私は、不動産屋としてたくさんの「実家売却」に立ち会いました。みなさん寂しさを感じていたはずですが、それよりも「肩の荷がおりた」という表情だったのが印象に残りました。
実家を売るのにはそれなりの苦労があり、「なんとか売れた……」とホッとするものなのでしょう。
ただ、思い出の家がなくなり、これから先は兄弟が集まる場所がなくなります。
この記事では、そんな時、過去よりも未来に向けて「兄弟の絆を失わない」ための提案をしたいと考えています。
最近では、三井のリハウスさんが実家売却に力を入れはじめているようです。
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生まれ育った家がなくなるデメリットは?
株式会社AlbaLinkの調査では、およそ29%の人が「実家が空き家になっても売らずにそのままにする」と回答しています(2021年調査)。
確かに、実家を売却することには抵抗があります。実家がなくなることは、生まれ育ったふるさとがなくなるようなものですし、以下のようなデメリットもあります。
実家がなくなるデメリットは?- 兄弟や親戚が集まる場所がなくなり疎遠になる
- 思い出の品物なども捨てないといけない
- 小中学校時代の友人たちと会う機会がなくなる
全体的に「なんとなく寂しい」という事ですが……実は小中学校時代の友人とはそんなに会うわけではありませんし、思い出は写真に残すこともできます。
しかし「実家があるからこそ兄弟が集まる」という求心力がなくなる事は残念で、それが一番のネックだと感じます。
うちは実家が大阪府堺市、私が住んでいるのは大阪府阪南市(ほぼ和歌山)、弟が住んでいるのは神奈川県横浜市です。
寂しいからといって実家を売らないと……?
2033年には、「全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる」といわれています。それを踏まえて、政府の政策でも、使わない空き家を保有しているデメリットをどんどん大きく・重くしていっています。
たとえば「特定空き家」に指定された場合、固定資産税が最大でこれまでの6倍に跳ね上がりますし、さまざまな罰則の対象にもなります。
そのため、
- 使わない空き家は手放した方が無難だ
- 空き家が増えていく中、早めに手放した方が有利だ
という状況になっているのです。
空き家売却はババ抜きのように早く抜けた者勝ちになるでしょう。
「年に一度、お盆に弟家族と顔を合わせるために実家を残しておき、十数万円の固定資産税を払う」というのは、合理的とはいえず、将来苦労する事が目に見えています。
相続した実家を売却して、お金で分け合うことを「換価分割」といいますが、換価分割をしたお金にも、生きた使い道があると思うのです。
上記の写真は人口減少時代の日本でこれから起きることを、年表形式にまとめて話題となった『未来の年表(講談社現代新書)』です。
兄弟でお金を出し合いささやかな収益物件を買う
うちでは「実家を売却したお金を何か前向きに使いたい」という話をしています。今あるプランは、実家の売却益から兄弟でお金を出し合い、ささやかな収益物件を買うこと。
うちの実家を査定すると1,700万円程度だったので、諸費用を差し引いて手元に残るのは、兄弟それぞれ700~800万円です。
その一部を使って無理のない金額(100~150万円くらい)を出し合い、200~300万円のワンルームか1LDKマンションを買い、運用しよう! というプランが浮上しています。
こんな効果に期待!- 父や母が残したお金が投資に生きる
- 従兄弟たちが集まり相談する機会が増える
そんな効果を期待しています。
無理しない金額のささやかな投資がおすすめ
不動産投資は、投資の中でも中リスク・中リターンといわれています。しかしハイリスクとされず中リスクといわれる理由は、元金がゼロになりにくいという事であり、元金が目減りするリスクは十分にあります。
ただ、少額な投資で、なおかつ利益だけを求めるのではなく「投資の勉強」を兼ねることができるなら、これはアリだと思います。
運用した時の利益はどれくらい?
