ちょっとGoogleで検索すると「大人になって楽器を始める人がムカつきます」という意見がヒットしてしまいます。
記事内LINK問題の知恵袋の書き込み内容
でも! 楽器を始めていいのか迷う必要は一切ありません。
なぜなら最新の脳科学が「楽器演奏は脳機能の維持に効果がある」「認知症になりにくい」と証明していますし、クラシック以外のジャンルでは、大人になって楽器を始めたプロの演奏家もたくさんいるからです。
大人から楽器をはじめるなら、歌いながら伴奏(弾き語り)もできてソロ演奏もできるウクレレがぴったり。楽器経験がない人は、教材から高品質なウクレレまですべてそろったセットがおすすめです。
大人になって楽器を始める人にムカついた理由とは!?
この記事を書く原因となったネットの書き込みについて、かんたんにまとめておきます。
発端は数年前にYahoo!知恵袋に書き込まれた「大人になって楽器を始める人がムカつきます」という話ですが、ネットではその他にも定期的に、似たような話が上がってくるようです。
Yahoo!知恵袋の書き込みとコメントは?
話題となった最初の書き込みはこんな内容でした。
大人になって楽器を始める人がムカつきます。 絶対に上手くならないのになぜ始めるのでしょうか。 いっておきますが、楽器というのは人に聴かせても恥ずかしくないくらいまでは上手くならないと意味ありません。騒音以下です。 しかし大人になってから楽器を始めた人で上手い人はいません。 もちろん楽器によるでしょうが、有名な楽器(ピアノ、ギター、バイオリン等オーケストラでつかう楽器等々)は絶対に上手くなりません。 上手くなれたとしても幼少から始めた人の小学生低学年時代にすらおよびません。 大人になってからヘラヘラ楽器始める人が本当に嫌いです。
Yahoo!知恵袋
まとめると、
- 大人になって楽器を始めてもうまくならない
- 楽器は人に聴かせてはずかしくないレベルにならないと意味がない
という2点が主な主張のようです。
それに対して賛同する回答も多く「大人になってバイオリンを始めても五嶋みどりが小学生だったころのレベルに絶対到達しない」と、かなり偏った観点の意見も見受けられました。
五嶋みどりさんの名誉のために補足すると、彼女は音楽に触れる機会のない学生やコミュニティーの人々に音楽を届ける活動をしています。「大人から楽器を始める人がムカつく」とは言いそうにない方です。
むしろ「大人になって楽器を始めるべき!」と脳科学が証明
「楽器演奏をするほうが長生きできますよ」
と、東北大学の瀧靖之教授が発言しています。
- 音楽はリラックス状態を作り出しそれによって長生きできる
- しかも認知症のリスクを下げることが科学的に明らかになった
という趣旨の発言です。今までは、なんとなく「楽器演奏をすると脳にいいらしいよ」といわれてきたのですが、現在では脳科学がエビデンスをもってそれを証明しはじめています。
それだけではありません。楽器演奏はプロのようにたくさん行う必要もないのです。
「ある研究において、常に楽器を演奏しているプロ演奏家と、趣味程度で楽器に親しんでいる方の脳を比較したところ、実はそれほど脳年齢が変わらないという結果が出たんです(瀧教授)」ということなので、音楽は趣味程度でも十分脳によい! といえます。
楽器演奏が脳によい仕組みとは?
瀧教授によると、楽器演奏は脳のさまざまな部分を駆使して行い、そのために脳機能の維持・向上に役立つそうです。
楽譜を見るときは脳の視覚野を使い、書いてある音符を理解する時は言語野付近を使い、さらにそれを一時的に覚えるワーキングメモリーに蓄え、どこに楽器の鍵盤や指板があるかを把握する空間認識を行い、最終的に演奏する(巧緻運動)時に脳の運動野を使う……といった具合に、脳をフル活用する作業なのです。
そこで、実際に調査をしてみても、楽器を弾く人は弾かない人に比べて、脳の体積が大きく、考えたり判断する認知力が非常に若いということがわかっています。
大人になって楽器をはじめる事は脳の機能を維持・向上させ、健康を促進する。
むしろ「大人になって楽器を始めるべきだった!」ということを、最近の脳科学が明らかにしました。
大人からはじめるカンタンな楽器といえば?
