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抵当権付き不動産は売買できます【取引の流れと具体的な注意点を解説】

抵当権が付いた物件の売買は普通に行われますが、注意が必要です。抵当権の抹消と売買を同時に行う必要があるからです。

不動産の売買は、普通の買い物に比べて複雑な流れになります。一般的には

  1. 売買契約を締結し
  2. 残金の決済と所有権移転登記に必要な手続きを終え
  3. 最終的に残金決済+所有権移転登記姿勢を行う

…という手順を踏みます。

この流れの中の、②「必要な手続き」に、抵当権抹消登記に必要な書類(抹消書類)の手配が含まれます。この抹消書類を用意しておくことが、抵当権付き不動産売買のキモといえます。

この記事の読み方

抵当権付き不動産を買う場合は、「基本の流れ」→「抵当権付き不動産を買う時の注意点」と進んでください。

抵当権付き不動産を売る場合は、「基本の流れ」→「抵当権付き不動産を売る時の注意点」と進んでください。

抵当権付きの不動産を、抵当権を抹消せずに購入することも可能です。しかし非常に危険なのでおすすめしません。

抵当権付き不動産を売買する基本の「流れ」

「抵当権を抹消しながら売る」という手続きが必要

抵当権付き不動産を売買する場合、普通は「抵当権の抹消登記と同時に所有権移転登記を申請する」という方法をとります。

抵当権を抹消しないまま不動産を購入してしまうと、抵当権を実行されて強制競売にかけられる可能性があるからです。買主はせっかく買った不動産を失ってしまうことになりかねません。

そこで、所有権移転登記と同日に抵当権を抹消する必要が出てきます。

問題は、誰が抵当権を抹消できると保証するか? ですが、これは司法書士が担当します。

登記の専門家である司法書士が、決済に先立って書類を確認しておき「確実に抹消登記が入るので、取引を安全に進められる」という点を担保します。

フドマガ
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抵当権付き不動産を買う時の注意点

抵当権付き不動産の売買では、買う時のほうが危険度が高く、注意が必要です。

「購入したのはいいが抵当権が抹消されなかった」となると、すでに述べたように、売主が借金を返さなかったら、強制競売にかけられる可能性があるからです。

たとえば抵当権付きの不動産の残債務が1000万円残っている場合、もし1000万円でその物件を売買したとすると? 売主は不動産の代金として1000万円を受け取り、そのお金でローンの全額を返済することができます。

しかし、500万円で売買したとすると、売主は不動産を売ったお金だけではローンを全額返済することができず、抵当権を抹消することができない可能性があります。

この場合でも売主が貯金から500万円を出せば、1000万円の残債務がある抵当権を抹消することは可能です。

そこで、抵当権付きの不動産を購入する場合は「その抵当権を抹消できるのか」を確認する必要があります。

通常は司法書士と不動産業者がその点をしっかり確認するので、専門家に「どういう状況ですか」と確認してみてください。

根抵当権が付いている場合の注意点

根抵当権について、詳しくは記事の最後で解説していますが、ざっくり言えば極度額という枠を決めて、その枠内で何度でもお金を借りることができるというのが特徴です。

ただ、「債権の範囲」といって「どんな債権が担保されるか」を決めることになっており、登記簿にも記載されています。

この登記簿の例では、債権の範囲は「銀行取引 手形債権 小切手債権」となっています。

そのなかでも手形債権や小切手債権は、債務者(お金を借りている人)が第三者のために振り出した手形や小切手が、さらに別の人に流通したような場合でも担保されるということを示しています。

つまり、根抵当権を設定しているということは、何かの商売をしている可能性があるわけで「いったい今どういう債務(借金)を担保しているのか」がわかりにくい点に注意が必要です。

また、根抵当権の場合は、抵当権と違って債権者と相談をした上で「元本確定」をする必要があります。これは、極度額の中でいくらでも借り入れできてしまう根抵当権の債権債務額を「もうこれでシメましょう!」と、確定する作業です。

こういった作業は、専門家である司法書士と不動産業者が行いますが、ユーザーの立場でも「こういう作業をしているんだな」という概要を把握しておくほうが安全です。

根抵当権抹消は元本確定などの作業が必要で、抵当権の抹消よりも難易度が上がります。エンドユーザーの立場でも、その点は理解しておきましょう。

とくに司法書士が「手続きをしっかり進めてくれているかな」と確認することが重要です。

差押登記が入っている場合の注意点

しかし差押えはけっこうエグいです

抵当権ではありませんが、購入時には差押登記の有無も確認しておきましょう。差押登記が入っている主な理由は2つあります。

  1. 税金などを滞納したことで差押登記が入っている
  2. 競売開始決定がされた

いずれの場合も購入は不可能ではありません。しかし、そのまま購入するのは危険です。

税金滞納により差押えされている例

①の税金滞納のケースでは、抵当権の抹消登記と同じく、差押をしている行政機関(上の例では東京都)と相談し、抹消登記の手配をしてから決済を行います。

競売開始決定がされた例(抹消済み)

