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商談中の物件が横取りされる理由と対策。横取りのしかた(?)も解説

商談中に横取りされる危険度

商談中の不動産を横取りされる危険性は、実は売買契約を完了して、物件の引き渡しを受けるまでつきまといます。

不動産売買は、普通の物品の売買に比べて流れが複雑で、いくつもの落とし穴があるからです。

この記事では、

について解説していきます。

「横取り」というと言葉が悪いですが、ライバルよりいい条件を提示して良物件をきっちり押さえていくのは、必ずしも悪いことではありません。

商談のしくみと「横取り」のメカニズム

まず、商談の少し細かい流れと、横取りされる危険度を図にしてみました。赤色で囲んだ部分は、まだ商談のみで申込みさえしていないので、横取りの危険が大きいプロセスです。

逆にいえば、ここをすばやくテキパキと進める必要があります。

赤色申込みもしていない段階
黃色申込みしたが契約していない段階
緑色契約した後の段階

黃色の部分は「申込みはしたがまだ契約しない」という段階。「買付証明書」という書類で物件を仮押さえしつつ、契約前に必要な準備をします。

仮審査が通れば契約を締結します。手付金も入れるので一安心……ですが、売主は手付倍返しという方法で契約を解除できるため(期限はあります)、まだ完全に安心できません。

残金決済を終えて、所有権の移転登記を受けると、初めて「絶対横取りされない」と安心できます。

商談の流れが複雑で時間がかかる

不動産の売買は、通常の買い物に比べて流れが複雑です。たとえば日用品を買うなら、お店で「買います」「お金を払います」「品物を渡します」が、ほぼ同時に完了し、一発で所有権が買主に移転します。

ところが、不動産の場合は図のように「単に商談しているだけで物件を押さえていない」という期間が長く、その期間は好条件を提示すれば横取りできてしまいます

この「単に商談しているだけで物件を押さえていない」という期間を短くするコツを、記事の少し後ろで解説します。

ネット社会では「適正価格」をみんなが知っている

昔に比べて、不動産情報は手軽に入手できるようになりました。私も使っているニフティ不動産などを利用すると、at homeやsuumoなどの有名不動産サイトをまとめて検索・表示できるため、そのエリアの価格相場を誰でも把握できます。

「適正価格」をみんなが知っているわけで、魅力的な物件には、多くの人が気付き、申込みを入れてきます。

その結果、競争が激しくなり、より横取りが発生しやすい環境になっているといえるでしょう。

「誰に売るか」決めるのは売主

そして購入申込みが重なった時「誰に売るか」を決めるのは売主です。当然ですが、誰と契約するかは、売主が自由に決められるからです。

  • 申込み金額が高いか安いか?
  • より決済手段が確実か?
  • より決済にかかる時間が短いか?

こういった点でライバルに負けてしまうと、より横取りされる危険性が増してしまいます。

横取りされたくないときの対処法

ここまでで、不動産売買にはどうしても横取りされる危険や、ライバルに負けて購入できない危険があることを説明しました。

ここからは、その危険性をできるだけ小さくして、確実に購入プロセスを進める方法を解説していきます。

買付証明書と交渉を同時に行う

記事の少し前でも解説しましたが、不動産売買はこのように複雑な流れで進んでいきます。

その中でもとくに横取りされる危険が高い「単なる商談」の時期を短くすることは、多くの不動産業者が自社買取時に意識していることです。

ある程度交渉をして、価格に折り合いが付いたら買付証明書を差し出す……と考える人が多いですが、そうではなく、買付証明書に希望の金額や条件を記入して、即出してしまう方が有利です。

これは仲介業者の営業マンも意識していることで、「まず買付証明書に希望の価格を書いてみましょう」とアドバイスされることも多いはずです。

人気物件の場合はそもそも価格交渉をしていたら横取りされる危険が……。仲介業者に感触を聞いておき、そもそも価格交渉を行うかどうかを決めておく方がよいでしょう。

銀行の仮審査をすませておく

売主はより確実な方に売りたいと考える

当然ですが、売主は「やっぱりローンの審査が通りませんでした」という人と売買契約を結びたくありません

現金であれば最も確実ですが、「銀行の仮審査OK出てますよ」という状態にしておけば、売主が「安心して売れる」と感じてくれます。

そこで、銀行の仮審査を早い段階ですませておくことは、横取りされず確実に売買契約プロセスを進めるポイントとなります。

銀行の本審査には売買契約書が必要なので、売買契約締結までは、仮審査で与信を証明することになります。

今はスマホで仮審査を申し込める

ここ数年で多くのマスメディアに取り上げられたモゲチェックというサービスを利用すると、スマホだけで銀行の仮審査を申し込めます(大手銀行やネット銀行中心)。

モゲチェックに登録すると「モゲレコ」の機能により、AIがその場でお勧めの金融機関や、何パーセントの確率で借り入れできるかまで表示してくれます。

ほぼすべての大手銀行やネット銀行と提携しているサービスなので、AIの判定は正確です。急ぐ場合はこの数字を見せて売主と交渉しましょう。

また、モゲチェックについて詳しくは以下の記事で解説しています。

モゲチェックは銀行からの広告費等で運用さえれているため、ユーザーは無料で利用できます。

手付金を多めに入れておく

物件は「手付金で押さえる」点もポイント

「手付解除」という言葉をご存じでしょうか? 契約をしても解除できてしまう仕組みのことです。

  1. 買主は手付を放棄して契約を解除できる。
  2. 売主は手付を倍返しすることで契約を解除できる。

不動産の売買契約書には、通常この「手付解除」に関する条項が盛り込まれています。そこで、物件を確実に押さえるためにも、手付金はある程度多めに入れておくことをお勧めします。

