ネットで「貧乏人ほど家を買う」と書かれていることがありますが、これは間違いです。
この表は総務省が公表している世帯年収別の持ち家比率ですが、年収が上がるほど持ち家比率が高くなっていくことがわかります。
年収1,500万円以上の世帯では、持ち家比率は90%以上になります。
日本の平均的な世帯年収である545万円の場合、持ち家比率は60%台後半となります。
このように、「貧乏人ほど家を買う」という話は間違いで、むしろ逆です。しかし、収入に余裕がない庶民でも家を買うことは可能ですし、できれば買っておく方が安心です。
ただし、買うべき不動産の見極め方や住宅ローンの組み方など、予算面では重大な注意点があります。
この記事では、お金がなくても家を買い、できるだけ支出を抑え、賃貸よりも楽に暮らす方法についてガイドしていきます。
貧乏人でも家は買えるし買った方がお得!
持ち家か賃貸かという論争は、昔から続いており、今でも決着はついていません。決着がつかない理由は、比較するポイントが人それぞれ異なるからです。
この記事では、同じ広さで同じクオリティの不動産を比較した場合、どちらがお得かを考えることにします。
その場合、結論として、賃貸よりも持ち家の方がお得になります。
賃貸不動産の家賃には、大家さんの利益や都市計画税、アパートローンの金利など様々なコストが含まれているためです。
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この記事での「貧乏人」の定義
ここからは、「貧乏人ほど家を買った方が良い」という話を続けますが、まず「貧乏人」の定義をしておきましょう。
日本の平均世帯所得である545万円以下をこの記事では「貧乏人」と規定します。しかし、「貧乏人」という表現は失礼すぎるので、ここからは「一般庶民」と考えましょう。
筆者を含む一般庶民にとっては、家を買う方が経済的に豊かに暮らせる可能性があります。
ただし、どんな家を買うかという条件が重要なポイントです。
可能であれば年収にかかわらず家は買うべき
筆者は、可能であれば年収にかかわらず家を買うべきだと考えています。理由は以下の通りです。
- 日本の住宅政策が持ち家重視であり、住宅ローン減税など有利な制度が存在していること。
- 持ち家には賃貸に含まれる大家の利益やコストが含まれていない点がお得なこと。
- 子供たちが学校に通う際、持ち家の方が安心でき、子供たちなりにステータス面も気にするであろうこと。
- 老後に賃貸で家賃を払い続けるのは非常に不安であること。
- 賃貸は家賃を払い続けても手元に残る金額は0だが、持ち家は一定の資産性があること。
これらの点を重視し、可能であれば年収にかかわらず家を買っておくべきだと考えています。
よく「持ち家を買っても不動産価格が下落したら価値が半減してしまう」と言う人がいますが、その点は心配不要です。
賃貸なら価値が半減どころかゼロです。持ち家の場合、価値が下落しても0にはなりません。住みながら数百万、あるいは数千万の貯金をしたのと同じ効果があります。
貯金が苦手な人も、持ち家を買っておけば貯金代わりになります。
ただし、エリアによっては不動産の価値が下落してマイナス価値になる可能性もあります。その場合は慎重に考えてください。また、物件によってもいずれ所有すること自体が負担になるケースも考えられます。そこで、場合によっては家を買わない方がいいという事もあり得ます。
一般庶民が家を買うメリットとは?
