古い家を売るときは、必ず解体しないといけない、と考える必要はありません。不動産会社の買い取りを選ぶのも、最後の手段と考えてください。
基本は仲介による売却です。
しかし、早く現金化したい場合は買い取り、売却期限が決まっている場合は買い取り保証付き仲介、土地需要が強い地域では解体して更地にするなど、家の状態や立地によって適した方法を選ぶことになります。
とくに注意したいのが、「とりあえず壊す」という考え方。住宅を解体すると住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税負担が大きくなる可能性があります。
この記事では、古い家を売る4つの方法から、解体するか古家付きで売るかの判断基準、税金、遠方からの売却方法、古家査定の考え方まで整理します。
「高く売りたい」「早く手放したい」「できるだけ余計なお金をかけたくない」……それぞれの事情に合わせて、損をせず、なるべく高く売れる売却方法を判断できるようになります。
4つの主な売却方法と「どれを選ぶか」の考え方

不動産を売却する場合、もっとも一般的なのは仲介による売却。通常の不動産流通に乗せることで、一般的にもっとも高く売却できます。不動産業者による買い取りは、それよりかなり安くなるのが通例です。
ただ、最近は「仲介で売り出してみて、タイムリミットまでに売れなかったら買い取りに切り替える」という買い取り保証付きの仲介も一般化しつつあります。
時間をかけてでも高く売りたい時は通常の「仲介」で販売
不動産仲介による売却は、エンドユーザーからエンドユーザーへの売却ですから、中間マージンが乗せられないため、一般的にもっとも高く売ることができます。あらゆる不動産売却において、王道と考えていいでしょう。
デメリットは、売却までに時間がかかること。
それでも都市部の売れ筋物件などは、1〜3ヶ月で売れることもよくあります。問題は地方の空家など、買い手の人数が少ないケース。エリアにもよりますが、年単位の時間がかかることもよくあります。
「それにしても売れるのに時間がかかりすぎでは?」と気になる場合は、無料のセカンドオピニオンサービスを利用してみてください。
無料ですからミニ相談ですが、問題解決の糸口が見える可能性は十分あります。
安くてもいいから早く売りたい時は「買い取り」を利用
不動産会社による買い取りで、よく「高価買い取りします」と書かれています。しかし、仕組みを考えると、高価で買い取りすることは不可能です。
一般的に、買い取り価格は市価の5割から7割程度になります。古家の場合はさらに条件が厳しく、半額以下になることもあります。
不動産会社は買い取った物件をリフォームし、税金などの諸費用を払い、なおかつ利益を乗せて販売しなければいけないので、相当安く買わないと事業が成り立たないのです。
なかでも古家はやっかいです。
不動産会社が買い取った後で、どんな不具合が見つかるか分かりません。シロアリ被害があったり、構造部分に腐食があることも多く、そうなると多額のリフォーム費用がかかってしまいます。
そのため、古家を買い取るのであれば「市価の半額程度かな」というのが筆者の感覚です。
「買い取り保証付きの仲介」という選択肢
ほとんど大手不動産会社に限られますが、「買い取り保証付き仲介」を打ち出す会社が増えてきました。
たとえば転勤などで「この時期までに売れないといけない」という期限がある場合に、おすすめの売却方法です。
最初は仲介で売り出してみて、なるべく高値を目指します。その後、タイムリミットが来てしまった時点で「買い取り」に切り替え、売却期限を過ぎないタイミングで売却します。
この方法であれば高値を目指しつつ、どうしてもという場合は買い取りでスピーディーに売却することができます。
なかなか売れない場合に試してみたい「個人売買」
不動産の個人売買サイトはいくつかありますが、筆者が4つ試してみた結論として、役に立つのは「家いちば」のみでした。
そして、この家いちばは、個人売買サイトといいながら「最終的に仲介に入ってきて仲介手数料を徴収する」というビジネスです。
なので、仲介手数料を払いたくないから個人売買をする、という人には向きません(少し安いですが)。そうではなく、一般の不動産流通とは違う客層にアプローチできるのがメリットです。
筆者が家いちばを利用したときの具体的な状況は、以下の記事にまとめています。

