「空き家がなかなか売れない」という悩みは、年々増え続けています。
総務省の調査によると、2023年10月時点の空き家率は13.8%で、過去最高を記録しています(令和5年住宅・土地統計調査)。買い手にとっては、選べる物件が増えている状況でもあります。
こうした中で空き家が売れない理由は、突き詰めると一つです。
価格と、建物・土地の状態が釣り合っていない。

ではどうすればよいのか? この記事では、価格と状態のズレが生まれる7つの原因を、具体的に整理しました。ご自身の空き家がどの原因に当てはまるかがわかれば、値下げで対応できるのか、状態の改善が必要なのか、判断がつきやすくなります。あわせて、売れない時にやってしまいがちなNG行動や、放置した場合のリスクについても解説します。
この記事は、アップライト合同会社の立石秀彦(宅地建物取引士)が制作しました。不動産の調査・マーケティングを専門とし、複数の不動産メディアを運営しています。
空き家が売れない具体的な7つの理由

家が売れない理由を一つだけ挙げるとしたら、価格が高いこと。ほとんどの理由は、深堀りしていくと「価格」にいきつきます。
つまり、空き家が売れないときは、価格とその建物・土地の現況が釣り合っていないということです。
釣り合っていないわけですから、改善する必要があるのは、次の2つのどちらかです。
- 価格を下げる
- 状態を良くする
このどちらかです。
状態を良くするというのは、建物であれば雨漏りの修繕や、一定のリフォームを入れることです。 土地であれば、隣地からの越境物を解決したり、境界を測量して明示することも含まれます。
こうして不動産の状態と価格が釣り合えば、売却の可能性が上がります。ここからは、価格と実態が釣り合わない理由を、論点ごとに見ていきます。
建物が古い(新耐震・旧耐震の分かれ目)
建物が古い場合、ひとつの分岐点となるのが新耐震基準か旧耐震かという違い。1981年6月の新耐震基準(建築基準法の耐震基準が改正され、震度6強クラスの地震にも耐えられるよう義務づけられた基準)の前か後かによる差は、意識しておくべきでしょう。
新耐震基準より前の建物は、現在想定されている震度6強の地震に耐えられない可能性が高いのです。南海トラフ地震の危険性がこれだけ報道されている状況では、旧耐震の建物は避けられる傾向にあります。
一方、1981年6月以降の建物であれば、ある程度は地震に耐えられるはずです(震度6強から震度7程度の地震でも人の命を守れる)。新耐震基準であれば、古い建物でもリフォームを入れていれば売却の可能性は高まりますし、土地価格に適切な建物価格を上乗せした、購入者が納得しやすい価格設定にすれば、売却の可能性は高まります。
旧耐震の建物については、まず建物が立地する市区町村の耐震補助制度を調べることをおすすめします。
例えば筆者が拠点にしている阪南市の場合、耐震診断費用の約90%、耐震改修費用の80%(上限は所得により50万円または75万円程度)を補助してくれる制度があります。買主がこうした制度を利用しやすいよう案内してくれる不動産会社を選ぶことも必要です。
なお、建築基準法の耐震基準について、詳しくは以下の記事で解説しています。

雨漏り・傾きがあるケース
雨漏りや傾きがある場合は、判断が難しいところです。
筆者がよく勧めるのは、あらかじめ大工さんに見積もりを取っておくこと。買った人が修繕にいくらかかるのかを把握できれば、購入につながりやすくなります。
特に傾きは、建物全体が傾いているのか、一部の部屋だけなのかで、修正の難易度が大きく変わります。
建物コンディションの見極めには、ホームインスペクション(住宅診断。建物の劣化状況や欠陥の有無を専門家が調査するもの)を入れるのも一つの方法です。JSHI(日本ホームインスペクターズ協会)のホームインスペクションは、5万円〜10万円程度が相場です。
なお空き家に関しては、当社周辺エリア限定にはなりますが、空き家管理サービスをご利用いただくと無料でホームインスペクションを実施できます。気になる方はお問い合わせください。
建物診断付き空き家管理(いえとちラボ)
雨漏りは簡単に直る場合もあれば、非常に難しい場合もあります。インスペクションで状況を把握したうえで、それを説明材料として購入希望者に提示する、という流れがおすすめです。
なお、家の傾きを自分で調べるなら、以下の記事もおすすめです。