たとえば大阪府大阪市生野区に実在する250万円のワンルーム物件。現在、家賃2万円で賃貸中です。年間24万円の収入なので、表面利回りは9.6%。不動産業者の管理費や将来のリフォーム費用を差し引いても、年間10~15万円くらいは手元に残ります。
できることなら小さな会社をつくり甥っ子たちを巻き込む
うちは兄弟が横浜と大阪という遠隔地に住んでいます。
そこで、私と弟の打ち合わせ機会を増やしてくれる不動産投資に、甥っ子たちや息子も巻き込みたいと考えています。
息子と甥っ子たちは、放っておくと会う機会がなく、他人になってしまいます。
しかし、彼らにも会議に参加してもらい「この小さな賃貸物件をどう運営する?」というアイデアを出し合いながら、顔を合わせる機会を作れたらベストです。
そのために、弟と出資する会社で賃貸物件を所有し、運営する形にしようと思っています。
甥っ子たちも「会社経営」を体験してみて、いつか社会に出た時に役立つ経験を積みながら、しかも親戚で顔を合わせることもできます。
もし不動産投資の勉強をしながら経営を軌道に乗せることができたら、2つめの物件を購入するのも楽しそうです。
小さな会社を設立するには、ざっくり15万円くらい必要です。引き受けてくれる専門家はネットで探すと少し安上がりになります。
投資物件は自分で探すのが原則
不動産投資についてはさまざまな会社が商品化しています。広告案件もたくさんありますが「フドマガ」ではどれも推奨していません。
なぜなら、本当にいい物件を紹介してくれるサービスはほとんどないからです。
リスクの少ない小さな投資であっても、本来は物件を自分で探し、自分で利回り計算をして投資をするのが基本です。
もし「知識が足りないから勉強してみたいな」という場合は、以下の本をおすすめします。かなり詳しく、また正確な記述だと感じました。
不動産投資は原理的に「儲かるんなら自分でやるよね?」という話。なので、投資をすすめてくる時点ですでに「自分でやるには儲からない」案件なのです。
実家売却おすすめの手順
不動産売却にセオリーがあるわけではありませんが、自分だったら? と考えると、以下の手順で売却を進めます。
- 路線価やathomeでざっくり相場をつかむ
- 価格査定を依頼する
- 媒介(仲介)を依頼する業者を選定する
- 売出しが決まったら清掃する
- 必要書類も用意しておく
- 成約
「不動産屋の査定書をもらって価格を知ろう」と考える人は多いですが、以下のような理由でおすすめできません。
不動産屋の査定をうのみにすべきでない理由- 不動産屋もピンキリで査定が正しいとは限らない
- 仲介を取りたいばかりに、実際より高い査定を出す業者も多い
そこで、まずは自分自身で相場を確かめてから、売却手順を進めていきます。
価格に関して、大手仲介業者で唯一「正確であること」を打ち出している三井のリハウスは、まず最初に査定書をもらっておくべき業者の一つといえるでしょう。
不動産ポータルサイトで情報を見ておくことは必須
不動産業者に価格査定を依頼する前に、絶対にやっておきたいのは「不動産情報サイトで実家の価格をざっくり把握」すること。
その際おすすめなのは「ニフティ不動産」というサイトです。
「ニフティ不動産」はathome(アットホーム)、LIFULL HOME'S、SUUMOなど有名サイトをまとめて検索できるサービスなので「ここさえ見ておけばOK!」というのが特徴です。
ニフティ不動産を利用するポイント- フォーマットがバラバラなので注意する
- 一戸建てでなく「土地」で探す
- 電車の沿線→駅で検索する
このあたりに注意して「ネットの情報から自分の不動産の価格をざっくり知る]方法をまとめておきます。
ニフティ不動産のフォーマットはバラバラです
多数の不動産サイトの情報を集めているので、どうしてもニフティ不動産の情報は統一されていません。
とくに坪単価が載っていたり載っていなかったりするのは使いづらいので、㎡単価から坪単価を出す方法を押さえておきましょう。
㎡単価 ÷ 3.30578 = 坪単価
この公式を覚えておけばOKです。㎡単価が出てきたら、ひとまず電卓でその数字を3.30578で割ってみてください(めんどうであれば3.3で割っても近い数字になります)。
「土地」で探す理由は?
