シロアリ被害にあってもすぐに家が壊れるわけではありませんが、震災時に倒壊して、人命を奪うことが心配されます。
後で詳しく述べるように、阪神淡路大震災後の調査チームによる報告では、震災で倒壊した建物の大半にシロアリ・朽廃による被害があったとされています。
木造と鉄骨造・コンクリート造で危険度は異なるでしょう。
木造と非木造の違い
木造 | 主要構造部に蟻害を受けた場合倒壊しやすくなる |
---|---|
非木造 | 壊れることはないがそれなりのリフォームが必要になる |
この記事では、シロアリ被害を見つける方法と、被害にあった場合の対策方法についても考えていきます。
シロアリで地震時の倒壊リスクが4倍に
阪神淡路大震災の後、専門家チームが被災地に入って被害状況を調査しました。その結果、倒壊した建物のほとんどがシロアリ・廃朽による被害を受けていたことが確認されています。
グラフは神戸市東灘区で倒壊した建物の調査結果ですが、シロアリ被害や廃朽が見られた建物のうち8割が全壊したことがわかります。一方、シロアリ被害がなかった住宅は2割しか全壊しておらず、6割弱が軽微な損傷ですんでいます。
つまりシロアリの被害にあった住宅は地震を引き金として、そのほとんどが倒壊するといえます。もし現在、住宅にシロアリ被害の兆候があるのであれば、次の地震までに必ず対応が必要だといえます。
参考情報ですが、耐震改修については以下の記事をご参照ください。自治体の補助も解説しています。
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シロアリ被害の危険性が高くなるのは築10年から
では、そんな恐ろしいシロアリの被害はどんな家に多いのでしょうか? 日本長期住宅メンテナンス有限責任事業組合が国土交通省の補助を受けて作成した資料では「築10年を過ぎると被害発生率が4~6%に上昇する」とされています。
築10年頃から増え始めるシロアリの被害は、築年が増えるに従って増加していきます。ネット上では「築年と相関しない」とするサイトが見られますが、それは誤りで、建物が古くなるとシロアリ被害が増加しています。
グラフのA区分、B区分の違いは、A区分が新築時の防蟻処理保証切れの住宅で、B区分が再度防蟻処理をするなど保証期間内の住宅です。また築30年あたりでいったんシロアリ被害が減少しているのは、このあたりで駆除処理をしているからと考えられます。
一般に「日本の家の5軒に1軒はシロアリがいる」といわれますが、このグラフを見る限り、それ以上の確率でシロアリの被害がある可能性も考えられます。
そして、もっとも恐ろしいのはシロアリ被害に気づかなかったり、気づいても放置していた場合です。
シロアリにやられても家が立っている。むしろそれが危険
古民家ブームということもあって、私も雰囲気のある古い建物を買い取り、リフォームをして販売するという事業を行っていました。
畳をあげてみると至る所にシロアリの食害があり、耳をすますと驚いたことにシロアリが木をかじるかすかな音が聞こえてきました。何十万匹ものイエシロアリが一斉に根太や柱をかじっていたのです。
しかし、それほどの被害でも建物は崩れずに立っていました。つまり、柱がスカスカであっても、何もなければ家は建っているのです。そして、地震が来たときに崩壊し、中にいた人が圧死するいたましい事態につながります。
阪神淡路大震災で倒壊した建物の多くは、まさにこのような状態にありました。
また、シロアリ防除工事は、安ければ10万円以内で施工してもらえます。詳しくは以下の記事を参照してみてください。
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シロアリ被害のリフォームにかかる費用は!?
