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土地の売買における「価格の決め方」を宅建士が徹底解説!

土地価格に影響する要因は多く、複雑に影響し合っています。そのため、土地の価格を決めるのは非常に難しく、経験豊富な不動産業者でも迷うことがあります。

そこでこの記事では、不動産の価格を左右する要因と、相場価格の調べ方を徹底解説していきます。

まず最初に使ってみたいのは国土交通省の「不動産情報ライブラリ」です。これは国交省が不動産取引をした人から直接回答してもらった「本当の売買価格」をまとめて公表しているサイトです。

こういったデータを活用して相場を把握した上で、記事後半で解説する「土地価格に影響を与える要因」を加味することで、土地価格の決め方が見えてきます。

不動産売却に「正確な価格査定」が必要な理由

不動産会社が土地を購入する際も、必ず正確な査定額を算出し、その査定額をもとに売却戦略を立てます。

「どうすれば相場の価格である査定額よりも高く売れるか」という売却プランを考えるために、絶対に欠かせないのが「正確な査定」だからです。

一般の方であっても、土地を売買する場合、まず正確な査定額を知る必要があります。しかし、不動産一括査定サイトの査定額は、現在あまり信頼できない状態になっています。その理由については、以下の記事で確認してみてください。

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そこで、土地を売却する場合は信頼性の高い大手不動産会社の査定額を基準にするのが良いでしょう

バラツキが少なく信頼性が高い大手不動産会社の査定

不動産一括査定サイトの場合は、一度に複数社に査定を依頼します。そのため、不必要な競争が発生してしまい、実際より高い価格査定を出すことで、ライバル社を出し抜こうとする不動産会社が出てくるのが問題点でした。

また小規模な不動産会社の中にはきちんとした価格設定システムを導入しておらず、いまだに手計算で査定額を出しているところも多々あります。

そういった点を考慮すると、大手不動産会社に直接査定依頼をするのが最も確実です。

大手不動産会社であれば非常に正確な価格査定システムを導入しています。またコンプライアンスの問題から、実際より高すぎる不誠実な査定額を出してくる可能性も低く、信頼性の高い査定額を出してくれます。

中でも正確な査定を出してくれるのは、三井のリハウス(三井不動産リアルティ)でしょう。

三井不動産リアルティは上記の公式サイトでも、価格査定の正確さを大々的に打ち出しています。

三井不動産リアルティがなぜ正確な価格設定にこだわるのかについては、以下の記事で解説しています。

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土地の価格を決める具体的な要素

同じエリアに位置していても、土地の価格は異なります。例えば、隣り合う2つの土地であっても、坪単価が1割から2割違うことは珍しくありません。

そこで、この章では土地の価格に影響を与える重要な要因について解説します。

すべての基本は立地条件(駅からの距離や周辺環境)

土地の価格を決定する基本的かつ重要な要因は、その土地の立地条件です。

通常、エリアごとに相場が形成され「この地域なら坪単価はこれくらい」という、おおよその見当がつけられます。

同じ市町村内であっても、エリアが変われば相場も異なりますし、同じエリア内であっても、駅からの距離によって価格が変わります。

駅に近い物件は売れやすく、価格も高めです。駅から遠くなるほど物件は売れにくくなる傾向があります。

駅から遠い物件の売却方法については、以下の記事で詳しく説明しました。

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都市計画法・建築基準法の制限

同じエリアや隣接エリアでも、都市計画法の制限によって価格が大きく異なることがあります。たとえば、同一地区内でも一部が市街化調整区域、一部が市街化区域に区分されているケースがあります。

市街化調整区域では原則として住宅の建築ができないため、その土地の価格は大幅に安くなります。そのため、すぐ近くの土地なのに、価格が大きく違うということも起こりえます。

また、建築基準法による制限も価格に影響を与えます。制限の内容次第では、建築が許可されない場合があり、土地の価値に大きな差異が生じてしまいます。

なお、都市計画法や建築基準法で建築が制限されている土地でも、例外的に建築を認められるケースについては、以下の記事で紹介しました。

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接道(どんな道路に接しているか)と方角

不動産の価格を決定する大きな要因の1つに「接道」があります。接道とはその土地がどのような道路に接しているかを指します。

建築基準法に定められた道路に接していない場合、建物の建築や再建築ができないため、価格は大幅に下がってしまうこともあり得ます。

土地がどんな道路に接していれば建築ができるのかについて、以下の記事で詳しくまとめています。接道について疑問が残る場合は、ぜひ参照してみてください。

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また、建築基準法に適合する道路に面している場合でも、道路の方角(東西南北)によって土地の価格が変わることがあります。

土地の形状や広さ

土地の需要は、形状や広さによっても変わります。一般的な需要と比べて広すぎる場合は「面積過大」、狭すぎる場合は「面積過小」と呼ばれます。

たとえば、50坪の住宅地が並ぶエリアに200坪の土地があっても、なかなか買い手が見つかりません。逆に、20坪程度の狭い土地があっても、買い手はなかなか現れないでしょう。