再建築不可(接道・市街化調整区域)の場合
再建築ができない理由は、主に2つです。
- 建築基準法上の道路に敷地が接していない(接道していない)
- 市街化調整区域内にあり、原則として再建築が認められない
再建築不可の場合、個人が購入するケースもありますが、投資家に売却するという選択肢も考えてみてください。小さな金額で投資物件を購入したい人は、一定数存在します。
あるいは、自分自身が収益物件として活用する方法もあります。リフォームを入れて賃貸で貸し出し、建物の寿命が来るまで賃貸で回していく。その間に近隣の人たちと少しずつ話をしておき、適切なタイミングで土地を買い取ってもらう相手を探しておく、という進め方です。
隣の人が買ってくれれば、一つの敷地として大きくなり、再建築可能な敷地になる可能性が高いため、一気に価値が上がります。時間を稼ぎながら収益も得て、最終的な出口を見つけていく。再建築不可物件では、こうした長期視点での出口戦略も有効です。
残置物が多く手がつけられていない
建物内に残置物が多く、片付けきれていない場合、残置物があるまま買い取ってくれる不動産買取業者に頼む方法もあります。
ただし、買取の場合は価格が大きく下がってしまうので、個人的にはあまりおすすめしません。
それよりも、先に残置物を片付けてしまうほうが、価格的には有利になるケースが多いはずです。残置物をまとめて回収してくれる業者に、例えば50万円程度で片付けを依頼し、その分高く売る。このほうがコスト的に有利になる可能性があります。
回収業者を探すコツは、Googleマップで物件が所在するエリアを表示し「不要品回収」「残置物撤去」といったキーワードで検索してみること。複数業者に電話をして、引き受けてくれるところを探し、相見積もりを取ります。
残置物を先に撤去するのは先行投資になりますが、買主が気持ちよく購入を検討できる状況をつくることで、売却の可能性は上がります。
権利関係の問題(相続登記・共有・境界)
相続登記が済んでいない、共有者の一部が行方不明、遺産分割で揉めている……。こうした権利関係の問題がある場合、まずはそれをまとめるところから始めるしかありません。
共有持ち分だけを買い取ってくれる会社もありますが、価格は相当安くなる前提で利用することになります。
この場合は、司法書士さんを窓口に相談するのがおすすめです。法律上どうしても揉めてしまう場合は、司法書士さんから弁護士を紹介してもらえることが多いので、そこから弁護士に相談する、という流れがいいでしょう。
権利関係の問題は、これを解決しないと前に進めません。まず問題を切り分けて、解決の道筋を探ってください。
立地的に需要が少ない
立地そのものの需要が少ない場合は、値段で折り合いをつけるか、販売チャンネルを変えるしかありません。
不動産の仲介業者を変えたり、広告の仕方を変えてもらうという方法です。
需要が少ないエリアの特殊な物件を、SUUMOやLIFULL HOME’Sのような、多くの人が見る一般的なポータルサイトに載せても、なかなか売れません。
例えば海外向けに営業活動している不動産会社を探すのも一案です。今の欧米では日本の空き家(Akiyaとして英語に定着しつつある)に一定の知名度と人気があるので、そうしたチャンネルからの売却を目指している不動産会社を探してみてください。
そもそも不動産会社が空き家売却に弱い
そして、これがすべての根本原因になりかねない問題ですが……不動産会社がそもそも空き家の売却に弱い、というケースがあります。
大手不動産会社で活発に活動しているところほど、地方の空き家には弱い場合があります。地方の空き家はそもそも取り扱う意欲が湧きにくく、本気で扱ってもらえないことも多いのです。
この場合は、不動産会社を変えて、地元の不動産会社の中で信頼性の高いところを探してみるのがいいでしょう。
値下げすれば売れるかを検討する

