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私道と公道の見分け方|「Googleマップで判断」はダメ!

土地の前面道路が私道なのか公道なのか……。

この判断を誤ると、建築できない、ローンが組めない、将来売却できないといった深刻な問題に直面します。しかし、インターネット上には「Googleマップの色で判別できる」といった誤った情報が氾濫しています。これを信じて調査の入り口で間違ってしまうと、大切な不動産の調査がすべて間違いという事になってしまいます。

結論から述べましょう。

私道と公道を確実に見分けるには、「法務局の公図と登記簿」「役所の道路台帳または指定道路地図」という公的書類による多角的な調査が唯一の方法です。見た目や舗装の状態、インターネット上の地図サービスだけでは、法的な判断を誤るリスクが極めて高いのです。

市町村のデータは利用OK

インターネット上で市町村等が「指定道路マップ」を公開している場合は、かなり信頼性が高く、ある程度信用しても問題ありません。「○○市 指定道路マップ」で検索してください。

本記事では、不動産実務の現場で10年以上にわたり土地調査を行ってきた宅地建物取引士の視点から、確実な調査手順と、一般の方が陥りやすい落とし穴を解説します。

結論:私道と公道を見分けるには「公的書類」の確認が唯一の確実な方法

私道か公道かを見分けること自体は、不動産調査の入り口にすぎません。

この点を理解していないと、調査の本質を見失います。仮に「私道」と分かったとしても、その先に「建築基準法上の道路として認められるのか」という、より重要な調査が控えているからです。

一方、公道だとしても「本当に建築できるのか」を確認しないと安心はできません。

法務省民事局の「共有私道ガイドライン」によれば、私道であっても建築基準法第42条に基づく「位置指定道路」や「2項道路」であれば、建築は可能と推定できます。

しかし、所有者の承諾なしに工事を行うことはできません。逆に、公道であっても建築基準法上の「道路」として認められていなければ、接道義務を果たせず再建築不可となるリスクがあります。

こうした複雑な事情があるため、法務局の公図や登記事項証明書、役所の道路台帳(または指定道路地図)といった公的書類による多角的な調査が、法的・経済的なリスクを回避する唯一確実な方法となるのです。

なぜ見た目だけで判断してはいけないのか

一見すると広く整備された道路でも、所有者が個人や法人である私道は存在します。逆に、草が生い茂り管理されていないように見える道が、実は自治体が管理する公道であるケースも少なくありません。

特に注意したいのは、所有権と建築基準法上の道路種別は別問題であるという点です。

たとえば市町村所有の農道は、広義の「公道」ですが、建築基準法上の道路でない場合もありますし、建築基準法上の道路に該当する場合もあります。市町村が所有者であれば、必ず公道だとはいえません。

このように、専門家でも注意を要する複雑な権利関係が絡むのが道路調査です。見た目やインターネット上の情報だけで判断するのは、あまりにも危険といわざるを得ません。

最も確実な3つの調査ステップ(公図・登記簿・道路台帳)

確実に道路の属性を特定するには、以下の3つのステップを踏む必要があります。

  1. 法務局で「公図」を確認し、道路部分の地番の有無を調べる
  2. 地番がある場合、「登記事項証明書」で所有者を特定する
  3. 役所の「道路台帳」または「指定道路地図」で、建築基準法上の道路認定を確認する

この3つのステップを踏むことで、道路の法的な位置づけが明確になります。次の章から、各ステップの具体的な手順を詳しく解説します。

【調査法1】法務局の「公図」で地番を確認する

公図上の地番の有無だけでは、私道か公道かは確定できません。

インターネット上には「地番があれば私道、地番がなく『道』と書かれていれば公道」という情報が散見されますが、これは誤りです。実務ではもう少し複雑な判断が必要になります。

地番がない場合:里道(赤道)の可能性

公図上で道路部分に地番がなく、何も記載されていない、または「道」とだけ書かれている場合、その道路は「里道(りどう)」である可能性があります。里道とは、明治時代の地租改正事業以降、国有地として扱われてきた生活道路のことです。