「ちょっとした脳トレに楽器を弾いてみたい」と思ったら、こんな楽器がおすすめです。
- 価格が安くどこででも手に入る
- それなりにちゃんとした曲を演奏できる
- 苦労せずに教材が見つかる
このあたりを考えると、鍵盤ハーモニカ(ピアニカ)とウクレレが候補にあがります。
じつはこの2つの楽器、なみのおと音楽教室でもよく演奏していますし、YouTube動画にあげたりもしています。
このところ盛り上がっている「鍵盤ハーモニカ(鍵ハモ)」
ここしばらく、鍵盤ハーモニカでジャズを演奏したり、この動画のようにかっこよくセッションする人が増えています。
ヤマハやスズキといったメーカーも、大人向けの鍵ハモを販売しており、なかには4~5万円する商品もあります。
小学校で吹いたピアニカとは音もタッチも段違い。しかも、1万円くらいからいいものが手に入るので、かなりおすすめです。
上記はいずれもメーカーが大人のユーザーを意識して作っている楽器です。強いていえばスズキの音はクラリネット的な丸い感じで、ヤマハの音はサックス的なシャープさを感じます。
また、現在教則本がたくさん出版されており、レベル別に自分にあったものが選べます。まず最初の1冊としては、以下の本が丁寧でわかりやすいでしょう。
何でもできてカンタンな楽器「ウクレレ」
当社の調査では、ウクレレなら1か月で弾き語りができることがわかっています。
こんなに簡単でありながら、練習を続ければ難しい伴奏やソロ演奏も可能。そして、鍵盤ハーモニカとの合奏でも相性がいいのがウクレレの特徴です。
大人からはじめる場合は、ぜひ最短距離でうまくなれる通信講座(DVDセット)がおすすめです。とくに古川先生のDVD講座であれば徹底したサポートがあるので、楽器がまったくはじめてであっても安心です。
古川先生の初心者向けウクレレ講座|公式サイト
ウクレレを持っていない人は楽器セット、持っている人は楽器なしの方を選んでください。
ここからは、大人から楽器を始めたのにプロになった人たちについて解説します。
大人になって楽器を始めたのにめっちゃすごい人
「大人になって楽器を始める人がムカつきます」というYahoo!知恵袋や某巨大掲示板の書き込みは、クラシック音楽という、音楽のたった1つのジャンルについての発言でした。
では、ロックやジャズやポップスはどうかというと、大人から楽器を始めた人もけっこういます。
最も偉大なギタリスト2人は10代半ばでギターを始めた
This has gotta stop by E.Clapton
雑誌「ローリングストーン(Rolling Stone)」といえば、音楽を中心にカルチャーや政治を扱う米国の有名な雑誌です。
この「ローリング・ストーン」誌が選んだ最も偉大なギタリスト100人の1位はジミ・ヘンドリックスで、2位がエリック・クラプトン。ふたりとも初めて楽器を手にしたのは10代半ばのことでした。
クラプトンもけっこう大人になってからギターを手にして、自分の耳だけを頼りに上達していったのです。五嶋みどりもいいですが、自分の耳と感覚だけを頼りに、自身の音楽を切り開いたクラプトンの方が僕は好きです。
カシオペア BEYOND THE GALAXY
他にもカシオペアの野呂一生など、すごいギタリストの多くは、かなり大人になってから楽器を始めています。
ポピュラー音楽の世界では何歳で楽器を始めてもOK!
ジャズボーカリストのケイコ・リーさんは21歳でピアノを始め、一時はプロのピアニストとして演奏していました(現在はボーカリスト)。最近でもピアノの弾き語りをすることはあるようです。
Smoke Gets In Your Eyes featuring EXILE ATSUSHI
神聖かまってちゃんというバンドの元ベーシストちばぎんさんは、確か2009年にバンド加入する時点でベースを弾き始めたはずです。20代でいきなりベースを始めて即プロ活動をしていました。
神聖かまってちゃん「33才の夏休み」
ちばぎんさんはそれ以前に別のバンドでボーカルとギターを演奏していたので完全初心者ではありません。でもベースに関しては初心者即プロだったわけです。
ジョン・レノンの白いスタインウェイ
最後に紹介しておきたいのは、ジョン・レノンとピアノの関係。ジョンは高校時代にビートルズの前身となるバンドをスタートさせ、その頃からギターを弾いていました。子供のころからピアノに触ってはいたようですが、ちゃんと勉強したことはありません。
でも、ジョンは独学でピアノを学び「イマジン」「ハッピー・クリスマス(戦争は終った)」「マザー」などの名曲を、あの有名な白いスタインウェイのアップライトピアノで作曲しています。
結論として、大人になってから楽器を始めてもぜんぜん問題ないし、むしろ始めるべきだと断言できます。少なくとも「子どものうちから練習しないと五嶋みどりみたいな一流奏者になれない」といって楽器演奏をしていなかったら、ジミ・ヘンドリックスやエリック・クラプトンは存在しなかったことに……。
だから、ポピュラー音楽の世界では何歳から楽器を始めてもOKです。
大人になってから始める本格的な楽器といえば?
