Enyaウクレレは店頭で見かけることが少なく「売れているらしいけど、実際どうなの?」という疑問を感じていました。
そこで、もっとも安い「Enya EUS-25D」を買ってみてレビューします。7000円未満で買えるソプラノウクレレですが、結論からいうと「最初の一本には十分」と感じました。
もちろんデメリットもあるので、いい点・悪い点を含めて詳しく見ていきましょう。
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EUS-25Dのいい点・悪い点
超ざっくりまとめると、Enya EUS-25Dは値段の割にしっかり作られており、上級者向けとはいえないものの、初心者の最初の一本ならコスパ最強レベル…という感じです。
メリット・デメリットははっきりしています。
いい点
- 安い(コスパ最強レベル)
- 楽器として十分使える精度
- 付属品が充実しており何も買わなくていい
- 弦が柔らかくて指が痛くならない
悪い点
- 音量がやや小さめ
- さすがに高級感はない
- 音に高級機のような深みはない
- 人とかぶる覚悟は必要
この価格で付属品が充実しており何も買い足す必要はありません。また、楽器として十分成立する精度なので、練習用としておすすめできるウクレレです。
一方、これだけ話題になっているウクレレなので、持っている人も多く他の人とかぶる可能性は否定できません。
ざっくりいうと「ウクレレを続けるかまだわからない」と感じている初心者の方の最初の一本にベスト、という位置づけのウクレレです。
買うなら楽天またはAmazonのEnya公式ストア
Enyaのウクレレは店頭にほとんど並んでおらず、ネット販売が中心です。
注意したいのは、定価より高く販売しているショップの存在。7000円未満で買えるのに、一部ネットショップでは1万円以上の価格を付けています。
コスパのよさから「1万円でも売れるだろう」ということだと思いますが、Enya公式ショップで7000円で買えるものに1万円も出すのは残念です。楽天またはAmazonのEnyaストアで購入するようにしてください。
楽天で買う場合は割引クーポンが出ていないか確認!
筆者は楽天のEnya公式ストアで購入しましたが、Amazonでも同じです。いずれもメーカー直販なので、変に価格が吊り上げられるようなことはありません。
EUS-25Dの各部チェックと付属品
今回レビューしているEUS-25Dは自腹購入したものですが、配達時にはしっかりと梱包されてきました。
「見た目に高級感こそないが、チープさが気になるようなこともない」という第一印象。価格帯を考えると、がんばっていると感じます。
最初に持ったときは軽く感じましたが、重量を量ってみると平均的な数値でした。ソプラノウクレレの重量を計測すると平均値は約425グラム(当社調査)ですが、EUS-25Dは429グラムです。
ウクレレの重さと音質の違いを測定|関連記事
ウクレレを構えたときのバランスもよく、弾きやすいと感じました。バランスがいいので軽く感じる、という傾向はあるかもしれません。
また、細部は値段の割によくできています。全体に簡素な仕上げではありますが、決して雑ではありませんでした。弾いてみて、指が引っかかることもありません。
ウクレレの穴(サウンドホール)があいている部分の板をトップ、またはサウンドボードといいます。ここの木材は音質の決め手となるのですが、EUS-25Dは合板でなく単板を使用しています。
一方、指板(指で弦を押さえる部分)は木材でなく、リッチライトという人工素材で作られています。
今回初めてリッチライトのウクレレに触れましたが、演奏に支障があるとは感じませんでした。また、一見すると木材との違いはわかりません。
ただ、一般的な木材に比べると、若干感触が硬いかもしれません。
付属品が充実しており初心者セットとして十分な内容
ウクレレと一緒に揃えたいチューナーを始め、必要なものはすべて付属しています。チューナーを実際に使用してみると、1000円くらいで市販されている製品と遜色はないと感じました。
ストラップも当面使うなら十分なレベルです。ストラップエンドが革でなく合皮なので、2~3年使うと劣化しそうですが、それでも十分お得感があります。
付属ケースのできもよく、安いウクレレにありがちな「ペラペラのナイロンの袋」ではありません。ちゃんと厚みのあるパッドが入っており、楽器を保護するように作られています。
その他には交換弦、ピック、クロス(ウクレレを拭くための布)が付属しています。
まるで名古屋の喫茶店でモーニングコーヒーを頼んだ時の感覚!