筆者はシロアリ被害が多い沖縄県で不動産会社を経営していたため、シロアリ被害にあった家をいくつも見てきました。
その経験から、個別の住宅の状況によって、リフォームの規模や予算はまったく違うと考えています。
- 発見が早ければ少ない予算で改修できる
- 発見が遅いとコンクリート造の家でも1000万円必要な場合も
カギを握るのは、以下の2つのポイントです。
注意点
- 自己チェックを含めて早め早めにシロアリを発見したい
- 風呂場など水回りが特に危険な場所である
とにかく風呂場の周辺が腐っていないか、湿っていないかをチェックするのが最重要ポイントです。
ただし、シロアリの侵入経路はさまざまなので、風呂場が無事なのに玄関が被害を受けているといったこともあります。本当に安心するためには、専門家のチェックが必要でしょう。
仮に風呂場だけのリフォームとしても100~200万円
風呂場の周辺だけがシロアリの被害を受けている、というのはよくある事です。
その場合、システムバスの取り替えだけなら100万円程度におさまる可能性がありますが、蟻害にあっている場合はそれだけですみません。
柱などの構造を支えている部分を補修したり交換しないと、問題が解決しないからです。
そこで、風呂場だけのリフォームであっても、相当程度の出費を覚悟する必要が出てきます。
鉄骨造やコンクリート造でも意外に費用がかさむ
鉄骨造やコンクリート造の場合、家の構造自体がシロアリに食べられてしまうことはありません。
むしろ鉄筋コンクリート造の住宅では、シロアリの心配が少ないせいか、被害が深刻になって初めて気づくケースもあります。
上の写真は、RCB造の住宅が深刻なシロアリ被害にあい、内部の造作をすべて撤去した時のものです。
建物の躯体は無事なので、強度は下がっていませんが、それでもここまでの被害となると1000万円以上のリフォーム代金がかかってしまいます。
鉄骨造やコンクリート造の住宅とシロアリについて、詳しくは以下の記事で解説しています。
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具体的な修理代金はリフォーム見積りを取る必要がある
ここまで見てきたように、シロアリの加害状況によって、リフォームが必要な範囲は異なりますし、建物の構造によっても違ってきます。
具体的なリフォーム代を確認するためには、シロアリ防除とリフォームの見積りをとってみるしかないでしょう。
現在、複数社にシロアリ防除+リフォーム両方の見積りを取れるのは、タウンライフリフォームだけです。
タウンライフリフォーム(シロアリ特集)|公式サイト
タウンライフリフォームは、ダスキンや雨宮、サニックス、キャッツなど、リフォームとシロアリ防除の両方に対応できる業者が登録しています。
また、シロアリ駆除には補助金がありませんが、市町村が実施する耐震補強の補助事業が利用できる可能性があります。
そういった補助金申請に詳しい業者を探すためにも、できれば複数社に見積りをとって相談してください。
耐震リフォームについて、詳しくは以下の記事で解説しています。
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シロアリ被害を見つけるポイント
専門家を呼ぶまでもないな……という場合でも、少なくともセルフチェックだけはしておいてください。ここでは代表的なシロアリ被害の兆候をお知らせしますので、その点だけでも確認しておくとよいでしょう。
- 庭にシロアリがいないか。
- 蟻道がないか(特に玄関に注意)。
- これまでスムーズに動いたドアや開き戸が動かしにくくなっていないか。
- 壁や柱をたたくとポコポコと虚ろな音がしないか。
- フローリングのスキマなどに細かい木くずがないか。
- 床が浮いてきたら末期症状なので要注意。
蟻道というのは、シロアリが作る通り道です。写真のようにシロアリがかみ砕いた木くずやフンなどを固めて作られていて、床下の土や基礎から柱を伝って立ち上がっているのが一般的。玄関付近では土間からカマチにかけて蟻道が作られていることもあります。
またシロアリは土中に生息するため、庭の木にシロアリがいる場合、土の中を伝って家の中に侵入してきます。基礎に設けられた通風口(地窓)から侵入することもあるので、そのあたりに蟻道がないかもチェックしてみてください。
ポイント
症状に思い当たったら急いで対応する必要があります。シロアリ被害は再発しやすく、また保証切れ直後から増加するというデータもあります。できれば長期保証付きのシロアリ駆除を検討するべきだといえます。
シロアリ被害が出やすい住宅の特徴は?