大人が「楽器を始めようかな」と思った時、どれを選べばいいの? というテーマは別記事で詳しく解説しています。
ざっくり答をいうと、人気度と手軽さを考慮して、
- ピアノ
- ギター
- ウクレレ
がおすすめ3トップ。とくに、誰もがムリなく始められるウクレレは「楽器演奏に自信がない」という人にもおすすめできます。
ウクレレの魅力と大人が始める時のおすすめ教材
ウクレレの魅力は「誰でも手にしたその日から、ちょっとした曲を演奏できてしまう」という手軽さです。
それなのに、極めようと思えばギターと変わらない高度な演奏もできてしまいます。
- 弾き語り(自分で演奏しながら歌う)
- ソロ弾き
- バンド演奏
と、ほぼ音楽の全ジャンルをカバーしており、最近ではウクレレだけで構成する「ウクレレオーケストラ」が全国各地で活動しています。
そんなウクレレを始めるなら、わかりやすい教材とメールやLINEで質問するとすべて回答してくれるフォロー態勢のよさが魅力のDVD講座がおすすめです。
古川先生の初心者向けウクレレ講座|公式サイト
この講座では、およそ3か月で弾き語りと、ソロ演奏の基本までマスターできます。
また、DVD講座・通信講座について、詳しくは以下の記事でとりあげています。
大人がピアノを始めるならなみのおと音楽教室も!
当社で運営しているなみのおと音楽教室では、対面・リモートいずれの方法でも、大人のピアノ初心者の方も練習できます。
現在3歳~81歳まで、さまざまな年齢の方が在籍していて「この曲が弾きたい」という希望があってピアノを始められた方もいらっしゃいます。
また、「ピアノをある程度習ってきたけど、アレンジ、作曲が学びたい」という大人の方にも対応しています。
なみのおと音楽教室|公式サイト
ピアノの先生で、コード奏法やアレンジを学びたいという方も在籍されています。
30日でギターをマスターする
アコギの弾き語りであれば「ある程度弾ける」レベルには1か月くらいで到達できます。ただし、練習方法が正しいことが前提です。
スーパーギタリストでありながら、長年ギターを教えている古川忠義先生の「30日でマスターするギター講座」なら、まったくの初心者が1か月で弾き語りできるまでのノウハウをていねいに教えてもらえます。
「ルージュの伝言」「空も飛べるはず」など有名な楽曲を題材に、ドレミを一切使わず、誰でも弾けるように工夫された教材で練習します。
古川先生のギター講座 |公式サイト
「若い頃ギターに挫折した」という人でも弾けるようになる工夫がたくさん。古川先生の経験から、絶対に弾けるようになる! というしっかりした教材に仕上がっています。
結論 ネガティブな意見は気にしない!
ネガティブな話が好きな人はどこにでもいますから、今後ともネット上で、大人が楽器を演奏することに対する否定的な意見を目にすることはあると思います。
でも、ぜんぜん気にする必要はありません。
僕たちは趣味と、脳活と、バンドメンバー間の親睦と、家族の対話の促進をかねて、これからも楽器演奏を続けましょう。
そもそもうまくならなくても、楽しいんだからいいじゃないですか。
楽しむことは、健康や長生きにつながりますし、職場のストレスを忘れることもできます。
楽器演奏、おすすめです。
参考文献
「科学が明らかにし始めた『音楽』の隠された実力。」(2020)『こべるにくす』
楽器演奏が与える脳への影響 ブンネ
https://www.bunnemusic.jp/column/benefits.html
Cocomi×脳科学者・中野信子の対談Part2。音楽を演奏することで人は豊かになる?【新世代のミューズCocomiが学ぶ】 VOGUE
https://www.vogue.co.jp/change/article/cocomi-nobukonakano-part2