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ホリエモンの「田舎は生活コストが1/5」説。調べてみたら実際は3/4くらい

ホリエモンこと堀江貴文さんの発言は時としてデータやエビデンスに基づかないことがあるのですが、直感は当たっていて、言っていることの方向性は正しい……ということがよくあります。「田舎に引っ越せば生活費が1/5」というのは、検証してもやっぱりムリでしたが、言いたいことはわかります。試算してみても、東京から田舎に引っ越せば、生活コストを12~13万円程度は落とすことができます。

ホリエモンこと堀江貴文さんがツイッターで「日本がおわってんじゃなくて「お前」がおわってんだよ」と発言して炎上した事件。堀江さんの意見は雑ですが、方向性としてはあり得るかもしれません。堀江さんがいいたいことは2つです。

このツイートだけではわかりませんが、YouTubeで堀江さんが自ら解説したビデオを見てみると、彼の真意が分かります。

堀江さんの主張のひとつは、手取り14万円というけれど、情報が民主化された時代にあって、効率よく稼ぐ情報を得られていないんじゃないか? という疑問。たとえば、クラウドワークスで動画編集を請け負うだけでも、月の手取りは14万円をこえるよね、という主張です。

もうひとつは、生活コストが安い田舎に住めば、より有利なのではないかという主張でした。つまり堀江さんの主張は……

  1. 手取り14万円以上は必ず稼げる
  2. 田舎に住めば生活コストが安い

これ以降は、②の生活コストの問題を考えてみます。本当に田舎に住めば生活コストが下がるのでしょうか? 1/5は相当無理があると思いますが、生活コストが下がる可能性は十分ありそうです。

「持ち家より賃貸が有利」という堀江さんの意見を論破したおすすめ記事もあります。

統計から見えてくる東京vs地方の支出格差は?

以下の表を見てみると、全国平均と比べた時の東京の住居費は1.59倍程度。そのほかの項目を見ていくと、東京は、食料費や教養娯楽費が高いことがわかります。東京の家計支出は1か月あたり319,427円、全国平均では277,925円ですから、東京は41,502円負担が重いことがわかります。

項目東京都全国
食料¥90,238¥76,440
住居¥27,590¥17,365
光熱・水道¥21,508¥21,836
家具・家事用品¥13,578¥12,538
被覆・履物¥11,365¥8,799
保険医療¥17,767¥14,211
交通・通信¥34,165¥39,910
教育¥19,167¥10,290
教養娯楽¥31,569¥24,285
その他¥52,480¥52,251

データ出典:東京都社会統計課

上の表の支出を東京と全国平均、それぞれ合計して比較すると、東京は全国平均より4万円ほど生活コストが高いことがわかりました。これだけでも「東京に住むより地方に住んだほうが、ある程度生活のコストダウンができそうだ」ということはわかります。

しかし、この表の住居費には重大な項目が含まれていません

住宅ローンを比較するとさらに地方有利な傾向に

実は、総務省統計局などが行っている家計調査の住居費には、住宅ローンは含まれていません。住宅ローンは「土地家屋借金返済」という項目で別枠扱いとなり、上の表にも含まれていません。

そこで、住宅ローンの負担を別に考えておく必要があります。

東京都社会統計課の調査によると、住宅ローンの返済額は、平均で133,449 円。適正な借入額を考える時重要な、住宅ローン返済額年収比は、年々上昇しているという問題も指摘されています。

さらに総務省統計局の調査でも、年々住宅ローンの返済比率が上がっており「住宅ローン支払いが厳しくなっている」ということがわかっています。

これを、トカイナカのお宝一戸建てのケースと比べてみると以下のようになります。

 住宅ローン返済
東京都¥133,500
トカイナカ¥45,989

表のトカイナカの例は、リフォーム代込みで1000万円の住宅を購入し(借り入れも1000万円)、金利1%で20年償還の住宅ローンを組んだと仮定して試算しています。

地方、とひとくくりにするとややこしくなるので、ここからは「東京都心や大阪中心部への通勤が可能な地方圏」を想定し、トカイナカと呼ぶことにします。仕事もなんとか通えるし、現実的に移住しても生活が成り立つ程度のイナカのケースです。

住宅ローンと食費でコストダウンできるのは12万~13万円

統計から、東京から地方(全国平均レベルの生活費の市町村)に移住した場合、生活費はざっくり4万円くらい安くなります。

さらに、東京から全国平均レベルのトカイナカに転居すると、住宅ローンを87,000円くらい安くすることができます。

統計からみると、東京に住むよりトカイナカに住んだほうが、合計で12~13万円ほど生活コストを落とせそうだ、ということがわかります。

ポイント

都心部よりトカイナカのほうが12~13万円生活コストを押さえられる。

結論として生活コストを3/4にできそうです

とういわけで、堀江さんの「田舎は生活コストが1/5」は不可能でしたが、ある程度コストダウンすることは可能そうです。

東京都の発表では、令和2年の東京における「1世帯当たり年平均1か月間の消費支出」は、319,428 円です。これには住宅ローンが含まれていないので、持ち家の人はそれを加える必要があります。

319,428 + 133,449 = 452,877

約45万円から12~13万円コストダウンできるという計算になります。ざっくりですが、節約できるコストは…

26%~28%くらい

かなり大きなくくりの統計データから計算してきたので、細かい数字は意味がないと思います。そこで、生活コストを3/4くらいにできるのでは? と大雑把に考えればよいと思います。

結論として、田舎に住むと生活コストを3/4にできる可能性があります

ちなみに、計算してみるとトカイナカ(所沢市や大阪府阪南市)に住んでも、青森県に住んでも、そこまで生活コストは変わらないようです。

究極を目指したい人は1/5に挑戦できるかも?

東洋経済オンラインに次のような記事が掲載されていました。ホリエモンの「田舎は生活コストが1/5」説も、実現不可能ではないようです。

40代男性「『生活費8000円』田舎暮らしで得た快感」……東洋経済ONLINE

三重県の山村集落に、 100万円台の築約100年の平屋の古民家を購入して暮らす40代男性のお話。生活費は月8000円だそうです。「激安の家を買ってしまう」というスタイルで、コストを削減しているのが印象的。ただし、記事では住宅の維持費を考慮していないので、その点は注意が必要です。一戸建ての維持費については、以下の記事で検証しています。

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データ出典

東京都社会統計課 総務省統計局

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