次に検討したいのは、値下げをすれば売れる空き家なのか、値下げしても売れにくい空き家なのか、という点です。
価格の問題であれば、価格調整だけで売れる可能性が出てきます。まずは、値下げしても売れにくい、決定的に不利な要因から見ていきます。
値下げしても売れにくいケース
再建築できない物件(接道していない、市街化調整区域内にあるなど)は、値下げだけでは解決しにくいのが実情です。賃貸で回しながら状況の変化を待ったり、近隣の人に少しずつ話をしていったりといった、気の長い対策が必要になります。
そもそも周辺に買いたい人が少ないエリアも、同様に難しくなります。ただし、こうしたエリアでも、価格を思い切って下げれば売却できるケースもあるので、そのエリアに詳しい不動産会社に判断してもらうのがいいでしょう。
建物が傾いている、雨漏りがあるというケースも、売却が難しいことが多いです。
筆者の自宅の近くに、不同沈下(地盤の一部が沈み建物が傾いてしまう現象)している建物があります。300万円程度の価格で売り出されていますが、少なくとも筆者が知る限り、2019年から2026年の現在まで、7年間売れていません。
この空き家は、数メートルの擁壁に面して建っていて、擁壁側に向かって土地が沈んでいくという、修復が難しいパターンです。こうした本格的に傾いている建物は、実例からも非常に売れにくいといえます。
値下げで売れる可能性があるケース
一方、そこまでの問題がない建物であれば、価格次第で十分に売れる可能性があります。
例えば、駅まで徒歩圏だったり、学校や商業施設、病院が近いといった立地の場合は、一定の価格調整だけで問い合わせが増えるケースがよくあります。
この点、購入者の年齢層によって、重視するポイントは変わります。
ファミリー層であれば、学校やスーパーの近さ。 高齢層であれば、病院や駅の近さや坂道・段差の少なさなど。
こうした条件が、購入の決め手になりやすいポイントです。
駅から遠くても、バス便が豊富で駅にアプローチしやすいなど、その土地に何らかの魅力があれば、売却できる可能性は十分にあります。
空き家が売れない時にやってはいけないこと

空き家がなかなか売れないときに、やってはいけない行動があります。
一括査定の金額を信じ込む
不動産の一括査定を使って再度価格査定を行い、その査定額を信じ込んでしまうのは避けたほうが良いと思います。
一括査定は、あくまで不動産会社の営業ツールです。各社とも、高めの査定を出してでも仲介を獲得しようとする傾向があります。もちろん、きちんとした査定を出す会社もありますが、高い査定額でユーザーの気を引いて仲介を取りに行こうとする会社もあります。これを「釣り査定」「高値査定」と呼んでいます。
根拠が不明な高額査定を信じ込んでしまうと、さらに売却が長引く原因になります。
とりあえず解体してしまう
「もう解体してしまおう」と、見通しのないまま解体するのもおすすめしません。
解体すると、建物がある土地に適用されていた固定資産税の特例が外れ、固定資産税額が3倍から6倍程度になる可能性があります(詳しくは後述の「放置するとどうなるか」で解説します)。
短期間で売却できる見通しが立っているなら、1年程度高い固定資産税を負担してでも解体する、という判断も一つの選択です。ただし、その見通しがないまま解体してしまうと、何年も高い固定資産税を払い続けることになります。
売却チャンネルを空き家バンクだけに絞る
空き家バンク(自治体が運営する、空き家の売買・賃貸情報を掲載する制度)だけで売却活動を完結させようとするのも、考えものです。
空き家バンクは行政が運営しているため、民間ポータルサイトのようなしっかりした販売ルートに乗せる力は、どうしても弱くなります。宣伝広告もしていないことが多く、閲覧数もそれほど多くありません。
空き家バンクは、あくまで「抑えの販売チャンネル」の一つと考えたほうがいいでしょう。
自己判断でリフォームする
売却前に自己判断でリフォームをするのも、避けたほうがいいパターンの一つです。
プロが再販事業でリフォームを入れる場合は、「いくらなら売れるか」を徹底的に詰めたうえで、支払える金額の範囲で最大限のリフォームを行い、商品化します。この計算を、一度きりの自宅売却で個人が行うのは難易度が高く、失敗する確率も高くなります。
不動産会社に相談したうえで、効果的な部分に絞ってリフォームをするのがおすすめです。例えば、壁紙の張り替えは建物全体でも20万〜30万円程度で収まることが多く、見た目の改善効果が大きいケースもあります。逆に、あまり意味がないリフォームもあるので、判断できる不動産会社と一緒に決めていくのが良いと思います。
家族の合意を後回しにする
相続した空き家の場合、兄弟姉妹など共有者の合意を後回しにしたまま売却活動を進めてしまうのも、避けたい行動です。
内覧や条件交渉が進んだ段階で家族間の意見が割れると、そこから振り出しに戻ることになります。売却活動を始める前に、方針をすり合わせておくことをおすすめします。
空き家が売れない原因別と対処法まとめ