実家売却の場合は、どうしても建物が古い場合が多いので、上物はほとんど評価されません。
法定耐用年数木造 | 22年 |
軽量鉄骨造 | ~27年 |
これ以上築年数が古くなると「上物の評価はゼロに近い」とされる場合が多いため、ひとまず土地の価格をおさえておき、それを参考価格にします。
実際に売却する場合は、法定耐用年数が経過していても、ある程度上物価格を乗せて売り出すこともあります。
なお、マンションの場合は同じマンションに物件がないか探すのが鉄則で、同じマンションで売り物件がなければ近隣マンションと比較します。
地域でなく「沿線」で検索する理由
土地の価格は、おおむね駅を中心に決まっていきます。
駅に近ければ高く、離れるほど安くなっていくため、物件所在地の「駅」からスタートするのが確実です。
そこで、「沿線」で絞り込んでいき、駅からの距離が近い場所の土地を探し、その土地の坪単価を見ておくと、なんとなくの相場観がつかめます。
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価格査定を依頼する基礎知識
不動産の価格査定は、オンラインでの一括査定が有利です。ただし、それなりにウラはあるので、
- 高すぎる価格査定を信じない
- 専任媒介がいいというトークを信じない
といったあたりは気をつけてください。仲介を取りたいばかりに、実態よりも高い査定額で売主の気を引く不動産業者もいるからです。
詳しくは以下の記事で解説しています。
不動産の査定方法。「もっと高い査定額が欲しい」人がハマるワナってなに?|関連記事
一般媒介の強みをいかして不動産売却を成功させる「最強の法則」|関連記事
価格査定を依頼するなら、おすすめは?
筆者が自分が親しい人にすすめるとしたら、次の手順で価格査定書を集めると思います。
- 唯一「正確な査定」をうたう三井のリハウスの査定をまず依頼する
- それだけでなく、地場業者の査定書を取り比較検証する
三井のリハウスは近年、価格乖離率(査定額と実際に売れた金額の差)の低さを強く打ち出しています。つまり、正確な査定を目指しているということです。
そこで、まず最初にリハウスの査定書を出してもらい、それを基準に複数の査定書を比較するという手順が最も確実です。
三井のリハウス|公式サイト
これがひとつの基準になるので、後の比較が楽になります。複数の査定書を取り、どの査定書に「しっかりした根拠が書かれているか」、どの査定書が「ちゃんと調査をして作成されているか」といった観点で読み込んでください。
私が不動産業者として長年利用してきた一括査定サイトはリビンマッチとイエウールですが、この両者を比べるとイエウールが使いやすいと感じます。
このようなサービスを利用して複数の業者に査定を出してもらい、それをもとに相続人間で打ち合わせをすると確実です。
イエウール|不動産査定サイト
誰か1人にまかせて実家売却をすすめた場合、後で揉めているのをよく見かけます。売出価格や売却方針、さらにはどのように資金を分配するのかなど、あらかじめしっかり打ち合わせをしておくことが大事だと感じます。
清掃を徹底することが売却の最大のコツ
不動産の価格査定を依頼する時には、清掃などはあまり気にしなくても問題ありません。不動産業者はプロなので、少々部屋が汚くても、正確に査定を出すことができます。
一方、売出しが始まったら、清掃を徹底することが高値売却の最大のコツです。
買主は素人なので、見た目に大きく左右されるからです。
できるだけ相続人・兄弟間で話し合い、みんなが協力して「実家をきれいにする」ということを徹底してください
このテーマについて、詳しくは以下の記事が参考になります。
家の査定はどこを見る?不動産売却査定の注意点とは?|関連記事
「家の中を徹底的に清掃する」というのはシンプルですが、非常に有効な方法です。売却価格も高くなりますし、売却期間も短くなります。
参考文献
株式会社AlbaLink(2021)『803人に「実家の空き家問題」をアンケート調査!世代別の意外な傾向とは?』