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家の査定はどこを見る? 不動産価格査定の仕組みと、失敗しないためのノウハウ

不動産会社を経営しているとき、基本的な知識を学んでいなかったために100万円単位でソンをしている人を何人も見てきました。

フドマガ
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大きな金額が動くので、正しい知識は必須ですよ。

まず、この記事では「不動産屋が物件査定の時にどこを見て、どのように査定額を決めるのか」を見ていきます。

ほかにも、フドマガの「不動産を売る」カテゴリーに不動産売却に関するノウハウをまとめています。お時間があればぜひ! 

「査定に来た不動産屋さんは、いったい家のどこを見てるの?」と思ったら「査定額に影響するポイント」をチェックしてみてください。

査定価格が決まる「しくみ」と「本当の精度」

筆者もビッグモーターで自動車の査定をしてもらったことがあります。いろいろとネガティブな報道もされていますが、それでもクルマの査定であれば「必ずその金額で買ってもらえる」という安心感がありました。

不動産の価格査定では、その金額で買ってもらえる保証はありません

その金額で買ってもらえる?

クルマ買取 買ってもらえる
古美術買取 買ってもらえる
ピアノ買取 買ってもらえる
切手買取 買ってもらえる
不動産査定 買ってもらえない

不動産の査定だけは「その査定書に書かれた金額で買ってもらえるとは限らない」という意味で特殊です。

その理由は、不動産の価格査定とは「相場価格を推測する」「売れそうな値段を出す」というものであり、買取査定ではないという点にあります。

ここ重要です

不動産価格査定は、買取金額を約束するものではありません! そのため、実際には売れそうにない高額査定を出し、ユーザーを喜ばせることも簡単にできてしまいます

残念ながら、そういう実体の伴わない査定を見て「ウチがこんなに高く売れるのか!」とだまされてしまう人もよく見かけます。

そういう不誠実な査定にだまされないよう、注意しましょう。

机上査定と訪問査定、それほどの差はありません

不動産価格査定の机上査定と訪問査定で大きな違いはない

価格査定には「机上査定」と「訪問査定」があり、訪問査定は「実査」とも呼ばれます。

机上査定というと、なんとなく「机上の空論?」という感じがして不正確そうですが、実際には相当正確な金額を出せます

とくに、マンションや土地だけの場合、机上査定でも十分な精度で価格を算出できます。また、机上査定であっても現地を外から確認しますので、周辺環境や外観の劣化具合などはしっかり把握してから査定します。

一戸建ての場合は、建物内部を実際しないとわからない点もありますが、それでも机上査定の誤差は1割程度の場合がほとんどです。

机上査定と訪問査定、どっち?

土地やマンションなら原則机上査定で十分です。一戸建て住宅の場合は机上査定だと少し不正確かもしれません。

だいたいどの業者も同じ手法=取引事例比較法で査定します

不動産の価格の出し方には、さまざまな方法があります。しかし一般の住宅なら、不動産業者が使用する方法はほぼ「取引事例比較法」一択です。

  • 計算方法がシンプルである
  • 実勢価格が反映されやすい

といったメリットがあるからです。

一棟物のアパートなどでは、違った

マンションの場合の査定方法

マンションの不動産価格査定方法

マンションの場合は、近隣の類似マンション(できれば同じ建物内)の最近の取引を事例として、開口部の方向や所在階など、さまざまな要素を査定ソフトに入力します。

査定ソフトはそれらをポイント化(数値化)して比較し、査定額を算出します。

マンション価格を正確に出せる業者は?

マンションの査定は難易度的には低めで、難しくありません。ただし、実際の取引事例をたくさん知っている業者の方がより正確な査定を出せるため、一括査定ならマンションナビが有利です。または、AI査定をウリにしているSUMIiTASもおすすめです。

マンション査定はAIが得意なジャンルなので、AI査定見ておくことで明らかにおかしい査定額を見抜くことができます。

マンション査定は大きな誤差が出にくく、突出して高い査定額を出してきた業者は要注意かもしれません。

土地の場合の査定方法

土地の査定でも、まず近隣の取引事例を探し、取引事例比較法で価格を出します。

土地の向きや前面道路の幅員や道路付け、駅からの距離などを査定ソフトに入力すると、それらをポイント化(数値化)して比較した査定額が計算できます。

土地の場合、机上査定の依頼が来ても、通常は現地を確認します。隣からの越境物がないか、上下水道に接続できるのか、近隣に嫌悪施設がないかなどの確認をするためです。

土地価格を正確に出せる業者は?