「ウクレレ本体を買ったはずが、初心者セットがごっそり付いてきた」という感じは、有名な名古屋のモーニングコーヒー的な感覚。付属品だけでも、買えば2000~3000円位はするはずです。
初めて弾いた感想と細かいスペックについて
初めて弾いてみたときに感じたのは、持ったときのバランスがいい点と、軽くて明るい感じの音の印象でした。
上の動画ではコードと単音の両方を弾いてみましたが、サウンド的にはハワイアンのような明るい楽曲を、コードで伴奏するのに向いていると感じます。
データで分析するEUS-25Dのサウンド
音を測定してみて見えてきたのは「中上級にステップアップしたら飽き足らなくなるが、楽器として成立するレベルなので練習用には十分あり」という傾向。
EUS-25Dは、安いウクレレにありがちな「フレット音痴」や「ペコペコした安っぽい音」ではありません。
一方で、音に深みや味を求めるとしたら、もっと高いウクレレを選ぶ必要があるでしょう。
オクターブピッチは半音の1/3ほどのズレ(十分許容範囲)
ウクレレの3弦はC(ド)の音ですが、3弦の12フレットを押さえると、ちょうど1オクターブ上のC(ド)の音が出ます。
オクターブ上の音の正確さを測ると、そのウクレレの性能がある程度わかります。
EUS-25Dはオクターブピッチが30セント(半音の1/3)ほどずれています。これは、完璧ではないものの許容レベルで、より高いウクレレでもこれくらいずれていることがよくあります。
とくに、あまりハイポジションで弾かない初心者のうちは、ほとんど気にしなくてもいいレベルといえそうです。
オクターブピッチは理論上、完全に合うことはありません。どんなに高いウクレレでも、若干ずれています。
音量は74.5dBと小さめ(周囲を気にせず弾ける?)
いつもと同じテスト条件(クレイジーGを弾いたときの音量を、ウクレレから1.5m先の位置で測定する)では、平均74.5dBになりました。
音量測定結果
1回目 | 74.2dB |
---|---|
2回目 | 75.0dB |
3回目 | 74.3dB |
平均 | 74.5dB |
これは平均的なウクレレの音量(84.5dB)よりも小さく、EUS-25Dはかなり音量が小さいウクレレだといえます。
初めて弾いたときにも「音が小さいな」と感じたので、測定値でも聴いた感覚でも音は小さいといえます。
中上級者にとっては物足りない点ですが、初心者の方にとってはむしろ都合がいいかもしれません。まわりを気にせず練習したい場合には、音が小さいデメリットはプラスに働く可能性があります。
最初に張られている弦が柔らかいので、そのせいで音が小さい可能性もあります。ナイルガット弦などに張り替えるとある程度音量がアップするかもしれません。
倍音があまり出ていないあっさりした音
「倍音が楽器の響きを決める」といわれていますが、EUS-25Dの倍音はごく普通レベルです。その点であっさりしたサウンドになっているのかもしれません。
上の図は3弦開放のC(ド)を弾いたときのものです。オクターブ上のCの音などは比較的出ていますが、Gの成分が少ない傾向でした。
深みのある音を備えたウクレレの場合、7thに相当するGの成分が多めに含まれているのですが、その点は値段なりといえそうです。
ただし、演奏するにあたって特に問題があるわけではありません。
浮いたお金でいい教材を買うのもおすすめ
楽器としての性能に問題はなく、7000円で必要な道具一式が揃う、という点がEnya EUS-25Dの魅力です。
その分予算が浮くことになるので、本当にうまくなりたいと思う場合は「いい教材に予算を振り分ける」という方法もおすすめです。
筆者が最も推しているのは「古川先生のウクレレ講座」。スーパーギタリストでウクレレ講師でもある古川忠義さんの通信講座ですが、よくできています。
古川先生の初心者向けウクレレ講座|公式サイト
こういった講座でしっかりと上達をめざし、「うまくなってからいいウクレレを買う」というのが、実は合理的なウクレレ選びといえるでしょう。
本当にいいウクレレを選ぶには試奏する腕も必要ですから、まずはEUS-25Dと良質な教材で腕を磨く! 弾けるようになったら自分に合ったウクレレを探す! という順序であれば、確実にいいウクレレに出会えるはずです。
まとめ
本記事をまとめると、Enya EUS-25Dは「中上級者にはもの足りないものの、初心者の最初の一本にはおすすめできる高コスパモデル」といえるでしょう。
現状、7000円で買えるウクレレとしてはトップクラスの完成度で、楽器として十分使用できるレベルです。
弱点としては、音が小さくあっさりしたサウンドという点があげられますが、それを十分補えるつくりのよさ、音程の信頼性を備えています。
なんといっても、これほど安くてちゃんとしているウクレレはなかなか見つかりません。
もしあなたが初心者で「ウクレレを始めても続けられるだろうか?」と考えているなら、間違いなくおすすめの選択です。
逆に「一生モノのウクレレが欲しい」「初心者だけど長く使い続けられるウクレレが欲しい」という場合は、もう少し予算を取ったほうがいいでしょう。
「予算1~4万円くらいまで出せる」という場合は、以下の記事をおすすめします。