里道は公道ではありますが、建築基準法上の道路として認められていない場合があります。この場合、建築基準法第43条の「接道義務」を満たせず、建築不可となるリスクがあります。

ただし、建築基準法第42条2項の「2項道路(みなし道路)」として指定されていれば、建築は可能です。この確認は、後述する「ステップ3」の指定道路地図で行います。

筆者が実務で経験したケースでは、里道に面した土地で2項道路の指定がなく、建築基準法第43条の許可(ただし書き許可)を取得する必要があったケースがありました。43条許可取得には時間と費用がかかるため、購入前にこの点を確認しておくことが重要です。

地番がある場合:所有者の確認が必須

公図上で道路部分に地番が振られている場合、それは独立した「筆(ひつ)」として管理されており、特定の個人や法人が所有する土地であることを意味します。

ただし、地番があるからといって、必ずしも私道とは限りません。所有者が市町村や国である場合、それは公道である可能性があります。逆に、個人名や法人名が登記されていれば、私道と判断できます。

この判断は、次の「ステップ2」で登記事項証明書を取得し、所有者を確認することで行います。

【調査法2】「登記事項証明書(登記簿)」で所有者を特定する

登記簿の所有者名を見ることで、道路の所有権が誰にあるかを確定できます。

公図で地番を確認したら、次はその地番の「登記事項証明書」を法務局で取得します。この書類には、土地の所有者、地目、面積などが記載されています。

所有者が「市区町村・国」なら公道の可能性

登記簿の所有者欄に「○○市」「○○県」「国土交通省」「建設省」といった行政機関名が記載されている場合、その道路は公道である可能性があります。

ただし、これだけでは確定できません。たとえば、市町村名が記載されていても、実際には道路法上の認定を受けていない「通路」に過ぎない場合があるからです。

たとえば港湾区域内の移動を目的とした港湾道路や、森林の整備や林産物の運搬を目的とした林道は、公有の道路ではありますが、市町村道に認定されていない場合があります。立派に舗装されていても、建築基準法上の道路ではありません。

このように、登記簿の情報だけでは判断できない場合があるため、最終的には役所の道路台帳(指定道路地図)で確認する必要があります。

個人名や法人名、複数人の共有なら私道

登記簿の所有者欄に個人名や法人名が記載されている場合、その道路は私道です。また、複数の個人名が連なっている場合は「共有私道」であり、所有者全員の持ち分が登記されています。

私道の場合、将来的な通行・掘削の承諾が必要になるという点に注意が必要です。特に、水道管やガス管の引き込み工事を行う際には、道路所有者の承諾が必要になります。

2023年(令和5年)4月1日に施行された改正民法により、共有私道においてライフライン設置権が明文化され、所有者の一部が不明な場合でも裁判所の決定により工事が可能になりました。これは私道を巡る権利関係における重要なできごとでした。

とはいえ、実務ではまだ「全員の承諾が必要」という古い慣習に縛られたトラブルもあるようです。購入前に、道路所有者と連絡を取り、承諾の取得可能性を確認しておくべきでしょう。

安くあげるなら「所有者事項」

単に所有者を確認したい、という場合は登記事項証明書(登記簿全体の内容)を取得するよりも、所有者事項証明書を取得するのがおすすめです。費用は登記事項証明書が331円、所有者事項なら141円です(いずれもオンライン取得、消費税込)。ネットでの登記簿取得は民事法務協会のサイトで行えます。

【調査法3】役所の「指定道路地図」等で認定状況を調べる

指定道路地図を見れば、建築の可否が確定します。

これが最も重要なステップです。法務局での調査で道路の所有権者はわかりましたが、それだけでは「建築できるかどうか」は判断できません。建築基準法上の道路として認められているかを確認するには、役所の「指定道路地図」または「道路台帳」を見る必要があります。

道路管理課(名称は自治体による)での確認手順

多くの自治体では、建築指導課や道路管理課といった部署で「指定道路地図」を閲覧できます。指定道路地図には、建築基準法第42条に基づく道路の種別(1項1号道路、2項道路、位置指定道路など)や、道路の幅員、指定年月日などが記載されています。