土地価格は本来、誰が計算しても同じ査定額になるべきものです。不動産屋はプロですから、正確な価格が出せて当然だからです。

しかし、やはり土地カンがない場所では誤差が出やすく、地方の土地であればその土地に詳しい地場業者が有利です。都市部であれば、正確な査定額に定評がある三井不動産リアルティ(三井のリハウス)に依頼し、地方であれば地場業者を多く集めるリガイド(Re-Guide)を利用するのが有利です。

一戸建ての査定方法

一戸建て住宅の価格査定のしくみ

一戸建ての価格査定は、

  1. 土地の価格を査定する
  2. 上物の価格を査定する
  3. 上記の合計を査定額とする

という手順を踏みます。土地価格は大抵の業者が正確に出せますが、建物の価格についてはコンピュータが出した回答が合っているのか間違っているのかの判定が重要になります。

同じような建物でも、人気のエリアであれば高額で取引されますし、過疎地では低価格でしか取引できないからです。

都市部であれば、大手仲介業者が正確な査定額を出しやすいといえますし、地方であればやはり地場の業者が確実でしょう。

不動産価格査定サイトのしくみ

不動産価格査定サイトの仕組み解説図

不動産の価格査定サイトでは、ユーザーが入力した情報を複数の不動産会社に送信します。サイトによって違いますが、6件から10件くらいの業者に情報を送信し、受け取った不動産業者はその情報を元に価格査定を行います。

通常の業者であれば、その依頼が本当の所有者から送信されたのか? 情報に間違いがないかなどの確認をするために、一度電話かメールでユーザーにコンタクトします。

また、価格査定には一定の時間がかかるため、査定サイトに「60秒で価格がわかる」などと書かれていても、うのみにはできません。

フドマガ
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それは最短60秒で入力が終わる、といった意味です。

不動産一括価格査定サイトの闇

不動産一括査定サイトが収益を上げる仕組みの図解

不動産の価格査定サイトでは図のように、業者1件あたり18,000円程度(サイトによって異なります)を受け取ります。

査定サイトが増えているのは、元手が不要で儲かるからです。逆にいえば、けっこうなお金を取られている不動産会社としては、そのぶんの元を取らないといけません。

競争激化により査定額が信じられなくなっている!?

不動産業者が手っ取り早くモトを取るには「査定額を実際より高くしておく」という、かなりブラックな手法が効果的です。

地域によってはさまざまな業者が少しずつ実態より値段をつり上げ、そのせいで査定額が信用できなくなっているケースもあります。

成約事例が多く、ユーザーが価格相場を把握しやすい都心部(とくにマンション)では、ある程度正確な査定額が期待できますが、エリアによっては査定額そのものが信じられなくなっている点に注意してください。

不動産の査定書は「手動調整」されている?

不動産の価格査定ソフトには、手動で結果を調整する機能が付いている場合があります。実勢価格よりも高い、ウソ査定書を作るには、そういった機能も利用されます。

それ以外にもさまざまな手法で、本来より高い査定額を出すことができます。

都市部、特に首都圏などではAI判定を見ておいて、明らかに高すぎる査定書を見抜くことができますが、地方では地道な努力が必要になるかもしれません。

後で詳しく解説しますが、路線価などを見ておき、不動産の価格相場を知っておくことが大切になります。

訪問査定を推してくるサイトは疑問

不動産業者のなかには「できれば訪問査定にして面談をし、その場で売却依頼を取り付けたい」と考えているところもあります。

そういったニーズに応えるため、不動産一括査定サイトのなかには「ほとんどの人が訪問査定を選んでいます」というウソの情報を記述しているものがあります。

フドマガ
フドマガ
実際に業務を行った筆者の感覚ではウソだと考えています。実際には、ほとんどの人が机上査定を選びます。

そこで、「ほとんどの人が訪問査定を選んでいます」と書いているような一括査定サイトは避けた方が無難だといえるでしょう。

査定書を正確に出してくれる業者はあるか?