ここまでは、一般庶民が賃貸より持ち家を選んだ方が良い理由を説明してきました。
筆者も庶民の1人として、安くてそれなりにしっかりした持ち家を選んでいます。
また、例えば年収200万円でも住宅ローンは組めますし、持ち家を購入できないわけではありません。
この点については、以下の記事を参照してください。
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間取りではなく面積で比較するとわかりやすい
上のグラフは、持ち家と賃貸の床面積の国際比較です。日本だけが賃貸の面積が劇的に狭いことがわかります。
それなのに、多くの人は賃貸も持ち家もあまり値段が変わらないと考えています。その理由は、ちゃんと面積を比較していないことにあります。
しかし、同じ家賃で住める物件の面積には大きな違いがあります。
賃貸不動産の場合、物件資料に面積が明記されないことがありますが、持ち家の場合は必ず面積が記載されています。
持ち家と賃貸の比較は、必ず面積で比較してみてください。
どんなに安くても駅から歩ける物件に限る
日本の人口は東京に集中していますし、これからも東京への一極集中は続いていくと考えられています。
不動産価格もそれにつれて二極化し、価格が下がるところと上がるところが出てくるでしょう。
それを前提に少しでも資産価値を守るために、①都市圏で②駅から歩けるという2つのポイントを押さえておくことをお勧めします。
今後バス便でしかアプローチできないエリアだと、そのバスがなくなってしまう可能性があります。
どんなに安くてもバス便のエリアは避けるようにしましょう。
庶民が家を買う場合は月々の支払いから逆算
筆者が不動産会社を経営していた時、多くのお客さんがまず「理想の物件を探す」ところから始めていました。しかし、理想からスタートすると予算が膨らんでしまいます。
できるだけ現実を直視し、予算決めからスタートするようにしましょう。
自分に合った予算を考える際、以下の2つのポイントが考えられます。
- 返済比率
- 年収倍率
このうち、年収倍率はあまりあてにしない方が良いと筆者は考えています。ほとんどの人は35年ローンを前提に考えますが、もっと短期間で返済する方が有利ですし、そう考えると年収比率はあまり意味がありません。
一方、返済比率とは月々の収入に対するローン返済額の割合です。年収に対する返済比率と考えることもあります。
例えば、年収500万円の人が年間100万円返済する場合、返済比率は20%です。
銀行等の金融機関は返済比率30%から40%程度まで貸してくれますが、それは銀行が貸したい数字です。実際には、もっと低い返済比率に抑えた方が安全です。
住宅金融支援機構の調査によると、返済比率で最も多いのは15%から20%以内です。みなさん意外と堅実に住宅ローンを組んでいることがわかります。
ちなみに、年収500万円の人が返済比率20%以内に抑えようとすると、35年ローンで2,800万円程度まで借り入れ可能です(金利1.4%の場合)。
この場合の月々の返済額はボーナス返済分を含まず85,700円ほどです。この金額が家賃より安ければ、負担を軽減できる物件が買えたといえるでしょう。
築古マンションなら修繕積立金に注意
筆者は築古のマンションでも、きちんと管理されている物件なら購入しても問題ないと考えています。古いマンションは、今よりも土地が豊富に見つかる時代に建てられたため、良い立地にあることも多く、そういった物件ならおすすめです。
しかし、古いマンションは修繕積立金が高額になることがあります。今後も修繕積立金が値上げされる可能性がありますので、住宅ローンの返済比率を考える際、修繕積立金も含めた支払いができるかを確認しておきましょう。
また、古いマンションを購入する際は、エントランスや公共部分が整理されているか、外壁の状態が劣化していないかも確認してください。購入前に管理規約を確認し、管理組合が適正に運営されているかも確認することが重要です。
家を買うリスクやデメリットを再確認
家を買うリスクとしてよく挙げられるのは以下のポイントです。
- 住宅ローン返済の負担
- 固定資産税や修繕費などの維持費がかかる
- 引っ越しがしにくい
しかし、住宅ローンを安全に組めば、これらの問題はそれほど大きいものではありません。同じ物件に住むなら、一般的には住宅ローンの方が家賃より安くなります。
固定資産税や修繕費などの維持費が賃貸住宅の家賃にも含まれているためです。
賃貸派の人は、持ち家の固定資産税や修繕費をデメリットと考えますが、賃貸住宅の家賃にもこれらのコストは含まれています。
そう考えると「家を買うと引っ越しがしにくい」という点がほとんど唯一のデメリットです。
あえてもう一つデメリットをあげるとしたら、不動産の目利きができない人にとっては、持ち家を買うことが危険である点が考えられます。
つまり、ある程度の知識が求められる点がデメリットと言えるかもしれません。
よく、ひろゆきさんなどが「持ち家を買うのは頭が悪い」と発言しています。しかし、持ち家を買って破綻する人が頭が悪いだけで、ちゃんと物件を選べば、賃貸よりも持ち家がお得になるケースが多々あります。
まとめ「お金持ちじゃなくても家を買うメリット」
ここまで見てきたように、お金持ちでなくても、庶民でも持ち家を買った方が得ですし、メリットがあります。
ただし、持ち家を買う際は理想のマイホームを追い求めるのではなく、まず予算を確定し、確実に返済できる住宅ローンの組み方を考えることが大切です。その予算の範囲内で物件を探しましょう。
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