ここまでの内容を、原因別の対処法として整理していきましょう。
| 原因 | 対処法法の例 |
|---|---|
| 価格が高い | 売出価格と成約価格の差を確認し、値下げを検討する |
| 立地の需要が弱い | 買取、隣地への打診、空き家バンクを組み合わせる |
| 建物が古い | 現状のまま売却、最低限の清掃、建物診断(インスペクション) |
| 残置物が多い | 撤去費込みで買取相談、または先に撤去してから売却 |
| 再建築不可 | 訳あり物件を扱う業者、または隣地への売却 |
| 境界が不明 | 測量、隣地所有者への確認 |
| 相続登記が未了 | 司法書士へ相談 |
| 不動産会社に問題あり | 空き家売却に慣れた不動産会社へ変更する |
まず、所有している空き家がどの項目に当てはまるかをチェックしてみてください。原因が複数重なっているケースも珍しくありません。その場合は、影響が大きい順に一つずつ手をつけていくのが現実的です。
「仲介で売るべきか、買取・解体・管理へ切り替えるべきかを確認したい」という方は、お気軽にお問い合わせください。
空き家を解体するか・残すかの判断

売れない空き家を解体するかどうかで悩んだときの判断基準は、次の3つです。
- 土地需要
- 解体費用
- 固定資産税
この3つを軸に、簡潔にまとめていきます。
大前提は「土地需要があるか」
解体の判断をする大前提は、その土地を買って新築したい人がいるかどうかです。
新築をしたい人があまりいないエリアであれば、解体はしないほうがいいという判断になります。更地を買う人は、一般的に新築をするはずだからです。
また、土地需要の強さを確認するには、地価公示・地価調査のデータを見る方法があります。国土交通省や都道府県から毎年概要が発表されているので、そのエリアの地価が上昇しているかどうかを確認します。
地価が上昇しているエリアであれば、不動産の需要があると判断できるため、更地化する価値は十分にあると思います。
ただし、解体してから売却が完了するまで何年かかりそうか、あらかじめ想定しておくことをおすすめします。更地にすると、固定資産税の住宅用地特例が外れ、税額が3倍〜6倍程度になる可能性があります(詳しくは次の「放置するとどうなるか」で解説します)。高い固定資産税を払い続ける前提を織り込んだうえで、売却までの期間を見込んでおく必要があります。
土地需要が弱いエリアは解体しないほうがいい
土地需要が弱いエリアでは、あまり解体しないほうが良いケースが多くなります。
古い建物がある土地(古家付き土地)でも、それを買いたいという人は一定数います。価格交渉の中で「解体しましょうか」「解体費用の分、少し安くしましょうか」という交渉をするほうが現実的です。
あらかじめ解体してしまうと、土地需要が弱いエリアでは長期間売却できないまま、高い固定資産税を払い続けることになります。しかも、解体したからといって必ず売れるとは限りません。
逆に、古い建物があったほうが良いという需要もあります。
田舎にセカンドハウスが欲しい人。 簡易的な倉庫やオフィスとして使いたい事業者。
こうした需要も考えると、急いで解体しない、という判断も選択肢の一つです。
特に、再建築不可の土地の場合は、極力解体しない方向で考えるべきだと思います。
放置するリスクも考慮する
一方で、建物を残す場合には注意点もあります。
例えば、瓦が落ちて通行人にケガをさせてしまった場合、これは無過失責任(過失がなくても負う損害賠償責任)にあたり、所有者が責任を問われます。
建物が老朽化して周囲に被害を及ぼすようになると、これはこれでリスクが大きくなります。
建物を放置するリスクと、解体した場合のコスト・リスクを比較したうえで判断する、という視点が必要です。
なお、南大阪限定にはなりますが、当社の格安空き家管理(年間18,000円)をご利用いただくと、5~10万円のハウスインスペクションが無料で付属します。
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建物コンディションが心配な場合は、ぜひご活用ください。
仲介で売れない時の対処法