解体すべきか「古家あり」として売るかの判断基準

筆者は、以下に解説するように、古家は「土地需要・新築需要が強いエリアでは解体していい」と考えます。なぜなら、解体したほうが売れやすいですし、短期間で売れるなら、固定資産税額について心配する必要性も薄いからです。
一方、土地需要が弱くて売れにくい土地では、建物を壊さずに「古家あり土地」として販売するほうが有利です。
以下のツールは、簡易的に3つの指標から「古家を解体すべきか、解体しないほうがいいか」を判定するために作成しました。実際には、同一市町村内でも、解体すべきかどうかの判断が異なる場合もありますから、参考資料として活用してください。
地価上昇エリアであれば更地化するメリットあり
更地化したほうがいいのは、新築需要が強く「更地にしたら見栄えがよくなり、買ってくれる人が現れやすい」エリア。筆者は、新築着工戸数が多く、土地価格トレンドが上昇傾向にあるエリアを「新築需要が強い」と判断しています。
土地需要が少ない田舎であれば「古屋あり」で売る
一方、土地需要が少ないエリアであれば、古家ありのまま売却するほうが有利です。解体してしまうと、固定資産税が高くなってしまいますから、売却に時間がかかるとコストが積み上がってしまいます(住宅用地の特例がはずれて、固定資産税額が上がります)。
そういった点も考えて、古家ありのまま販売するのがおすすめです。もし「建物解体費用分値引きできないか?」という相談が来た時に、ある程度の減額で応じるような準備をしておくと良いでしょう。
「解体したらいくらかかるか」を押さえておく
古家を残すか解体するか。判断材料になるのが解体費用の相場です。
構造別の坪単価と、延床30坪の場合の目安はこちらです(国土交通省・大手解体業者の公表データより)。
| 構造 | 坪単価の目安 | 30坪の場合 |
| 木造 | 3万〜5万円 | 90万〜150万円 |
| 軽量鉄骨造 | 4万〜7万円 | 100万〜180万円 |
| RC造 | 6万〜8万円 | 180万〜300万円 |
これは建物本体の解体費用です。ブロック塀の撤去や庭木の伐採といった付帯工事が加わると、総額はさらに20%程度上乗せされるのが一般的です。家財道具が残っている場合は、残置物処分費として5万〜30万円ほど別途かかることもありますが、事前に自分で処分しておくと、その分費用を抑えられます。
もうひとつ見落とせないのが、前面道路の幅員です。
3m未満で重機が入れない土地では、手作業中心の「手壊し解体」となり、木造でも坪単価が5万〜8万円まで上がることがあります。旗竿地や住宅密集地の古家では、この点も確認しておいたほうがいいでしょう。
なお、屋根や外壁にアスベスト建材が使われている場合、事前調査は法律で義務化されています。含有が判明すれば除去費用が別途発生し、多くの木造住宅で該当するレベル3建材(屋根スレートなど)なら、㎡あたり2,000円〜1万5,000円程度が目安です。
正確な金額は現地を見なければ分かりません。一括見積もりサービスなどで相見積もりを取っておくと、より確実に判断できるでしょう。
なお、古家解体に関する詳しい記事は以下のリンク先で読めます。

まとめ「古い家をなるべく損せず売るために押さえたいポイント」

古い家を売る場合でも、いきなり解体したり、不動産会社の買い取りを選んだりするのは勇み足かもしれません。
基本は仲介での売却を検討し、早く現金化したい場合は買い取り、期限がある場合は買い取り保証付き仲介など、目的に合わせて方法を選びます。
解体するかどうかは、建物の古さだけで決めないことも大切です。土地(新築住宅)の需要が強い地域では更地化が有利になる場合があります。更地化することによって、新築したい買い手に魅力的に見えるからです。
それに対して、売却に時間がかかりそうな地域では、古家ありのまま販売する方法が有利かもしれません。なぜなら、古家付きでさがす買い手と土地を探す買い手の両方にアピールできるからです。また、一般に更地化すると固定資産税が上がってしまうことも見逃せません。地方エリアで売却に時間がかかる場合、その間ずっと高い固定資産税を払い続ける必要があります。
つまり、「古いから壊す」のではなく、売却方法、地域の需要、解体費用を順番に確認することが判断のポイントです。迷った場合は、まず3つの指標から確認できる古家解体判定ツールを使い、自分の物件ではどちらが有利か整理してみてください。
古家を残すか解体するか判定します
解体してから「古家のまま売ればよかった」と元に戻すことはできません。迷っている段階なら、まず解体費用と地域の需要を確認してから判断するのが確実です。


コメント