不動産の売買契約を締結しても、大幅に有利な買い手が現れたとしたら、売主は手付解除をすることができます。

よく「現金がないから手付は10万円でいいですか?」「50万円でいいですか?」という人がいますが、これだとほとんど物件を押さえたことになりません

手付金は物件価格の1割程度を用意し、簡単に手付解除できないように、ガッチリ押さえておきましょう

私が仲介業者の立場で手付解除に立ち会ったのは2回だけです。確率は低いですが、ないわけではありません。一応注意した方がいいと思います。

「横取りしたい」時できること

ここからは逆に、良物件を横取り……というと言葉が悪いのですが、ライバルに競り勝って良物件を購入する方法を考えていきましょう。会社の仕事であれば普通にやっている「競争」ですから、必ずしも悪いことではありません。

また、この点でも不動産売買の仕組みを理解すると成功に近づきます

不動産広告の「取引態様」を必ずチェック

不動産のネット広告を見ていると、複数の不動産会社が同じ物件を掲載している場合があります。

一般媒介といって、複数の仲介業者が売主と契約している可能性もあります。

そうでなくて、売主と直接仲介契約をしていない業者が「うちにも広告させてください」とお願いして、掲載しているケースもあります。

上の図を見ればわかるとおり、この場合は売主と直接契約している業者(物元業者といいます)に当たった方が有利です。他社を経由すると、自分が払う仲介手数料は物元に渡らないからです。

物元の立場では、直接来てくれた客Aのほうが儲かるお客ですから、どうしても優先してしまう傾向にあります。

不動産の広告を見る時「取引態様」という項目に注目してください。「仲介」と書いてあるところは避けて、「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」を選ぶと、物元にアタックできます。

「現金一括決済」こそが最強の買主である

売主は、途中で商談が流れるような事態を避けて、確実に取引を完了したいと考えています。

その点、銀行の審査に落ちる心配がない「現金決済」の買主が最強です。たとえ先行して商談中の買主がいたとしても、「現金で決済します」と言ってみる価値は十分あります。

現金でかかっていけば、ローンの審査が終わっていないライバルよりも有利だからです。

「さすがに現金決済は無理だ」という場合でも、すでに解説したモゲチェックなどを利用して、早めに銀行融資の仮審査を終えておいてください

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モゲチェックの機能(モゲレコ)を使えば「あなたが銀行で融資を受けられる確率は○○%」と、AIがその場で表示してくれるので、売主を説得する材料にもなります。

モゲチェックではモゲレコのAI判定からそのまま仮審査に進むことができるため、どんなに忙しい人でも、スマホがあれば仮審査ができてしまいます

「二番手」でもいいから買付証明を入れる

仲介業者に「購入の申込みはできますが、すでに商談中の人がいますから、二番手になりますよ」といわれることがあります。

もし本当に良物件であれば、二番手でもいいので申込みをしておくべきです。

実は、一番手の商談が流れることは、意外と普通にあります。この場合、買付証明を入れて二番手のポジションを確保しておかないと、知らない間に三番手、四番手になっていたりします。

念のため、二番手での申込みは入れておく方がいいでしょう。

理由なく「やっぱりやめます」とは言えない

ただし、一度買付証明書を出してしまうと、理由なく「やっぱりやめます」ということはできません。

もちろん買付証明書は紳士協定にすぎず、法的拘束力はありません。

しかし、私だったら一度買付証明を出して理由なく破棄した顧客に対して、再度仲介をするとは思えません。つまり、その業者には相手にされなくなってしまいます。

地域で良物件をたくさん持っている業者であれば、かなりの痛手といえるでしょう。

そこで、ある程度腹をくくって買付証明書を出した上で、契約までの間に「とくに危険なポイント」を調べておくことをお勧めします。

  • 事故物件ではないか?
  • 隣人リスクはないか?
  • 地盤等に問題はないか?

致命的な問題があるなら、買付証明を撤回しても文句は言われません。

権利関係は仲介業者と司法書士に任せておけば、通常はOKなので、まず上の3項目を調べておきましょう。

「事故物件かどうか」と「隣人リスク」は、近隣の聞き込みでだいたいわかります。購入する物件の前に立っていて「誰かが通りかかったら話してみる」というだけでも、かなりのことがわかります。これは絶対やってください。

詳しくは、以下の記事でも解説しています。

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また、地盤等は土地の履歴を調べることである程度つかめます。以下の記事で、土地に昔何があったかを調べる方法を解説しています。

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パソコンだけでも土地履歴を詳しく調べることができます。物件購入時にはぜひ参照してください。

買付証明提出後であっても、こういった調査に基づいて「問題があるので撤回したい」と申し出るのであれば、仲介業者としても納得して商談を終えることになるでしょう。

物件をすばやく押さえつつ、調査はしっかりと行うようにしましょう。

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