仲介で売れない場合は、仲介を続けながら、並行して出口の選択肢を増やしていきます。「仲介はやめる」という選択肢は、あまりおすすめできません。仲介での売却が、コスト的に有利であり、なおかつ成約の可能性も高いからです。
仲介以外の売却ルートを「補助線」として活用してください。
隣地への打診
まず確認したいのが、隣の人が買ってくれる可能性です。仲介不動産会社を通してでも、一度確認してみることをおすすめします。
高い確率ではありませんが、一定の確率で隣地所有者が空き地・空き家を買うというパターンはあります。
隣の人が買う理由は、敷地を広げたい、眺望を確保したい、環境を確保したいなど、さまざまです。筆者自身も、眺望を確保するために隣の空き地を購入した経験がありますし、かつて仲介した土地で、隣の人に買ってもらった事例もいくつかあります。可能性を排除せず、まず聞いてみる価値はあると思います。
空き家バンク・個人売買サイト
仲介を続けながら、市町村の空き家バンクへの掲載や、個人売買サイトへの登録も検討の余地があります。
個人売買サイトはいくつかありますが、筆者の経験上、「家いちば」以外はほとんど反応がありません。掲載自体は無料ですが、買主が決まって契約に至った際には仲介手数料がかかる点に注意してください。
家いちば(公式サイト)
管理・賃貸という選択肢
もう一つの方法として、空き家を管理する、あるいは賃貸として貸し出すという選択肢があります。
ただ管理するだけであれば、空き家管理サービスに月々の管理を依頼する方法があります。当社でも、月額1,500円・年間契約で、5万円相当のハウスインスペクション(住宅診断)が付属するサービスをご用意しています。気になる方はお問い合わせください。
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さらに一歩進めて、賃貸物件として住みたい人を探す方法もあります。賃貸で貸し出しながら、小さい物件に投資したい投資初心者層に売却するという方法は十分考えられます。
自分で住みたい人向け(実需層)が有利か、投資家向けが有利かは、エリアによって判断が変わります。そのエリアに詳しい不動産会社に、一度相談してみることをおすすめします。
それでも売れない場合の考え方
仲介を基本としながら、複数の出口を考えておく。これが、なかなか売れない空き家の合理的な戦略だと思います。
それでもどうしても難しい場合は、どんな物件でも買い取ってくれる買取サービスを検討します。仲介を本当にあきらめる、というタイミングで検討すると良いと思います。
筆者の経験では、他社の仲介でどうしても売れず、買取を希望されるお客さんがいました。「買取では市場価格の7割以下になりますよ」と丁寧に説明し、仲介を勧めましたが「もう疲れたので安くてもいいです。あなたが差額で儲けてくださいよ」とのこと。泣く泣く利益を出させていただきました。
空き家を放置するとどうなるか