シロアリ被害については建築学会や防虫業者の団体がさまざまな調査研究をおこなっています。シロアリ被害にあいやすい条件も、いろいろと指摘されています。
一例をあげると、以下のようなポイントに注意が必要です。
防蟻工事の保証が切れてから2年め以降で被害が急増
保証期間が満了する頃、シロアリ予防工事の薬剤効果も切れてしまいます。グラフは日本長期住宅メンテナンスの発表資料ですが、保証期間満了と同時にシロアリの被害が発生し始めます。10年経過時には被害発生率が20%に達し、20年経過時には30%近くになります。
新築であっても5~10年で建築時に散布した薬剤の効果はなくなりますから、これ以降シロアリ被害にあいやすくなります。
ユニットバスで少なく、在来工法の浴室で多発
日本長期住宅メンテナンスの調査でも、特に気になるのがお風呂の工法。現在主流のユニットバスであれば蟻害の発生率は低いのですが、在来工法の場合は高い確率でシロアリの被害にあっています。
ユニットでなくモルタルやタイルで作った浴室の場合、長期にわたって防水性を確保することはできないといわれています。そのため周辺の木材が湿った環境となり、シロアリが好むためだと考えられます。
スラブ基礎やベタ基礎で少なく、布基礎で多く発生
スラブ基礎やベタ基礎といった、コンクリートで地面をしっかり覆う工法では、シロアリの被害は比較的少なめです。しかし布基礎の場合は高い確率で蟻害が発生しています。
布基礎とは、写真のように床下は土のままでコンクリートを打設していない基礎です。昭和の後期までは普通に見られた工法なので、1980年以前の建物であれば注意してください。
調査によるとツーバイフォーの住宅で意外とシロアリ被害が多いという報告もあります。パネル工法のため機密性が高いのがツーバイフォーのメリットですが、湿気を閉じ込めてしまうことで、シロアリに好まれる……という可能性も否定できません。ただし、厳密な調査はされておらず、今後の研究を待つ必要があります。
そもそもシロアリとは何か? 生態は? 画像で説明
シロアリは名前に「アリ」とつきますが、実は蟻とはまったく違う昆虫です。蟻がハチ目なのに対して、シロアリはシロアリ目に属し、どちらかというとゴキブリに近い仲間です。
その証拠に、オーストラリアに生息するムカシシロアリは名前の通り原始的で、ゴキブリに少し似ています。
日本に住むのは主にヤマトシロアリとイエシロアリ
日本の住宅に被害を与えているのは、主にヤマトシロアリとイエシロアリの2種類です。ヤマトシロアリの分布北限は北海道中部といわれており、ほぼ全国にみられます。
ヤマトシロアリはそれほど大きな巣を作らず、加害された木材をみると、その中に巣を作って女王蟻がいる場合が多く見られます。
それに対してイエシロアリは数十万頭から数百万頭のコロニーを作り、巣の大きさが直径1mになることもあります。行動範囲も広く2階の木材まで食べてしまうこともあります。
ただしイエシロアリは寒さに弱いため、西日本を中心に分布しています。
羽アリが飛ぶ時期と注意点
シロアリに気づくのは、家の中や周辺で羽アリが飛んでいるのを見たときだと思います。羽アリは1年に1度、群飛といって集団で飛び立ち、古い巣とは別に新しいコロニーを作ります。
ヤマトシロアリの羽アリは、4月から5月の暖かい日によく飛びます。色は黒っぽく、飛ぶ範囲は200~300mほどです。
イエシロアリの羽アリは6月から7月ごろの湿度が高い夕方に飛び、身体の色は黄褐色です。
羽アリが家の中に数匹入ってくる程度であれば心配ありませんが、家の中で群飛していたり、家の中から飛び立っていたら要注意です。家のどこかにシロアリの巣があるかもしれません。
詳しくは、以下の記事で解説しています。
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まとめ「シロアリにやられた家は強度が低下している」
筆者はシロアリ被害が多い沖縄県で不動産会社を経営していたため、蟻害にあった多くの住宅を見てきました。
梅雨時の夜、クルマを走らせていると、まるで大雨のようにイエシロアリの羽アリがフロントガラスに降り注いでくるような環境です。
それでも、シロアリにやられただけで倒れた家を見たことはありません。
ただし、震災時に簡単に倒壊し、人命を奪ってしまうことにつながります。
そうならないためにも、シロアリには早めに対応することが必要です。
- 早めにシロアリを駆除すればリフォーム代が少なくてすむ
- 遅くなればなるほどリフォームが大規模になり金額もかさむ
当然ですが、こんな関係にあるわけです。
「今、シロアリの被害が進行している」という場合、早めに複数社に見てもらい、確実な駆除方法とリフォームのプランを検討してください。
今のところ、そのすべてを一括で複数社に依頼できるのは、タウンライフリフォーム(シロアリ特集)だけでしょう。
タウンライフリフォーム(シロアリ特集) |公式サイト
リフォームが得意なシロアリ駆除業者が複数登録しているので、まずは上記サイトを試してみてください。シロアリ調査だけなら無料です。
もし「シロアリ被害は深刻ではないが、予算をかけずに駆除したい」という場合は、以下の記事が参考になります。
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