面積が大きすぎる土地であれば、適正な広さに分筆してから売却する方法が一般的です。ただし、分筆には測量や分筆登記の費用がかかるため、それらの費用を先払いする必要があります。

面積過小の場合は価格を調整したり、住宅地以外の用途で広告してみるといった対応になります。

土地の価格を自分で調べる方法

一般に、不動産の一括査定サイトを利用して複数査定を取った場合、正しい査定額と間違った査定額が混じっており、どれが正しいか判断できないのが現状です。

そこで、この章では、自分で相場を確認する方法を解説しました。かなり実践的な方法を紹介していますので、ぜひ試してみてください。

国土交通省のサイトを利用して土地価格・相場を調べる

筆者がよく利用しているのは、国土交通省が不動産取引の当事者にヒアリングを行い、集約したデータを閲覧できる「不動産情報ライブラリ」です。

サイトにアクセスしたら、「データの検索・ダウンロード」というボタンを探してください。

画面が表示されたら、調べたい地域を入力し、検索対象を「宅地」から「土地」に切り替え、右下の「一覧表示」ボタンを押します。

上記はスマホでの検索例ですが、パソコンで検索すると見やすく表示されるため、できるだけパソコンでの閲覧をおすすめします。

また、検索結果データをCSVで保存することもできます。EXCELに読み込んで整理することで、より相場情報を把握しやすくなります。

また、このサイトに掲載されている価格は、土地売買の当事者が回答した実際の売買価格であるため、非常に信頼性が高い情報といえます。

地価公示と地価調査を参照する

地価公示や地価調査のデータも、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で検索可能です。

地価公示は毎年1月1日時点での全国の土地価格を評価したもので、地価調査は7月1日時点での土地価格を調査したものです。

これらの調査結果は、鑑定評価に基づく価格であり、実際の取引価格とは若干のズレが生じることもありますが、公的な指標として参考になります。

項目地価公示地価調査
調査主体国土交通省都道府県
調査時点1月1日7月1日
発表時期3月9月
対象地域全国各都道府県が選定した地域
目的不動産市場の透明性向上、公共事業の指標不動産市場動向の補完

相続税路線価と固定資産税路線価

相続税路線価と固定資産税路線価は、どちらも税額を算出するための評価基準です。

相続税路線価は公示価格の80%程度、固定資産税路線価は70%程度が基準とされており、いずれかを参照すると、土地の価格を推測する目安になります。

その際、以下の「全国地価マップ」を参照すると便利に調査することができます。

相続税路線価も固定資産税路線価も、マップから簡単に調べることができます。固定資産税路線価の場合、調べたい土地の前面道路に書かれた「82700」などの数字がその土地の平米単価です。

相続税路線価の場合は千円単位で表示されており、たとえば「130E」と表記されていれば、数字部分に1000を掛けた、130,000円が評価額です。

そこから本来の評価額を推定する場合、以下のように計算してください。

相続税路線価 ÷ 0.8 = 評価額

固定資産税路線価 ÷ 0.7 = 評価額

上記で得られるのは平米単価です。坪単価に直したい場合は、平米単価に「3.30578」を掛けてください。

項目相続税路線価固定資産税路線価
概要相続税や贈与税の計算に用いる土地の評価額固定資産税・都市計画税の算定基準となる評価額
算出基準公示地価の80%程度を目安に設定公示地価の70%程度を目安に設定
調査・発表機関国税庁が毎年7月に発表各市区町村が評価し、3年ごとに見直し
調査対象全国の主要な道路に面した土地(路線ごとに設定)各市区町村の土地(個々の地番に基づく)
発表時期毎年1回(1月1日時点の評価額を7月に発表)3年に1回の評価替え(ただし経済状況によって調整あり)
用途- 相続税・贈与税の課税対象の土地評価額
- 土地の相続や贈与時の税負担計算
- 固定資産税・都市計画税の課税対象額
- 毎年の税負担を算出する基準

ポータルサイトで実勢価格を確認する

SUUMOやLIFULL HOME'Sといった不動産ポータルサイトを利用し、特定エリアの土地の実勢価格を調べるのもおすすめです。

  1. 情報を検索する
    ポータルサイトにアクセスし、「土地」または「売地」を選択。対象エリア(市町村や地区)を指定し、面積や最寄り駅からの距離など、条件を入力して検索します。
  2. 多くの情報を比較する
    同じエリア・条件の物件を複数リストアップし、平均単価を算出しましょう。さらに、駅からの距離ごとの価格差を調べ、土地の価値に影響する要因を把握します。

ここまでやっておくと、地域ごとの価格相場を立体的に把握できます。

不動産査定のフリーソフトを使ってみる

不動産査定ソフトはプロ向けの機能が多く、正確な査定には取引事例や細かな条件の入力が求められます。そのため、一般の方が使いこなすのは難しいといえます。

ただし、以下の記事では、不動産会社が行う価格査定を再現するExcelワークシートを無料で配布しています。

記事内では、ワークシートの使い方も詳しく説明していますので、ご自分で価格を査定したい方はぜひご参照ください。

なお、上記サイトは弊社がサイト設計から記事作成までを担当しています。

土地を高く売るためのQ&A

土地を売却する際、できるだけ高く、そしてスムーズに売るために押さえておきたいポイントがあります。

購入希望者の第一印象をよくすることや、不動産会社の選び方によって、売却の成否が左右される点には、とくに意識してください。

売りたい土地は片付けたり草刈りすべきですか?

