題ありません。ただ、原曲の音源に合わせて弾きたい場合や、ほかの人と合奏する場合は、キーが合わなくなってしまいます。
また、移調すると、コードの形が簡単になるとは限りません。弾きにくいコード進行を、キーを変えずに押さえやすい形に置き換えたいときは、やはりカポが向いています。移調で書き換えたあとにコードが難しくなってしまったら、別のキーを試すか、カポに戻すのも手です。
カポが邪魔に感じたときは、まずゴム製への変更、それでも合わなければ移調、と順番に試すのがおすすめです。
カポがなくても弾ける練習法
カポは便利な道具ですが、「カポがないと弾けない」という状態は、できれば避けたいところです。カポなしで弾けるコードが増えれば、選べるキーの幅が広がります。
カポは「あると便利な道具」くらいのポジションがいちばん。ここでは、カポに頼らずに弾けるようになるための練習法を紹介します。
基本のコードを確実にマスター
まず、よく使うコードを迷わず押さえられるようにすることが先決。ウクレレの楽譜では「基本」といってもBbなどのバレーコードは避けて通れませんから(キーFの楽譜で頻出します)、セーハのコツもマスターしてしまいましょう。
ゆるレレでは、最初に覚えたい基本のコードと練習曲を、次の記事にまとめています。また、コードの覚え方には、少ない形で多くのコードに応用できるコツもあります。
「カポあり・なし」両方を弾いてみる
弾きたい曲が難しい場合、最初はカポありで通して弾けるようにします。曲の流れをつかんだら、カポなしの本来のコード進行で弾いてみてください。
途中で止まってしまうコードがあれば、そこだけを取り出して練習します。できるようになったら、曲に戻して通して弾きます。この繰り返しで、1曲につき難しいコードをひとつずつ、無理なく減らしていけます。
独学で行き詰まったときは
とはいえ、独学で難しいのは、自分の押さえ方が合っているのか分かりにくいことです。音がビビる、どれかの弦が鳴らない等々……。原因が指の位置なのか、力の入れ方なのか、ひとりでは見当がつかないことがあります。
そんなときは、先生に教わるのもひとつの方法です。ゆるレレで紹介している古川先生のウクレレ講座は、コードの基本から弾き語り、ソロ弾きまでをていねいに解説しています。
DVDかスマホで受講でき、メールやLINEで何度でも質問できます。
この「何度でも質問できる」というのは大きなメリットなので、苦手な項目を克服するために、ぜひ最大限活用してください。
講座の評判や、初心者向けの注意点を先に確認したい方は、こちらの記事をどうぞ。



