はじめに
家を売買する際、仲介業者選びは重要なポイントの一つです。しかし、一口に仲介業者と言っても、大きく分けて「元付業者」と「客付業者」の2種類が存在します。それぞれ異なる役割があり、また、どちらを選ぶべきかは状況によって異なります。
本記事では、元付業者と客付け業者の違いを詳しく解説し、それぞれのメリット・デメリット、そして最適な業者選びのポイントについてご紹介します。
1. 元付業者と客付け業者の違い
まず最初に、元付業者とは何か、そして客付け業者とは何かを押さえておきましょう。
1-1. 定義
- 元付業者: 売主から直接依頼を受け、物件の販売活動を行う仲介業者です。一般に、物件の状況や周辺環境に関する知識が豊富で、売主と直接連絡を取っています。
- 客付業者: 買主側から依頼を受け、希望に合致する物件探しや購入サポートを行う仲介業者です。売主直取引でないぶん、幅広い物件を紹介してもらえる可能性があります。
1-2. 主な業務内容
項目 | 元付業者 | 客付業者 |
---|---|---|
依頼主 | 売主(または売主、買主の両方) | 買主 |
主な業務 | 物件の販売活動、価格交渉、契約手続き | 物件探し、購入サポート、住宅ローン手続き |
目的 | 売主だけでなく、買主も自社で見つけたい立場 | 物元業者に先んじて買主を見つけることで仲介を成立させる |
得意分野 | 法令上の制限や物件の瑕疵などを詳しく知っている | 買主ニーズにあわせた営業活動 |
1-3. 報酬
- 元付業者: 売買価格の3%+6万円(税込)を売主と買主からそれぞれ徴収するのが一般的です(両手仲介)。
- 客付業者: 買主からのみ売買価格の3%+6万円(税込)を徴収するのが一般的です。
2. 元付業者と客付け業者のメリット・デメリット
2-1. 元付業者のメリット
- 豊富な物件情報: レインズに掲載されていない情報も把握している可能性があります。
- 売主とのダイレクトな交渉: 売主と直接やり取りするため、価格交渉や条件変更などの相談がしやすい場合があります。
- 物件について詳しい: 元付業者は一般に、売出し前に時間をかけて調査を行っています。そのためどのような法令を制限があるか、境界に紛争がないかなど、物件について最も豊富な情報を把握しています。
2-1. 元付業者のデメリット
- 他の物件を紹介してくれにくい傾向: 売主から直接依頼を受けているため、当該物件を売ることに熱心です。気軽に多くの物件情報をもらえない場合もあります。
- 両手取引を狙いがち: 売主と買主からそれぞれ仲介手数料を徴収する「両手取引」を狙う可能性があります。極端な場合は「囲い込み行為」を行うかもしれません。
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2-2. 客付業者のメリット
- 買主目線のサポート: 買主のニーズを理解し、希望に合致する物件探しや購入サポートを積極的に行ってくれます。
- 場合によっては正直な意見が聞ける: 売主の立場を考えなくていいため、正直に物件の欠点を教えてくれる場合があります。
2-2. 客付業者のデメリット
- 希望に合致する物件が見つかるかどうか: 扱っている物件数が限られているため、希望に合致する物件が見つからない場合があります。
- 物件についての知識が浅い場合がある: 元付業者と比べて、物件について詳しくない場合があります。
どの不動産業者も時には元付の立場、時には客付の立場で仕事をします。そのため、どちらが上、どちらが下という関係ではありません。
また、筆者は客付として動く場合であっても、元付業者に遜色がない程度の物件調査を行っていました。客付業者がすべて物件に詳しくないというわけでもありません。ただ、それでもどちらかを選ぶとしたら、売主とダイレクトに話ができる元付が有利だといえます。
3. どちらの業者を選ぶべき?
3-1. 元付業者を選ぶべきケース
- 希望の物件が絞り込めている場合
- 売主との直接交渉を希望する場合
- 物件について精密な情報を確認したい場合
3-2. 客付業者を選ぶべきケース
- 幅広く、希望に合致する物件を見つけたい場合
- 物件について正直な意見を聞いてみたい場合
- 元付業者の評判が悪い場合
元付業者の評判が悪い時、良心的な客付業者経由で交渉をするというのはありです。筆者が客付業者を積極的に利用するとしたら、このケースに限ると考えます。
悪徳不動産業者の見分け方は、以下の記事を参照してください。
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4. まとめ
元付業者と客付業者にはそれぞれメリットとデメリットがあります。どちらを選ぶべきかは、ご自身のニーズや状況によって異なります。
物件探しを始める前に、それぞれの業者についてよく理解し、比較検討することをおすすめします。
5. 補足情報
- 元付業者と客付業者の見分け方: 物件図面などに記載されている媒介形態を確認することで、元付業者か客付業者かを判断することができます。