査定価格に関して、クリーンな査定業務を行っているのが三井不動産リアルティ(三井のリハウス)。同社は「高く売れる」というあおりタイプのキャッチコピーではなく、「正確に査定額を出す」ことを強く打ち出しています(注1)。

三井のリハウスが公表している、査定額と成約額の乖離率(査定額と成約額の誤差)を見ると、次のようになります。

三井不動産リアルティの提案価格乖離率
三井不動産リアルティの提案価格乖離率

ほとんどのケースで査定額(提案額)の95%以上で売却できていることがわかりますが、これは非常に正確な価格査定を行っていることを表しています。

同社は広告ページでも「適切な売買価格を提案する」とうたっています。2か月以内に成約する確率が64%という点も、その裏付けになるでしょう。

もし他社で出してもらった査定額が怪しい……と感じたら、ここで査定を出してもらうのも1つの手です。

三井のリハウスについて、詳しくは以下の記事で解説しています。

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注1……高い査定額に意味はないのですが、たいていの会社は「高い査定をだします」というスタンスで消費者を釣る戦略をとります。

正確な価格査定を受け取るコツ

今の時代、正確な査定額を知るためには、ユーザーの努力も必要になっています。これまでに説明したように、不動産一括査定サイトの乱立などで過当競争が起きているからです。

不動産の査定額は、高くても意味がありません

査定とは市場価格を知るためのものなので、そもそも正確な査定書が必要だからです。

そこで、以下のような点に注意をして、高すぎるウソ査定書にだまされないようにしてください。

マンションならAIによる査定の精度が上がっている

マンション価格はAIでも出せる

マンションの査定なら、さまざまな会社のAI査定が利用できます。試しに使ってみると、かなり正確な査定額が出ることに驚かされます。

この点、もし一括査定サイトを利用するなら、SREホールディングスが運営する「おうちクラベル」がおすすめです。一括査定が完了した後で、AI査定を行うことができるからです。

不動産業者による手動での価格査定に加えて、AIによる客観的な査定額も出してもらえる点に、正しい情報を担保しようとする姿勢がうかがえます。

路線価などを見てあらかじめ知識をつけておく

都市部であればAI査定などを参照できますが、地方ではそうもいきません。取引事例が少なく、AIには正確な査定額を出せないからです。

そこで、地方の物件の査定依頼をするときは、事前に路線価を見ておいたり、公示価格を知っておくなど「あらかじめ相場を把握する」という対策が必要です。

ざくりとした相場カンを身につけておくと、明らかに高すぎるウソ査定書を見抜くことができます。詳しくは以下の記事などを参照してみてください。

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部屋が汚くても査定額に影響しない!?

これくらいなら査定は正確に出せます

不動産業者に査定してもらう段階では、そこまできれいに片付ける必要はありません。相手はプロなので、掃除すれば解決する程度の問題で査定額を下げることはないからです。もちろん、一応来客には違いないので、そういう意味で最低限の清掃をしておけば問題ありません。

たとえば目立つ荷物を1部屋に押し込んでしまい、他の部屋を片付ける程度のざっくり清掃でも、価格査定が安くなることはありません。また、荷物を押し込んだ1部屋くらい、見せなくても十分査定書は作れます。

不動産屋はプロなので、家の中が片付いているかどうかという表面的な問題ではなく、もっと本質的な部分をチェックします。

ただし!売り出し後は徹底してきれいに

お客さん内覧時にはこれくらい片付いていると理想的

一方で、売り出し後は可能な限りきれいに片付けたほうが成約しやすくなります。

お客さん(買主)はプロではなく、第一印象に左右されるからです。

株式会社すむたすが不動産業者641名に対して実施した調査では、「築古で室内状況劣化」「整理整頓されていない・室内がちらかっている」場合に売りにくいと回答した不動産業者が過半数を占めました。

データ出典:株式会社すむたす

査定の段階では気にしなくてもいいですが、家を買いたいお客さんが内覧に来る時点では、きれいに片付いていればいるほど有利です。第一印象がよければ短期間で、また高価格で成約する傾向があるからです。

室内の清掃を徹底するなら、この「売出し後」というタイミングがおすすめです。

家を買いに来るお客さんは見た目のきれいさに影響される場合が多く、成約価格にはね返ってきます。

その他の査定額に影響するポイント

不動産業者が行う価格査定は、通常「取引事例比較法」を利用し、過去の取引事例と比べた物件価格を算出することはすでに述べました。手作業で計算する業者はほとんど存在せず、どの業者も査定ソフトを利用しています。

マンションの価格は、取引事例比較法だけで算出します。近隣の類似マンション(理想は同じマンション内の別の物件)の取引事例と比較することで、かなり精度の高い査定額を出すことができます。