横浜市や阪南市などの自治体では、指定道路地図において路線番号(例:「2045」)や「市道○○線」という名称が着色されている部分が、建築基準法上の道路として認定されています。一方、形状が道であってもこれらの記載がない箇所は、私道や認定外の里道、林道等の可能性が高いと判断できます。

筆者が実務で調査する際は、次のような手順を踏みます。

①オンラインで登記簿、公図を取得する(所有者等を確認)。
②市役所等で指定道路地図を見る(建築基準法上の道路に該当するか確認)。

これで「私道か公道か」の区別と、建築可否という重要なポイントが判断できます。

インターネットで指定道路地図を閲覧できる自治体も増加中

「よこはまのみち」で認定道路かどうか判定できる

近年、インターネット上で指定道路地図や道路台帳を閲覧できる自治体が増えています。たとえば、横浜市の「よこはまのみち」というウェブサイトでは、地図上で道路の種別や認定状況を確認できます。

道路調査の第一歩として「○○○市 指定道路マップ」などのキーワードで、インターネット検索してみてください。

ただし、すべての自治体がオンライン閲覧に対応しているわけではありません。また、オンラインで見られる情報が最新でない場合もあるため、重要な取引の際には必ず窓口で確認することをお勧めします。

筆者の経験では、オンラインで確認した情報と現地の状況が異なっていたケースもありました。古い住宅地等では、役所の図面と現況が一致しないことがあります。こうした場合、役所の担当者に調査を依頼する必要があり、かなり時間がかかる点に注意してください。

【注意】Googleマップの「色」で判断するのはNG

「Googleマップは全く当てにならない」

これが実務の結論です。

インターネット上には「Googleマップの道路の色分け(濃いグレーが公道、薄いグレーが私道)で公私を判別できる」という情報が広まっていますが、これは100%間違いです。

筆者は宅地建物取引士として10年以上にわたり不動産調査を行ってきましたが、Googleマップの色分けで道路の所有権を判断したことは一度もありません。

Googleの道路の色分けは道路指定と一切関係がない

Googleマップの道路の色分けは、主に「交通の混雑状況」や「道路の階層(高速道路、主要地方道など)」に基づいています。これは自治体の「道路認定」とは一切連動していません。

Googleマップで非道路が公道と同じ色になっている事例

たとえば、市町村が所有・管理する「市道」であっても、道幅が狭く交通量が少ない場合は、私道と同じ「薄いグレー」「白地」で表示されます。逆に、私有地内の大規模な通路が濃く表示されることもあり、色分けと実際の道路種別が一致しない事例は極めて多いのです。

筆者が調査した物件の中にも、現地がきれいにアスファルト舗装されていても私道であるケースが多数あります。地図上の色分けだけを見て「公道だろう」と判断し、購入を決めてしまうと、後で建築不可や通行トラブルに直面するリスクがあります。

ネット上の誤った情報を信じる法的・経済的リスク

不動産取引における重要事項説明において、Googleマップを根拠に公私の判定を行うことは、宅地建物取引業法上の義務を果たすものとは認められません。

もしGoogleマップの情報を信じて土地を購入し、後で私道であることが判明した場合、以下のようなリスクが生じます。

  1. 建築不可となるリスク:建築基準法上の道路でなければ、家を建てられません。
  2. 融資の壁:金融機関は私道持分がない物件への融資を避けるため、住宅ローンが組めない可能性があります。
  3. 資産価値の減少:相続税評価額では、私道の用に供されている宅地は本来の評価額の30%(70%減)で評価されます。不動産鑑定評価でも、共用私道の場合、周辺の宅地平均価格から50%〜80%の減価が行われるケースがあります。