住友不動産販売などの大手不動産会社では、仲介物件の草刈りや片付けを無料で行うサービスを提供しています。

これは、物件がきれいに整備されていると、短期間で成約しやすいためです。

購入希望者は多くの場合、不動産に詳しくない素人なので、第一印象に大きく左右されます。

さらに、土地が整備されていることで境界標が確認しやすくなり、境界の位置が明確になるという利点もあります。

雑草が伸び放題になって害虫が発生したり、隣地に木の枝が侵入したりすると、近隣トラブルにつながることも注意しておきたいポイントです。

ただし、夏場などは1か月程度放置するだけで雑草が一気に伸びてしまうこともあります。そのため、こまめな手入れを続けるのは大変ですが、仲介する不動産業者と相談し、できるだけ土地の状態を良好に保つようにしましょう。

場合によっては不動産業者が草刈りなどを手伝ってくれることもあります。

高く売ってくれる不動産会社を見つける方法は?

不動産会社を選ぶ際、その会社が出した査定額そのものよりも、その会社の実績や評判のほうが重要です。

まず、Googleのレビューなどを活用し、口コミを確認するのがおすすめです。また、担当者の名前でFacebookを検索し、その人の普段の言動や考え方を確認することも有効です。

次に、SUUMOやLIFULL HOME'Sなどの不動産ポータルサイトで、各不動産会社がどの程度の物件を掲載しているか確認してください。こういったポータルサイトに物件を掲載していない会社は、販売力に疑問符が付きます。

不動産一括査定サイトを利用する場合も、こういった点は押さえておいてください。

以下の記事では、筆者が複数の不動産一括査定サイトを利用して実際に物件を売却した際のレビューを紹介しています。記事でもわかるように、査定額はあまり参考になりません。

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上記の記事で詳しく説明していますが、不動産一括査定サイトに登録している会社のうち、2分の1から4分の1程度の会社は、信頼性の低い査定額を出してきました。特に高すぎる査定額には注意が必要です。

実際の価格よりも高めの査定額を提示することで、ユーザーの関心を引き、仲介を任せてもらおうとする意図がうかがわれます。

こうしたリスクに注意しつつ、以下の記事も参考にして、一括査定サイトを上手に活用してください。

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用意しておいた方がいい書類などはありますか?

土地をスムーズに売却するために、事前に必要な書類を用意しておくといいでしょう。絶対に必要な書類は仲介不動産会社が教えてくれますが、あらかじめ対応するとしたら、以下のリストを参照してください。

書類名説明
登記簿謄本(登記事項証明書)土地の所有権や抵当権などの権利関係を証明する書類。法務局で取得可能です。
公図(地積測量図)土地の位置や面積を示す図面。法務局で取得可能です。
固定資産税納税通知書土地の評価額や課税状況を確認するための書類。買主が不安なく購入するために用意します。
土地の測量図境界や面積を正確に確認するための図面。必要に応じて測量士・土地家屋調査士に依頼します。
書類名説明
本人確認書類運転免許証やパスポートなど、本人確認のための書類。
印鑑証明書売主の実印が正式なものかを証明する書類。市区町村役場で取得します。
委任状代理人に手続きを依頼する場合に必要です。

まとめ「土地売却は正しい価格査定からスタート」

土地売却を成功させるには、まず信頼できる価格査定が基本になります。不動産会社の査定を出してもらうなら、大手不動産会社の正確な査定がいいでしょう。

筆者は大手の中でも、査定額の正確性に定評がある三井のリハウス(三井不動産リアルティ)をおすすめします。

大手ではなく、不動産一括査定を利用する場合は、自分でも相場を確認するようにしてください。

その際は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」など公的な情報を活用し、相場を正確に把握しておくと安心です。

また、立地条件や接道、都市計画法・建築基準法などの制約も価格に大きく影響するため、慎重に確認することが必要です。さらに、土地を整備して第一印象をよくすることも土地売却の成功につながります。

不動産一括査定サイトを利用する場合

一括査定サイトの利用は便利ですが、極端に高い査定額には注意が必要です。ユーザーの関心を引くために、不動産会社が不当に高すぎる査定を出すリスクもあるため、査定結果を鵜呑みにせず、他の情報と比較しましょう。

以下の記事は、筆者がサイト構成や記事制作を担当している「トーマ不動産マガジン」に寄稿した物ですが、不動産一括査定サイトを利用する際にはぜひ参照してみてください。

この記事を参考に、信頼性の高い情報をもとに適切な価格を設定し、売却戦略を立ててください。土地売買の成功をお祈りしています。

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