ボロ家を相続したら|「すぐ売る」だけが正解じゃないって本当?

ボロ家を相続したとき、その家が「まだ住める状態なのか」「解体すれば売れる土地なのか」「再建築不可などで売却が難しい物件なのか」を見極めることが大切です。

国土交通省の令和6年空き家所有者実態調査では、相続で取得された空き家のうち約28%は「構造上の不具合や腐朽・破損なし」とされています。一方で、約47%には室内外の部分的な腐朽・破損があり、約21%には構造上の不具合があると報告されています。

つまり、同じ「相続したボロ家」「相続した空き家」でも、危険度や売却可能性は家ごとに大きく違います。

ここで1つ、重要な論点があります。

「決められないから放置する」というふうに考えると、もっとも金銭的ダメージが大きくなる可能性があります。空き家を放置すると、管理不全空家や特定空き家の問題につながり、固定資産税の優遇が外れたり、行政から指導を受けたりする可能性があるからです。

この記事では、相続したボロ家を売る・管理する・様子を見る前に確認したい判断材料を整理します。不動産会社に相談する前に、自分の家がどの状態に近いのかを把握しておけば、営業トークに流されず、納得して次の一手を選びやすくなります。

目次

相続したボロ家は「すぐ売る」だけが正解ではない

ボロ家を相続すると、ネットで調べるほど「早く売れ」という意見がほとんど。不動産会社としては「売ってもらえれば仲介できる」という考えがあるのかもしれません。

ただし、放置すれば税金や管理の負担が増えていくことは間違いありません。それは事実ですが、売るだけが解決策ではないでしょう。

思い出の詰まった実家を、気持ちの整理がつかないまま売るのがいいとは限りません。

そこで、この記事では「今すぐ売る」以外の選択肢も含めて、分析していきます。売る・売らないを決める前に、まず自分の家がどんな状態にあるのかを知ることから始めましょう。

あなたの家はどのパターン? 相続した空き家の3タイプ

相続した空き家は、大きく3つのタイプに分かれます。 自分の家がどれに近いか、まず確認してみてください。

住める状態(軽微な修繕で済む)

国土交通省の調査(令和6年空き家所有者実態調査)によると、相続によって取得された空き家のうち、約28%は「構造上の不具合や腐朽・破損なし」とされます。

築年数が古くても、定期的に手入れされていれば、住める状態を保てているケースは少なくありません。

判断の目安は「構造耐力上主要な部分」、つまり基礎・柱・梁・屋根に致命的な損傷がないかどうかです。壁紙の汚れや設備の古さだけなら、軽微な修繕の範囲。主要構造部や雨水の侵入を防ぐ部分に問題がなければ、まだ住み続けられる可能性大です。

もし自分で判断できない場合は、ホームインスペクションなどを利用するといいでしょう。

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住めないが解体すれば売れる(接道あり)

一方で、約47%の空き家には「室内外に部分的な腐朽・破損」が、約21%には「構造上の不具合」が確認されています。このレベルになると、住める状態に戻すには相応の費用がかかります。

ただし、解体して更地にできれば、土地としての売却は十分可能です。

その際、売れる条件は「接道義務」を満たしているかどうか。敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接していれば、新築用の宅地として流通しやすくなります。

接道義務について、詳しくは以下の記事で解説しています。

接道義務とは|建築基準法の要件2つと建て替えできない時の3つの救済措置(私道ラボ)

再建築不可かつ建物が老朽化している(売却が難航しやすい)

一番判断が難しいのが、このパターンです。

前面道路の幅員が4m未満だったり、道路に接していない袋地だったりすると、原則として新しい建物を建てられません。いわゆる「再建築不可物件」です。

このケースではさまざまな事情も絡んでくるため、一般的な判断基準だけでは語りきれません。具体的な事例は、この記事後半で詳しくお伝えします。

「どうするか決めずに放置」した場合はどれくらいが限度?

「今は決めなくていい」と聞いて、少しほっとした方もいるかもしれません。ただし、放置するにも限度はあります。

特定空き家などに指定されないように注意が必要

日本中で増え続ける空き家問題に対処するため、国は「空家等対策特別措置法」という法律を作りました(2015年施行)。

この法律により行政は危険な空き家へ強く介入できるようになりましたが、その最大のポイントとなるのが「特定空き家」です。特定空き家とは周囲に深刻な悪影響を及ぼす建物を指します。

そのまま放置すれば倒壊の危険があったり、著しく衛生状態が悪い空き家などを、行政は「特定空き家」に指定することができます。

指定を受けると税金の優遇措置が外され、土地の固定資産税が最大6倍に跳ね上がったり、行政による強制代執行もあり得ます。解体費用の差し押さえなど、かなり重いペナルティも考えられます。

どんな手順で特定空き家に指定される?