一戸建ての場合は土地価格を取引事例比較法で算出し、建物は別途計算して、土地+建物の合計額を査定額とします。

査定ソフトの数は多くなく、同じソフトを使っている業者がたくさんいます。

実査時の雨漏り・柱や床の傾きなどは大幅マイナス点

雨漏りは修理が難しく大幅なマイナス査定になりがち

ただし、構造上の大きな問題点については、実査(訪問して査定すること)をしないとわからない場合もあります。

万が一以下のような問題があると、正常な価格査定ができないレベルの大幅なマイナス点となります。

  • 雨漏り
  • 柱や床の傾き・破損
  • 地盤の不同沈下

このような問題は、入力さえできない査定ソフトも存在します。つまりこの時点で正常な査定額を出せず、普通の流通には乗りにくいというレベルでのマイナス評価になります。

まれにですが、不動産の価格査定をしてもらい、初めてこういった問題に気づくという例もあります。

不動産屋は部屋の片付け等は気にしないが、構造上の問題は注意して確認しています。

室内外に使われている材料の等級は一応査定ポイント

価格査定ソフトにもよりますが、通常は建物の材料による等級付けを行います。柱が杉かヒノキか、何寸の木材かといった項目は、ある程度価格査定に影響を与えます。また、建具や外装材などの等級も入力項目になっています。

そのほか、以下のような項目は査定価格にある程度影響してきます。しかし、各項目1つ1つの影響はそれほど大きくありません。

  • 新耐震基準に適合しているか
  • 長期優良住宅かどうか
  • 日照や通風などの状況
  • 保守管理状態
  • 間取りの評価
  • 省エネルギー設備
  • 駐車場台数

訪問査定で実査した時のチェック項目は多いものの、1項目ごとの影響は大きくありません。

一戸建ての外装の劣化は査定額にかかわらず問題

外壁の保守管理状態が悪くても、査定ソフトが出す査定額への影響は数パーセントにすぎません。しかし、実際の市場価格としては大きな影響を受ける可能性があります。

外壁リフォームの価格は、一般に100万円以上するのが通常です。

そこで、実査してみて外壁が大幅に劣化している場合、査定ソフトが算出した査定額に対して、比較的大幅な価格ダウンを提案する可能性もあります。

外壁が大幅に劣化している場合は、数十万円単位での価格ダウンを提示することも。

価格を左右するその他の要因

価格に大幅に影響するとまではいえませんが、価格査定に影響するその他の要因には、以下のようなものがあげられます。

  • 騒音や臭気などはないか
  • 設備関連の経年劣化
  • 間取りの評価
  • 新築時の設計図書等が残っているか

それ以上細かい調査項目については、私が業務で使用していた「物件調査シート」をダウンロードしてみてください。

「物件調査シート」ダウンロード

マンションの場合は以下の項目も調査します。

  • 開口部の方向
  • エレベーターの有無
  • 管理形態
  • 共用部分の状態
  • 共用施設等
  • 管理費・修繕積立金

また、マンションに関して不明点があれば、管理組合に問い合わせて確認します。

マンションの管理について、査定時に詳細な調査はせず、売出し前に調査を実施することもよくあります。

オーシャンビューなど特別な場合はプラス査定も

まれなケースですが、非常にすぐれたオーシャンビューなどの条件があれば、ある程度大幅な価格アップを提案することがあります。

ただし、こういったケースは価格査定ソフトで計算することは不可能です。そこで、通常の価格査定を出した上で、「最近このような事例があるので、査定額より○○万円高めで売り出すべき」という補足意見をつけます。

経験上「目の前が非常に美しい公園」レベルでは、一応の価格アップは望めるものの大幅なケースはまれです。

眺望により価格アップするとしたら、すぐれたオーシャンビューが最も大きな要因です。

最後にぜひ押さえておきたいこと

筆者が不動産会社を経営していたとき、仲のいい別会社の社長と「あの物件、○○○万円くらいだよね」という感覚はだいたい一致していました。エリアに精通している不動産屋が見たら、値段はだいたい正確にわかります。

なのに、不動産一括査定などを利用すると査定額がバラバラです。実際の事例は以下の記事に詳しく掲載しました。

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筆者は10年近く不動産屋の立場で一括査定サイトを利用しました。今回はじめてユーザーの立場で一括査定サイトを利用し、以下の ...

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本来、不動産の価格査定というのは「3か月以内に成約する適正価格」を算出するものです。

フドマガ
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なので、高ければいい訳ではありません。

この記事で見てきたように、不動産の価格査定では様々なチェックポイントを見ていきますが、前提としてちゃんとした価格を出そうという業者かどうかも問題になります。

もし不動産業者に依頼した査定書の金額に疑問がある場合は、業界でほぼ唯一「正確な査定」を打ち出している三井のリハウスの査定をとっておくことをおすすめします。

上記サイトを開き、少しだけ下のほうにスクロールすると「正確な価格査定」に関するこだわりがわかりはずです。

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