不動産屋に電話をかけてきて、いきなり「この物件安くならない?」と聞く人がいます。これは、最悪な交渉方法です。
この値切り方がダメな理由
- 物件を見てさえいない
- 買うお金を持ってるかわからない
- いくらにして欲しいのかもわからない
そんな適当すぎる交渉を、売主にとりつぐ不動産屋はありません。
逆に、上の①~③がビシッと決まっているお客さんであれば、不動産業者は必ず売主に取り次ぎます。
- 買う気があり
- お金があり
- 買いたい予算も決まっている
自分が売る立場で考えても、これなら説得力がありますよね。
つまり、価格交渉は主体的に進めていくものなのです。不動産屋に電話して、漫然と「安くならない?」と聞くのはムダなのです。
価格交渉前にしっかり物件を見学しておき、銀行との話も付けておけば、こういう交渉ができますね!
この記事では、具体的に、説得力をもって大きめの価格交渉を成功させるコツと、値下げ幅を探る方法を解説していきます。
不動産の価格交渉3つのコツを具体的に解説
価格交渉成功のコツで一番大切なのは「説得力」です。
- ちゃんと買える「資金力あり」という説得力
- 「どうしてこの値段なで買いたいの」かという説得力
- 売主にも「メリットがある」という説得力
プロはこういう点をうまく実感してもらい、売主の値引きを引き出します。
「ローン仮審査OK」にしておくか現金で支払う
この人は買う気があるだけじゃなく「本当に買えるな」という説得力を見せるめに「現金で支払えますよ」と伝えるのはよくあるテクニックです。
現金で払える人は多くないので、ローンの仮審査を通しておくというテクニックもよく使われます。
スマホだけでもチェックできます今は銀行の窓口に行かなくても、スマホだけで「住宅ローンの借り入れが可能かどうか」を判断する事ができます。
モゲチェック|公式サイト
モゲチェックはすべての都市銀行、ネット銀行と提携しており、借入の可能性を正確に判定してくれる点がメリットです。
ひとまずモゲチェックの「モゲレコ」という機能を使って「借り入れ可能」と説明できれば、かなりのアピールになります。
モゲチェックについては、以下の関連記事で詳しく説明しています。
タイミングはたった1つ! 買付証明と同時に指し値
筆者は、価格交渉のタイミングは1つしかないと考えています。購入の申込み(買付証明書を出す時)に「この価格であれば買いたい」と、価格交渉+申込みを同時に入れるべきです。
この唯一のタイミングで、売主が飲めるギリギリの価格で指し値ができれば、不動産の価格交渉が成功します。
そのために、仲介業者の営業マンに「これくらいの値引きは可能?」「売主さんはどれくらい引いてくれそう?」と、いろいろ聞いておくことも大切です。
不動産購入時の仲介業者との付き合い方については、以下の記事でも触れています。
価格交渉を成功させるには、売主から直接仲介依頼を受けている「元付け業者」に連絡することが大切です。
また、買付証明書のフォーマットは、以下の記事内で配布しています。買付証明書に予算の制限をわかりやすく明記したり、「この価格しか出せないがどうしても買いたい」といった熱意を書く人もいます。
一般的には仲介業者の営業マンと相談しながら、どこまで値引きを引き出せそうか? を確認し、その上で指し値をするのが確実です。「その値段が通れば必ず買ってくれる」とわかれば、営業マンもがんばってくれます。
「契約不適合責任なし」「境界明示省略」…交渉のカードを切る!
これはプロがよく使うテクニックです。
不動産売買では、通常売主が境界を明示します。でないと、どこからどこまでの土地を買うのかがわからないからです。
しかし、境界を明示するために測量をするとなると、数十万円の費用がかかってしまいます。
そこで、「境界明示を省略してもいいので50万円引いてください」といった交渉を行います。
土地の単価が高い都心部では10cmの差が大きな問題になりますが、田舎では境界が10cm違っていても、価格的には小さな問題です。
他にもある交渉のポイント
「契約不適合責任を負わなくてもいいから安くしてほしい」「建物内部の残置物を撤去しなくていいから安くしてほしい」という交渉は、プロの不動産屋もよく使うテクニックです。
情報収集のしかたと価格交渉に適した時期
売主のタイムリミットが決まっている場合があります。
そしてタイムリミットが近づくと、売主は「値下げもやむを得ない」という判断をします。
「そのタイムリミットはいつなのか」を把握しておくと、交渉を有利に進めることができるようになります。
業者売主の分譲物件の交渉時期
業者売主の物件(建売一戸建てや分譲マンション)で、最も強い指し値が効くタイミングは「建築後1年が経過する時」です。
なぜかというと、新築から1年たってしまうと「新築物件」として広告できなくなるからです。
1年経過してしまうと、法律上「新築」と表記できなくなり「未入居物件」と書く必要があります。
そこで新築後1年の節目は、多くの不動産業者、建売業者が大幅値引きを考える時期となっています。
他には、
- 同じタイミングで近隣に似たような物件が売り出されている時
- 売主業者の決算期
等があげられます。
こういうタイミングは逃さないようにしましょう。
一般的に、業者売主物件の場合3割くらいの利益を乗せていることが多いはずです。タイミングがよければ、その範囲内で強めの指し値をしてみてもいいと思います。
一般売主の場合の交渉時期
一般売主の場合、そこまではっきりした法則はありません。ただ、売却を急ぐ背景によってタイムリミットがあるかもしれません。
これまで実際にあったのは、
- 転勤が決まっており引っ越しまでに売りたい
- 住み替えで購入物件が決まっており、早めに決済したい
- 離婚のため早めに処分したい
といった事例です。
物元業者の営業マンであれば、そうした事情をよく知っています。しっかり相談しながら、価格交渉の戦略をたててください。
重要ポイントを整理
不動産の価格交渉で重要なポイントは、
- 支払い能力があることを伝える
- 必ず買うことを伝える
- 交渉のカードを切る
の3つでした。
支払い能力の証明で一番簡単なのはモゲチェック(モゲレコ)です。スマホだけで、金融機関が融資するかどうかを確認できます。
モゲチェック|公式サイト
モゲチェックの判定ロジックは高精度で、金融機関ごとに借入可能な確率をパーセント表示してくれます。
購入の意思を明示するには、買付証明書を提出するのが一般的です。
上記のページにある買付証明書のフォーマットを利用してもいいですし、仲介業者に「買付のフォーマットください」といえばもらえます。
最後に、「交渉のカードを切る」とは、妥協していい部分を妥協して、その代わりに価格を下げてもらう交渉術です。
地方であれば「境界明示(測量)はいりません」といった交渉が考えられます。少し危険ではありますが「契約不適合責任を問いません」という交渉を行うこともあります。