2023年の法改正で、「特定空家」(倒壊の危険があるもの)の手前に、 「管理不全空家」という区分が新しくできました。 このまま放置すると特定空家になりそうな状態のものが対象です。

つまり、いきなり「危険な家」と判定されるわけではなく、 段階を踏んで進んでいく仕組みになっています。

実際、大阪府阪南市の例を見ると、令和元年度から5年度までの5年間で、 助言は毎年40〜70件ほど、指導は1〜7件ほど出されています。

一方で勧告まで進んだのは年に1〜5件程度、 実際に行政代執行に至ったケースは、この期間ではほとんどありません。 つまり、助言の段階で改善される空き家のほうが多いということです。

手がつけられない空き家ほど急いで対処すべき理由

写真は、最近筆者が見てきた特定空き家の実例です。屋根が崩れ始めており、このまま放置すれば危険な状態。建物外壁の壁もあちこち剥がれており、雨天時には壁体内部に水が浸入しているはずです。

しかし問題は「なぜこの家がここまで放置されたのか」です。

実は、前面道路が幅員1m程度しかなく、軽トラックさえ入れません。もちろん、重機類はいっさい進入できません。そのため、古くなっても解体できなかったことが、ここまで事態を悪化させたのだと推測できます。

実際、特定空き家に指定される家は、不便な立地で建物の除却が難しいケースがよくあります。

もし、所有している空き家が「解体できないから放置しよう」「リフォームできないから放置しよう」という状態になっていたら、要注意です。

「どうしようもない」で放置してしまうと、特定空き家に指定され、莫大な解体費用が請求される可能性が高まるのです。

再建築不可・私道に接した家を相続したら

筆者が今「かなり危ない」と考えているのが、再建築不可物件。

2025年4月の建築基準法改正により、木造建築物の審査が厳格化されました。そのため、これまで可能だった「再建築不可物件のスケルトンリフォーム」が事実上不可能になっています。

旧建築基準法では、再建築不可であっても大掛かりなリフォームによって現在の基準に近い建物に更新することができていました。しかし、その道が閉ざされることによって、多くの再建築不可物件が「どうしようもない」状態になっているのです。

まさに、特定空き家になってしまいがちなパターンです。不動産の物件調査を行う場合は、この点にも注意する必要があります。

売る前に「管理する」という選択肢

ここまで読んで、不安になった方もいるかもしれません。 ですが、売却を決断する前に、もう一つ選べる手段があります。

それが「空き家管理サービス」です。

管理サービスには、大きく2つの形態があります。

  • 鍵預かりなし(外部巡回のみ):月3,000円〜5,000円程度。外観の確認や郵便受けのチェックが中心です
  • 鍵預かりあり(内部・外部巡回):月5,000円〜9,000円程度。室内の換気や通水(蛇口に水を流す作業)まで対応します

筆者が運営する空き家管理サービスでは、鍵をお預かりせずに、月1,500円の費用で巡回と写真報告を行っています。

加えて、JSHI(日本ホームインスペクターズ協会)の認定資格を持つ筆者自身が、建物の状態を診断する機会も設けています。

このホームインスペクションにより、建物の置かれた状況を把握し「まだ使える建物かどうか」を確認することができます。

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「売る・売らない」を急いで決めなくても、こうした形で建物の状態を保ちながら、判断する時間を確保することもできます。

まとめ「相続したボロ家をどうすべきか判断する視点」

相続したボロ家は、必ずしもすぐ売る必要はありません。まず考えるべきなのは「売るかどうか」ではなく、建物と土地の状態を正しく把握することです。

相続した空き家は、①住める状態のもの、②解体すれば売却しやすいもの、③再建築不可など判断が難しいものに分けられます。

また、放置を続けると管理不全空家や特定空き家につながる可能性もあるため、「とりあえず何もしない」という選択には注意が必要です。

この記事を読んだ今なら、売却だけが唯一の解決策ではないことがおわかりいただけたのではないでしょうか。管理しながら様子を見るという方法も含め、自分の空き家に合った選択肢を検討できるはずです。

もし判断に迷う場合は、建物の状態や売却の可能性を確認するところから始めてみてください。現状を把握できれば、売る・管理する・活用するという次の判断も、納得感を持って進めやすくなります。

無料ホームインスペクションつき空き家管理サービス(月1500円)

上記からのご相談は無料。空き家管理は月1500円と低額ですが、年契約に5万円相当のホームインスペクションが付属するお得な内容です。

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