空き家をそのまま放置すると、次のようなリスクが積み重なっていきます。
固定資産税の負担、草木や害虫の発生、近隣からの苦情、倒壊による損害賠償、そして家族間での責任負担の不公平感……。
固定資産税が上がる可能性
2023年12月に改正された空家等対策特別措置法により、「管理不全空家等」という区分が新設されました。
適切な管理が行われず、そのまま放置すれば「特定空家等」に該当するおそれがある空き家は、市区町村長から指導・勧告の対象になります。勧告を受けた空き家の敷地は、固定資産税・都市計画税の住宅用地特例(小規模住宅用地で課税標準額が最大6分の1に軽減される制度)の対象から除外されます。
その結果、翌年から固定資産税が最大で6倍程度に上がる可能性があります。これは、既存の「特定空家等」だけでなく、その一歩手前の「管理不全空家等」でも起こり得る、という点がポイントです。
空き家をめぐる社会全体の状況
総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、2023年10月時点の総住宅数は6504万7000戸で、空き家は900万2000戸、空き家率は13.8%と、戸数・空き家率ともに過去最高を記録しました。賃貸・売却用や別荘などの二次的住宅を除いた、いわゆる「その他の空き家」は385万6000戸で、こちらも増加しています。
つまり、空き家問題は個人の事情だけでなく、全国的に「買い手がつかない住宅在庫」が増え続けているという、市場全体の環境の問題でもあります。買い手が物件を選び放題になっている、という背景も理解しておくと、価格設定や戦略の判断がしやすくなります。
家族間の責任問題
相続した空き家の場合、固定資産税の負担や管理の手間を「誰が担うのか」という問題が発生します。
放置期間が長くなるほど、雨漏りや害虫の被害が進み、資産価値も下がっていきます。結果として、「早く動いていれば選択肢があったのに」という状況になりやすいのが、空き家問題の特徴です。
行政からの指導・勧告を受けてから動くのではなく、その前の段階で判断しておくことをおすすめします。
相談前に準備するもの

不動産会社や司法書士に相談する前に、準備しておくと話がスムーズに進むものをまとめます。
固定資産税の納税通知書。 登記簿(登記事項証明書)。 公図・測量図(あれば境界確認書も)。 建築確認済証・検査済証の有無。 間取り図。 雨漏り・傾き・シロアリの有無に関するメモ。 残置物のおおよその量。 相続人・共有者の状況(人数、連絡が取れるかどうか)。
そしてもう一つ、意外と見落とされがちなのが、希望価格ではなく「最低限避けたい損失」を、あらかじめ自分の中で整理しておくことです。
「いくらで売りたいか」よりも、「これ以上は損をしたくないライン」がはっきりしていると、不動産会社との相談も、家族への説明も、格段にスムーズになります。
相続土地国庫帰属制度(相続した土地を国に引き取ってもらえる制度)を検討する場合は、建物がある土地はそのままでは対象外になる点にも注意が必要です。建物を解体してから申請する必要があるケースが多く、審査手数料や負担金(10年分の管理費用相当額)もかかります。土地の状態によって条件が細かく分かれるため、利用を検討する際は法務局や専門家に確認することをおすすめします。
まとめ「売れない空き家を次の一歩につなげる 」

空き家が売れない理由は、結局のところ一つです。
それは、価格と、建物・土地の状態が釣り合っていない事。価格と物件の内容が釣り合いさえすれば、ほとんどの空き家は売却できます。
では、価格が釣り合わない理由は何でしょうか?
古い建物、雨漏りや傾き、再建築不可、残置物、権利関係……原因はさまざまですが、どれも突き詰めれば「価格に見合っていない」という一点にたどり着きます。値下げで解決できるのか、状態の改善が先か。この見極めをつければ、解体・仲介・管理・賃貸のどの選択肢を取るべきかも自然と見えてきます。
大切なのは、行政からの指導や勧告を受ける前に、自分の空き家がどの原因に当てはまるかを整理しておくことです。固定資産税や放置のリスクは、時間が経つほど厳しくなっていきます。
建物の状態を無料でチェックしてもらう
アップライト合同会社では、月々1500円の空き家管理を1年契約していただくと、通常5万円から10万円の「ハウスインスペクション(建物診断)」を無料で実施します。
建物診断付き空き家管理(いえとちラボ)
無料の建物診断+月例報告で、建物に関する安心を手に入れたうえで、「売却するか活用するか」について、じっくりと判断していただけます。


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