こうしたリスクを避けるためにも、公的書類による確実な調査が不可欠です。

私道だった場合に必ず確認すべき3つのポイント

私道と判明した場合、建築の可否、費用負担、将来の売却可能性という3つの観点から徹底的にリスクを洗い出す必要があります。

私道であることが分かっても、それで調査が終わりではありません。むしろ、ここからが本番です。以下の3つのリスクを必ず確認してください。

建築基準法上の「接道義務」を満たしているか

建築基準法第43条により、建築物の敷地は「幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならない」と定められています。これを「接道義務」といいます。

私道であっても、建築基準法第42条に基づく「位置指定道路」や「2項道路」であれば、接道義務を満たすことができます。しかし、何の指定も受けていない私道の場合、接道義務を満たせず再建築不可となります。

筆者が実務で経験したケースでは、土地の目の前に他人の土地(私道)が少し挟まっており、それを挟んだ上で公道に接しているという複雑な権利関係の物件がありました。この場合、建築が認められない可能性が出てくるため、慎重に調査する必要がありました。

また、そこまではいかなくとも、自宅の目の前に道路の一部が私有地であるという場合は、金融機関の融資の承認に影響してくる場合があります。銀行から徹底調査を求められ、ローンが組みづらいというケースもあります。

将来的なインフラ工事や補修費用の負担

私道の場合、道路の維持管理は原則として所有者が行います。アスファルトの舗装や側溝の清掃、排水設備の修繕などの費用は、原則として私道所有者の負担です。

共有私道の場合、補修費用を所有者全員で分担することになりますが、「自分は使っていない」と支払いを拒否する共有者が現れる事例も散見されます。国土交通省の令和5年度「土地問題に関する国民の意識調査」では、回答者の52.4%が「空き家・空き地が目立つこと」を身近な土地問題として挙げており、私道においても相続未登記による所有者不明化が、舗装の劣化や清掃不良につながっています。

また、下水道の新設やガス管の交換時に、私道の下を通す許可が得られず、地域全体のインフラ水準が取り残されるリスクもあります。こうした問題に直面した場合、2023年の民法改正により、裁判所の決定を経ることで工事が可能になりましたが、一般の私道所有者や小規模な不動産業者の間ではまだ認知が不十分です。依然として「全員の承諾が必要」という古い慣習に縛られたトラブルが、2か月以上にわたり停滞したケースもあるようです。

「通行・掘削承諾」が将来の売却価格を左右する

私道に面した土地を将来売却する際、「通行・掘削承諾書」の有無が売却価格に影響する場合があります。

通行承諾とは、私道を通行することを所有者に認めてもらう書類です。掘削承諾とは、水道管やガス管を引き込むために道路を掘る権利を認めてもらう書類です。

筆者が経験した事例では、分譲開発において1区画だけ私道の持ち分がつけられていないケースがありました。この土地の購入者は、通行・掘削の許可がないため、後々大きな問題になりました。開発業者は対応せず、最終的には筆者の顧客が所有していた道路持ち分の一部を適正価格で譲渡することで解決しましたが、このような事例は決して珍しくありません。

住宅ローンの審査においても、私道持分がない物件は敬遠されます。金融機関は、将来的な通行・掘削トラブルをリスクとして評価するため、持分がない場合は通行掘削承諾書の取得が融資実行の絶対条件となることが多いのです。

購入前に、私道の持分があるか、承諾書が取得できるかを必ず確認してください。

まとめ:調査に迷ったら不動産の専門家へ相談を

私道と公道の見分け方は、一見シンプルに思えますが、実際には複雑な権利関係や法的知識が必要な専門的な調査です。

結局のところ、お客様が知りたいのは「建築できるのか、できないのか」という結論です。そのためには、公図や登記簿だけでなく、役所の指定道路地図を確認し、建築基準法上の道路として認められているかを徹底的に調査する必要があります。

Googleマップの色分けといった不確かな情報に惑わされず、法務局と役所での公的書類による確認を行ってください。もし調査に不安がある場合は、宅地建物取引士や不動産鑑定士といった専門家に相談することをお勧めします。

不動産は人生における最も重要な財産の一つです。調査の入り口で判断を誤ることなく、確実な手順を踏むことで、安心して土地を購入し、活用することができるでしょう。

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