②の競売開始決定がされた場合についても、競売を中止して購入することができる可能性はありますが、専門的な知識が必要になります。

このような登記が入っている場合は、司法書士などの専門家と綿密に打ち合わせした上で対応を決める必要があります。

抵当権の設定登記は、登記簿の権利部乙区という部分に入りますが、差押登記は権利部甲区に入ります。

抵当権付き不動産を売る時の注意点

抵当権が付いたままでは正常価格で買ってもらえません

抵当権付きの不動産を売る場合、抵当権が付いたままで買ってくれる人はいません。いたとしても、非常に安い価格になるはずです。

そこで、抵当権を外して売却する必要がありますが「物件を売却したお金で抵当権を抹消したい」と考えるのが普通です。しかし…

  1. 不動産を売却する
  2. 売却したお金で抵当権を抹消する

という順序だと、買主は怖くて代金を支払えません。そこで実務では、

  1. 売却したお金で抵当権を抹消できるよう準備する
  2. 売却したお金で抵当権を抹消すると同時に所有権移転登記をするす

という手順で取引を進めます。

不動産の代金を受け取る前に、抵当権抹消書類の準備をしておくことが必要。

抵当権を抹消できるかどうかを確認する

契約をしてから残金決済までに抹消書類を用意

不動産の契約をすませてから、残代金支払いと所有権移転登記までの間に、売主は抹消書類の準備をしておく必要があります。

具体的には、現在住宅ローンを借り入れしている銀行(金融機関)に売買契約書を持参して「このように売却予定なので、抹消書類の準備をしてください」と依頼します。

不動産を売却したお金で住宅ローンを完済できれば、金融機関は抹消書類の準備をしてくれます。

通常こういった手続きは仲介業者がサポートしてくれるので、過度に心配する必要はありません。

一方、売却したお金で住宅ローンが完済できない場合は、どうやって完済するかを打ち合わせする必要があります。

完済できない場合は?

一般に、売却した金額でローン残債を完済できない場合は、貯金などで不足分を支払うことになります。

しかし、もしかして「売り出し価格が安すぎる」という可能性はないでしょうか? その点、別の不動産業者に再査定を依頼してみるのもひとつの手です。

再査定を依頼する場合のおすすめは、価格査定の正確さに定評がある三井のリハウスです。リハウスの査定価格は、市場価格をかなり正確に反映しているからです。

三井のリハウスが対応していないエリアの場合、全国に対応しているイエウールなどの一括査定サイトで複数の不動産業者にコンタクトするという方法も考えられます。

ただし、一括査定サイトの場合は査定額に大きなバラツキがあり、どれが正解かわかりにくいという問題が残ります。

抵当権は、ローンを完済しても自動的に抹消されない

住宅ローンを完済したら自動的に抵当権が抹消されそうな気がしてしまいますが、実はそうではありません。

上の例では、平成4年に借入をした住宅ローンを担保するための抵当権が設定されています。すでに返済していますが、抹消されていません。

このように「完済したけど抹消されていない抵当権」が付いた不動産を売却する場合も、抹消してから引渡します。

抹消されていない古い抵当権の場合、すでに抵当権者(融資を実行した銀行)がなくなっている場合もあります。書類の準備に時間がかかる可能性があるので、早めに対応したほうがいいでしょう。

抵当権とは何か?

抵当権とは、お金を借りた担保として、不動産等について「お金を貸してくれた人(一般的には銀行など金融機関)は優先的にその不動産等からお金を回収できる」という権利です。

ポイントは、

  1. 占有を移転しない(住んだままでOK)
  2. 他の債権者に先立って弁済を受ける(普通にお金を貸している人より優先)

の2点です。

お金を借りた人は、抵当権を設定した家に住み続けることができるのですが、かわりに登記することで「この不動産には○○銀行の抵当権が設定されています」と公示します。

また、抵当権が複数あるときは登記の先後で優先順位が決まります。

抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

民法§369-1

抵当権の設定自体は口約束でも成立しますが、それでは第三者に対抗できないため、登記をする必要があります。

根抵当権とは何か? 抵当権との違いは?

根抵当権は、抵当権の一種ですが、以下の点が違っています。

  1. 複数の債権を担保する
  2. 一定の範囲(極度額)を決める

という特徴があります。

根抵当権が設定された登記簿の例

上の例では、極度額が840万円と定められているので「840万円までの債権を担保しますよ」ということになります。

ここで注意したいのは、840万円のうち実際に今ある残債務はいくらかわからない点です。もし根抵当権付きの不動産を購入する場合「債務が残らないのか?」という点は早めに確認したほうがいいと思います。

抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。

民法§398-2-1

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